<環境部>

交通環境研究室 平成10年度に実施した調査・試験・研究の成果概要


道路環境影響の総合評価に関する研究

研究期間:平7〜平10
担当者 :大西博文、山田俊哉、大城 温

 本研究では都市域の広域大気汚染シミュレーション手法の検討を行っている。10年度は、自動車交通による大気汚染の広域予測と、大気汚染低減対策の広域評価を目的として、大気汚染物質の広域拡散シミュレーション手法の検討を行った。
 まず、類似した既存の広域拡散シミュレーションモデルについて文献調査を行い、その問題点の抽出と課題の検討を行った。次に、排出源別に適用するモデルの検討、気象条件の設定手法、交通条件の設定手法の検討等を行い、最後に広域拡散シミュレーションプログラムの基本仕様の検討を行った。


道路における環境条件と生物相との関係把握

研究期間:平8〜平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之、川上篤史

 本研究は道路空間におけるビオトープ整備手法やビオトープネットワーク形成における道路空間利用の可能性を検討する上での基礎資料を得るため、道路空間における生物相とその生育・生息条件の関係を把握するものである。
 8年度の「環境施設帯」に引き続き、9年度及び10年度は「道路のり面」を対象として、鳥類による道路空間の利用状況について調査を実施した。のり面を利用する鳥類の種類は植生タイプや沿道環境の違いと明確な相関がみられず、これは道路のり面の植生が小規模であることが一因と考えられた。住宅地に囲まれた地域の道路のり面のうち、樹林の階層構造が発達し、植物の種類が多い箇所では多くの鳥類に利用されており、住宅地という狭い地域でみれば、道路のり面は重要な生息地となっていることが示唆された。


道路におけるビオトープネットワークの計画手法の開発

研究期間:平9〜平12
担当者 :大西博文、小根山 裕之、川上篤史

 本研究は、道路空間を活用した生態系ネットワークを具体化するための計画手法の開発を目指している。生態系ネットワークとは、コアエリア、自然環境創出地域、生態的回廊の3つの要素から構成される。
 10年度は、生態系ネットワークの構成要素の一つである生態的回廊について、道路空間、緑地等の生態的回廊としての機能に関する国内外の調査・研究文献を収集・整理した。その結果、生態的回廊の機能と役割等に関して現在の知見がとりまとめられるとともに、調査事例等により今後我が国で生態的回廊を整備する際に検討すべき項目(構造、位置、質等)や研究すべき課題が明らかになった。


道路空間におけるビオトープ整備手法の開発

研究期間:平9〜平12
担当者 :大西博文、小根山 裕之、川上篤史

 本研究は、今後道路事業を行う上で、道路空間を活用したビオトープ整備を進めるための手法の提案を目指している。
 10年度は、道路空間の生物の生息・生育空間(ハビタット)としての機能を明らかにするため、道路構造令等設計基準による道路構造の観点と、緑地としての環境条件の観点から分類・整理し、ハビタットとしての可能性を検討した。その結果、各道路空間についてそれぞれが有する要素(形状、面積、植栽に関する制限等)と特性が整理されるとともにハビタットとしての機能をとりまとめ類型化した。


都市域の交通部門における温暖化防止施策の総合的評価に関する研究

研究期間:平9〜平11
担当者 :大西博文、小根山 裕之

 本研究では、温室効果ガスのうち二酸化炭素(CO2)について、都市内での交通部門のCO2排出量の予測モデルを作成し、このモデルを使って電気自動車等次世代型の低公害車が普及した場合等を含む温室効果ガス排出量削減施策の効果を推計するとともに、これらの車を用いた新しい交通体系にこのモデルを適用してその効果を算出し、さらに新しい交通体系の実現可能性を追求するものである。
 10年度は、9年度に検討した都市の交通部門におけるCO2排出量予測モデルの基本的枠組みに基づいて、モデルの詳細検討及び作成を行った。モデルは、4つのサブモデル(交通機関別トリップ推計サブモデル、自動車の旅行速度別走行台キロ推計サブモデル、公共交通車両キロ推計サブモデル、CO2排出量推計モデル)から構成される。これらの各サブモデルについて、詳細検討及びパラメータの導出などを行うとともに、各サブモデルの感度の検討を行った。さらに、宇都宮市をケーススタディ対象地として、モデルの操作性を検討するための簡単な試算検討を行った。


