研究成果概要


国総研資料 第127 号

【資 料 名】 空港整備に係る費用便益分析マニュアルの日米比較

【概   要】 我が国の公共事業評価には一般的に費用 便益分析が用いられている。平成8年度の橋本内閣総理大臣 の費用対効果分析の活用指示が費用対効果分析の行政での活 用の発端となったのだが,以後公共事業評価の一指標として 大きな役割を果たしていると評価できる一方,手法自体に対 する認識不足により数字の一人歩きが横行している印象も拭 いきれない。平成10年3月には,「運輸関係公共事業の新 規採択時評価実施要領」,「運輸関係公共事業の再評価実施 要領」が発表され,新規採択時評価あるいは再評価の実施根 拠が一層明確になると同時に,費用対効果分析に対する社会 の認識が一層高まる契機となった。当然実施のためのガイド ラインも必要となり,他事業と前後して平成11年6月には 「空港整備事業の費用対効果分析マニュアル1999」が策 定され,空港整備に係る費用便益分析に対して説明責任を負 う形となっている。また,平成13年5月には総務省より内 閣府・国土交通省に対し,空港の整備に関する行政評価・監 視の勧告が出されていが具体的内容の一部として費用対効果 マニュアルの見直しも含まれている。この勧告を受け,13 年9月以降学識経験者からなる委員会を開催し,その検討結 果に基づき平成15年3月にはマニュアルが一部改定されて いる。以上のような経緯を鑑みれば,現マニュアルは最新の 知見を盛り込んだ学術的にも完成度の高いものだと思われる 。しかし,社会的状況を踏まえながら引き続き事業評価手法 を高度化していくことは依然として重要である。本稿では, 空港整備に係る費用便益分析手法の高度化を目的とし,航空 先進国かつ事業評価先進国である米国の費用便益分析マニュ アルについてその内容を整理し,我が国のマニュアルとの違 い及びその背景について考察する。

【担当研究室】 空港計画研究室

【執 筆 者】 杉村佳寿,石倉智樹








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