<建設マネジメント技術研究センター>

建設システム課 平成11年度に実施した調査・試験・研究の成果の概要


発注者責任を満足する監督検査体制に関する研究

研究期間:平11〜平13
担当者 :松井健一、萩野谷守泉、中嶋政幸

 これまでの建設工事は,発注者が施工方法等を指定し,品質確保のために施工途中の監督業務を重視したものとなっていたが,事業執行の体制および社会環境の著しい変化に伴い,発注者と受注者の責任の明確化,監督・検査と施工者の業務内容の明確化が強く望まれている。
 また,平成11年4月にとりまとめられた発注者責任研究懇談会では発注者の立場について,「造る」立場と「買う」立場が示され,それぞれについて発注者の果たすべき責任及び完成物の特性に合った監督検査体制のあり方を明らかにし,新たな施工管理システムを確立することが求められている。
 平成11年度は,公共工事の調達に関わる発注者の役割の変遷と公共工事で起きた事故の判例における発注者の責任を整理するとともに,監督検査において利用可能性のある新しい施工管理技術についての調査を行った。


施工段階のコスト構造モデルと現場間接費等低減の評価手法の開発に関する研究

研究期間:平10〜平12
担当者 :松井健一、福田至、河上誠

 公共事業に対する社会的な要請の多様化から,建設活動が地球環境や生活環境に与える影響を考慮した総合的な建設事業コストの低減が求められている。これを踏まえ,建設省では総合技術開発プロジェクト「外部コストを組み入れた建設事業コストの低減技術の開発」に取り組んでいる。
 本研究は,この一環として総合的な建設事業コストの評価に必要な現段階での建設コスト(内部コスト)を把握し,その間接費等の低減技術の評価について検討を行うものである。
 11年度は,建設コストのなかで特に大きなウエイトを占める施工段階のコスト構造について明確にするとともに,そのうちの現場間接費など諸経費における外部コストの内部化状況について調査・整理を行った。


建設施工の3要素(機械、労務、材料)の価格決定メカニズムに関する研究

研究期間:平10〜平12
担当者 :松井健一、福田至、河上誠

 公共事業に対する社会的な要請から,建設活動が地球環境や生活環境に与える影響を考慮した総合的な建設事業コストの低減が求められている。これを踏まえ,建設省では総合技術開発プロジェクト「外部コストを組み入れた建設事業コストの低減技術の開発」に取り組んでいる。
 本研究は,この一環として総合的な建設事業コストの低減手法の検討に必要な外部コストの内部化が建設事業コストに与える影響を把握するために,建設工事の価格構成要素について分析を行うものである。
 11年度は,建設コストのなかで特に大きなウエイトを占める施工段階の直接工事費のうち,機械,材料費に焦点を当て,低騒音・低振動型建設機械や再生材料などの,かつて外部コストであった項目が内部化された事例について調査するとともに価格の経年変化について分析を行った。


人工衛星による土砂環境把握と危険度評価手法の開発に関する研究

研究期間:平11〜平12
担当者 :森重卓雄(情報技術総括研究官)、松井健一、杉浦政裕、有江健治

 近年の航空宇宙技術の進展により,人工衛星リモートセンシングの高精細化が進んでおり,広域観測性と併せて,災害状況の詳細な把握や河川・道路等の施設管理並びに周辺環境管理等への利用が考えられる。
 11年度は,人工衛星リモートセンシングデータの河川事業等での利用に関する適用性について調査を行い,観測データの収集,蓄積及び提供するための基本的なシステム構成について調査を行った。
 調査の結果,リモートセンシングデータを適切に管理及び提供し,地上の数値データとの整合を図るため,リモートセンシング観測データをGIS(地理情報システム)に連携させるシステムを提案した。


下水道工事積算の体系化に関する調査

研究期間:平11〜平13
担当者 :松井健一、小林一三

 本研究は,建設省が整備を進めている新土木工事積算大系に関し,下水道事業分野の積算・契約関連図書類の整備(大系用語定義集の作成,下水道土木共通仕様書の整備・体系化,積算基準書の体系化)を行うものである。
 11年度は,地方自治体の持つ下水道工事共通仕様書の整備状況調査と工事工種体系化に沿って作成する仕様書の整備方針及び現在下水道の積算基準書となっている「下水道用設計標準歩掛表」の工事工種体系化編成の方針について検討を行い,問題点の抽出と今後の整備方針を明らかにした。


道路情報提供システムの構築技術に関する研究調査

研究期間:平10〜平12
担当者 :森重卓雄(情報技術総括研究官)、松井健一、杉浦政裕、有江健治

 国民生活が道路交通に依存している現在,道路情報は道路管理者のみならず,外部機関やドライバー,地域住民への提供も期待されている。
 本研究は,ITSで主要な情報源と位置付けられる画像データの内,特に情報量の多い動画像のシステム内での収集,蓄積,管理,提供までのプロセスを技術的視点から検討し,既存の道路系情報システムとの連携・取り込みを目的とする。
 11年度は,動画像データの収集形態について,最適な付加情報の付加方式と符号化方式の整理,データ蓄積・管理において,道路情報提供システムを構築するデータベースの構成(集中型,単純分散型,連携分散型の3パターン)の比較・検討及びGISを活用したイントラネット及びインターネット経由で道路情報提供システムにアクセスする技術の調査を行った。
 調査の結果,道路情報提供システムを構築するデータベースの構成としては,連携分散型が最も適していることが判明し,プロトタイプの画像アクセスシステムの基本設計条件を整理した。


