平成23年度 第7回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第一部会)

議 事 録


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平成23年度 第7回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)

平成23年12月13日

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、平成23年度 第7回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)を始めたいと思います。
 開会に当たりまして、国総研所長の○○よりご挨拶させていただきます。

【所 長】 おはようございます。一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、師走の大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本年3月の東日本大震災から9カ月経過いたしましたが、我々の職員は、当初は現地に飛んでいって調査の仕事が主でございました。それから政府関係の各委員会等でその後の復旧あるいは復興の準備のための様々な会議への情報提供あるいは検討事項がたくさんありまして、忙しく働いておりました。ようやく少し腰を据えた研究に仕事が移りつつあるかなと思っております。その間、かなりハードな仕事の仕方をしておりましたが、かなり本省と一体となって仕事を進めてきたということで、こんなことを言うのもおかしいのですが、国総研の存在が国土交通本省の上層部にもかなり浸透してきたようでございまして、仕事をする方もそれでモチベーションが高くなっているという副産物もあったように思っております。
 本日は、今説明がありましたように、昨年度までに終わりました研究の事後評価と新規の課題の事前評価をしていただくわけですが、昨年から、7月の予算要求の前に行う評価と同時にしていただいたのを切り分けて、忙しい時期ではあるのですが、この時期にしていただいたおかげで、内部評価の様子を見ておりますと、研究が終わってからの準備期間、あるいは外に発表して、そのやりとりの結果なんかも少しずつ活かされているようで、今のところはいい方向かなと思っているのですが、今日はまた忌憚のないご意見をいただければと思っております。
 今日は長時間になりますが、宜しくご審議のほどお願い申し上げます。
 簡単ですが、ご挨拶とさせていただきます。

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【事務局】 続きまして、開会にあたりまして○○主査からご挨拶をお願いいたしたいと思います。

【主 査】 おはようございます。
 今日は第7回ということで、22年度の研究終了課題の事後評価と新規プロジェクトの事前評価、更に今年度スタートされた研究プロジェクトのご報告ということで、盛りだくさんでございます。各委員の方々については、それぞれの分野のご専門の知識でご意見やご助言をいただいて、最終的な評価と、更にそれをベースにしてどう展開していくのかというような議論をさせていただきたいと思います。宜しくご審議のほどをお願い申し上げます。

【事務局】 ありがとうございました。
 それでは、以降の進行につきましては○○主査にお願いしたいと思います。○○主査、宜しくお願いいたします。

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【主 査】 それでは、お手元の議事次第に沿って進めさせていただきたいと存じます。
 「本日の評価方法について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、お手元の資料の資料2をご覧いただきたいと思います。
 まず本日の評価対象でございますが、国総研では、重点的に推進する研究課題といたしまして、国総研が自ら課題を設定し研究予算を確保して実施する事項立て研究課題、それから、研究開発目標を共有している研究を束ねて実施しておりますプロジェクト研究課題がございます。これらのうち、平成22年度で終了いたしました事項立て研究課題、プロジェクト研究課題についての事後評価、それから、新たに実施するプロジェクト研究課題についての事前評価を行っていただくものでございます。
 評価の視点と項目につきましては、3番でございますが、必要性、効率性、有効性の観点から、目標設定の妥当性とか研究成果の活用方針の妥当性、それから実施方法や体制の妥当性等々につきましてご評価をいただければと存じます。
 また、本日の評価の進め方でございます。当第一部会が担当となっております研究課題ごとに評価を行っていただきたいと思います。まず研究課題につきまして事務局からご説明させていただきます。研究評価課題に参加されている委員がいらっしゃる場合につきましては評価に参加できないとさせていただいておりますので、対象の委員につきましては研究課題に参加いただかないとしておりますが、本日、事前に事務局の方で調べたところでは、これら利害関係者に当たる委員はいらっしゃいませんでした。それから研究内容、必要性等の説明をさせていただきます。その後、研究課題につきまして、まず他部会から、もしくは欠席の委員から事前に伺っている意見がある場合はご紹介させていただきますが、本日の課題につきましては特段のご意見はいただいておりません。それから、本日ご出席いただいております主査、各委員からこの研究課題につきましてご議論をいただくということでございます。ご意見につきましては、その都度、お手元の評価シートにご記入いただければと考えております。審議内容、これが評価シート、それから、本日はございませんが、事前意見をもとに、主査の方で最後に総括を行っていただきます。
 時間配分につきましては、お手元の資料の3枚目でございますが、事後評価につきましては、説明が15分、質疑応答と評価を含めて25分ということで、1件当たり40分を予定しております。それから、事前評価につきましては、説明時間10分、質疑応答、評価の時間が15分ということで、1件当たり25分を予定しております。また、7月に評価をいただいたものの報告でございますが、こちらは説明5分、質疑応答5分ということで、10分ということで予定しておりますので、宜しくお願いいたします。
 1枚目に戻っていただきまして、1枚目の裏側でございますが、評価結果の取りまとめについてでございます。審議内容、評価シートをもとに、後日、主査名で最終的な研究課題の評価結果として取りまとめて、公表させていただく予定でございます。なお、評価結果につきましては、親委員会でございます研究評価委員会にご報告させていただきます。
 評価結果の公表についてですが、評価結果は議事録とともに公表させていただきたいと考えております。なお、議事録につきましては、発言者名については個人名を記載せずに、「主査」、「委員」、「事務局」等として表記するものとさせていただきたいと思います。
 それから、事前の調査では該当者はいらっしゃいませんでしたが、先ほどご説明しました、研究課題に評価に関わる方が関与しているかどうかということについて、国の評価に関する大綱的指針という中で、評価の公正さを確保するということから、利害関係者は評価に加わらないとさせていただいておりまして、例えば共同研究の関係者とか委託関係の受託をされている場合とか、こういった場合につきましては評価に加わらないとさせていただいておりますので、仮に該当される場合であれば、その都度申告していただければと思います。
 説明につきましては以上でございます。

【主 査】 それでは、只今のご説明についてご質問がありますでしょうか。―よろしいですか。

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【主 査】 それでは、次の議事に進みたいと思います。「平成22年度終了研究課題の事後評価」ということで、それぞれ4件ございますが、最初にご説明をいただいて、その後、質疑をするということになろうかと思います。

【事務局】 この研究課題につきましては、平成20年度から22年度までの3カ年で実施した研究でございます。この研究につきましては、プロジェクト研究であると同時に事項立て研究課題として実施されたものでございます。

【主 査】 それでは、前のスクリーンに出ておりますが、「日本近海における海洋環境の保全に関する研究」ということで、ご説明をお願い申し上げます。

【国総研】 下水道研究官の○○でございます。事後評価の対象でございます「日本近海における海洋環境の保全に関する研究」について説明させていただきます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ まず研究の背景でございますが、中国や韓国の人口増加、産業発展により、日本近海、特に日本海で赤潮発生や漂着ごみが見られるなど、環境の悪化が懸念されたこと、また各国が連携した研究体制が未整備であったことが背景にございます。同時に、平成19年におきましては海洋基本法の成立がございまして、海洋環境の管理が急務となっていたということもございます。
 こちらに示しておりますのは、クロロフィルaのリモートセンシングを図に示したものでございますが、沿岸海域の汚れが日本海まで及んでいることを懸念させるような図になっているということでございます。

・ 研究の目的でございますが、現況と将来における日中韓露を対象といたしまして、陸域からの汚濁負荷排出量及び海洋汚染状況を管理するために、日本近海におけるシミュレーション手法を提示いたしました。また、関係国間で問題を共有するために、日本近海における海洋保全対策を促進する研究のための連携体制を構築いたしました。
 対象とした海域は東シナ海、渤海、黄海、日本海ということで、先ほどもご説明しましたように、中国、韓国、ロシアと日本を対象として、汚濁負荷、水質のシミュレーションを実施いたしました。

・ 上が予測手法の構築ということで、今ご説明しましたが、各国の連携した研究体制を構築するために、国際会議を毎年1回開催しております。

・ 先ほどもご説明しましたが、調査範囲としては、こちらに示しました東シナ海、黄海、渤海、日本海へ流出する区域を調査対象といたしまして、こちらからの汚濁負荷の流出を削減することが日本沿海の環境改善・保全に大きく寄与するということで、調査対象を選んだものでございます。

・ まず初年度でございますが、陸域からの汚濁負荷流出量・海洋環境に関する情報収集といたしまして、陸域からは下水道整備状況、水資源量、汚濁解析手法、水質環境保全施策などの資料を、併せて、左の図に示しましたような土地利用データ、人口データ、工業生産額、生活系・自然系などの汚濁負荷量の原単位となるようなものを収集いたしました。
 海洋環境に関する情報といたしましては、日本近海における水質モデルの事例、海域における海流シミュレーションの事例、また各種のモニタリングなどのデータを集めました。右に示しておりますのは水温データの事例でございますが、今回は、海洋のシミュレーションにつきましては、対象とする区域全体を対象としたものは見られないことから、本研究の成果の1つとしてそれに取り組むこととしたものでございます。

・ 陸域からの汚濁負荷削減対策でございますが、左の図に示しておりますように、対象といたしましたのは、人為系負荷のうち、生活排水、工場排水、家畜排水、そのほか面源系の負荷も対象としております。
 汚濁負荷の削減対策としては、右の括弧に囲んでおりますが、下水道整備の向上、併せて高度処理の実施、また下水道区域外では合併処理浄化槽の整備、また下水道への接続、あと排水基準につきましては、現在の排水基準を守るという形でのシミュレーションを出しております。

・ 汚濁負荷量の算定モデルでございますが、これは、先ほど収集した情報を用いまして、日中韓露における陸域からの汚濁負荷量のモデルにつきまして、MicrosoftのExcel上で動くモデルを構築いたしました。
 次の図に示しておりますように、大きな河川につきましては県・市のブロックごとに分けるとともに、主な直接海域に面した都市につきましては直接海域での放流を考慮しております。生活排水は、下水道などの施策による削減率を考慮する。畜産系は自家処理を考慮した排出率を用いました。また、面源につきましては面積と原単位を掛け合わせております。これらのデータをブロックごとに、各国の文献値などを活用して、汚濁負荷の削減量を求めたものでございます。

・ これが汚濁負荷の負荷量を算出した結果でございます。対象とした海域ごとに示しておりますが、渤海、黄海、東シナ海につきましては、緑で示しました中国沿岸からの負荷が非常に大きな割合になっていることが分かりました。
 その内容を右の図に示しておりますが、茶色で示しております生活系、またピンク色の工場系の負荷が大きく、こうしたものの対策である下水道整備、工場排水の規制が効果があると推定しております。

・ この陸域からの汚濁負荷モデルの妥当性を評価するために実測値と計算例を比較したものが、この図でございます。左側に中国、右側に韓国を示しておりますが、それぞれ0.8〜1.3台ということで、ほぼ推測が妥当であったと考えております。1つ、黄河におきまして、実際の実績負荷が0.3となっておりますが、これは、農業利用などによる河川水の減少の流失率の設定が現状と少し違っていたものかと思いまして、ここについてはやや検討を残した結果となっております。

・ 次に、下水道整備、生活系の排水対策の設定でございます。
 少し細かく書いておりますが、2005年を現況年といたしまして、2030年度をそれぞれ設定しております。2030年度につきましては、世界における統計値、また日本経済研究センターが予測している数値を用いております。それぞれ、シナリオ1は2030年も現状の下水道整備の水準のまま、シナリオ2が都市部のみ下水道整備が完備される、3が更に農村部まで含めて整備されるという想定をしております。また、それぞれシナリオ2’、3’については、下水道整備に併せて高度処理も実施されるという想定をしております。
 右下に示しておりますのは、それぞれ、現状での普及率と、シナリオ2、3は、下水道整備が完備した場合、また現状維持の場合の数値を示しているものでございます。

・ これが、今の下水道整備、また工場排水の現況の規制を維持した場合の計算結果でございます。
 左側の中国を見ていただきますと、CODの予測値を一例として示しておりますが、こちらに示しておりますように、シナリオ1では都市部で残っておりますが、シナリオ2ですと都市部の、シナリオ3ですと農村部の生活排水が大きく減少しております。工場系については減少していないように見えますが、これはフレーム値ではかなり伸びるものが、規制の維持により現況のままということになっております。いずれにしましても、シナリオ2、3ではCODについて汚濁負荷量が削減されるという計算結果になっております。
 右側は日本でございますが、下水道で対応する生活排水系部分は減少が認められますが、面源負荷のところが主な排出源として残っていくことになっております。ただ、左と右の表は縦軸の単位が10倍ぐらい違うということで、少し大きく示しているということでございます。

・ 次に、水質予測シミュレーション手法のご説明をいたします。
 先ほどの算出した陸域からの汚濁負荷量を用いて対象とする日本近海の海洋汚染の現況と将来予測を行うために、水質モデル、流動モデルを用いて計算いたしました。
 地図上の格子は40kmとして、右側のように海流を予測した結果を示しております。これは夏季の事例でございますが、こちらの黒潮が大きく占めておりまして、韓国の沿岸沿いに日本海に向かう沿岸流も再現できております。
 また、水質モデルの方は、左に示しました植物プランクトンの内部生産を考慮した低次生態系モデルを用いて水質を計算しています。

・ この図はシミュレーション結果の一例で、夏場におけるシナリオ1、シナリオ3’の結果をお示ししたものでございます。
 シナリオ1につきましては2030年におきましても現状の下水道の整備率のままということで、主に渤海の沿岸において、CODでございますが、水質の悪化が顕著に認められます。
 また、右の図はシナリオ3’ということで、COD除去に加えて高度処理も実施したケースでございますが、渤海の沿岸について、水質に大きな改善が見られる結果となりました。

・ もう一つ、実験結果としてお示ししておりますが、先ほどのシナリオ1の結果に加えまして、同じシナリオ1の冬季のデータを左側に示しております。こちらにつきましては、冬季では韓国の南岸流への緑色の部分の拡大が少なく、夏季には緑色の部分が日本海に向かって広がっているということで、夏季において、日本海への汚濁負荷の拡散という意味で懸念がされるのではないかということです。
 先ほどの日本海の資料の下水道の整備、工場排水の規制の維持では日本海での大きな差は見られませんでしたが、こういった沿岸流での懸念もあることから、引き続き水質の状況、また下水道整備の効果については注視を続ける必要があると考えております。

・ 最後でございますが、国際的な研究体制の構築ということで、現在の日本で負荷量と水質のモデル構築につきまして、こちらにお示ししました関係各国の先生からご助言をいただき、年に1回会議を開いております。それぞれシミュレーション方法についてご助言をいただき、成果については最終年度に報告して、概ね適切であるとの了解をいただいております。
 関係者といたしましては、黄河流域のCRESTの関係で代表された○○先生を初め、環境省が行っております国連のNOWPAPの検討グループのロシアの先生にも参加していただいております。また、韓国、中国からもそれぞれご専門の先生に参加していただいております。

・ これが最終年度に開きました会議の模様でございます。この会議では、参加者の方々から、先ほどもお話ししましたように、この研究成果がほぼ適切なものであるということについて了解をいただくとともに、今後ともこの研究のための体制を維持していく、モニタリング等の体制も維持していくということで、こういった合意書をいただいておりまして、今後3年間ではございますが、お互いに連携をとりながら、毎年関係した成果などを互いに共有するという形で、ホームページを持ちまして情報を共有していく体系を作ったところでございます。

・ 取りまとめでございます。
 ここに書いておりますように、まず汚濁負荷量のプログラムモデルを構築しました。
 また、海洋海流等を用いたシミュレーションにより水質予測も行いました。その結果は、先ほども説明しましたが、日本海への影響は直ちには顕著に見られませんでしたが、赤潮の発生しやすい夏季に韓国への沿岸流が見られるなど、こういった水質への注視が引き続き必要であるという結果にしております。
 また、各国が協力してデータ等の情報交換を行うことを確認したということでございます。

・ 達成でございますが、上半分のシミュレーションにつきましては、汚濁負荷の算出プログラムを作り、またシミュレーションのモデルを構築いたしました。
 各国との研究体制につきましては、情報交換をする形で合意文書をとって、引き続き関係を保つ形にしております。
 これらのことから、概ね目標を達成できたとの成果にしております。

・ 今後の展開につきましても、説明したとおりでございますが、課題といたしましては、下水道整備など、シナリオどおりに進むとは限らないということで、今のような体制を維持しながら、下水道の整備とともに水質データなどのモニタリングのデータを注視していくことがあるということ、また、今回はCOD、窒素、リンを対象にしておりましたが、プランクトンも含めた生態的な要素も勘案する必要があるということで考えております。
 以上で説明を終わらせていただきます。

【主 査】 ご説明をありがとうございました。
 それでは、皆様、この研究課題に関してご質問あるいは評価のご意見をいただければと思います。どなたからでも結構ですので、お願い申し上げたいと思います。

【委 員】 ご説明をありがとうございました。
 少し分からないところがありまして、12ページのシナリオを考慮した汚濁負荷流出量ですが、シナリオ2以降、下水道の整備ということで、11ページの表の中に工場排水の規制も併せて実施するという形になっているのですが、この中国のグラフを見ますと、シナリオ1の段階では現状なので、2005年に比べて増えています。シナリオ2になると、生活系都市部の排水は、下水道整備を行うことでほぼCODがゼロになっていますが、工業系の負荷流出量がほとんど変わっていないように見受けられるのですが、これは、更に工業化が進むことを考慮されて、整備をしてもそれとほぼ同等の負荷が増えているという解釈でよろしいのでしょうか。

【国総研】 委員がご指摘のとおりでございまして、こちらに示していますように、工場系の負荷は一見減っていないように見えますが、2030年までの工業の伸びを先ほどご説明しました統計値のフレームを使って設定しておりまして、その増分について同じように現状の排水規制がかかるということで、増えていないという状況にしております。今後はそういった規制がきちんと適用されていくという仮定でございます。規制を強化するということまでは設定しておりませんで、こういった原単位等について現状の規制を考慮したため、こういった形の成果になっております。