道路による生息域の分断化防止対策に関する共同研究

研究期間:平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之

 本課題は、道路による生息域の分断化防止対策とネットワーク化技術の手法及び効果について事例の蓄積を行い、当該技術の方法論の確立を図ることを目的として、オランダ国交通公共事業水管理省道路水管理技術研究所と共同研究を行ったものである。
 10年度は、国レベル及び地方レベルの生態系ネットワーク計画並びに道路による生息域の分断影響及び分断防止対策に関する日蘭両国の実施事例及び研究成果に関する情報収集及び意見交換を行い、分断防止対策の実施位置や構造と対策効果の関係などに関する知見を得た。


環境アセスメント技術に関する調査

研究期間:平10〜平13
担当者 :大西博文、山田俊哉、大城 温

 谷や盆地のような局所的に閉じた地形においては、逆転層発生時には大気汚染物質が滞留し、大気汚染の影響が顕著になるが、現在のところ環境アセスメントでは逆転層の影響を予測できないため、その予測手法の確立が必要である。
 そこで10年度は、逆転層の影響を考慮した大気汚染予測評価手法を確立することを目的として、逆転層の出現頻度が高い気象パターンの抽出を行い、そのパターンの気象条件において局地気象モデルによる逆転層出現時の気象場の再現計算を行うことにより、逆転層の年間出現状況の推定方法を検討した。


浮遊粒子状物質の予測評価手法の適用性に関する調査

研究期間:平9〜平10
担当者 :大西博文、山田俊哉、大城 温

 浮遊粒子状物質(SPM)の平成8年度の環境基準達成率は一般局で69.8%、自排局で42.4%と低い水準であり、その予測評価手法の確立は緊急の課題であると言える。しかし、現状では道路事業におけるSPMの予測は排気管由来のみを対象として行っており、大気中で二次的に生成される浮遊粒子状物質(二次生成粒子)の道路沿道における影響はよくわかっていない。
 そこで10年度は、道路沿道における浮遊粒子状物質のうち二次生成粒子の生成実態および排出量を把握することを目的として、既存資料による文献調査と道路沿道におけるSPMの実測調査を行った。  その結果、道路沿道においても二次生成粒子による濃度への寄与があることを示唆する結果が得られた。


道路交通騒音対策の高度化に関する調査

研究期間:平6〜平10
担当者 :大西博文、上坂克巳、鉢嶺清範、木村健治

  本研究では、道路交通騒音対策の新技術の開発及びその効果の予測手法について研究を行っている。
 10年度は、平面・高架併設道路において、点音源から発生する音の騒音レベルを模型実験及び予測計算により求め、比較・検討を行った。これにより、遮音壁及び高架道路裏面に吸音性材料を使用した一般的な平面・高架併設道路の騒音レベルは、主要な反射経路の騒音レベルを合成することでほぼ予測できることを確認した。


大規模道路の騒音特性に関する調査

研究期間:平6〜平10
担当者 :大西博文、近藤 升、青木理恵

 近年、排水性舗装は排水機能による安全性の向上に加えて、その騒音低減効果による沿道環境の保全に資するものとして期待されている。そこで6年度から排水性舗装の経年的な騒音低減効果を明らかにすることを目的とし、一般国道に試験施工された4種の排水性舗装および密粒舗装の区間において騒音測定を行ってきた。10年度は、騒音測定に加えて振動・吸音率の測定も行った。
 その結果、施工後5年の騒音低減効果は、乗用車では毎年のデータには多少の変動があるものの、全体的な効果の減少は小さく、なお3〜5dB程度と良好な効果が維持されている。


