<材料施工部> |
新材料開発研究官
●平成10年度に実施した調査・試験・研究の成果概要
土木構造物をより一層合理的に経済的に建設するためには、使用資材や品質試験などの基準を体系的に整備することが重要である。本研究は、行政ニーズに対応した土木基準の構築を行うための一環として、土木基準類の合理的な体系やデータベースを提案するとともに、近年、土木研究所において開発された材料、施工に関する試験基準を作成するものである。
10年度においては、新基準の枠組みの最終整理、新基準の候補の募集、絞り込み、作成とホームページ掲載を行った。
最終処分場のひっ迫等によりリサイクルを推進することは、社会的な緊急課題の一つである。一方、近年建設産業以外の産業からの再生資材を、公共事業に利用してほしい旨の要望も多い。こうした再生資材の公共事業への受け入れには、費用負担の考え方等の基本方針を定めた後、個別再生資材の品質を適切に評価するマニュアルなどを整備する必要がある。
本研究では、まず他産業再生資材を公共事業で用いる場合の、費用負担、新材等との優先度、などをどう考えるかという基本的方針を検討する。併行して、再生資材を用いた試験工事を行う際に必要とされる個別再生資材の品質基準、試験・評価方法など技術的条件を検討する。研究結果について、基本方針に関する政策研究結果は、本省に提言し行政施策に反映できるよう努める。個別の再生資材の品質基準はマニュアル(案)としてまとめ、試験工事現場に提供することとしている。
現在公共事業は種々の分野で大きな変革を迫られている。そうした動きの一つに、構造物の性能を明示して発注したり、性能を規定して技術基準化したりする「性能規定」がある。性能規定で発注することによって、受注者は施工法や仕様の幾つかは自由に選定できることになり、よりコストを縮減したりより合理的な社会資本の整備を進めることができる。
性能規定の考え方そのものは建築分野が先行し、1963年ノルディック建築基準委員会(NKB)がノルディック5ヶ国の建築基準の調和を図る活動を始めたことに端を発する。一方土木分野においては、従来国内の基準類の条文の中に散発的に性能を規定していることはあるがそれらは互いに関係づけられておらず、NKBのような性能規定システムの考え方を念頭に置いて基準を策定するということはされて来なかった。
今後、土木分野でも性能規定の適用性が探求されることになると思われるが、本研究はそのための基礎的な概念の整理をしたものである。