【委 員】 工業の伸び分を考慮して、現状の規制をかけていったという理解でよろしいですか。

【国総研】 はい。ご指摘のとおりでございます。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 ちょうどこの図が出ているのでお伺いしたいのですが、GDPを使った予測というのがよくわからなくて、2005年に対して2030年ですね。特に中国ですが、2005年比で2030年のGDPがどのぐらいになっているのか。それを使って、現状に対してシナリオ1というのはそんなに伸びていませんね。GDP自体は2030年になるとかなり大きく伸びるはずですが、その弾力性といいますか、そこのメカニズムがもしお分かりになりましたら、簡単に教えていただけますか。

【国総研】 説明いたします。
 中国の場合、既存の統計資料等を確認しまして、今後の予測値として大体4〜6%ぐらい年間のGDPが増加するという予測がありまして、それを工業排水量に反映させて計算したというのが実態でございます。

【委 員】 でも、シナリオ1というのは現況のレベルということですよね。それでこれしか伸びないのですか。

【国総研】 今回試算させていただいた結果では、そういう形の試算で行っております。

【委 員】 少し違和感を覚えますが、いいです。以上です。

【国総研】 現状としては、中国の下水道整備は63%、都市部だけでございますが、そういったものがシナリオ1の前提になっております。

【主 査】 きっとご質問としては、今63%の状態で、同じ状態が続くと仮定しても、GDPが毎年4%増えるならば、それなりのパーセンテージが増えて、負荷量が増大することになりますね。それに対して、更に厳しい排水規制をしているということであれば伸びが下がったり、あるいは下水道の整備が更に上がるということになれば下がるのはわかります。しかし、この図で見ている現況とシナリオ1の伸び率が、想定されているGDPの伸びに対して、30年とすると、かなり負荷量が低めに計算されているのではなかろうかというご指摘だと思います。改めて確認をいただくことが重要かなと。私も少し伸びが少ないかなと思いましたので。

【国総研】 どうもご指摘ありがとうございました。そういう目で再度データを確認したいと思います。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 私から確認をさせていただきたいのですが、今回新規に、いわゆる国際的な枠組みの中で同じ土俵の上で汚濁負荷量を評価し、日本近海を見るという大きな一歩が進んだと思うのです。シミュレーションもできたし、汚濁負荷の計算方法みたいなものも具体的な事例が出てきたというのは大きな一歩だと思うのですが、実際上それが、特に汚濁負荷の多い中国なり、あるいは韓国も多いのかも分かりませんが、それに対してある程度、学術的なレベルではなくて行政サイドにまで伝わるようにする必要があります。この3年間の基礎をてこにして、次の3年とか、あるいはもう次の3年なのかも分かりませんが、今回の成果自身ではなくて次が重要かと私は思うのです。その意味においては、後半の方でパートナーシップができて、3年間、2014年まで合意ができたということですが、この枠組み自身はあくまでもこの出席者の中での枠組みなのでしょうか。金甲守さんはソウル市の方なので比較的行政に近い方ですが、国の方ではないとか、あるいは中国の方は大学の先生お二方です。そういう意味においては、ロシアは科学院なので国のある研究機関のその分野の代表なのかも分かりません。このパートナーシップで果たして具体的な対策が進むのか、汚濁負荷削減への共通認識の方向性が維持できるのかなと若干気になるのですが、そこら辺は次の3年間の間に何か工夫されることはあるのでしょうか。

【国総研】 今年の現状でございますが、現在は英語のホームページとかで研究の成果を公表したところでございます。
 ご指摘のように、この合意文書につきましては、ご参加いただいた先生たちの間で取り結んだものでございますが、今後、この成果につきまして、ホームページだけでなく、国際的な発表の場を活用するなどして広めていきたいと考えております。また、我々のできることとして、少なくとも日本の海洋環境に関係する国の組織には既に成果について説明したところでございまして、今後、日本国内は我々でできますが、海外につきましては国際的な発表の場などを活用してこの成果をPRしていきたいと思います。
 また、成果につきましても、汚濁負荷のシミュレーションのモデルは、Excelで作りました、自分たちでも活用できるものになっておりますので、それについては今後ホームページで公開して、いろいろなシナリオを更に検討できるような形での公表ということも予定しております。

【主 査】 そういった国際会議等で成果を発表いただくことによってより多くの方に知っていただくことが非常にいいかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 ほかにご意見、ご質問はございますでしょうか。
 私からもう一つお聞きしたいのですが、今回の海洋のシミュレーション自身は新規につくられたわけではなく、既に国総研なり別の機関で海流も含めたシミュレーションモデルが存在して、それを使われているのでしょうか。特にこういったモデルについて専門ではないですが、境界条件をどう与えるかによって幾らでも計算結果は変わると言われています。ある程度信頼性の高いモデルを使われて、逆に言うと、うまくそれなりの結果が出てきたというように理解すればよろしいのでしょうか。

【国総研】 ご指摘のとおりでございまして、陸域の負荷については独自に、各国が様々なレベルでございますので、同じレベルで構築するものでございますが、水質予測シミュレーションにつきましては、既存のシステムのものを日本海沿海全体に展開して利用したものでございます。

【主 査】 それは国総研がお持ちだったものですか。それとも、例えば原研も放射性物質の拡散について、日本海でのシミュレーションを行っていたりしますのでそのモデルでしょうか。あるいは港湾研がお持ちのものなのか。今は国総研で一緒なのでしょうが、どのシミュレーションモデルをお使いになられたのでしょうか。

【国総研】 海流のシミュレーションにつきましては、既に公開されているものを、ホームページからダウンロードするなり、そういう形で活用して、今回のこの研究の中で組み立ててシミュレーションをやったということでございます。

【主 査】 分かりました。

【委 員】 似たようなことで質問させていただきます。
 まず、今のシミュレーションで、実際にこのぐらいの大領域になってくると非常に難しい部分が多々出てくるだろうと思うのですが、13ページに書いてあるような結果、あるいは流動の結果とかCOD等々、水温もありましたか、再現性について何か確認をされるような試みはあったのでしょうか。

【国総研】 流動につきましては特に確認はしていないのですが、水温につきましては再現性の確認をして、大体再現できたということでございます。ここには載せておりません。

【委 員】 分かりました。実際問題、これを再現するのは非常に難しいというか、特に東シナ海辺りのデータというのはそう得られないかと思いますので。もちろん、だからといってこの結果が不十分とかおかしいということは全然ないのですが、国際的にこういう大領域の海域をシミュレーションしていくときにはまだ限界もあろうかと。そういうところを整備した上で、しかし成果として出たというようなご説明が良いのかなと思います。
 もう一つ、11ページのシナリオに関してですが、基本的にこれは、それぞれ各国が下水道等排水処理施設を普及させるというそれなりの考え方、方針等を持っているかと思うのですが、そこら辺との兼ね合いというのはいかがでしょうか。

【国総研】 ご指摘は、下水道の整備の進捗に関するものということですか。

【委 員】 それぞれ各国が独自にシナリオのようなものを持っていると思うのですが、それはどうなのでしょうか。

【国総研】 特に負荷量の多い中国につきましては、現在既にこの63%という普及率も大きく伸びておりまして、2015年には都市部で85%にする計画もあると聞いております。処理場数も既に日本の2,000カ所を超えて3,000カ所にまでなっているということで、高度処理はまだですが、下水道整備は2015年までの計画にはかなり伸びが位置づけられています。情報交換を通じてそういった整備状況をきちんと把握していきたいと考えております。

【委 員】 この研究成果というのは、そういう各国独自の計画的なものに、日本近海―東シナ海でもよろしいのですが―の環境を考えたときにどうすべきかという提言をしていくというのは非常に大事だと思うのです。ですから、ここで書かれているシナリオと各国のシナリオがどのようにキャッチボールできるかという意味でも、国際的な議論なりコミュニケーションなりが非常に重要だと思っていまして、多分そういう議論がなされたのではないかと思うのですが、是非これからも継続してやっていただきたいと思います。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 門外漢なので的が外れている質問かも分かりませんが、2030年を予測ということでシナリオを設定されていますが、2005年から2030年までの間に、汚濁を起こした物質等は自然に浄化されているのでしょうか、つまり、汚濁物質の蓄積とかは実際には起きないのでしょうか。

【国総研】 13ページの今回の海洋のシミュレーションモデルで、左側にありますが、水質モデルを活用しておりまして、この中で、植物プランクトンが増殖したり、窒素とかリンが沈降したり浮上したり、そういう物質の蓄積的なものは途中を反映するような形で考えております。つまり、シミュレーション自体、今回は2005年から2030年という形で一足飛びに結果を示しているところですが、この水質モデルの中で、そういう物質の蓄積とかについては反映させる形でやっております。今回はCODと窒素とリンを対象としています。

【委 員】 確認ですが、2005年から2006年、2007年、2008年と順次計算していく過程で、過去のデータにその年のデータを加えていって2030年のデータが得られているということでよろしいのでしょうか。それを計算するために左側のモデルを使われたということなのか、それとも、いきなり2030年に100%下水道の普及があってシミュレーションされたということなのでしょうか。

【国総研】 基本的には時間を考慮して、途中の蓄積も考慮して行っております。

【主 査】 今の質問に関連して、シナリオ1というのは整備率が一定ですから、そのまま行きますよね。シナリオの2とか3というのはいずれ100%に行く。それは2030年に100%になるように順次変えていっているものなのですか。2005年を現況として、急に100%に行っているわけではなくて、徐々に。

【国総研】 途中の年度に徐々に上げていくような形です。

【主 査】 それで2030年に100%に到達するように整備をしているということですから、毎年負荷量も増えるが削減量も増えていくというようなシナリオでずっと計算していって、出てきたもの自身は底泥等にたまっていて、それが出てくるというのはモデル上で連続計算されていると私は理解しましたが、それでよろしいですか。

【国総研】 はい、そのとおりでございます。

【主 査】 そろそろ時間も参りましたが、追加でご意見があるようでしたらお願いしたいと思います。もしなければ、お手元の評価シートにコメント等を記入していただくことになります。よろしいでしょうか。
 皆さんが記入されている時間を利用して、追加質問です。国際会議という会合の中で、具体的に代表者間で、日本近海で水質悪化があってというような議論があると、こういった対策をすることに対して非常にインセンティブが働くのですが、モデルを作って水質予測するのではなくて、実際に今それぞれの近海でどんな問題があるかという意見交換等は会議ではなされたのでしょうか。

【国総研】 これまで年に1回、3回開いたのですが、それぞれ現況についてもご説明はいただいておりますし、今年になって既に中国の先生からは最新のデータも、メールではございますが、いただいている状況でございます。

【主 査】 当初の本研究課題の背景説明としては、近海ではエチゼンクラゲとか有害赤潮みたいなキーワードでまず出ていました。そのような課題が関連の近隣諸国でも同じように認識されることによって、それぞれの流域からの汚濁流出量の削減に対する非常に重要なインセンティブになると思います。こういったモデルとか解析ツールがホームページに載るということと同時に、この近海でどのようなことが起きているのかという情報が載っていくと非常に魅力的かなと思いますので、是非継続的にお願いできればと思います。

(事後評価シート回収)

【主 査】 評価シートの取りまとめができました。前のスライドにも表示されておりますが、評価結果は「適切であった」が2件、「概ね適切であった」が4件ということで、評価結果としては「概ね適切であった」と判断させていただきたいと思います。今日説明された資料にも「概ね適切であった」という自己評価があったかと思います。
 2番目の目標の達成度についても、「十分に目標を達成できた」が1件、「概ね目標を達成できた」が5件ですので、「概ね目標を達成できた」。これも自己評価においてそのように表記されていました。
 評価はこのようにさせていただきたいと思います。
 既に委員の方々からご発言があったと思いますが、一部データについて精査する必要がある点があれば精査していただいて、ホームページ上に載せていただいて、公開いただく。更に、国際会議等で、今回の会議参加メンバーだけではなくて、より広く公表されていく計画にあるとお聞きしましたので、それは継続的に、少なくとも3年間は合意がとられていますので、そのルートを使いながら幅広く展開していただきたいと思います。私自身は、大きな排出国としての中国が認識されていたと思いますので、それをもとに、どう具体的に話を前に進めていくかが大事です。大学の方々だけではなくて、ある程度行政に近い方々と交流を持つような努力が次の段階としては望ましいのかなと。そうすると、先ほど具体的な中国の対策シナリオについて意見がありましたが、今回は非常に大きな一歩として仮計算をされましたが、様々な具体的なシナリオで計算することで、向こうにとってもメリットがあるような解析結果が出るという方向に持っていくと、日本の近隣諸国の中での近海の汚濁解析あるいは汚濁負荷削減による健全な環境を保全するというリーダーシップをとる大きなチャンスだと思います。是非このプロジェクトを更に推進していただければいいかなと思っております。大体そういう意見が多かったと思いますので、そのようにまとめさせていただきます。
 もし追加で委員の方々からご意見がありましたら、お願いしたいと思います。―大体よろしいでしょうか。
 それでは、只今私の方でまとめさせていただいた形で評価を終了させていただきたいと思います。

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〈事後評価〉(2)-2
ITを活用した動線データの取得と電子的動線データの活用に関する研究

【主 査】 それでは、2番目の内容に進みたいと思います。「ITを活用した動線データの取得と電子的動線データの活用に関する研究」、平成20年から22年ということで、ご説明をお願いいたします。

【事務局】 この課題でございますが、20年から22年の3カ年で実施された研究課題でございます。研究としては事項立て研究課題で実施された研究でございます。

【国総研】 それでは、ご説明させていただきます。
 今ありましたように、これは事項立て研究でございまして、研究期間は平成20年から22年度までの3カ年、研究費は約3,100万でございます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ まず研究の背景でございますが、パーソントリップ等の人の動き、あるいは交通センサスに関する統計調査は、ここに書いてありますとおり、交通計画や災害関係等の検討で非常に重要な役割を担っておりますが、非常に費用がかかる、それと平日の1日だけでやっているということで、技術革新が目覚ましいITの利用によるデータ利用までの時間短縮や調査コストの縮減が期待されておりました。
 それと、平成19年8月に「地理空間情報活用推進基本法」が施行されまして、測位や地理空間情報の統計的な法制化が国家レベルで推進されておりました。
 それと、今回使います鉄道・バス交通系ICカードとかプローブカー、携帯電話等、多様な電子化された移動履歴―これらを「動線データ」と我々は言っておりますが―の取得技術が普及しつつありまして、活用方法が注目されておりました。
 そこで、電子化された動線データの取得方法やデータ項目を調査いたしまして、交通計画への活用可能性を明らかにすることがこの調査の目的でございます。

・ 研究の実施体制でございますが、右側にシーズ・ニーズの視点と書いておりますが、動線データを収集している事業者―対象者としては民間プローブの事業者、交通系ICカードを扱う事業者、携帯電話事業者、アプリ事業者等―にまずアンケート調査を実施いたしまして、データの提供を国総研が受けました。それに関していろいろ調査いたしまして、データの利用方法の提案をいたしました。特にバス事業者に対して行いました。
 2年目からでございますが、ニーズの視点から、地方整備局あるいは地方公共団体に関しまして、用途としては道路整備の効果計測とか交通戦略・計画の策定等のニーズがございましたので、ケーススタディのフィールドを提供していただきまして、大体3カ月に1回ぐらい意見交換会を設置しまして、調査を行いました。

・ 次に成果目標と活用方針でございますが、成果目標は大きく分けまして、「動線データ取得方法の調査」と、「交通計画等への動線データの活用可能性の検討」を行いました。
 「動線データ取得方法の調査」でございますが、交通系ICカードあるいは民間プローブカー等の取得できる動線データの基礎調査、これは先ほど申しましたように8社にアンケート調査を行いました。次にバスICカード、民間プローブカーの動線データの詳細調査、これはPASMOと民間プローブカーのデータ1社を詳細調査いたしました。それをもとにしまして、先ほど申しました既存のセンサスとかパーソントリップ調査の補完可能性や動線データの活用方法の検討を行いました。
 「交通計画等への動線データの活用可能性の検討」に関しましては、地方公共団体とか地方自治体と協議いたしまして、道路整備の効果計測方法とバス停改善計画の作成支援策を行いました。これらは、交通・都市計画あるいは防災計画などを検討する際の基礎資料として使われております。

・ まず、平成20年に各動線データの基礎調査を行いました、その結果でございます。アンケート調査は8団体でございます。ETC、交通系ICカード、携帯電話、携帯電話アプリ、プローブカー等に関しまして、それぞれ、例えばETCなら、発着地ゾーン、発着時刻、交通系ICカードなら、発着地ゾーン、発着時刻等をアンケートにより調査いたしました。

・ その中でバスICカードがかなり使えるということが分かってきましたので、これについて細かく調査いたしております。
 バスICカードの特徴は、固有IDを用いまして乗降時にデータを取得しております。これは同一利用者が特定可能でございまして、観光地等の滞在時間とかバス利用状況のモニタリングの把握が可能でございます。それと、系統経路情報やバス運行情報がデジタル道路地図と対応づけられますので、走行台数や曜日別・時間帯別の運行台数の把握が可能でございます。これが特徴でございます。
 ただ、これも生データをいただいているわけではございませんので、個人属性、特に性別・年齢等が分かりません。それと、乗ったときと降りたときに、区間制のところはいいのですが、均一運賃制のバス路線では乗車時のデータのみが取得できるということでございます。あと、非ICカードの利用者の交通行動は把握できません。当然でございますが。現在、ICカードの利用者は70%程度でございます。それと、これも当たり前のことでございますが、バス運行時間内の走行路線でのデータ取得に限られます。
 本研究では、Suicaが情報非公開でございましたので、PASMOのデータを使用しております。