道路事業における建設コストの構造分析とコスト縮減効果の評価手法の研究調査

研究期間:平11〜平13
担当者 :松井健一、福田至

 公共工事のコスト縮減に対する社会的要請は極めて強いが,これに適切に応えていくためには,縮減効果をできる限り定量的に把握し,目に見える形で公表するとともに,コスト縮減のための技術開発や施策検討を効果的に行っていくことが重要である。このため,本研究では,積算実績データベースを利用して道路事業における建設工事のコスト構造を階層的に明らかにし,計画段階等におけるコスト縮減に向けた取り組みが効率的に行えるよう支援するとともに,土木研究所の個々の研究開発等が全体コストに与える効果を試算・評価し,コスト縮減の視点からみた効果的な技術研究開発のあり方について提言を行うものである。
 11年度は,コスト縮減の仕組みについて整理を行い,本研究の位置づけを明らかにするとともに,道路工事におけるコスト構造の実態把握および工事コストの構成要素とコスト縮減施策との関係分析を行った。


河川事業における建設コストの構造分析とコスト縮減効果の評価手法の研究調査

研究期間:平11〜平13
担当者 :松井健一、福田至

 公共工事のコスト縮減に対する社会的要請は極めて強いが,これに適切に応えていくためには,縮減効果をできる限り定量的に把握し,目に見える形で公表するとともに,コスト縮減のための技術開発や施策検討を効果的に行っていくことが重要である。このため,本研究では,積算実績データベースを利用して河川事業における建設工事のコスト構造を階層的に明らかにし,計画段階等におけるコスト縮減に向けた取り組みが効率的に行えるよう支援するとともに,土木研究所の個々の研究開発等が全体コストに与える効果を試算・評価し,コスト縮減の視点からみた効果的な技術研究開発のあり方について提言を行うものである。
 11年度は,コスト縮減の仕組みについて整理を行い,本研究の位置づけを明らかにするとともに,河川工事におけるコスト構造の実態把握および工事コストの構成要素とコスト縮減施策との関係分析を行った。


積算改善検討調査

研究期間:平4〜
担当者 :松井健一、萩野谷守泉、小林一三、武田ゆうこ、澤田敦則、、中嶋政幸

 建設事業を取り巻く環境は急激に変化しており,これに対する建設行政施策の迅速な対応が重要な課題となっている。今後,社会資本整備の増大が見込まれる中,建設事業の工事関連業務の効率化,合理化を図る必要があり,新土木工事積算大系の構築を実施してきた。今後は積算体系の整備・改善,保守作業並びに,これらの業務の有機的な連携をはかるとともに,電子媒体による情報共有化および業務のシステム化を図ることが求められている。
 11年度は,土木工事共通仕様書については,改訂作業をネットワークを介してリアルタイムに行うためのSGML/XML化についての動向調査を行い,今後の土木工事共通仕様書改訂作業の更なる効率化を目指すための検討を行った。また,工事積算の合理化については,各地建から発注されている工事の積算データをデータベース化し,積算の合理化検討を行うための基礎データ作成を行った。


飛行船のプラットフォームの利用技術に関する調査

研究期間:平10〜平11
担当者 :森重卓雄(情報技術総括研究官)、松井健一、杉浦政裕、有江健治

 成層圏滞留型飛行船は,人工衛星と比較して地上に近く,衛星リモートセンシングと比較して取得データの精度向上や取得間隔の短縮,常時運用等が期待されており,建設行政分野における防災,河川・道路等の施設管理のための情報収集・中継拠点として利用が考えられる。
 11年度は,飛行船プラットフォーム(滞留型・移動型)によるリモートセンシング観測データの河川事業等への利用に関する適用性について調査及び観測データの伝達,蓄積及び提供・利用に関する全体システム構成等の調査を行った。  調査の結果,飛行船プラットフォームによるリモートセンシングデータは分解能が高く,河川管理施設並びに氾濫源管理等に適用可能であり,観測データを効率的に管理及び提供するためには,画像データ(動画・静止画)と数値データ(地上観測データ,SAR等)をGIS上で連携させるシステムを提案した。


設計の標準化及び自動化に関する検討調査

研究期間:平7〜
担当者 :大澤健治、村椿良範

 本調査においては,建設省が行政施策として取り組んでいる土木構造物標準設計の最適化を図るための技術的検討を実施するものである。
 11年度は,橋梁の下部工ならびに河川構造物の樋門について検討を行った。下部工については,標準設計で対象とする橋台のタイプ,橋台の規模,上部工反力及び設計水平震度等の集録条件について,最近の設計実績データをもとに検討を行った。また,樋門については,コスト面からの設計の最適化を図るために,構造物形状の単純化やプレキャスト化等を含む新しい設計の考え方を「土木構造物設計マニュアル(案)」の樋門編として取りまとめた。