【資 料 名】 | 渡良瀬貯水池における水質変化に関する考察 −底泥と水柱間での物質収支特性− |
【概 要】 | 渡良瀬貯水池においては,7月から9月にかけての夏季制限水位時に水深が約3mに低下するが,これに伴い7月から8月上旬にかけて底泥からの回帰によると考えられる栄養塩濃度の上昇(特にリン)が認められる.
このため,この期間中には外部からの流入負荷が無くても,底泥から回帰した栄養塩を利用して藻類の大量増殖が起こる.
本資料は,上記の渡良瀬貯水池における水質変化特性について検討するために,定期調査データの解析,懸濁物の沈降特性及び底泥からの栄養塩回帰に関する現地実験の結果についてとりまとめたものである.
検討結果からは,貯水池中の懸濁物は,藻類増殖に伴う新規生成物と底泥が巻き上げられたものとが混合した状態であり,新規生成物の沈降速度は約0.6m/d,巻き上がった底泥は19m/dと大きな違いがあること,
新規生成物の沈降速度を考慮して夏季の全リン濃度上昇を説明するには底泥からのリン回帰速度は85(mg/m/d)程度に達する必要性があり,これは静置溶出試験から得られた結果に比べて極めて高いものであることが判明した. |
【執 筆 者】 | 天野邦彦,李建華,鈴木宏幸,安田佳哉 |
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