・ 次に民間プローブデータの調査結果でございます。
 特徴でございますが、カーナビを通じて自家用車の移動履歴のデータを取得できる。あと、各社で取得しています動線データ、個人情報、車両識別情報、車両走行情報等が分かりますが、実際に貸していただけるのは、道路区間別15分単位の平均走行データのみでございます。
 下に利用上の課題と書いてございますが、事業者によっては、プローブデータを社会提供あるいは商品として販売しておりません。一部事業者は平成21年度ごろから提供を開始しておりました。あと、個人情報の扱いと併せて詳細な利用条件を定める必要がございます。

・ これらを用いまして、次に道路事業の効果計測方法を検討いたしました。
 これは交差点改良の事例でございます。従来の交通安全対策事業は交通事故減少等のみで評価しておりまして、これは右折レーンを約50m延ばした例でございますが、こういうところではなかなか数字で評価するのが今までは困難でございました。
 ここのところは、これが拡大した改良前ですが、最初はこの右折レーンが約50m程度でございまして、かなり右方向に行く車が多うございまして、右折車がこの辺まで滞留して渋滞していた箇所でございます。これを約100mの右折レーンに延ばした。バスはこの通りを左に行く。従来はここの右折車に巻き込まれてなかなかここを抜けられなかったという交差点でございます。

・ 結果でございますが、バスの旅行速度が比較できましたので、それを観測いたしました。整備後に平均速度が13.2km/hから13.8km/h、わずか0.6km/hでございますが、都市内で、それもピーク時でございますので、かなり上昇している。
 もう一つの特徴でございますが、この青いものですが、最初はフタコブラクダのような形をしておりまして、信号に何回か巻き込まれて、1回で左折できなかったバスがかなり多かったのですが、整備後はこのピンクのグラフのように、1つのかなり高密度な分布になっておりまして、定時性が非常に向上して、次のバス停で待っているお客さんがまだ来ないというのがかなりなくなったということで、左折車両のバスのスムーズ化で事業効果を計測することができました。

・ その次にバス停の改善計画の作成支援でございます。
 これは具体的にはさいたま市でございますが、さいたま市はバス停が1,116カ所ございまして、この写真のようにバスの停車による後続車への影響評価をいたしました。

・ まず、1,116カ所でございますが、従来は、バス停の利用者数は、バス停ごとに調査員等が張りつきまして人数をカウントしているのが多うございました。このバスICカードですと自動的にとれますので、1,116カ所のバス停を乗降人員の多い順からすぐこのように並べることができます。それと平日の利用とか休日の利用の割合もすぐ分かりました。

・ それと、先ほどのバスが後続車を阻害している箇所の抽出方法でございますが、バスICカードからバス停留所にあるDRMのバス旅行速度を算出しました。デジタル道路地図の区間ごとの中でバス停があるところを探しまして、そこのバス旅行速度をまず算出しました。次に、民間のプローブデータから、同じくバス停留所のあるリンク及びその直前のリンクの一般車の旅行速度を算出しました。
 これを用いまして走行阻害箇所を抽出しております。

・ このグラフでございますが、上に行くほどバスよりも車の方が速い。0以下は逆にバスの方が車より速いところです。あと、先ほど申しましたが、直前でいくと、バス停があるリンクの速度、これは一般車でありますが、その速度を観測いたしまして、第三象限にありますところが停留所付近で一般車がバスよりも遅く、かつ速度が低下しているという場所でございます。ここは何らかバスが一般車を阻害していると考えまして、全プロット数の走行阻害発生割合をやりまして、今回は大体30%をめどにそういうバス停をピックアップいたしました。

・ 次に、そのバス停を調査いたしました。
 左でございますが、先ほどの走行阻害率が30%の地点でございますが、現地に行ってみると、これは当たり前と言えば当たり前ですが、片側1車線道路なので、停留所でバスが停車すると後続の車両はずっと渋滞している。
 それと、教育センター前と書いてありますが、ここは阻害率がほぼ0%。数%はございましたが、ここは同じように片側1車線道路でございますが、ちょっと見にくいのですが、バス停の前に隅切りがありまして、ここにバスが停車できる。それでバスがとまっていても一般車がスムーズに流れる。
 こういうのは今までは実際に現場に行って、現場を知っている人しか分からなかったのですが、今のような調査をやりますと、こういうところが簡単に見つかるというのがこの成果でございます。

・ さいたま市からの要求だったのですが、バス停留所ごとのカルテを作ってほしいということで、このようなカルテを作りました。Rankというのは、乗降人員が多いところです。だから、これは2番目に多いところでございますが、そのバス停の写真とか、バスICデータを用いて、何曜日に多いとか、天候とか時間変動とかもカルテを作っております。あと、バスの遅れ割合とか、その辺も書いておりまして、走行阻害要因の改善方法等もこのカルテに記載させていただきました。

・ これは今までのまとめで、もう一度繰り返しになりますが、大きな目標といたしましては、「動線データ取得方法の調査」と「交通計画等への動線データの活用可能性の検討」の2つがございました。
 「動線データ取得方法の調査」でございますが、概ね達成できたかなと。ただ、8社でございまして、全国全部行けていないので、これからもっと収集する必要があるかなと思います。
 道路整備効果計測の方法でございますが、交差点改良等の小規模な道路事業の効果計測に活用しておりまして、実際にさいたま市、埼玉県では使っていただいております。
 バス停改善計画の支援策でございますが、これは概ねできましたが、もう一つ、これはラインが間違っておりますが、動線データの活用方法の検討として、異なる複数の動線データを組み合わせた分析の有用性を明らかにしたかったのですが、残念ながら、携帯電話まで含めて複数の動線データの活用の検討には到りませんでしたので、余り目標が達成できなかったかなという自己評価をしております。

・ 今後の課題でございますが、今申しましたような各種動線データの取得方法の整理を進めるとともに、携帯電話等を入れた複数の動線データを活用できる基盤作りをしていきたいと思っております。

・ 今後の展開ですが、これは来年度からまた事項立てをお願いしておりますが、3カ年で人の移動情報を蓄積・共通化・分析できるプラットフォームの構築をしたい。これには当然、民間会社、大学、我々の産学官の研究会を設置して、将来的には、モードが変わっても人の流れをずっと一連でつかまえるようなパーソントリップ調査の補完ができるようなプラットフォームを作りたい。それと、今までやりました調査はオフラインでやっておりましたので、災害の場合、例えば3.11のような災害が起こった場合、本当はすぐ人の移動情報が欲しいのですが、それを使って帰宅困難者の数とか移動情報等の状態を把握したいのですが、それができておりませんので、このプラットフォームを使って調査を行いたいと思っております。
 ちょっと時間をオーバーしましたが、これで説明を終わらせていただきます。

【主 査】 ご説明をどうもありがとうございました。
 それでは、ご意見、ご質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 非常におもしろい取り組みをありがとうございました。
 3つほどお伺いしたいのですが、1つは、いろいろな技術をレビューされているときに、海外の動きについてどんなデータをとられているか、そしてそれをどのように活用されているか。アメリカとかヨーロッパは割と共通の移動データのサービスがかなり始まっているやに聞いていますが、それと比較したときの我が国のあり方、こういったレビューをされているかどうか、これが1つです。
 もう一つは、バス停が渋滞の原因になっていて、それが30%ぐらいだという話だったのですが、事例としてはバス停由来の渋滞箇所を写真で見せていただきましたが、30%が本当にバス停由来だったか。近くにスーパーの路上駐車があったかも知れないし、コンビニがあったかも知れない。そこの判別の精度の検証はされているかどうかということが2つ目です。
 それから、PASMOでしたか、バスのICカードを使っているのですが、バスの動き、速度をはかるという意味でしたら、10年以上前から、バスについているGPSを使うとか、そういう事例はたくさんありますね。そういう事例があることを考えると、PASMOとか個人のICを使う、その適用方法というのは、これとは違う展開が、最後にパーソンと補完するとか、個人のOD表を作成するようなこととの補完でもっと適用の可能性があるのかなという気がいたしまして、その辺り、ほかにもやられているかも知れないのですが、バスの動きだけに限定したというのは何か理由があるのかというのが3点目です。
 以上、宜しくお願いいたします。

【国総研】 この調査は、平成20年に、まずどういうICデータがあるかという調査をしまして、21、22年とやっておりまして、ちょっと時間が足りなかったというのが1つでございます。
 それで、委員の第1点目でございますが、海外の技術のレビューですね。実は今年度、このフォローとして海外のデータを当たっている最中でございます。それを使って今後の展開、来年から行いますが、それに使わせていただきたいと思っております。
 2点目のバス停の渋滞、先ほどの阻害率でございますが、大体は当たっているのですが、こういうことができますよというので、さいたま市さんにお渡ししまして、さいたま市さんが今フォローアップしております。その結果はまだ私どもの手に入っておりません。委員のおっしゃるとおり、ほかの要因もありますが、バス停以外かも分かりませんが、空振りの率がかなり下がっている、有効なところをまず見つけられるなと。バス停以外のところでも阻害しているところは、その対策を、例えばスーパーとかの出入りの監視でいろいろ協議をするとか、そういうところに使われると思います。
 委員がおっしゃったように、バスのGPSを使ってやっているのは知っておりますが、たまたまPASMO協議会というのがありまして、PASMOデータが簡単に手に入りました。この目的でございますが、複数の動線データを組み合わせたら何ができるかというのが一番大きな目的でございましたので、本当はSuicaとかも使えたら良かったのですが、PASMOしか使えなかったものですから、バスの運行だけではなくて、車の運行、プローブカーのデータとかを合わせると何ができるのかということでまずやってみました。そうすると、交差点改良とか、従来なかなかできなかったのができるのが分かってきて、交通安全対策事業にも、埼玉県でも議会の説明とかでも使いやすくなるという評価をいただいております。
 こういうことでよろしいでしょうか。

【委 員】 ありがとうございました。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 今のご質問にも少し似通っているのですが、私もこういう研究を10数年前にやって、そのときにはまだGPSも普及していないときで、バスの労務管理にバス停ごとの時刻を全部カウントするという機械がついているバス会社が8あって、それで同じような解析をやったのですが、今回PASMOのデータでバスの時刻挙動の解析をしたことの特質というのでしょうか、例えば、ご説明にもありましたが、乗車しか分からないから、誰も乗車しないバス停のデータはないということになるわけですね。地方だとそういう問題がかなり起きるとか、乗車人員にしても、ご説明いただいたように、PASMOしか使えないとすると、それ以外の人は全然カウントされないので、先ほどのグラフもPASMOの乗車人員であって、必ずしもバスの乗車人員とは言えないというのがありますよね。逆に言いますと、PASMOのデータをどう使えるかという発想で進められていると思うのですが、このようなデータがパーソンとかセンサスに代わるものとして必要であるならば、なるべく低コストで、どういうシステムがあればいいのかということで、例えばGPSを活用するとか、もっと言うと、在来のデジタコのようなものが労務管理等々でバスには結構積まれているので、今回は、あるデータをどう活用されるかという発想だと思うのですが、それだと地方によっては全然データがばらばらになっているので、1つのシステムとしてセンサスやPTに代わるものということはなかなか立ち行かないと思うのです。そういう意味で、次のステップとしては、どういうデータをとるためにこういう簡易なシステム、あるいは安く今の技術を利用してできるというような発想に研究としては向かうべきなのではないかという感じもするのですが、その辺のご見解をお願いします。

【国総研】 ○○委員のおっしゃるとおりでございまして、このときは、せっかくICデータがとれているので、何に使えるのかということでまずやりまして、かなりいろいろ使えるのが分かってきましたので、今後の展開で書いていますように、いろいろな方に集まっていただいて、こういうデータがとれるよとか、そういう意見交換をやって、それでこのプラットフォームに入れていろいろな調査ができるような形にしたいと思います。これは3年後に、プロトタイプですが、プラットフォームを作っていろいろ研究できるようにしたいと思っております。
 それと、今のご指摘のとおりで、地方部はICデータとかはなかなか無理なものですから、携帯電話とかプローブカーとか、その辺でかなり補完できるかなと。現在、携帯電話会社さんとか、これはこの場で言っていいかどうか分かりませんが、携帯のアプリの会社と事前に打ち合わせしまして、こういう情報が欲しいのですが我々がこういうプラットフォームを作ったら参画していただけますかと、今そういうフォローアップが入っておりまして、今年はそれと、先ほど○○委員がおっしゃった、海外でどんなことをやっているのかという調査をやっております。
 それと、今のご指摘のとおりで、繰り返しになりますが、いろいろなことを考えて、最終的にはパーソントリップとかセンサスをかなり補完できるような形まで持っていければと。パーソントリップに関しましては、目的とか、こういうのは絶対分かりませんので残りますが、かなりの補完はできるかなとは考えております。
 また、ここに大学と書いてありますが、委員の方にまたいろいろご相談に上がるかも分かりませんが、宜しくお願いいたします。

【主 査】 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 私の方から。今回、最終的にはPASMOのデータだけになってしまったというようなイメージがあって、当初の計画では、Suicaも含めていろいろな情報を集めてきて、そこがかなり魅力的であって、スタート段階としても、最終的にそういったプラットフォームを作って本格展開する基礎固めをする3年間かなと私は期待していました。提供されたのがPASMOだけだったということは結果としては問題ではないのですが、研究成果としては、どうするとSuica情報も提供いただけるのかとか、携帯電話、アプリの話は今出てきましたが、どうすると皆さんがプラットフォームに乗ってくるかというところもしっかり基礎調査をしていただくことが大事だと思います。それが、国総研がやるべき仕事と、民間企業でやりたくて、わざわざデータを出したくないと思っている可能性があるとすれば、どこにどう役割分担するのかが今回明確になると、先ほど最後に言われたプラットフォームの構築も非常にスムーズになると思うのです。そこを今回の大きな研究成果として明確に出された方がいいのではないかと感じるのですが、そこら辺はいかがでしょうか。

【国総研】 主査のおっしゃるとおりでございまして、1年目に携帯電話会社に行っても、そういう情報は出せないよ、だったのですが、今年、携帯電話会社にこの成果をお見せして、こういうことができるようになりました、特に震災のときにいろいろ役に立ちますよという感じになりましたら、今回は少し風向きが変わってきまして、この研究会に参加させてほしい、ただ個人情報の取り扱いとかはまだいろいろあるので、その辺は慎重に考えてお願いしますということでございますので、最初、我々も動線データが何かに使えるなと思ったのですが、先ほど申しましたように特に災害にも使えそうだなと。今日はお見せしなかったのですが、3.11の前後のバスの利用者のデータがありまして、それが震災後はかなり多くなっているとか、そういうのをお見せしましたら携帯電話会社も乗ってきましたので、この成果を使ってなるべく多くの方に参加していただきたいと考えております。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 今回は、非常に有意義なデータになるであろうという情報が得られたということですが、将来、特に災害の場合には携帯電話等を使うということになるのではないかと思われますが、その場合、個人データを集めて使っていくということに対して、インセンティブが相当働かないと、国民の合意が得られないような気がします。今後、説明を十分にしていただけるよう、先ほど○○主査がおっしゃったような必要性等の調査を進めていただく必要があると思います。

【国総研】 ありがとうございます。現在、我々もそのような形で進めさせていただきたいと思っております。特に携帯電話会社さんたちは個人の特性が分かるのを嫌がっております。我々は、個人の属性、男性なのか女性なのか、あとは年齢が分かれば、それで十分でございますので、本当の個人の何とか太郎さんと分からないような形でやっていくということで、今のところはご理解いただいております。
 それと、ドコモだったと思いますが、3.11の後、携帯電話でどこに人がいたかというのがテレビでも報道されていましたが、それを発表して、利用者さんも、こういうところに使えるのだったらこういう情報を出してもいいかなというようにドコモの方に言っているというのはお聞きしましたので、皆さんの移動行動に有益なものであるということをご説明するような形で、特にニーズが大事になってくると思うのですが、その辺を主にこれからやっていきたいと思っております。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいようであれば、評価シートにご記入等をお願いしたいと思います。
 この時間を利用して、また私から。
 プローブカーというのも入っていたのですが、今回はそれは特に情報としては入ってこなかったということですか。

【国総研】 先ほどのバス停の改善計画でも、交差点改良に関しましても、一般車の速度が上がったとか、それを全部とっています。プローブカーのデータとバスICのデータを組み合わせた成果でございます。

【主 査】 それがあると非常に有意義な情報だということですね。

【国総研】 ええ、そうです。従来は単一のものの研究成果が多かったのですが、我々の調査が最初の方だと思いますが、複数の動線データを組み合わせたらこういうことが分かったということで学会等にも発表させていただいています。

【主 査】 JR東日本のSuicaの情報提供がなかったのは、自社の重要な情報を国に渡すとオープンになって彼らの経営戦略に関わるというような感じで提供がなかったのでしょうか。

【国総研】 それはこの場ではちょっと言いにくいのです。要は、JRはJRで自分たちで十分できるということです。

【主 査】 そうすると、先ほど言ったように、民間企業がやりたいことと国としてやるべきことみたいなところをうまくしておかないと。先ほどご意見があったと思うのですが、そこら辺の仕切りを今回うまく整理していただくことがいいかなと思うのです。

(事後評価シート回収)

