<建設マネジメント技術研究センター>

建設マネジメント技術研究室 平成10年度に実施した調査・試験・研究の成果の概要


民間の技術開発を活用する多様な発注契約方式の実施手法に関する研究

研究期間:平9〜平11
担当者 :高野匡裕、小澤一雅、加藤和彦

 公共工事の品質確保を目的として、9年度より民間の技術力を効果的に活用するための新たな入札・契約制度の導入が検討されており、技術提案総合評価方式、VE方式、DB方式等が試行されている。
 本研究では、技術提案総合評価方式の試行に向けて検討を行ったものである。技術提案総合評価方式とは、価格だけで落札者の決定を行うのではなく、価格と技術提案を総合的に評価し落札者を決定する方式である。本方式は、公共調達においては、コンピューターや試験用航空機の調達に採用された実績はあるが、公共工事での実績はないため、評価項目、個別項目の評価手法、総合評価手法の検討を行った。


公共事業の効率的な執行に関する研究

研究期間:平9〜平11
担当者 :高野匡裕、小澤一雅、安原 達

 10年度は、事業の効率の向上を図るための、重要な手法として、合意形成及びVEに関する研究を実施した。既存合意形成手法の研究では、直轄事業、地方自治体等の事業で利用されている合意形成手法をヒアリング調査し、そこで必要とされた労力や期間を検証し、合意形成過程における各手法が果たした役割や効果を把握した。
 また、公共事業の効率化の観点からVEの実施状況を調査し、設計VE、入札時VE、契約後VEそれぞれのコスト縮減効果や特質を把握した。


建設生産の効率化のための建設技術情報流通システムに関する研究

研究期間:平10〜平12
担当者 :木下賢司、奥谷 正

 公共事業の中・長期的な建設コスト縮減には、建設技術開発の一層の促進が不可欠である。適切な技術開発投資の可能な競争力を持った建設企業の増加が望まれるところである。
 本研究は、建設技術開発に関し、企業の投資を阻害する要因や課題を把握し、新技術開発の開発コストと回収に関する現状分析、縮減効果の大きい建設技術開発分野の開発目標の設定と事前評価手法等の検討を行う。民間企業の技術開発投資の判断に資する立場から、様々な技術情報(ニーズ情報、評価情報、事業ストック、マーケット情報等)を共有化あるいは流通させ、技術開発の促進と技術開発コストの低減を図る新技術情報流通システムの提案を目指すものである。
 10年度は、建設技術開発の阻害要因や課題の把握を行い、建設技術開発の投資とコストについて基礎調査を実施した。また、建設技術及び建設技術情報の体系化を試みた。


公共工事の品質管理における役割分担に関する調査研究

研究期間:平9〜平12
担当者 :高野匡裕、小澤一雅

 近年、建設技術開発の成果として多くの新技術や新工法が提案されてきており、公共工事においても新たな発注方式としてVE方式やDB方式などの試行が行われ、新技術の導入や技術の選択の自由度の向上が図られている。
 しかし、新技術の導入にあたっては、過去の実績の蓄積による性能の担保がないため、採用リスクが伴う。また、DB方式等の実施にあたっては、これまでと異なる役割分担、責任分担が発生することとなる。
 本研究では、これら新たに発生するリスクに対する担保手段を確保するにあたり、米国等における保険制度の実態について調査を行ったものである。


公共工事の性能発注に関する調査研究

研究期間:平9〜平12
担当者 :高野匡裕、小澤一雅

 近年、WTOなどの世界的な潮流として、また、設計・施工の自由度の向上や技術開発の促進を目的として土木構造物における技術基準類の性能規定化が検討されてきている。
 本研究は、これら技術基準類の性能規定化及び新技術採用の自由度向上をはかった際に発生する課題(リスク分担の問題等)を明らかにすることを目的として、橋梁をモデルとしたケーススタディを実施しするものである。


建設事業の外部コストの内部化に関する調査

研究期間:平10〜平14
担当者 :木下賢司、奥谷 正

 公共工事の建設コスト縮減は、政府全体で取り組むべき重要な課題である。その一方で、地球環境や生活環境への建設活動の影響がますます重視される傾向にある。
 このため、構造物の計画、設計、施工、維持管理、更新取り壊し、再利用に至る、建設事業のライフサイクルを通じて、建設コスト(内部コスト)及び、環境に与える影響などの外部コストの両方を含む社会コストとしての建設事業コストの低減を図る必要がある。
 本研究は外部コストを可能な限り定量的に評価する手法を開発するとともに、建設事業コストを低減するためのリサイクル、ゼロエミッション化、構造物の長寿命化等の環境負荷軽減や建設コスト低減に資する技術の開発、さらには建設事業コストを低減するための建設事業マネジメント手法確立を目的とする。
 10年度は外部コストに関連した課題抽出、外部コスト項目の整理と重要度の検討、外部コストが内部化する仮説の設定及び内部化事例の調査を行った。