大規模道路の騒音特性に関する調査

研究期間:平8〜平11
担当者 :大西博文、近藤 升

 廃タイヤのゴムチップをウレタン樹脂で固めた多孔質弾性舗装は、数ある低騒音舗装の中でも最も騒音低減効果が期待できる。しかし、実用化のためには湿潤時すべり摩擦抵抗の向上等安全性に関する課題を解決する必要がある。また、ゴムから作られる多孔質弾性舗装は通常の舗装材料と異なるため、性能の評価方法についても検討しなければならない。そこで、土木研究所とゴム材料に関する知識を持つゴム・タイヤメーカー12社が共同研究を行った。この中で室内試験による性能の評価試験方法を提案するとともに、密粒舗装とほぼ同等の湿潤時すべり摩擦抵抗性や、高い耐久性を持つ多孔質弾性舗装の供試体を開発した。


大気汚染の予測・低減技術に関する試験調査

研究期間:平7〜平11
担当者 :大西博文、山田俊哉、大城 温

 窒素酸化物(以下NOxと表記)を無害な窒素に還元する働きを持った微生物を用いた大気浄化技術の開発を目的として、8年度は基礎的な実験により、微生物の性質、NOxの還元能力を把握し、9年度はNOxの溶解度の影響要因を様々な条件下での溶液への吸収実験により明らかにした。10年度は引き続き条件を変えてNOx吸収実験を行い、吸収効率の向上策を検討した。
 その結果、吸収効率の影響要因が明らかになり、NOx吸収液の化学組成や吸収塔への充填物などにより、吸収効率を向上させることが可能なことがわかった。


低次交通振動の評価と制振に関する試験調査(その1)

研究期間:平7〜平10
担当者 :大西博文、近藤  升、川上篤史

  直轄国道管理調査の一環として実施されている振動測定により道路交通振動の実態を把握するとともに、交通条件および地盤状況等と振動の関係を調査し、今後の道路計画および道路管理における環境対策の立案のための基礎的資料を得ることとしている。なお、この振動測定では各地建における測定地点を3グループに分割して毎年そのうちの1グループの測定を行っている。
 10年度は、グループ1の測定結果を交通条件、路面および地盤状況等の別に整理し取りまとめた。測定地点139点のうち、要請限度を超えた地点はなかった。また、道路交通振動予測式から算出された予測値と実測値を比較した結果、全体的に実測値よりも予測値の方が高い傾向にあった。


沿道の自然環境保全に関する調査

研究期間:平8〜平10
担当者 :大西博文、山田俊哉、小根山 裕之、川上篤史

 本研究は、自然環境に配慮した道路整備に資する対策技術を確立するための基礎的な検討を行うものである。
 10年度は、光および道路照明が動植物へ与える影響に関する国内外の論文と照明光の影響を緩和するために行った対策事例を整理し、現在の知見をとりまとめた。その結果、光および道路照明の性質、光および道路照明によって影響を受ける動植物種とその影響の程度等の現在の知見が総括された。研究対象種は主に、植物では農作物、動物ではホタルやアカウミガメ等代表的な種であったが、一般的な種(普通種)は非常に少なかった。
 一方、路面排水は、10年度に国道等10箇所で実施した現地調査の結果を整理し、その結果を用いて、路面排水汚濁負荷流出量の予測式を検討した。その結果、@汚濁負荷流出量は採水地点の道路構造、清掃状況、先行晴天日数と密接に関係していること、A汚濁負荷流出量を定量的に精度よく予測するには、路面排水汚濁負荷堆積量を正確に把握する必要があること、の2点がわかった。また、路面排水の対策事例を整理した結果、堆積物の除去には沈砂池等を設けること、油分の除去にはフィルター機能を有する装置の設置が考えられることがわかったが、今後さらに検討を必要とする。