【主 査】 集計が出ました。
 研究の実施方法と体制の妥当性ということで、全員2番目の「概ね適切であった」、目標の達成度も「概ね目標を達成できた」と、全員6名とも同じ評価です。したがって、評価の結果としては表示のとおりにさせていただきたいと思います。
 既に質疑の段階で幾つかコメントがありましたが、結果として入手可能な情報データは限られていたのですが、その中でさいたま市という事例が出たということは、具体的に成果が出たというように皆さんご判断されたと思います。次に大きくプラットフォームを作るというところが期待大である。一方で、そのプラットフォームを作るための下準備として、海外のレビューをしっかりしていただくこととか、個人情報をどう取り扱うのかとか、どういったデータをもってしてそれがうまく機能するのかというように、その必要性みたいなものをしっかりと整理していただく。あと、連携のあり方についての本来あるべき課題というものも今回の中でしっかりと議論していただくと、もっと高い評価になったのではなかろうかと思います。
最後に出てきた災害時における行動をどうするのかというのは、公共サイドでやるべき部分だと思います。そうだとしても、民間企業も同じようなことを考えていて、そういったところでの活用は是非このプラットフォームの中で議論していただくということが大事ですので、それに向けた最終的な取りまとめをしっかりやっていただきたいというようなご希望が記載されております。
 以上のように評価をまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもご説明ありがとうございました。

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【主 査】 それでは、続きまして3番目の「国土保全のための総合的な土砂管理手法に関する研究」ということで、ご説明をお願いしたいと思います。これは平成19年から22年という4年間の研究成果の報告になります。それでは、お願いいたします。

【事務局】 今、お話にもありましたが、この研究課題につきましては、平成19年度から22年度の4カ年で実施された研究課題でございます。なお、プロジェクト研究課題ということで実施されたものでございます。

【国総研】 危機管理技術研究センターの○○でございます。
 平成19年度より進めて参りました「国土保全のための総合的な土砂管理手法に関する研究」についてご説明させていただきます。どうぞ宜しくお願いいたします。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ 最初に、研究の背景についてご説明させていただきたいと思います。
 土砂移動に関わる問題としましては、土砂生産に伴う河床の上昇、ダム貯水池への堆砂、河床低下による構造物への影響、あるいは、海岸域に入りますと海岸浸食の進行など、様々な問題が顕在化していることは周知のことでございます。

・ この問題に対して、これまでプロジェクト研究等におきまして、流砂系全体を視野に入れまして、粒径別の流砂量や土砂の流出による地形の変化を予測する手法の構築を進めて参りました。
 一方、土砂の流れに起因する問題を解決するためには、これまでの流砂系全体をとらえた検討に加えて、局所的な河床上昇や低下、あるいは人為的な影響が具体的に生じている箇所の詳細な状況の把握と予測が必要であると考えているところでございます。
 そこで、本プロジェクト研究では、流砂系全体を見据えた上で、流砂系各部で生じている人為的なインパクトが地形や生物生息環境に与える影響の予測手法、更にそのインパクトを評価するために必要な観測手法と観測データベースの構築を併せて実施したところでございます。

・ 研究の実施体制につきましては、土木研究所あるいは地方整備局、県と連携を行いつつ、情報交換を行いつつ、進めたところでございます。

・ 研究成果の目標と活用方針について示しております。
 本研究の目標ですが、大きく2つの目標を設定しています。
 1つは、人為的インパクトが地形等の物理環境や生物・生態環境に及ぼす影響を予測する技術の開発になります。具体的には、渓流・河川における河床構造の予測手法、あるいは人為的なインパクトが生物・生態環境に及ぼす影響の評価手法、それから海岸域に移りまして、汀線の変化予測手法の高度化、この3つでございます。
 もう一つの目標としましては、その影響、インパクトを評価するために必要なモニタリング技術とデータベース様式の開発を進めて参りました。山地河道、海岸における観測手法、あるいは観測した流砂の観測手法とそのデータベースの様式の構築を進めて参りました。
 また、これらの成果は、総合的な土砂管理計画の策定への活用、あるいは統一的なモニタリングの実施、あるいは継続的な実施に資することを目的として目指したところでございます。

・ それでは、1つ目の目標であります、物理環境、地形等への影響を予測する技術の開発につきまして、具体的に安倍川流域における研究成果をお示ししたいと思います。
 安倍川流域では、中上流域での河床低下、下流域での河床上昇、更に海岸域では海岸浸食等の問題が顕在化しているところでございます。

・ 研究成果でございますが、1つ目の研究成果としまして、河川域における地形等の物理環境の変化予測モデルについてご説明させていただきたいと思います。
 土砂の移動に伴う地形変化を予測する場合、2次元河床変動計算を用いることが一般的でございます。しかしながら、この2次元河床変動計算につきましては、地形データの取得等に膨大な時間と労力を要するものでございます。
 そこで、1次元と2次元の河床変動計算を組み合わせました流域河床変動計算モデルというものを考えて参りました。詳細な予測が必要な区間につきましては2次元河床変動計算を、それ以外につきましては1次元河床変動計算を行うことによりまして、出水後の河床変動などをより短時間に局所的に詳細な予測を可能とすることを目的としたものでございます。
 スライドでは、計算結果としまして、出水時流速ベクトル図と河床変動高のコンター図を示しております。局所的な流速の変化や河床変動、堆積、浸食の把握が可能となっているところでございます。

・ 次に、2つ目の研究成果、海岸における汀線の変化予測モデルについてご説明したいと思います。
 その前に、静岡清水海岸において、深浅測量のデータをもとに、安倍川から海岸域に供給される土砂の粒径別の土砂量を把握してみました。スライド左側にあります3枚の図面は、ほとんど砂浜が消失しておりました1985年を基準に、土砂の堆積状況を水深の変化量で示しております。赤が堆積、青が浸食でございます。また、安倍川はこの図面の右側の方に流れ込むという位置関係でございます。これが一番初期でございますが、安倍川から供給された土砂が、年々左側、すなわち東側へ堆積域を拡大していることが分かります。また、この間の年間の堆積増加量を把握しますと、年間20万m3でございました。これが安倍川から供給される土砂量と考えられるところでございます。また、水深に着目したところで、4mより浅いところ、深いところで把握いたしますと、4mを境に、浅いところでは礫が年間10万m3、深いところでは砂が年間10万m3ずつ増加しているということも把握したところでございます。

・ この知見をもとに、汀線が波を受けたときに生じる分級プロセスを組み込んだ等深線変化モデルを作成いたしました。
 モデルの概念を中段の図面に示しております。このモデルは、粒径と平衡勾配の考え方をモデルに組み込んだものでございます。
 このモデルを先ほどご説明しました静岡清水海岸に適用した結果が下段の図でございますが、実際の観測によって把握しております細粒分は、沖合すなわち深いところを400m/年のスピードで東に堆積域を拡大している。また、粗粒分、礫でございますが、こちらは岸寄りの浅いところを250m/年のスピードで移動しているという実際の実現象をこの分級プロセスを組み込んだモデルで再現したところ、より良い結果、適合性が確認できました。再現性が確認されました。1つの例として、その拡大スピードでございますが、実績は400m/年に対して、計算モデルでは372m/年、あるいは250m/年のところが252m/年というような計算結果として、適合性をあらわす1つとしてお示しすることができるのではないかと思っております。

・ また、この等深線変化モデルをベースにしまして、河口から海岸への土砂供給の予測モデルを考えてみました。
 モデルの考え方でございますが、これは字が小さくなっておりますが、出水による河口のフラッシュ、河口テラスが形成され、それが拡大する。その後の波浪で河口テラスが浸食され、そして再び河口の砂州が復元する、それと同時に周辺域、隣接海岸へ土砂の流出が起こり、堆積域が拡大するという一連の現象をモデル化したものでございます。
 スライドの中段に、初期地形、洪水直後、42日後の計算結果を示しております。また、その下に実際の測量結果を併せて示しております。計算結果は実際の現象を概ね再現できたのではないかと思っております。
 以上、山地河川域と海岸域における予測モデルについて、2つの研究成果をご紹介させていただきました。これによりまして、局所的な河川の河床の変化、海岸の地形の変化や流砂量を予測するモデルが作成できたのではないかと考えております。

・ 次に、生物と生態環境に及ぼす影響について、インパクト、影響とそのレスポンスの因果関係を、インパクト・レスポンスフローの形で例示してみました。関連する既往文献・データを収集いたしまして、砂防堰堤、ダム、河道掘削、取水堰等々の分類別にインパクト・レスポンスフロー図を作成したところでございます。

・ また、さきに報告させていただきました1次元河床変動計算と2次元河床変動計算を組み合わせた物理環境を予測するモデルと、河床材料と水棲生物の生息環境の関係、この2つを組み合わせた形で生物の生息環境を予測する手法を考えてみました。1次元・2次元河床変動計算により粒径の分布を予測し、一方、水棲生物の生息環境の関係、これは粒径の分布に大きく起因するものでございますが、この2つを組み合わせることによりまして、ある特定地域で土砂流失があった場合、生物の生息環境がどのように変化するのかということを予測したものでございます。

・ 次に、2つ目の目標でありますモニタリング技術とデータベースの開発について、研究成果をご紹介させていただきたいと思います。
 これまで、山地河川における流砂量の観測は、雨量観測のような水文観測と異なり、統一的な手法で実施されておりませんでした。
 また、掃流砂の観測手法としましては、砂礫の衝突音を利用したハイドロフォンという音響式計測器が提案されておりますが、限られた流域のみで実施されている状況であり、その観測結果もデータの集約が行われておらず、データベースも未整備の状況でございました。更に、従来の音響式計測器ハイドロフォンでは衝突音の回数をカウントしているところから、出水時に流砂量が増加しますと、連続する衝突音を分離することが困難ということでありました。
 スライドの中段に音響式計測器ハイドロフォンと計測概念を示しております。向かって左側の金属管がハイドロフォンでございまして、この中にマイクロフォンが内蔵されております。この金属管を河川の横断方向に設置し、この管に礫が衝突する回数、これは音になるわけですが、これをカウントするというのがこれまでのハイドロフォンでございました。先ほど申しましたように、流砂量が多くなると、その回数を分離することが非常に難しくなります。ずっと音が鳴り続けてしまうという現象が起きるということで、これを改良しなければいけないということでございます。
 そこで、今回のプロジェクト研究において、新たな掃流砂観測方法として、音波の重なり合いを考慮した、音圧値を利用した掃流砂観測手法の開発に取り組んだところでございます。スライドの下段にその音圧値を利用した新しい観測方法の概念図を示しております。音圧値と掃流砂量の関係は、現地実験等を行い計測するとともに、計算値、理論式との検証を行い、概ね一致することを確認いたしました。

・ 次にデータベースについてでございます。
 一部ではありますが、流砂量観測を実施している現場では、そのデータ量の多さにより、解析・蓄積方法が非常に大きな課題になっておりました。
 そこで、観測データの変換・圧縮手法について検討を行いまして、全国の事務所でも利用可能なプログラムを作成いたしました。
 また、観測したデータを一元的に蓄積するためのデータベースにつきましても併せて開発したところでございまして、観測したデータは当センターの砂防研究室において一元的に管理・保管するような形となっております。
 以上、研究成果についてご紹介させていただきましたが、ここからはその活用事例の一端をご紹介させていただきたいと思います。

・ まず海岸の予測モデルでございますが、静岡海岸におきまして汀線の変化を予測し、汀線の維持に必要な河川からの供給土砂量を推定いたしました。20万m3/年と推測され、この結果は総合土砂管理計画の策定に活用されているところでございます。

・ また、先ほどご紹介しました流砂量のモニタリングについてでございますが、全国の山地河川で観測が進んでおります。現在、今年の10月時点で116地点で観測が進められ、新たに更に123地点での観測が予定されているところでございます。

・ 研究成果目標の達成度でございますが、予測モデルの構築、流砂量モニタリングの技術の開発については概ね所期の目的を達したのではないかと評価させていただきました。
 一方、影響の推測につきましては、定性的な評価にとどまっているとの評価をさせていただきました。

・ 今後の課題でございますが、モニタリング手法につきましては、河川砂防技術基準等の基準類に反映させるとともに、継続的な観測、データの収集を行いたいと思います。また、手法の改良につきましても不断の努力をしていきたいと思っております。
 予測手法につきましては、総合土砂管理計画あるいは砂防基本計画に使うとともに、実際に問題が生じているところにつきましては、適用性の確認をしつつ活用していきたいと考えております。
 時間が超過いたしましたが、以上で説明を終わらせていただきます。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 研究テーマにもあるのですが、土砂管理手法となっていて、いろいろな予測モデルを開発されているのですが、そのインプットデータがどういうデータなのかよくわかりませんが、管理ということがあったり、あるいは「人為的インパクト」というようなキーワードがあって、そういう人為的なインパクトというのは、どういうものを作るとか、そういうことだと思うのですが、そういうものといろいろなモデルの関係というか、管理というよりも予測にとどまっているのではないかという感じがするのですが、管理と予測の関係について教えていただきたいと思います。

【国総研】 表題につきましては「土砂管理手法」という形で掲げさせていただいております。適正な管理を行うためには、人為的なインパクトで申しますと、例えば構造物の設置、あるいは河床の土砂の掘削、そういうものがその流砂系の中においてどのような結果をもたらすのかというものを予測しながら、実際の構造物の設置とか土砂の掘削の良否、適否を判断していかなければいけないのではないかという観点から、ここでは、流砂系全体をとらえて、マクロに土砂の動きをどう把握するのかというツールと、先ほどご説明しましたが、そういう人為的な行為、あるいは、人為的に限らず自然に土砂が供給されることも想定されるわけですが、そういう流砂系に与えられたインパクト、影響がどのような結果をもたらすのかという予測ツールというもの、流砂系全体あるいは局所的な変化にも対応できるようなものを管理者として保有し、それで将来予測をしながら、土砂に関しての適切な流域管理を実施していくべきではないかということから、こういう予測手法の開発を進めてきたものでございます。

【委 員】 そういういろいろな予測とか、そういうのは私は全然専門ではないので分かりませんが、多分これまでも多くの研究成果があって、いろいろな予測モデルがあると思うのですが、今回はインプットのデータとして、例えばどういうインパクトを与えたことがどのように影響するというような、インプットデータとして管理手法とか管理の仕方を入力するようなモデルになっているのですか。それとも通常の、前提条件としての流速とか自然条件、よく分かりませんが、そういったものだけが入力条件になっているということなのですか。

【国総研】 例えば、一番分かりやすいところで、河床掘削をしたというような人為的な行為を情報として河床変動計算の中に入力することによって、それが下流にどういう影響を及ぼすかというのは、1次元河床変動計算あるいは2次元河床変動計算というところである程度見ることはできると考えています。
 ただ、ここで申し上げたのは、2次元河床変動計算の場合、こういう流域全体―流域全体と申しましても、河床部分の地形データなどを、例えば50mメッシュ、10mメッシュデータとして構築する、あるいは、非線形ポリゴンデータとして用意しなければいけないとか、あるいは、実際に計算を始めますと、2次元河床変動計算の場合は非常に長時間を要するというような課題がこれまでの手法の中で明らかになっておりましたので、本当に局所的な、土砂の流出あるいは河床の掘削がこの地点にどういう影響を及ぼすのかを把握するためには、すべてを2次元河床変動計算するのではなくて、ある部分は1次元河床変動計算に任せ、その局所的な箇所についてのみ2次元河床変動計算をし、詳細な情報を得るというような新たな観点でこのモデルの構築を行いました。ご質問のような変化というものも情報としてインプットして、その結果を見ることができるような形になっております。

【主 査】 よろしいですか。
 私も今の質問の趣旨に近いイメージがあって、確かに土砂を総合的に管理するために予測モデルができました、それが変わると河床の状況が変わるので、生態系にも影響があるかも分かりません、そういったことを理解するためにはモニタリングもしないといけないというように、総合的に見るためのメニューは一応そろっていると考えます。しかし、それをどうつなげて総合的な土砂管理をするのかというメッセージが、聞いていてわかりにくい感じでした。予測モデルはちゃんとできたと。そして、モデルを作ったので、河床が変わるから生態系にこう変わるというところではつながりがあったのですが、モニタリングをやりますよ、データをためますよで、ではそれをどう使うのかというところとか、それがモデルの方に戻るのか、モデルを更に改良するために戻るのかという点などはいかがでしょうか。
あるいは、モデル改良されたことで、最終的にそういった予測ができたときに、今後土砂管理をするときに、人為的な、例えば取水堰を造るとか、河道掘削をするとか、ダムをやるとか、堰堤を造ったときに、どう工夫するとより良い土砂管理ができて、海岸の浸食を抑制できるのか、あるいは、将来的に気象変動が起きて集中豪雨があったときでもこのような対応をすることを考えているという、そのつながりができるようになったと思うのですが、聞いている分にはそれが感じられなかったので、そこら辺で追加の説明をいただけませんか。

【国総研】 失礼いたしました。説明が不十分であったかと思います。
 確かにご指摘のとおり、今回ご説明させていただいた部分はあくまでも、過年度からの検討で流砂系全体をマクロにとらえるためのツールができた。今回、河床の局所的、あるいは海岸域の変動を表現することができたという、それぞれのパーツツールを用意させていただいたというところのご説明にとどまっていたということでございます。今後これをどのように流域全体の総合的な土砂管理として展開していくかということについては、ご指摘のとおり、若干メッセージが弱かったというように反省しております。1つは、今回開発したもの、研究成果を、基準あるいは基本計画というようなものに反映させていくと同時に、これは午後にご説明させていただきたいと思っている案件でございますが、新たな取り組みとしまして、この知見をもとに、大規模な土砂生産が行われた後の土砂管理のあり方について、引き続き研究テーマとして取り組ませていただきたいと考えているところでございます。

【主 査】 ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。

【委 員】 非常に分かりやすく説明していただいて、研究されたことがよく理解できました。
 モデルについて1点教えていただきたいのですが、モデルというのは大体、物理モデルであっても完璧に物理現象を数式で表現できないところがあると思うのですが、マジックナンバー的なものが何らか入っていて、それが今回の安倍川では一応合うような形に設定されたのか、もしくは、そういうマジックナンバーなしで、本当の物理モデルだけで検証できたということなのでしょうか。それから、もしマジックナンバーがあったときには、多分ほかの河川でも適用してみないといけないと思うのですが、その辺りの今後の展開について教えていただきたいと思います。

