<企画部>

情報技術総括研究官 平成10年度に実施した調査・試験・研究の成果の概要


道路情報提供システムの構築技術に関する試験調査

研究期間:平10〜平12
担当者 :(情報技術総括研究官)森重卓雄、(建設システム課)大澤健治、杉浦政裕、澤田雅孝

 道路管理業務における情報通信システムは、道路管理者が必要とする情報だけでなく道路利用者が必要とする情報を提供することも求められている。
 本研究は、ITSの重要な情報源である画像データをシステムに取り込むために動画像を題材に、収集、蓄積、管理、提供までのプロセスを技術的視点から検討し、既存の道路系情報システムとの連携を図ることを目的とする。
 10年度は、動画像に付加する情報、付加情報の付加・抽出手法等を検討した。
 その結果、動画像を統一的に管理するために必要な付加情報(案)を検討した。また、付加情報の付加・抽出手法は、動画像圧縮方式のMPEGプライベート空間を利用する手法が適していることが判明した。


光通信における多様化した河川管理ネットワークの統合に関する研究

研究期間:平8〜平10
担当者 :(情報技術総括研究官)森重卓雄、(建設システム課)大澤健治、杉浦政裕、澤田雅孝

 河川情報システムは、雨量、水位、水質などに関する大量のデータがオンラインで収集・配信されているが、最近は河川への光ファイバケーブルの敷設に伴いデータだけではなくCCTVによる現地の画像の伝送が増えている。これらは水害や低水管理だけでなく、土石流、火砕流や土砂、雪崩れ等に対する防災用途としてのニーズが存在する。
 これらの要求事項を検討するため、河川情報システムを高度化するための調査研究を3カ年(8年度〜10年度)で行った。
 10年度は、光ネットワークの整備拡大、監視技術の高度化といった背景から、今後益々増大するであろう動画像情報を含めたネットワークの統合化を行うための、動画像の収集、蓄積、管理、提供に関する調査を行った。
 調査の結果、動画像情報について統一的な管理手法を採用することで、画像情報の利便性の向上が期待できることがわかった。また、統一的な管理手法を実現するための技術に関して、既存の技術が利用可能なものと、新たに開発が必要なものとに選別した。


飛行船のプラットフォームの利用技術に関する調査

研究期間:平10〜平11
担当者 :(情報技術総括研究官)森重卓雄、(建設システム課)大澤健治、杉浦政裕、澤田雅孝

 成層圏滞留型飛行船は、人工衛星と比較して地上に近いという利点から、衛星リモートセンシングと比較して取得データの精度向上や取得間隔の短縮、常時運用等が期待されており、建設行政分野における防災、河川・道路等の施設管理のための情報収集・中継拠点として利用が考えられる。
 10年度は、飛行船に搭載するセンサの種類を特定するため、建設行政分野に関する利用分野と利用分野に適した観測機器等の調査を行うとともに、観測データの利用を前提にした法・制度に関する調査を行った。
 調査の結果、広域かつ連続的な観測が要求される災害時の被災状況把握に光学式センサの高分解能性とハイビジョンカメラによる常時観測性が利用できることが判明した。


トンネル火災検知センサの開発

研究期間:平10
担当者 :(情報技術総括研究官)森重卓雄、(建設システム課)大澤健治、杉浦政裕、澤田雅孝

 光ファイバは、主として通信用の伝送路として整備されてきた。近年、光ファイバケーブルは通信用途以外でも、光ファイバが持つ特異な性質を利用し、物理量、化学量の測定等多岐にわたるセンシングの研究・開発が行われている。特に、温度測定分野ではラマン散乱光方式を採用した光ファイバ温度測定装置が実用化され始めている。
 本研究では、光ファイバセンサケーブルによるトンネル火災検知システムの導入効果および課題に関して調査・検討を行った。その結果、既存の火災検知器の設置数を1/2(間隔50m)とし、光ファイバセンサケーブルによる火災検知システムと併設・組み合わせて二重監視する方式を適用すれば、火災検知および避難誘導等に対して双方の長所を相乗させる効果を発揮できることが判明した。