環境負荷の小さい都市交通整備手法に関する調査

研究期間:平9〜平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之

 本研究は、環境負荷の小さい都市構造・交通体系を実現するための都市交通整備手法を具体的に示すとともに、それらの整備による効果をコスト、利便性、環境負荷の観点から総合的に評価する手法を開発するものである。
 10年度は、環境負荷低減施策の効果を推計するモデルの作成を行うとともに、宇都宮市を対象としたケーススタディにより施策による二酸化炭素(CO2)の削減効果の試算を行った。


多孔質弾性舗装の開発に関する調査

研究期間:平10
担当者 :大西博文、近藤 升、青木理恵

 多孔質弾性舗装は数年前より、騒音対策として工場製作された製品(各種空隙率の異なるもの)を土木研究所内に設置し、騒音はもとより、走行性の面からすべり摩擦係数を測定してきた。しかしプレキャストであるため路面との接着性及び目地での振動等が問題となった。
 そこで10年度は、つなぎ目のない現場施工型多孔質弾性舗装の車両の走行性能を把握するため、同研究所の舗装走行実験場に3種類の上記舗装を設置し、耐久性(ひび割れ、損傷、はがれ等)及びすべり摩擦係数を測定し、路面性状に関する検討資料の収集を行った。


環境アセスメント技術に関する検討(マニュアル検討)〜騒音〜

研究期間:平10
担当者 :大西博文、上坂克巳

 道路事業環境影響評価技術指針(平成10年6月12日建設省令第10号)の適切な運用に資するため、環境アセスメント実施のためのマニュアルの作成を行った。
 ここでは、自動車の走行による騒音の環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法選定等について基本的な考え方を整理するとともに、手法の具体的な解説資料を作成した。


環境アセスメント技術に関する検討(マニュアル検討)〜大気質〜

研究期間:平9〜平10
担当者 :大西博文、山田俊哉、小根山 裕之、大城 温

 環境影響評価法(以下「法」という。)は、平成9年6月13日に公布され、公布日より2年後に施行されることになっている。
 本調査は、道路供用時の大気質に関して、道路事業における環境影響評価を円滑に実施するため、法公布後1年以内に定められた「道路事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」及び技術マニュアルに反映させる技術的事項について取りまとめるものであり、10年度は、9年度に整理した技術的事項を踏まえて、技術マニュアルに反映させる技術的事項について整理を行った。


環境アセスメント技術に関する検討(マニュアル検討)〜動物、植物、生態系〜

研究期間:平9〜平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之

 環境影響評価法(以下「法」という。)が平成9年6月13日に公布され、平成11年6月に施行されることとなっている。本調査は、法で環境影響評価の対象とされている「動物」、「植物」、「生態系」の環境要素について、環境影響評価の実施手法を提案することを目的としている。9年度は、環境影響評価の調査・予測及び評価等に関する技術指針について技術的事項を検討しており、その成果は建設省令第十号(以下「省令」という。)に反映されている。10年度は、法及び省令に基づき、より具体的な環境影響評価が実施できるように、マニュアルに関する技術的事項を整理・検討した。


環境アセスメント技術に関する検討 (道路交通騒音の複合対策に関する調査)

研究期間:平10
担当者 :大西博文、上坂克巳、鉢嶺清範、木村健治

 本研究では、道路構造に応じて複数の騒音対策を実施することで、より効果的に騒音レベルを低減させる対策手法を検討した。そのために、騒音対策の種類や道路構造別の騒音の特徴について既存資料の整理を行った。また、都市部の平面高架併設道路に対して騒音対策を講じた場合の効果をケーススタディにより計算した。


環境アセスメント技術に関する検討(排水性舗装騒音測定データ収集)

研究期間:平10
担当者 :大西博文、近藤 升

 排水性舗装は、その空隙により騒音低減効果(以下、効果という)を有している。しかし、時間とともに空隙が閉塞して効果が低下する。現在、効果回復の手法も検討されているが、空隙の閉塞と効果の変化との関係が把握されていないため、効果の持続性や回復手法が十分に検討できていない。
 10年度は、土木研究所の試験走路に空隙率を変えた6種類の排水性舗装を敷設し、空隙率の違いによる効果と音響特性を調査した。その結果、空隙率が26%のものが伝搬による減衰量も吸音率も最も高かったが、試験車による騒音測定では空隙率が23%のものが最も効果が大きいことがわかった。