【国総研】 ありがとうございます。
 ご指摘のように、今回の物理モデルを作るに当たって、実際の観測結果をベースにキャリブレーションしてモデルの適合性を高めております。したがいまして、安倍川流域の実際の過年度の観測データをベースにしておりますので、マジックナンバーというのでしょうか、そういうものが存在しているということだと思います。したがいまして、他流域への適用につきましては、最後時間が不足して駆け足で失礼してしまったのですが、今回予測モデルを開発したものについては、他流域に適用するときには、まずその適用性を確認した上で他流域への展開を図る必要があるだろうと考えているところでございます。

【主 査】 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 12番のスライドで、渓流における生物生息環境変化予測手法の開発ということで、生物環境モデルが作成されたと。この浮き石とかはまり石というのが予測できたら、これはかなり有力だと思うのですが、どういう計算をされているのか、簡単に概要を教えていただけますか。

【国総研】 まず予測を必要とする場の設定を行うわけですが、例えばこの場の出水後の河床構成の状況を予測いたします。そのときには、先ほど申しました上流での1次元河床変動計算、この場での2次元河床変動計算を実施しまして、出水後の粒径の分布、粒径の組成をここで予測いたします。一方、これは既往の知見でございますが、浮き石の場合、砂の構成比が5%ぐらいのときには造網型の水棲生物が良く生息する環境であるというような知見がございましたので、この河床変動計算で出てくる粒径の組成と水生生物の生息環境を示す砂の構成比を組み合わせまして、初期の状況が河床変動計算後にどのような粒径組成に変わるかということを推測し、その粒径組成からそれぞれの、ここで言いますと浮き石状態のものが主体となるメッシュ等々を判別して、生息する水棲生物に適した環境がどこにつくられたかというのを予測した次第でございます。

【主 査】 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。
 私から、次の13番のところで、ハイドロフォンというので流砂量を計測すると。既に100何カ所入っていて、更に増えていくと。主に砂防の地域のところで、砂防堰堤がちゃんと機能しているかどうか等を調べるのが目的かと思います。素人ですが、ハイドロフォンをどこに位置させるかによって結果が大きく変わるように直感的には思っていて、一方で、その位置が変わってしまうと、一旦作った流砂量と検量線みたいなものができても、状況が変わってしまうとまた違う流砂量になっているというモニタリングのあり方としては気になる点があるのですが、そこら辺は大丈夫なのでしょうか。

【国総研】 ハイドロフォン設置位置というのは、流域の中のどの場所につけるかということですか。

【主 査】 深さ方向。

【国総研】 失礼いたしました。
 このハイドロフォンにつきましては、掃流砂を観測することを目的としておりまして、基本的に河床、すなわち、例えば床固め工であれば床固め工の天端のコンクリートに埋め込むとか、あるいは、これも一緒でございますが、横断構造物、堰などがあった場合には、その堰の水通しの天端の河床部に設置して、掃流砂を観測するということでございます。
 ここでは「流砂量」と申しましたが、あとは浮遊砂の観測も必要になってくるわけですが、これにつきましては濁度をはかるというようなもので併せて観測しているということです。
 今、写真を出しました。これは砂防堰堤でございますが、基本的に掃流砂をはかるということで、堰堤の水通し部の一番低いところに設置いたしまして、データをとるという関係になっております。

【主 査】 分かりました。どうもありがとうございます。
 ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。
 もしないようであれば、事後評価シートにご記入をお願いしたいと思います。

(事後評価シート回収)

【主 査】 評価結果がスライドに表示されておりますが、研究の実施方法、体制等の妥当性は「適切であった」が4件、「概ね適切であった」が2件ですので、「適切であった」と評価させていただきたいと思います。
 目標の達成度に関しては意見が分かれておりまして、1の「十分に目標を達成できた」が3件、2の「概ね目標を達成できた」が2件、3の「あまり目標を達成できなかった」が1件ということで、3の方が1名おられます。その内容自身は、予測モデル等の構築、あるいはそういったものはできているが、活用方法というか管理につながっていくところが必ずしも十分にご説明いただけなかったように評価されるというように書かれておられます。
また、ガイドラインを作るという形で成果ができているとすれば、目標達成度も非常に高く評価できるが、今回のご説明だともう一息というようなことも書かれておられます。非常に短い時間でご説明していただいたということもあるので難しい判断になろうかと思います。6人で、もし1が過半数であれば1の「十分に目標を達成できた」とさせていただきたいところですが、3人の方が「概ね目標を達成できた」以下であると判断して、「概ね目標を達成できた」というように評価させていただきたいと思います。体制としてはしっかりやられていますし、内容としても充実していたのですが、当初の目標はかなり具体的に、基準とかそういったところがあったので、魅力的な成果だったと思うので十分と評価された方と、実際にどうかというところで意見が分かれたと思います。繰り返しになりますが、2番目の「概ね目標を達成できた」というように評価させていただきます。
 個別のご意見は、評価が高い方々は、土砂管理のモデルとか、あるいは生態系を考慮したインパクトの影響の評価の整理ということで、しっかり成果を出されておられるように書かれておられます。更に生態環境についてどう展開するかという点も期待されるという方も多うございます。ただ、モデルに関しては、ほかの流域への適用ということもあるので今後更に信頼度を高めていただきたいと、これも期待を込めたご意見でございます。あとは、私から申し上げましたが、タイトルとして総合管理を目指しているということなので、基準・ガイドラインに直接的につながる形でこの成果が使われるのかといったところをもう少しうまく整理してお話しいただけると評価も良かったのかなと思いますので、今後、具体的に基準等に反映するとか、あるいは基本の政策のモニタリングデータを使うというように最後に書いていただいていますので、それをより具体的に展開していただくということを期待したいと存じます。
 というような形で評価をまとめさせていただきますが、よろしいでしょうか。
 それでは、ご説明をありがとうございました。以上のように評価させていただきたいと存じます。
 これで午前中予定しておりました3件の説明と評価が終わりましたが、一番最初の「日本近海における海洋環境の保全に関する研究」のところで、中国の成長率に対する工場排水等の結果自身が若干分かりにくいということで、早速下水道部の方で精査して、内容確認ができたということですので、追加のご説明をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【国総研】 下水道部長の○○でございます。
 今回のいろいろなシミュレーションに当たっては、各国のメンバーからもいろいろなご意見とかデータをいただいているわけですが、中国の工場排水関係のシミュレーションに当たって、過去7年ほどの工業出荷額と工場排水の関係のデータをいただいて、いろいろ検討いたしましたところ、出荷額についてはかなりのスピードで伸びているのですが、工場排水量については余り伸びていないという状況があって、これを反映して、2030年についても工場排水量を出荷額から過去のトレンドで推定しております。そうすると、工業出荷額自体は3倍以上で、極めて大きく伸びるのですが、過去の割合でいくと、工場の排水量そのものは2〜3割しか増えないという想定になっておりまして、それで今回の結果になっているという状況でありました。
 併せて、最後のところで委員長からも、各国への反映について今後考慮をというようにご指摘いただいたところでございますが、ちょうど今、JICAプログラムで、我々もメンバーであるGCUS(ジーカス)というところが協力して中国の処理場高度化プロジェクトというのをやっておりまして、政府関係者が中心ですが、先方で大体毎年100名規模から200名規模のセミナーをやっていたり、それから、ちょうど今週の金曜日にも、先方の中央政府の部長が研修団の団長として、合わせて10何人こちらにやってきますので、そこの意見交換会とか、そういう場を使って今回のものを提示するような場を作っていきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【主 査】 追加の説明をありがとうございます。
 GDPだけではなく、別の評価軸があって余り伸びていなかったということですし、国際的な場面の中国とのアクセスもされておられるという説明をいただきました。
 特にご意見、ご質問がなければ、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、ここで一度休憩で、お昼にするということにしたいと思いますので、事務局からお願いいたします。

【事務局】 今、手元の時計で11時44分でございますが、午後の再開は13時からということで、それまではお昼の休憩とさせていただきたいと思います。

午前11時46分 休憩

午後12時51分 再開

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【主 査】 それでは、後半の第4番目の「科学的分析に基づく生活道路の交通安全対策に関する研究」ということで、ご説明をお願いいたします。

【事務局】 この課題ですが、平成20年度から22年度の3カ年で実施されたものでございます。プロ研と事項立て研究課題として実施されたものでございます。

【国総研】 道路空間高度化研究室におります○○でございます。この研究テーマについて発表させていただきます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ 研究テーマ名ですが、「科学的分析に基づく生活道路の交通安全対策に関する研究」でございます。プロジェクトリーダーは、私、○○です。今日は研究を担当しました○○と2人で来ております。
 このテーマですが、先ほどもありましたが、事項立て研究ということで、20年度から22年度の3年間の研究ということで進めさせていただいております。
 タイトルに戻りますが、テーマは「科学的分析に基づく生活道路の交通安全対策」と銘打っております。このテーマ名からもありますが、ここでは2つほど着眼点を新たに置いたところがございます。1点目は生活道路でございます。幹線道路の対策は、国道とか県道でいろいろな対策を打っていますが、そこに対してはデータを用いながら対策を打っているというのをいろいろなところでやっているところでございます。それに対して生活道路は、少し遅れぎみながら対策を実施しているところで、生活道路をもう少し頑張りなさいということもありまして、生活道路の対策を1つ着眼点に置いたということです。もう一点は、「科学的分析」と書かせていただいておりまして、この点でありますが、実はデータを背景に担当者の経験則でやっていたところを、データに基づきながら裏づけをとって研究をしたいというところでありまして、このタイトルにもありますように、2点ほど着眼点を置いているということです。

・ 1点目の着眼点でございます。生活道路であります。
 下の左側のグラフは平成20年のデータで、県道以上の幹線道路とそれ以外の道路で事故件数あるいは死傷者数を分けたものです。これでいきますと、約半分は生活道路で起きているということ。それから、右のグラフは少し小さいですが、特に歩行者・自転車を見てみますと、6割は生活道路で事故が起きているということでございます。

・ もう一つ、生活道路の経年変化を見てみましても、ずっと半分ぐらいは生活道路での事故だということになります。政府の交通安全基本計画、最近第9次がまとまりまして、平成23年から27年の計画になっておりますが、その中でも、生活道路はしっかり取り上げなければいけないとなっているところです。
 1つ目の着眼点は生活道路ということでございます。

・ もう一点は、「科学的分析」とタイトルには入れておりましたが、しっかりデータで裏づけをとりたいということで、これがもう一つの着眼点でございます。
 一番左に書いておりますが、これが交通安全の基本だと思っています。交通安全対策を行う場合の基本は、まずはどこで事故が起こっているのか、これが1点目。それから、起こったとすると、そこでどんな対策をうまくやるのか、これが2点目ということでございます。
 右は幹線道路と生活道路を分けてありますが、実は幹線道路というのは事故データもありますし、道路のセンサスデータもあります。この両方をつけることで事故危険箇所をしっかり特定できるという仕組みを用意しているところであります。それから、そういうところに対してどんどん事故対策をやっていきますので、事故対策のマニュアルもしっかり作りましたし、実際にやった対策がどんな効果を得ているのかというのをデータベースに登録をして、これもどんどんフィードバックしようということで、幹線道路の事故対策については適宜対応してきているところでございます。
 一方で生活道路ですが、先ほどのセンサスデータというのは幹線道路にしかありませんので、幹線道路と同じようなことはできない。それから、生活道路用の対策でもハンプとかクランクとか、スピードを落とす対策は実際ありますが、対策をやるとこういう結果になる、あるいは事故なりが発生しているとするとどういう対策が良いのかというのが必ずしもデータとしてそろえ切れていないところがありまして、我々はここを対処したいということで位置づけを置いたものです。

・ そういう生活道路の交通安全対策をやろうとしたときに何を使おうかというので、ドライブレコーダが使えるのではないかというので、ここで取り上げているということでございます。
 ドライブレコーダはご承知の方がおいでになるかと思います。この図にありますが、加速度センサーで急ブレーキとか急アクセルとか急ハンドルをとらえて、その前後のデータをとる。そのデータというのは何かというと、前方の映像もそうですし、実は我々は初めて分かったのですが、どの場所で起きたのかという位置情報もこの中でとらえているということがありまして、これはうまく使えるのではないかということでございます。ドライブレコーダそのものは、もともと裁判で勝つために、交通事故の事後検証みたいなこととか、裁判のときにどちらが悪かったのかというときによく使うことになりますが、そればかりではないでしょう、映像があれば乗員の交通安全教育にも使えるでしょうというのがドライブレコーダの特徴ですが、我々はもう一つ、位置情報と映像があれば対策も打てるだろうし、どの場所で事故が起こったのか、あるいはニアミスが起こったのか、そういうところにも使えるのではないかというので、このドライブレコーダに着目したところでございます。

・ 映像があった方が良いと思いますので、画質は悪いのですが、こんな映像が撮れるということです。2車線の道路をずっと走ってきて、最後、カーブの先で対向車が来たというものであります。これは映像も映っていますし、起こった場所の緯度・経度が記録されていまして、箇所抽出に使えるということです。

・ 先ほどから何度も申し上げておりますが、交通事故対策をやろうとしますと、どういう場所で起こったのか、そこでどういう対策をとれば良いのかという話になりますので、ドライブレコーダの位置データをうまく使えば、それで生活道路の中でも事故の危険箇所を引っ張り出せるのではないかというのが1つ。それから、交通安全対策の立案は、ニアミスなり事故に至る経過が映像でありますので、どこが引き金になったのか、どこが決定打になったのかを分析していけば、道路が遠因になったのか、利用者の側に大きく責任があるのかということも分析できるのではないか、そういう中でハード側の交通安全対策は何をやれば良いのかということを引っ張り出せるのではないかということです。

・ 今までのところは前置きになりますが、そういう前置きに対して、我々の研究であります。
 まずドライブレコーダのことをよく知らなければいけないということで、これを1つ置きました。それから、先ほどから何度も申しておりますが、事故の危険箇所をどうやって引っ張り出してくるか。それから生活道路での交通安全対策をどうやってやれば良いのかということに答えを出したいということでございます。左側が大きな研究の目的になります。
 右側が個別の研究でございます。上からいきますと、ドライブレコーダの特徴とか、データはどう利用されているのかということを調べてみたということ。それから、答えを言いますと、実はドライブレコーダはタクシーにもついていますし、商業車にもついていたりします。ただ、その中でどのドライブレコーダを使うのが我々にとって一番良いのかということも検討してみたということです。それから、先ほどの映像みたいにニアミスがとれるだろうと思っていたのですが、加速度データだけでコントロールしていますので、橋梁の段差で引き金が入ってしまったということもありまして、要らないデータを排除してしまわなければいけないという課題も生じました。これが記録からニアミス事象を引っ張り出すための対応ということです。それから、我々が一番着目した、ニアミスをとってくれば事故の箇所とどう重なってくるのかというのが1つ。それから、実際対策を打とうと思ったら、どんな映像からどんな対策を打てば良いのかというのを考えたのが、一番最後のところでございます。

・ こういう研究をしたいと思ったときに、左側は我々のねらった対象ですが、ドライブレコーダをしっかりデータとして獲得しなければいけないというので、自動車技術会にお世話になりまして、委員会に参加させていただいたり、そういうところからドライブレコーダのデータを入手したりということで、協力体制を作らせていただきました。それから、事故との関係を見るために、これは静岡県が相手になってくれましたが、こういうところから事故データをいただいて、とある狭い区域ではありますが、その中で重ね合わせをしてみた。体制をこのようにセットして研究を実施したということでございます。

・ 細かい図になっておりますが、これは研究の成果目標で、書いてある内容は先ほどのぺージと同じでございます。研究の成果目標というよりは、この中で幾つか実際にやった研究をご紹介さし上げたいと思いまして、この表を載せてあります。この中で、上から4つ目のニアミスの発生箇所と事故の発生箇所の比較をした研究の紹介と、ドライブレコーダの映像からどんな対策があるのだろうということを考えた一番下のところについて、その研究の中身をご紹介さし上げたいと思います。

・ まず箇所がどう重なってくるかということであります。順番にいきますと、事故データ、これは静岡県警からいただきましたが、20年、21年のデータ。それからニアミスデータもほぼ同じ時期のデータをいただいております。これは静岡県内の事故をいただいておりますが、重ね合わせをしたのはこの2つのエリアでございます。この中で単純な集計分析をした部分と、地図上に重ねた分析をやったということでございます。

・ 1つ目であります。単純な集計分析をした部分ですが、このパーセンテージを見たいということです。事故の場合とニアミスの場合は、商業地を見ますとほぼ同じような分布になっているということが言えるかと思います。それから、住宅地で若干差が出てきまして、黄色の部分が差が出たところでありますが、ニアミスの方は正面衝突とか追突が少し多く出ているということでございます。実はこのニアミスデータはタクシーのデータを使っていますので、タクシーの運転手さんの傾向が少し出たのか、他の人よりも住宅地の中でスピードを出しているのかなという感触を得たところでございます。

・ こちらの方が図としてはおもしろいと思いますが、商業地でどう重なってくるのか、ニアミスと事故の箇所が重なっている箇所でございます。実際に重なっているかどうかはよく分からないところもありますが、ここでよく分かったのは、実は通り抜けのラインがあるのではないか、地区の中に抜け道があって、その抜け道上に点がいっぱい落ちてきて重なってくるところもあるということが言えるのではないかということです。

・ もう一つ、これは住宅地ですが、住宅地もこういう路線、こちらは事故は起こっていませんが、ニアミスばかり起きています。こちらも重なっている場所は幾つかに限られてくるということが見えたかなというところであります。