公共事業におけるリスクマネジメント技術に関する研究

研究期間:平11
担当者 :高野匡裕、小沢一雅

 公共事業を効果的・効率的に実施するために、その執行過程においてコスト・工期等に影響を及ぼす不確定要因を把握し、その管理・処理のためのマネジメント技術の向上が必要となっている。このような観点から、不確定要因と事業に及ぼす影響の発生状況の計測・評価、さらにそれらリスクに適切に対処するためのマネジメント技術のあり方に関する研究を実施した。具体的には道路事業、河川事業、ダム事業における事業計画や設計の変更事例をアンケート調査し、変更要因・影響度、事業プロセスとの関係等に着目し分析を行った。


道路事業プロセスにおける建設コスト縮減方策の調査

研究期間:平9〜平10
担当者 :木下賢司、奥谷 正

 公共工事のコスト縮減は政府全体で取組むべき重要課題であり、その推進に際しては、定期的な評価と、結果をわかりやすく国民に提示していくことが求められる。
 本研究は、コストウエイトの大きな工種の抽出、様々なコスト縮減施策の事業プロセス全体からみた事後評価、計画段階の概算費用算出に適用可能な簡便なコスト構造モデルの開発を目指す。
 10年度は、9年度に検討した道路事業モデルについて、工事積算書を分析し、土木工事積算システムの工事工種体系のレベル2(工種区分)相当毎にコスト要素を簡素化するとともに、モデル実用化の課題、計画段階における事業プロセス全体のコストの推計への適用拡大の可能性について検討した。
 本研究で、積算モデルを用いて事業全体のコストを簡便に表現するモデル構築の可能性が確認できた。


河川事業プロセスにおける建設コスト縮減方策の調査

研究期間:平9〜平10
担当者 :木下賢司、奥谷 正

 公共工事のコスト縮減は政府全体で取組むべき重要課題であり、その推進に際しては、定期的な評価と、結果をわかりやすく国民に提示していくことが求められる。
 本研究は、コストウエイトの大きな工種の抽出、様々なコスト縮減施策の事業プロセス全体からみた事後評価、計画段階の概算費用算出に適用可能な簡便なコスト構造モデルの開発を目指す。
 10年度は、9年度に検討した河川事業モデルについて、工事積算書を分析し、土木工事積算システムの工事工種体系のレベル2(工種区分)相当毎にコスト要素を簡素化するとともに、モデル実用化のための課題、計画段階における事業プロセスコストの推計への適用拡大の可能性について検討した。
 本研究での検討結果、プロジェクトの開始や終了等の定義が難しいなど河川事業の特性に基づく困難性を除けば、積算モデルを用いて事業全体のコストを簡便に表現するモデル構築の可能性が確認できた。


ダム事業プロセスにおける建設コスト縮減方策の調査

研究期間:平9〜平10
担当者 :木下賢司、奥谷 正

 9年4月に「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」が全閣僚を構成員とする公共工事のコスト縮減対策閣僚会議において策定されるなど、建設コストの縮減は政府全体で取り組むべき重要課題となっている。コスト縮減施策の推進に際しては、定期的に評価し、成果をわかりやすく国民に提示していく必要がある。
 本研究はコスト縮減施策について、効率的な評価、事業プロセス全体に及ぼす効果の分析あるいは代替案の評価に資する、分析モデルを開発することの可能性を検討することを目的としている。
 10年度は、ダム事業のプロセスコスト要素を分析・抽出し、土木工事積算の工事工種体系のレベル0事業区分相当によってコスト縮減評価モデル作成の可能性の検討をするとともに、計画段階における事業プロセスコストの推計への適用拡大の可能性について検討した。
 本研究の結果、ダム事業についても、工事工種体系整備がなされることにより、コスト構造モデルの作成が可能であることわかった。


河川事業の効率化に関する調査

研究期間:平10
担当者 :高野匡裕、小澤一雅、安原 達

 河川事業において、建設コストの縮減など、効率的な執行に対する社会的要請は大きい。本調査はこのような背景を基に、河川事業における業務を対象として、その改善方策の抽出と改善方策の具体化により、河川事業の円滑化や事業コストの低減などの効率化に寄与しようとするものである。
 10年度は、直轄工事事務所内の業務の実態をアンケートやヒアリングにより調査した。また、海外や他産業の手法などの調査も行いながら、直轄事業の業務改善のための方策について検討を行い、一部具体化を進めた。


新たな入札契約方式に関する調査 新たな契約方式に係わる調査

研究期間:平10
担当者 :高野匡裕、加藤和彦

 9年度より、多様な入札・契約制度の導入が図られており、その施策の一つとしてVE方式が導入されている。VE方式は、目的物の機能を低下させずにコストを低減する、又は同等のコストで機能を向上させる技術と位置づけられているが、現状の運用では、主にコスト低減を目的として試行が行われている。建設省のVE方式は、プロジェクトの段階に応じて、設計VE、入札時VE、契約後VEの3種類がある。一般的にプロジェクトの上流段階程VEの効果が高いと言われているが、本研究では、プロジェクトの最も上流段階である設計VE方式について、具体の実施事例を対象として、今後の水平展開を踏まえて情報の蓄積を図るとともに、現状での効果及び課題を抽出し、次年度以降の試行にフィードバックすることを目的として研究を行った。