環境アセスメントに用いる原単位等整備調査

研究期間:平10
担当者 :大西博文、山田俊哉、小根山 裕之

 本調査では、シャシダイナモ測定装置を用いて自動車からの排出ガス(窒素酸化物、粒子状物質、一酸化炭素等)を測定し、これらの排出原単位を求め、これに基づき、排出係数の設定を行うものである。
 10年度は、最新排出ガス規制に適合した乗用車7台、貨物車17台の計24台について排出ガス量を測定し、大気汚染物質別、車種別、走行モード別、平均走行速度別などにデータを整理し、最新の車種の排出実態を把握した。


自然環境保全措置の効果検証調査

研究期間:平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之、川上篤史

 道路事業では、自然環境との共存を目指した道路整備手法の一つとして、沿道における生物の生息環境の保全に取り組んでいる。この際、道路事業が生物に及ぼす影響、道路空間の生物による利用状況を踏まえ、適切な保全対策、影響緩和対策を行う必要がある。
 本研究は、動植物の保全対策に関して先進的なオランダを対象に、文献から得られる動物の交通事故死(ロードキル)対策の研究事例と取り組みを整理し、我が国の事業に反映させることを目的とした。文献整理の結果、オランダでは道路による生息地分断の影響緩和対策が推進されており、その一例としてハリネズミのロードキルについての調査が実施され、影響緩和対策が策定の途上にあった。これによると、文献による現状の把握、現況確認のための生態調査、道路が個体群に及ぼす影響の検証を踏まえ、ロードキル発生場所(=影響緩和対策地点)を推定し、ロードキル防止対策の立案という手順で進められている。この調査手順・手法については、道路による分断の影響緩和手法として参考とすべき内容が多い。今後は、我が国における保全対象種の生態の解明、日本の細分化された土地利用の実状を踏まえた手法を検討していくことが課題である。


高度騒音対策に関する開発調査

研究期間:平10
担当者 :大西博文、上坂克巳、鉢嶺清範

 遮音壁の上部に取り付けてその表面の音圧反射率を−1に制御するアクティブ・ソフト・エッジ(以下「ASE」という)のプロトタイプを土木研究所の試験走路に設置し、その減音効果を通常の遮音壁と比較した。
 その結果、ASE遮音壁は通常遮音壁を最大で6dB程度上回る減音効果を有することが確認された。また、移動音源となる大型車の走行に対しても固定音源の場合と同等の効果が得られた。


環境アセスメント技術に関する検討(道路交通騒音の予測方法)

研究期間:平10
担当者 :大西博文

 平成10年9月に、LAeqを評価指標とする新たな「騒音に係る環境基準」が告示され、幹線交通を担う道路に近接する空間については、特例として「屋外へ透過する騒音に係る基準」が定められた。従って、幹線道路に面する建物の屋内騒音レベルを推定する必要が生じた。そこで、より一般的なものとして道路に対して建物が斜めに立地している場合の屋内透過騒音レベルの推定方法を検討し、模型実験によりその妥当性を検証した。また、建物の外観により防音性能を推定する手法を検討した。その結果、主に建物の構造、窓の種類とその大きさによって建物の防音性能を推定できることが分かった。


エコロード計画手法の検討

研究期間:平10
担当者 :大西博文、小根山 裕之

 道路整備に当たっては、地域の自然環境との調和を図りつつ実施することが必要となる。そのためには、道路整備の早期の計画段階から適切に自然環境を把握し、より影響の小さい路線の選定や、影響を回避・低減する保全措置を検討する必要がある。本調査は、自然環境に配慮した道路整備の計画・設計手法を検討したものである。ここでは、計画段階において検討すべき事項を、道路事業の各段階と関連付けを行いつつ整理した。また、設計手法については、保全対策手法をミティゲーションの概念により体系化するとともに、それらの設計手法を既存の知見に基づき整理した。