・ 今度は、個別の事故データというかニアミスデータを見ていきますと、例えば交差点での出会い頭について見てみますと、こちらの28%とか27%というものですが、例えば、ニアミスがあった場所は全部で39件、そのうち事故があったものは11件。だから、3割ぐらいで事故も起きているということが言えたということでございます。
 もう一つの分析は、例えばニアミスの件数がたくさん重なってくれば重なってくるほど、実は事故も多いという話も見えたかなというところでございます。ニアミスがこういうぐあいに3件以上重なってくれば、事故が実際にそこで起こっているところはパーセンテージが上がっているということでございます。

・ この部分のまとめでありますが、単純集計してしまえば大体発生割合は似ているということ。それから、事故とニアミスの位置関係も重なってくるところは重なってくる。それから、ニアミスのデータも、うまく使えば、例えば地区内の抜け道に危険な事象があるのだろうということは分かるかなということでございます。

・ もう一点、生活道路で交通安全対策を打とうとしたときにどう考えるかという点であります。これは実際に200件のニアミスを見てみました。

・ その200件を少し分類しますと、事故類型、当事者、そういう点で分けてみますと、幾つかの代表例が集まったということでございます。
 人対車両について、この先ご紹介さし上げたいと思います。

・ これもドライブレコーダのデータですが、車がずっと走っておりまして、この先に交差点があります。少し見にくかったですが、ここに歩行者が出てきていて、車とぶつかりそうになったというものです。

・ これを少し分析してみると、交差点の横断歩道を横断する歩行者がいて、そこに対して車が突っ込んできたということです。ではどういう要因があったのか。車側では速度超過があったかも知れないし、歩行者側も必ずしも安全確認が十分ではなかったかも知れない。一方で道路側はどうだったのかというと、交差点の形があの形で良いのか、曲がった先に、横断歩道も見えない側から歩行者が渡ってくるああいう形で良いのかということなんかが見えてくる。そうすると対策もそれぞれ出てくるのではないかということであります。

・ ここで出てきたものは、例えばハード側で対応すべきものもあれば、ほかのドライブレコーダを見てみますと、飛び出しなんかもありまして、これは人側の教育もすごく大切だねというのもリストアップしてきたところであります。

・ またこの表に戻りますが、実際にそういうことを繰り返しまして、我々の自己評価としましては、ドライブレコーダと事故の重なり方というのは必ずしも十分に説明できなかったかなというところがありまして、こちらは○にしています。それから、対策の中身について見れば、割に簡単に要因が分かるということで、こちらはうまくできたのではないかという評価をしているところでございます。

・ 今後の課題ですが、我々としては、もう少しデータがたくさんあればもっとはっきりしたことが言えたのではないかというのが上の2つです。一方で、今回、生活道路を対象にこのデータを使いましたが、どうやって事故が起こるのかというところは幹線道路でも非常に使い道があるのではないか、幹線道路へも展開していくというのが今後の対応の仕方として1つあるのではないかということでございます。
 今後の展開も、そういった面で交通安全対策を充実させていくというのが1つの我々の対応すべきことなのではないかというのが、我々の今回の研究のゴールになります。
 以上でございます。

【主 査】 ご説明をありがとうございました。
 それでは、委員の方々からご質問、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 ドライブレコーダからニアミス事象を検証する方法というのはご説明されたのかどうか、その辺り少し聞かせていただきたいのですが。どうやってニアミスの事象を検証されているのか。画面を見ているわけではなく、何らかのプログラムで検証されているわけですよね。

【国総研】 別のファイルに細かいのがありますので、そちらを立ち上げようと思います。
 先ほど1項目ありまして、その中では、先ほどありました段差を拾ってしまうというのをうまく外してしまわないと効果的に対応できないということで、その外し方について勉強しました。

【国総研】 ニアミスの事象を自動的に検出できれば、一々画像を見なくても、おおよそニアミスはこのぐらいの場所にあるということが分かるということで、我々はニアミス事象の自動検出アルゴリズムの検討をしたということです。このフローをご覧いただくと分かるように、タクシー車両のうち300事例のニアミスを、事象別に分類と書いていますが、事象というのは、ここに書いていますように、ニアミスという事象が全体の300事例の中の142、約半分ぐらいありますが、ニアミス以外のデータで特に多いのは路上の段差によるもので、それでデータが記録されてしまうものがありまして、その辺りをどう分別するかということでプログラムを組んだということです。
 このスライドを見ますと、特に急ブレーキを伴うニアミスに着目していますが、基本的に先ほど申し上げた段差、突発的に段差で記録されてしまう場合に比べて加速度の出方が異なる。ニアミスの場合は、実感されると思うのですが、ブレーキを急に踏んだとしても速度がそんなに急にがくっと落ちるわけではなくて連続的に落ちていく。一方、段差は突然速度が変わるということで、加速度の変化、加加速度と言うのですが、それが瞬時に上がるという特徴があって、その特徴の違いを用いてアルゴリズムを組んで、そのアルゴリズムの複数案の中で実際のデータに対して最も適合性の高いものを採用したということです。採用したアルゴリズムについては、抽出率、正当率が概ね8割。8割のニアミス事象が検出されたという結果になっております。


【委 員】 ということは、車からはニアミスの状況は分かるのですが、対人なのか自転車なのか車なのかというのは画像を見ながらということになるのですか。

【国総研】 そういうことになります。とりあえずニアミスであるかどうかを自動的に検出するというプログラムを開発したというものです。

【委 員】 このドライブレコーダが普及しない場合、プローブデータを使うとかいう代替案があったかと思うのですが、プローブデータの場合ですと相手が何なのかというのが分からないと思うのです。その辺りはあくまで、人であろうが自転車であろうが車であろうが、危険な箇所だという判断だけをするということですか。

【国総研】 そこのところは難しいと思っていまして、ドライブレコーダは、先ほどもありましたが、映像があります。それであれば、相手が誰なのかというのも分かります。だから、本当のところを言いますと、プローブデータだけで答えを得ようというのは難しいかなと思っていまして、プローブデータで出たものとドライブレコーダの状況をうまく重ねなければいけないのかも知れませんが、そういうもので、これは相手が人なのか、どういうものなのか、あるいは対策としてどういう対策をとるのかというのは、単にプローブデータだけでやるというのは難しいかなと思っています。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 今の話で言うと、3軸の加速度装置をつけておけば段差についてはもともと拾わなくて済んだのかなと思うのが1つコメントです。
 それと、似たような研究で、ビデオカメラはなかったのですが、先ほどおっしゃったプローブカーだけでつくば市内で7〜8年前にやったことがあるのですが、そのときの結果とは全く逆で、急ブレーキとかを頻繁に起こすところは意外と事故がないというのがつくば市内の傾向だったものですから、こちらで今日静岡県のをお見せしていただいたのと傾向が違っていて、新しい発見なのかなと思いました。今後の展開として、他地域での同様な事例をたくさん拾うというのが大事なことになるのかなと思いました。
 もし1番目についてコメントがあれば、お願いします。

【国総研】 3軸の加速度を測定して、それをトリガーにするようなドライブレコーダも最近発売されているという話を聞いているのですが、まだ普及が十分でないというところがありまして、今回そこを利用して研究を行うところには至らなかったのですが、今後の普及ぐあいによっては、そこをやれば今みたいなアルゴリズムを使わなくてもうまく検出ができるかも知れないという認識は持っているところです。

【主 査】 よろしいでしょうか。

【委 員】 今のと関連しますが、今回はニアミスデータを自動車技術会より入手ということで、7,000件のデータとあるのですが、これは全国的に網羅してこういうデータを入手する体制というのは整っているものなのですか。

【国総研】 自動車技術会から入手したデータは、自動車技術会自体も研究的に進めているというものでして、現在、東京と静岡ではデータの収集ができている。そのほか、そこをだんだん広げていって、秋田とか北海道とか、そういうところでもデータをとるような話にはしているところですが、全国一律で一般的にとるという話にはなっていないという状況でございます。

【委 員】 このニアミスデータベースみたいなのをうまく構築できると、そういう意味では非常に重要な情報資源になると思うのですが、今回の場合、自動車技術会さんが持っているデータは、各普通の車に積んであるドライブレコーダからのデータを、ニアミスが起きた、トリガーが上がったものを抽出するという作業を技術会さんの方でやられたということですか。

【国総研】 自動車技術会で一通りまとめていただいています。我々のところに全部来て、それから対応したというものではありません。もっと言いますと、実は自動車技術会が集めることができたドライブレコーダのデータですが、これはタクシー業界からもらったものであります。タクシーは6割ぐらい設置が進んでいるという話がありますが、そのうちのごく一部について自動車技術会に入って、それをまた我々が利用させていただいたということでございます。実は一般の人もドライブレコーダをつけていらっしゃいますが、そこからデータをどう吸い上げるかというのは仕組みを構築しないといけないと思います。

【主 査】 ほかにどうぞ。

【委 員】 大変興味深い研究ですが、警察との役割分担をこれから先どうするのか。例えば、先ほどの横断歩道を渡って歩行者が引かれそうになった、あれも横断歩道に信号をつけるとかそういうことだし、静岡のこれも、13枚目の図中の道路についてですが、ここは裏道で、よく端末の荷さばきのトラックがいっぱいとまっているところで、例えばそういったトラックがあって見通しが悪くてニアミスを起こしているのかも知れない。それは完全に交通管理者側の問題ですよね。これから先、是非、特に生活道路という話ですから、国交省だけではなくて警察も交えたこういうデータベースの使い方とか、そういう体制づくりがあると良いのかなと、その辺りで何かコメントがあれば、お願いいたします。


【国総研】 まさにそのとおりだと思います。一緒にやっていかないと答えにならないと思います。ではその体制づくりがしっかりできているかというと、これからよく相談をして進めていくしかないとは思っております。ドライブレコーダで要因がよく分かる、あるいは発生結果がよく分かるということは、警察側でやるべきこともちゃんと見えることになると思いますので、このデータを一緒に見ながら対応していくということを進めていくのかと思います。まだ我々は研究をやっているところでありまして、その先のどういう仕組みでやるかというところまではまだ方向を定めているわけではありませんが、やらなければいけないのだろうと思います。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 私から2点ほど。
 今のご指摘にもあったのですが、警察との連携というのはうたっておられて、事故のデータは来ました。連携というのは、もらうだけではなくて、こちらが取ったものを逆に向こうにお返しするのが連携ですが、今日のお話を聞く限りにおいては、すべて受けただけで、それを向こう側にとって役に立つような形でデータをどう整理して、どうフィードバックして、次の連携に進めるのかというのは感じられなかったので、構想があればお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目は、ドライブレコーダというデータを活用されて、ただ、最終的な今後の課題は、ニアミスデータに関してはデータ数が少ないので、もう少しやりたいと。今回の対象地域で多量のデータをもらったのですが、結果としてデータとして扱えるものが200とか300しかなかったので、別の地域で同じように集めればそれなりの数が増えてくるということになろうかと思います。どれぐらいのデータをとったら十分なのかなというのが素直な疑問で、逆に言うと、この程度でも住宅について十分整理ができるのであれば整理された方が、いつまでたっても十分ではなかったということになると思うのですが、望ましい数、データを整理する上でどれぐらいの網羅されたデータがとれると満足できる結果が出るのですか。これが2番目の質問です。

【国総研】 まず1点目でございます。幹線道路の中では、警察と道路管理者の間でよく相談をしながら対策を打つという体制ができています。これは、幹線道路の交差点対策をやろうと思ったときに、右折の信号現示と一緒に右折車線を延長するとか、両方で手を組んでやらなければいけないところがありますので、そういう仕組みをうまく活用していくのかなと思います。幹線道路ばかりではなくて生活道路についても警察と道路管理者が手を組んで、役割分担をしながら、原因が分かったとすればそれぞれの役割を果たすという仕組みに乗せていくのが要るのかなと思っています。これが1点目でございます。
 それから2点目であります。実は、どのぐらいデータが要るのかというのを一生懸命考えたのですが、そこがなかなかうまくできなかったというところであります。江東区のある地域について3万件ほどドライブレコーダのデータをいただきまして、それはタクシーの本拠地に近いところにたくさん分布するのですが、そこからは幹線道路にもたくさん乗ってきますし、生活道路にもたくさん乗ってきます。生活道路で我々が期待したのは、20件、30件重なってくれれば、これは決め、ここで対策をやれば良いと言えると思ったのですが、必ずしもそこまでたくさん重なってこないものですから、そこのところはもうちょっとデータをたくさん見た上で、どのぐらい集まれば良いのか、あるいはそのデータを集めるのに何年かかるのかというところをよく検討しないと答えは出せないかなと思ったところです。我々としても、どのぐらいデータが集まればこの仕組みは有効に働くのだろうというところを一生懸命考えたのですが、そこまでは答えが用意できなかったところであります。

【主 査】 分かりました。
 最初の私のコメントは、将来どうやるというものではなくて、今回の成果が警察側にフィードバックされたのかということなので、もしまだであれば是非お願いしたいということです。

【国総研】 その点はまだであります。研究の中では対応していますが、それを使って対策を役割分担して実行したかというと、まだやっていないです。

【主 査】 実行ではなくて、ただ今回の解析結果がこうですという情報をいただいた側にお戻しするのが良いのかと思って、その程度のコメントです。
 2番目に関連して、どれだけやれば良いかというのは、逆に言うと、たくさんニアミスのポイントがあって事故が起きているということなると非常に特定できて、そこを重点的に道路とか警察と連携して対策をやるというシナリオだと私も思ったのです。一方で、今回はデータが足りなかったかも分からないですが、もう一つ別の図を見てみると、ニアミスのデータはないがそれなりに事故のよく起きている箇所がありますね。実はそっちのデータも結構重要だと思います。それはドライブレコーダのデータはないのですが。ドライブレコーダ活用が重要なのですが、目的はドライブレコーダのデータを見ることではなく、どこで事故が起きていて、それをどう改善するかということが今回のテーマの中では根本だと思います。
今回整理されたところで、ドライブレコーダデータはとれていないが非常に危ないところがあって、それは別のニアミスみたいなところと非常に形状が似ている道路であるかというのが結構重要かと思いました。そうすると、今回、ニアミスを何とか整理して事故の起きやすい箇所に類型化するという最終的な方法ですが、この類型化方法でいくとマンパワーでやるような感じで、逆に言うと、「科学的分析」と書いたのだったら、道路の構造とか交通量とか、もっと別の数量的なデータを、この道路の地域について、このパラメータとこのパラメータをとっておいて、それを整理するとニアミスの起きやすい箇所が分かるようになりました、事故も起きている箇所でした、ニアミスのデータレコーダのデータはないのですがそこは同じような特徴を持っていて、やはり事故が起きていましたというのが私の思う科学的な分析のような気がするのですが、そこはかなり難しい話なのですか。

【国総研】 我々としてはそこまでは行けませんでした。おっしゃるとおりです。科学的分析の第1番目は、箇所抽出をうまくやろうというところで科学的データをうまく使ってというところで対応したというのが1つ。それから、映像を見れば原因が分かるのではないかというのも1つの科学的な分析だと思いましたが、そこから先の、では交通量との関係はというと、そこまでは力が及ばなかったところです。先ほど○○委員が言われたとおり、事故は起こっているがニアミスがないとかいうところも出てきたところがありますので、両にらみで対応を考えなければいけないのだろうと思いますし、そこがデータで裏づけできるのであれば、それはそれに基づいて箇所をうまく選んでいくとか、理由をはっきりさせるとか、そういうことはやれると良いと思います。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 ほかにご質問、ご意見がなければ、お手元の事後評価シートに記入いただきたいと思います。

(事後評価シート回収)

【主 査】 それでは、評価の結果が前に追記されておりますが、研究の実施方法、体制等の妥当性は、1の「適切であった」が4件で、「概ね適切であった」が2件ということですので、1の「適切であった」と評価させていただきたいと思います。下の目標の達成度に関しては、全員2番目の「概ね目標を達成できた」ということですので、このように評価させていただきたいと思います。
 コメント、既に意見が幾つか出てきておりますが、ドライブレコーダを活用されたということで、非常に期待できる手法を提示しておられるということですので、あとはデータ数を増やす、あるいはニアミスデータというものをどう取り出して収集するのかという課題も今回分かったと思いますので、それを是非展開していただきたいと思います。具体的な活用事例が出ることが望ましいというように皆さんお考えのようです。
 あと、科学的な手法ということですので、ドライブレコーダを使ったので、ない場合と比べてどれだけ良くなったのかとか、あるいは、私からコメントさせていただきましたが、もう少し踏み込んだ、より数的な表現を使うなり、進展性が期待できるテーマですので、是非今後の展開を図っていただきたいというようなご意見が出ております。
 ということで、先ほど申し上げた体制と目標の達成度についてはそれぞれ評価させていただきましたし、意見についても今申し上げた内容ということで、評価を終わりたいと思います。皆さん、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。

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【主 査】 それでは、続いて議題の3番目になります。ここからは2件の新規プロジェクトの研究課題の事前評価ということでご説明をいただいて質疑応答するということに入りたいと思います。

【事務局】 それでは、次が5番目です。「大規模土砂生産後の流砂系土砂管理のあり方に関する研究」ということでございます。この研究ですございますが、24年度から26年度の3カ年で実施する予定の研究課題でございます。プロジェクト研究として実施予定のものでございます。

【国総研】 危機管理技術研究センターの○○でございます。先ほど紹介がありましたように、平成24年度より新規にプロジェクト研究として着手を予定しております「大規模土砂生産後の流砂系土砂管理のあり方に関する研究」についてご説明させていただきます。宜しくお願いします。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ まず最初に、研究の背景、目的についてご説明させていただきます。
 広域の土砂災害、大規模な地震、あるいは火山噴火などにより、渓流・河川・ダムなどに大量の土砂が一時に供給されるケースがございます。今示しておりますスライドは、本年9月、台風12号により生じた崩壊域分布を示しております。この台風12号では、深層崩壊等が発生し、大規模な天然ダムが形成されると同時に、奈良、和歌山、三重の3県域において約1億m3の土砂が崩壊土砂として生産されたと推定されております。

・ このような現象につきましては、例えば、この年数は1995年の間違いでございますが、平成7年(1995年)、長野、新潟を流れます姫川において大規模な土砂災害が発生しておりますが、出水により約1,000万m3の土砂が生産され、そのうちの6割が河道の中に流出したという事例もございます。

・ また、このような大規模な土砂生産でございますが、地震によってもたらされる場合もございます。有名な常願寺川の鳶崩れ、あるいは、海外の事例ですが、台湾の集集大地震では大規模な土砂生産が行われたわけでございます。

・ 一般にこのような大規模な土砂生産が行われた場合にどのような対策をとっているのかということを少しまとめたものが、この1枚のスライドでございます。一般的には、堆積土砂の掘削、あるいは既設の砂防堰堤の除石、これはどちらかというと土砂の流砂を意識した対策でございますが、大暗渠の砂防堰堤の建設というようなものがとられております。しかしながら、これらの対策は、通常の維持管理レベルにおいてとられている工法を、大規模な土砂生産が行われたという非常時に延長線上に持ち込んで対策をしているという整理ができるのではないかと思っております。

・ このような実態、対策を踏まえ、大規模な土砂生産があった場合、流域の土砂動態・環境に長期間の影響を及ぼすものと考えております。その期間は数年から数十年、場合によっては100年という長期に影響が及ぶものではないかと考えております。
 この前のスライドで、実際にこのような大規模な土砂生産が行われた場合に具体的にとられている対策についてご説明しましたが、一般的にとられているこれらの対策は、先ほども申しましたが、通常の維持管理で想定されている中での対応で大規模な土砂災害時にも対応しているのが実態でございます。こういう大規模な土砂生産があった場合には、対策の規模あるいは対策の期間が通常の対策とは大きく異なり、場合によっては個別事業で対応する、あるいは、先ほどご説明いたしました対応策が好ましくない場合、あるいは異なる場合があるのではないかという疑問点がございます。
 また、とりわけ今年の東日本大震災あるいは9月の台風12号という災害の発生を受けて、通常想定されている規模の自然現象を大きく上回るような自然現象、大規模な土砂生産ということでございますが、こういう現象が起きた場合の対処方法、ダメージコントールの方法が極めて重要ではないかということからも、本研究で、大規模土砂生産後の土砂管理について、予測方法、対策の評価手法の開発、あるいは過去の対策事例等を集約することによる新たな知見を取りまとめたいと考えております。

・ このスライドは、具体的に検討フローを示したものでございます。
 本研究では、大規模な土砂生産が発生した、あるいは発生直後の数日という短期の土砂の移動現象、あるいはその後の数年から数十年あるいは100年という中長期の土砂の移動現象を、既往の資料、既往の文献等を用いて時系列的に整理することをまず考えております。同時に、そのときにとられた対策について同様の整理を行い、その効果、影響を把握、分析したいと考えております。これまでのこういう長期間の土砂流出、土砂の動態に関するものとして、既往文献整理についてはこれまでもとり行われてきた、あるいは研究成果がある分野でございます。本研究では一歩進めまして、過去の事例等を整理したものを踏まえた上で将来を予測したいと考えております。
 次のステップとしまして、中長期的な土砂動態予測技術の構築を考えたいと思っております。具体的には、河床変動計算に基づく手法を想定しているところでございますが、長期間の河床予測計算に適した計算技術を新たに見出さなければいけないと考えております。こちらで申しました数年から数十年、場合によっては100年という長期間の土砂動態を計算にて追跡する場合、実際の計算時間が膨大になってしまうことが十分に予想されます。長期間に及ぶ土砂の移動の影響を、例えば、「支配要因」と書いてございますが、長期間に及ぶ土砂移動を流域においてどのような要因が支配しているのかを明らかにするなどして、例えば河床変動計算を行う期間を設定したり、あるいはもう少し具体的に計算を行う計算式そのものを吟味することも必要ではないかと考えております。また、この支配要因と申しますのは、流域の状況を反映して、流域ごとに異なるものと想定しておく必要があろうかと思っております。
 そして、開発された長期間の予測計算手法と対策の影響効果の分析結果から、対策の効果評価技術あるいはそのツールの確立を目指していきたいと考えているところでございます。

・ ご覧いただいておりますのは、現時点で想定しております検討対象の候補地域を、過去に発生した土砂生産現象と併せて示しています。流域面積の大小、流路延長の大小、降雨に起因するものなのか、地震に起因するものなのか、表層崩壊によるものなのか、深層崩壊によるものなのか、広く全国から様々な形態の事例を抽出して、調査対象として研究を展開したいと考えております。幅広く事例を収集することによって、流域の特性を踏まえた検討あるいは流域特性を踏まえた評価技術の提案ができるのではないかと考えているところでございます。

・ 繰り返しの内容になりますが、検討内容を整理して記述しております。
 概要・アウトプットのところに示しておりますが、数年から数十年の土砂移動予測技術の構築、大規模な土砂生産後の対策の効果評価手法の構築、この2点が本研究の大きなアウトプットになると考えております。
 対象地域は先ほどお示ししたとおりでございます。
 具体の手法につきまして、先ほどご説明した部分のほかに、ここで書き加えているものとしては、午前中に事後評価の中でご報告させていただきました流砂観測データの結果を活用しまして、数値計算等に用いるパラメータ、そういうものの条件の設定などに活用していきたいと思っております。また、粒径に着目した流砂動態あるいは河床状況の実態把握、あるいは、ここでは地質を少し意識しておりますが、地質に着目した土砂のトレーサーを用いて、土砂動態あるいは滞留時間の把握などもできるのではないかと考えているところでございます。

・ 年次計画と予算を示しております。24年から3カ年を予定しているところでございます。

・ 最後に検討体制でございますが、土木研究所、国土交通本省、地方整備局のほか、衛星画像や空中写真を用いた解析の観点から、国土地理院、JAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)等とも広く連携を図る予定でございます。
 また、後ほどご報告いたします、同じく24年よりスタートする予定でございます「超過外力と複合的自然災害に対する危機管理に関する研究」とも密接に連携を図りながら、成果の達成度をより高めたいと考えております。
 以上でございます。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 それでは、只今のご説明に関して、ご質問、ご意見、ご助言がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 最初に私からお聞きしたいのですが、実態把握について大規模土砂生産後の数年から数十年ということです。対象とされる候補地6カ所を見ると、数年から最大120年まであるということですが、長期になればなるほど、ここで必要とされるデータがあるのかどうかが一方で気になるところです。そこら辺があるかどうかを調べるのも含めてやって、あれば予測技術もできるのか、なければできないのか、そこら辺がよく分からなかったのですが。モデルを作って予測する場合には、数十年前に起きたときから土砂生産した後どう変わっていったのかを予測計算できるモデルを作っていくというように想像するのですが、数十年のオーダーでデータは取得できそうなのですか。

【国総研】 ご質問にお答えいたします。
 確かに、こういう数値モデルを構築する場合、検証という場面では、過去のデータをもとにモデルの確からしさの検証をしております。したがいまして、そういう既存のデータが残っているかどうかが非常に重要な部分になってこようかと思います。ただ、古くなれば古くなるほど数値的な情報、データというものはなかなか入手しにくくなっております。例えば、ここで言う新宮川、120年前の十津川の災害を1つの事例として挙げておりますが、これにつきましては、災害史等の情報、それから、これは最近の知見ですが、航空写真判読等によって過去の崩壊地がある程度特定できるとか、あるいは、明治40年が正確な年数だと思いますが、日本陸軍陸地測量部が測量した5万分の1の地図があって、その中に崩壊跡地がある。そういう過去の情報を総動員した中で、先ほどご説明しましたような数値モデルの構築にトライしていきたいと思っております。こういう河床変動の追跡を数十年から100年オーダーで行うというのは余り頻繁に行われているものではございませんので、非常に不確定な部分があろうかとは思いますが、そこを先ほど申しましたような総動員をした中で確立していくことができないかと思っているところでございます。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 ほかにご意見、ご質問はありますか。

【委 員】 途中のスライドに出てきているのですが、通常のレベルを大きく上回る場合には対策として個別事業で対応することが好ましくない場合があると考えられということで、例えばどういうことを想定されているのでしょうか。

【国総研】 具体的なご説明をせずにおりましたが、姫川の事例を1つの参考にご説明いたしますと、平成7年の姫川の出水は生産土砂量としては1,000万m3、そのうちの6割が姫川に流出しているということでございます。600万m3。そのうち、その対策としてとったのが、ここに423万m3の土砂を除去と書いてございますが、約7割方を河道内から排除したという対策をとったわけでございます。この対策は、ここで示したように堆積土砂の掘削という分野に入るものでございますが、長期的に見たときに、この流域において7割方の土砂を除去するのが果たして正しかったのかどうかというのは検証ができてない状況でございます。例えば、長期間で見れば、海岸の浸食という観点から見れば、7割までの土砂を除去するのが果たして本当に適切だったのかというのは評価し切れてないところでございまして、短期的に見れば、二次災害の防止ということから見れば、不安定な河道内堆積土砂を除去するというのは必要であったと思われますが、それを長期的に評価したときにどうなのかというのを今回の検討の中で明らかにできないかと思っております。そういう内容を、言葉が適切だったか分かりませんが、個別的な事業対応という表現とさせていただきました。

【委 員】 今のお話でよく分かったのですが、それはある意味、大規模とか長期ということに限定されないような気もするのですが、いかがでしょうか。

【国総研】 参考資料としてつけているものでございますが、少し概念的なものでございます。大規模な土砂生産というイベントが発生した後、これは流域ごとに特性が変わろうかと思いますが、長い時間をかけながら土砂の流出が継続していくというものを概念的に示したものです。その間には、その流域における何年かに一遍のイベントが繰り返し発生するということです。ご質問のように、その対策の評価につきましては大規模な土砂生産時だけに限るものではなく、今回の研究は、大規模な土砂生産以降、その流域において土砂流出が定常的に低減していって、スタート地点ではありますが、定量的なところに戻るまでの間を対象にして検討を進めていきたいと思っておりますので、ご質問のとおり、この直後にというものだけではなくて、比較的タイムスケールを長くとった中でその対策を評価していくという形にしていきたいと思います。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。

【委 員】 午前中の事後評価のことにも少し絡むのですが、検討フローということで@からC、スライドで言うと最初の方にありますが、Cの「対策の効果評価技術構築」というところが非常に重要になると思うのです。この流れは、動態予測技術を作って、それを受けた形でという流れになっていると思うのです。動態予測というのは、どういうぐあいに予測するかということの1つの技術ですが、対策の効果について言いますと、今ご発言があったように、非常に多くの観点からのものが出てきます。土砂を全部取ってしまうことが海岸の浸食にどういう影響を与えるかとか、あるいは環境の問題等々、いろいろな要素が出てきた上での管理のあり方ということで、多目的な問題になってくると思いますので、それを管理としてどういうぐあいにしていくかということを考えるという意味でいきますと、Cの部分のやり方を工夫というか、仕掛けが必要なのかなと。だから、年次計画で言うと1年間でCをやることになっていると思うのですが、BとAを組みした形でCが出てくるはずだと思いますので、その辺、もう少しCにも重点を置いたようなことで考え方として整理していただいて、管理のあり方を示していただくということであって、決して予測技術を作った上でどうなるかを示すだけではなくて、どうすべきかということを結論として得るような研究にしていただければと思います。

【国総研】 ご指摘ありがとうございました。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。もしないようでしたら、お手元の事前評価シートにご記入いただければと思います。
 ちなみに、今回は最初に出てきた台湾の事例とかを日本で解析するということは考えておられないのですね。

【国総研】 日本地図のところでは落としておりましたが、収集できる数値情報等を持つような海外の事例、例えば台湾のモーラコット台風による小林村被害の事例とか、そういうものも併せて収集していく予定でございます。

【主 査】 分かりました。

(事前評価シート回収)

【主 査】 6人の委員の結果が参りました。5名が「実施すべき」ということで、1名が「一部修正して実施すべき」ということです。「実施すべき」の方々は、非常に重要なテーマなのでしっかりと進めていただきたいということと、具体的に政策、行政に反映していただきたいということがございます。あと、土砂管理ではございますが、午前中にもあったように、生物・生態環境という視点も場合によっては考えていただければということです。「一部修正して実施すべき」という方の―実は私ですが―意見としては、先ほどのお話を聞く限りにおいては、情報があるかないかおぼつかないような気がしています。そういった状況で予測のモデルを作って、先ほどご指摘があったように、それからCに行ってCを議論するシナリオは、非常に意欲的ではありますが、チャレンジング過ぎるかなと思います。目標の設定の可能性みたいなものをもう少しコンパクトにされた方が、実施後に最終的な評価するときにもやりやすくなるかなと思います。内容は良いので、設定の仕方をうまく工夫していただければという意味で、一部修正という意見を書かせていただきました。
今回の場合は、今までないようなデータを集めるというところからスタートしますので、実際に集まればうまくいく場合もあるでしょうし、なければ、逆にこういったデータをちゃんと蓄積しておかなければいけないという方向にも展開できると思います。いろいろな可能性を考えながら研究計画なり推進方法を考えていただくことに留意いただければと思っています。基本的にほとんどの方が実施すべきだということで後押しされておりますので、良い成果が出るように下準備をしっかりされて、来年度から研究を推進していただければと思います。このようにまとめさせていただきます。どうもありがとうございました。

【主 査】 それでは、続きまして、「津波からの多重防護システムに関する研究」ということで、ご説明をお願いいたします。

【事務局】 この研究課題でございますが、少し経緯を説明いたしますと、まず平成22年度に当部会で評価をいただきました「災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究」、実施期間としては今年度から実施のものでございますが、そちらと、本年7月に第二部会で評価をいただきました「沿岸都市の防災構造化支援技術に関する研究」の一部を取り込みまして、東日本大震災への対応ということで、新規プロジェクト研究課題として設定するものでございます。なお、研究期間としましては、今ご説明したような関係もありまして、23年度から26年度までの4年間で実施を予定している研究課題でございます。

【国総研】 只今紹介いただきましたプロジェクト研究を説明させていただきます○○と申します。宜しくお願いいたします。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ 今ご紹介がありましたように、もともと災害対応を改善する津波浸水想定システムの開発ということで昨年度評価をいただいたのですが、3月11日の津波を踏まえて津波対応をずっとして参りましたので、その内容を加えて大幅に拡充しております。題名としましては「津波からの多重防護・減災システムに関する研究」ということにしております。また、副題としまして「『考え方』を『着実に実現できる目標』にするための施策手段をつくり出す」とつけております。柱としまして、こちらの@、A、B、C、Dという5つの柱で組んでおります。以下、順次説明して参ります。

・ その前に、津波対策といいますのは既往の主な津波が来るとかその津波災害とかの教訓を受けていろいろ拡充してきたものですが、今回のプロジェクト展開がどういう位置づけになるかというのを経緯から振り返るという意味でこのスライドを作っております。
 1960年のチリ津波を受けまして、このときには遠地津波とか湾内の共振が話題になりまして、その際に、海岸堤防で守っていこうというのが大きな流れになりました。その後、日本海中部地震とか北海道南西沖地震などで津波の警報とかを充実していくという流れが出てきました。その後の幾つかの津波などを受けまして、避難率が非常に低いということが課題になっておりまして、避難対策の拡充を図りつつあった。そういう中で今回の大きな津波災害があったということになります。今回は氾濫を前提にした多重防護・減災とか、2段階の外力設定ということが大きな転換になるかと考えております。

・ 2段階の外力設定というものの具体的なイメージをこちらのスライドで示しております。こちらが津波防護レベルで、ここでは津波の浸水を完全にシャットアウトするという考え方でございまして、海岸の堤防を初めとした施設によって津波を防止するということになります。外力規模としましては、数十年から100数十年に一度ということになっております。それを大きく上回る今回の津波のようなものが来た際には、これを完全に守るのは難しいということで、その場合には、堤防に関しては越流を許容するが一定程度までは粘り強く効果を発揮するとか、二線堤とか盛り土で氾濫流を制御するとか、津波のハザードに備えるとか、あるいは建物等では避難を確保するビルをどうするかというようなことをやって、避難とかまちづくり等も含めて人命を何としても守るということで組み立てていくことを考えております。

・ 更に、それぞれAからDにつきまして、対象とする領域を地図上のイメージに起こしたものがこちらのスライドになりまして、海から来る津波の外力をどう設定するかという話、それを海岸とか河川でどう防護するのかという話、それがあふれたときの津波のハザードの評価とか、その氾濫流を制御できるかできないかという話がB、C、その氾濫域とその外側とを併せて避難をどうするとか危機管理をどうするとか土地利用をどうするといったことがDになります。

・ それらの5本の柱がそれぞれどういうアウトプットにつながっていくかというのを大まかに示したのがこちらのスライドでございまして、まず津波の実態調査を受けて、今回の津波災害の特徴とか教訓を整理して参ります。それから津波の外力設定調査とか海岸線防護の手法、堤防の被災の分析とか構造上の工夫等を受けて、復旧海岸堤防の高さとか構造に反映させますし、また復興のまちづくりの検討とか、避難ビルの構造上の要件に関する基準とか、津波防災地域づくり、国会でこの間審議いただきましたが、そういう法案づくりにB、C、Dの調査を反映していくということになっております。その後、避難防災情報の信頼性向上とか減災のための市街地整備といったもので順次結果を出していって、今回の被災地への復旧・復興とか今後発生が懸念される西日本の津波対策へ反映していくことを目指しているものでございます。

・ 更に分担する研究の内容を細分しまして、担当する研究室と年次計画を示したものがこちらのスライドになります。このうち主なものを、以下、スライドで説明して参ります。

・ こちらが外力の調査検討の話でございますが、こちらは海岸堤防の高さを決めるのに重要になるレベル1津波の水位設定方法でございますが、これは、湾とか一区切りの沿岸を地域海岸という形でくくりまして、それぞれの地域海岸で横方向に年をとりまして、縦方向に津波の外力として海岸付近の津波高さをとります。こちらにあります◆はその年に起こった津波イベントです。こういうたくさんのイベントの中でどういう津波の外力が来たかというのを整理してみると、数十年から100数十年に一度の津波群と、それを大きく上回るものが区分できるということでございます。こういう考え方を7月に本省の課長通知で出しまして、復旧に活かしているということになっております。

・ 次が海岸堤防の構造見直しの話でございますが、こちらは現地で被災状況のデータを集めまして、また痕跡等の外力調査も集めまして、それらの比較から被災原因の分析とかを行い、また水理実験とか数値解析等も行い被災要因を分析して、構造をどう見直していったらより粘り強くなるのかということを検討していくものでございます。こちらも、大まかな方針につきましては、11月に復旧についての緊急提言という形で各都道府県に示されております。

・ こちらは津波ハザードの評価あるいは氾濫流の制御に関する減災において重要になる津波浸水シミュレーションです。これにつきましては、標準的な手法というものを手引きとして7月に緊急的に取りまとめさせていただきまして、各被災地とか全国に通知しているところでございます。

・ こちらは昨年度評価いただきました津波浸水評価想定システムでございますが、こちらにつきましても、気象庁の方で警報の出し方を変えていくという話がありますので、そういうものを受けて必要な見直しを行って、検討を進めていきたいと考えています。

・ こちらは津波避難ビル等の構造上の要件に係る暫定指針の概要ということで、これも11月に都道府県あてに通知が出されております。これは避難ビルが津波に対してどういう構造を持たなければならないかというものの基準ですが、従来のガイドラインですと、津波がないときの浸水深に対して、その3倍の水圧を考えましょうということになっていましたが、今回の被災地にあります建築物等の調査を行いまして、必要に応じてこの津波の外力を3倍から2倍あるいは1.5倍に軽減できるというように緩和しているものでございます。

・ その緩和をすることによって、建物の規模が5m、10m、15m等でそれぞれ2倍、1.5倍とすることによってこれぐらいの大きさになるというものがまとめられております。今後、実務上活かすための資料づくりを進めて参るということになっております。

・ こちらはDの津波減災対策としての市街地整備に関する検討です。こちらは春先に評価いただいたもののうちの津波部分になります。ここでは津波避難シミュレータというものを開発して、そのシミュレータを使って津波の安全性能を評価していく。その評価の中で避難に対する阻害要因を抽出しまして、それを解消するにはどのようなことをしていったら良いかということを検討しまして、それを計画手法として取りまとめていくということになります。

・ こちらの成果の反映先としましては、防災都市づくり計画の策定指針というのがございますので、こちらに反映して津波対策に活かしていくということになるかと思います。

・ こちらは研究実施体制になりますが、今申し上げたような研究を、研究所内の4研究部・センターで体制を組んで実施して参ります。また、関連するものとしまして、例えば海岸林とか、二線堤として連携する可能性のある道路とか、地震関連の安全性能とか、そういった意味で3研究部・センターとも所内で連携して参ります。また、外部とは、学会とか各種検討委員会の検討と連携して進めて参ります。また、本省の関係課とも密接に連携しながら進めて参ることになっております。また、被災地の復旧・復興に反映していこうということで、現地の県とか現場事務所とか市町村の検討とも連動しながら進めていくということで実施しているところでございます。

・ 今申し上げたことを研究フローとしてまとめたものがこちらになります。@の実態調査におきましては、津波の痕跡調査では合同調査グループが学会を中心に組まれておりますが、そこに参画いたしましたし、また各地被災を受けた現場でのデータ等をよく共有しながら進めて参りましたし、過去の地震の起こり方等の知見も活かした上で、次につなげるものを得てきたということでございます。また、方針につきましては、中央防災会議の専門調査会の報告とか学会の委員会の報告などを受けまして、2段階の外力設定というものを受けている。そこで外力設定調査を行って、設計時の設定方法とか手引きを作っているということでございます。ここで海岸の復旧後の姿が明らかになりまして、これを受けて、より大きなL2津波でどういうハザードが来るのか、またどう制御していったら良いかということを検討して参りますし、また土地利用とか陸地における減災とかを検討して、被災地の復旧・復興、今後の西日本の対策に活かしていくということで進めて参っております。

・ 最後に、23年度で成果をたくさん出していくのですが、その進捗状況をこちらにまとめております。上の2つは7月に出しておりますし、真ん中の2つは11月に進めております。次の3つは年内前後で取りまとめるべく、今実施しているところでございます。そのほかのものも順次成果を出していくことで考えております。また、研究の性質上、直営の検討とか当初予算の組みかえとか補正予算等で対応してきているところでございます。また、今後の推移に応じて順応的に組みかえて実施していきたいと考えているところでございます。
 以上、説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 それでは、ご質問、ご意見があれば、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 資料を見ていると、私は7月にも聞いているのかも知れないのですが、ひょっとしたらそのときにも同じコメントをしているかも知れませんが、例えば港の方では、全国にまだ40ぐらいしかないですが、GPS波浪計を配置しているとか、津波防波堤、ふだんの防波堤とか、そういう港湾さんの技術の部分もありますよね。せっかくですから、横須賀の方々もこのプロジェクトの中に巻き込んだ方がもっと高度かつ総合的な防災対策のプロジェクトになると思うのですが、その余地はないのですか。

【国総研】 ここで「等」という形で書いておりますが、必要に応じて港湾さんで出されたのももちろん取り込んで、有効に連携して進めて参りたいと思っているところでございます。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。おられませんか。
 では、私から。
 既に動いている研究課題と今年スタートしたものが、ともに非常に大きな津波を対象としていることで、一体化された。特に、建物の研究課題にも津波解析情報がフィードバックされて精査されるといううまい連携が可能であることから見直しがされたと思います。
研究期間は26年度までということで、今年を含めると4年間ということで、スライドで言うと6枚目とか5枚目のところで、どういう内容を研究するのかというと、実態調査をされて、津波の外力等のことも評価されるということかと思います。そこで、最終的に26年度は何をされるのかなと思うと、津波の河川遡上を考慮した河川計画立案手法と、上にもこれと同じ薄い色がつけている。この色の付け方や違いの意味をしっかりと分かっていませんが、避難安全性評価手法、減災のための市街地整備計画手法も同時にやられるということだと思うのです。そういう見方をすると、最後の17ページでは、多くの手引きとか設定方法とかが24年にもうできていて、津波浸水想定システムは23、24、25年にできるということで、研究項目のかなりものは終わってしまっているのに、後半25、26年で何をやるのかなという感じもするのです。
もちろん最後の取りまとめが非常に大きなウエートを持っていることは理解するのですが、言いかえると、それをもう少しブレークダウンした形でどういう研究項目が必要なのかを具体的に書いていただいた方がよいかと。大項目は最初の大きな大目標であって、それはずっとやっているのだと言われてしまうと最終的な評価で分かりにくくなるので、25、26年というのは、今年と来年度で出てきたツールみたいなものを使ってより具体的なものを作っていくという程度の理解しかないのですが、もう少しやろうとされている項目があればお話しいただけますか。

【国総研】 何分今回の津波対応で緊急的に取りまとめている部分もございまして、積み残しも出てきつつありますし、また出てくるものもあると思っていますので、そういったもので片づけられるものは反映したいと思っております。

【国総研】 ちょっと補足します。
 23年度に復旧・復興とリンクしておりますので、相当の研究成果は今年度中に生み出す必要があります。いや応なしに多くの項目の成果の積み上げが今年度になされるのは事実でございます。今、室長が申し上げたように、その上で積み残しもあるでしょう。それから、どうしても急いでやっておりますので、最後、一番重要な、個々のパーツを作った後の、地域にうまく反映できる形での避難とか地域づくりのあり方、総合的な評価の部分は24、25、26年で相当な議論が必要であると思います。それから、まだ不透明な部分、例えば西日本の東南海とか南海の外力がどうなるかとか、そういう与条件がまだはっきりしないものもございます。そういう意味で、今年度に重点を置きながら、そういう新しい展開を十分見据えて年度ごとにしっかり研究計画の見直しをしつつ、24、25、26年と、より総合的な形で物を示していくというステップを考えているというので、こういう形にさせていただきました。そういう意味で、必ずしも24、25、26年、通常の研究のように全部のパーツが最終年でぱっとなるという形になってないところはご理解いただけるとありがたいと思います。

【主 査】 そのようにしっかり計画が立てられるということなので、表示上はこのような形になりますが、絶えず新しい知見なり必要性が出てくるということだと思います。
 先ほども出ましたが、最終的にレベル1、レベル2、あるいは津波の設定方法はこうするのだという明確な方針が決まって、ではどう防護すれば良いのかとか、減災なり、氾濫する状態の中でまちづくりについてどう考えれば良いかというところが最終的に出てくると。今回の対応としては、最終年度に近いところになればなるほど地域との強いつながりを持って実施されることが必要かと思うのですが、体制としては、具体的に東北とかを場にしてやられるというような研究体制になっているのは、市町村、関係機関というのは今回の津波のところを中心にやられることになるわけですね。

【国総研】 はい。西日本をどれぐらい入れるかは、今後に。

【主 査】 西日本はあくまでも、外力が決まってくるとシナリオを作っていくことになるわけですね。分かりました。
 ほかにご質問とかご意見はございますでしょうか。

【委 員】 10番という手書きの番号を書いてあるところで、津波浸水想定システムをつくられるというのは良いのですが、表題に「避難・防災情報の信頼性向上」というのがありますよね。これはこういうシステムを通じることでということだと思うのですが、特に情報の信頼性向上ということについてはかなりいろいろな要素が組み合わさってできていて、しかも極めて重要なことだと思うのです。それをこういう形で1項目として挙げてしまうのはちょっと荷が重いのかなと。津波浸水想定システムをつくられるということには非常に賛成ですが、これをもって防災情報の信頼性向上とすぐに行くものではなくて、本当に多方面からのアプローチが必要だと思うのです。だから、この辺については、信頼性向上まで言わなくても良いのかなという感じがしているのですが。

【国総研】 目指しているところ、ここに貢献したいという意味で入れたのが目立ち過ぎたかも知れません。昨年度の評価でも重々そういう指摘をいただいておりまして、防災心理とかそういうところもしっかりやれというご意見をいただいておりますので、ほかのものとも連携しながら地道に進めて参りたいと思います。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 これは質問ではないのですが、今、東日本大震災の津波被害を受けたところは、補正予算も通って、さあ次どうするかということは決まっているのですが、どう復興まちづくりをするかという合意がなかなか得られない状況にあると思うのです。合意を得るためには、今回のように津波でこうなりますということをある程度科学的な知見で提供することが大事であり、それによってより方向性が明確になると思います。
今回の研究成果となる、どういう建物を建てることによって、みんな高台に行くのではなくて平地にも住めるかも分からないということを考えると、来年度予定している市街地で検討というのはもう少し前倒しして、成果について情報発信することが世の中的には求められているかと思うのです。現実にはすぐにというのは難しいのですが、そこら辺の成果の公表について戦略みたいなものは何か考えていらっしゃるのでしょうか。研究進行図の描き方としてこうなっただけで、実は既にいろいろと考えておられるのかも分かりませんが、今求められているものとしては復興まちづくり構想を実現するための最終的な整備手法かと思うのです。そこら辺は今年度からというのは難しいですか。

【国総研】 準備は今年度からしておりまして、都市局などがしているアンケート調査の結果も取り寄せておりますので、そういった準備はもう始めております。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 もしないようでしたら、お手元の事前評価シートにご記入をいただきたいと思います。

(事前評価シート回収)

【主 査】 全委員のシートが集まりました。全員、「実施すべき」ということで、東日本大震災を受けて非常に重要なテーマに取り組んでいただきたいということです。是非、総合的な検討も含め、できるだけ早いアウトプットが期待されているというご意見がほとんどです。そういう意味では、総合的というのは、今回○○等と書かれたところも含めて、幅広く現場に役立つ形でいろいろな知見を整理していただきたいということと、この件については国総研がリーダーシップをとるという明確なメッセージを打ち出していただきたいというご意見が出ております。というように、実施すべきであるということと、是非積極的に推進していただきたいということで評価させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、以上のように評価させていただきます。どうもありがとうございました。

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【主 査】 それでは、事前評価2件終えまして、議題の4番目の「新規プロジェクト研究課題の報告」ということで、既に事項立て事前評価済みですが、今の状況を報告いただくということでございます。「超過外力と複合的自然災害に対する危機管理に関する研究」というテーマでございます。それでは、ご説明をお願いいたします。

【事務局】 この研究課題でございますが、7月に既に事項立て課題として事前の評価をいただいております。実施期間としましては平成24年度から26年度の3カ年で実施する計画となっている研究課題でございます。

【国総研】 それでは、「超過外力と複合的自然災害に対する危機管理に関する研究」のその後の検討状況についてご説明したいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ 前回の7月21日の研究評価委員会での指摘事項といたしましては、総合評価は、ここに記載していますように「実施すべき」。その際、コスト面についての評価、それから他省庁や他の研究所との連携について留意という評価をいただきまして、特に留意事項として、成果の反映先の明確化、社会へのアウトリーチの明確化、また研究対象について、想定災害などについての焦点を絞った検討を進めること、また対策について、コスト面の評価とかハード・ソフトの組み合わせといった点について留意すること、それから社会的許容リスクの設定、危機管理方策に関する新しい提案をするようにというご指摘をいただいております。

・ 東日本大震災を踏まえましての、その後の私どものいろいろな動きのフォローの状況でございます。ここに記載されているのは、すべて外部の一般的な動きですので、詳細のご説明はいたしませんが、政府においては、東日本大震災からの復興の基本方針の検討が進められております。また、中央防災会議では、東日本大震災を教訓とした専門調査会、それから南海トラフ、首都直下地震、台風災害などとの複合に関しての様々な検討が進められております。また、いわゆる3連動につきましては、南海トラフの巨大地震モデル検討会、こういったところの検討が進められておりまして、これらの動きについての情報を継続して収集しているところでございます。

・ 成果の目標といたしましては、前回のご指摘等をいただきまして、幾つか微修正を施しております。赤字の部分が特にご指摘にこたえるべく修正をした箇所でございまして、2つ目のところで言いますと、災害発生のシナリオの構築手法を作るというアウトプットを明確化しようとしております。3つ目のところでございますが、リスクと影響度に関する指標と分析手法、こういった中でコストの考え方を取り入れていくべきと考えております。4つ目の部分でございますが、減災に向けた効果の高い多段階の対策メニューということで、ハード・ソフトの組み合わせをしっかり研究の中に取り込んでいきたいと思っております。最後に、シナリオ別に複合災害対策の考え方を示すことで社会へのアウトリーチを明確化しようというように目標を修正しております。
 その後の7月以降の検討の中では、先ほどご紹介いたしました東日本大震災の復興等に関する様々な動き、そのほかに、台風12号での山間部の土砂崩壊と河道閉塞といった災害が同時多発した事例、それから台風15号で名古屋市内において大量の避難勧告が出された、これも1つの超過外力というか想定を超える災害ということで、こうした事例も取り込んで研究を進める方針としております。各種の施策や3連動の検討も進められておりますが、これは情報を取り込んで成果に組み込むことにしております。

・ 国総研の内部におきましては、国総研危機管理勉強会という会を設置いたしまして、この中で「従来の想定を超える自然災害への対応」というミーティングを行っております。現在まで、10月と11月に2回開催しておりまして、今後も必要に応じて開催していこうと考えておりますが、この中の議論といたしましては、限界性能を超える想定外力への備えということで、様々なソフト面でのレベルアップすべき事項についてとか、施設の機能の考え方、早期回復や様々な選択肢、それから、100点満点でなくても、機能喪失、粘り強い対策ということのご意見とか、想定外の枠を広げるために許容リスクの考え方を整理すべき、都市計画とかそういう計画論的な部分にも手を広げるべき、こういったご意見をいただきながら検討を進めている状況でございます。

・ 後ろに2枚ほどつけているのは、その際に資料として作成したものを参考としてつけておりますが、ハードとソフトの組み合わせをとらえた場合に、そこにどんな問題点があるのか、論点があるのか。現在のところでは、はっきり言いまして、ソフトはハードの代替というイメージがありますので、そういったところを超えなければならないとか、そういった議論を進めております。

・ これは、国土交通省の従来の施策について、事前・事後、それからハード・ソフトという軸で整理したものですが、今後こういった軸の中でもっといろいろな施策を整備していく、こういった作業を進めながら来年度に向けての準備を進めたいと思っております。
 以上、駆け足でございますが、宜しくお願いします。

【主 査】 それでは、一度事前評価をしておりますので、この時点で追加でアドバイス、今後どう進めれば良いかというようなご意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 細かい話だし、いろいろ議論をやると時間がかかってしまうのですが、一番最後の絵でちょっと気になったのは、例えば復興計画を作るのにすごく時間がかかっているとか、今回多くの市町村がああいう状況になったわけですから時間がかかっているということもあるのですが、事前に何らかの形で将来の絵を作っておくということも1つの備えだと思うのです。ですから、復興計画策定支援というのが発災の後ろに入っているのですが、実は前の方に何らかの格好で入っていても良いのではないかと最近思っているところだし、いろいろな学会の提言の中にも入っていたりするものですから、その辺のご検討も加えていただけるとありがたいと思います。

【国総研】 ご指導ありがとうございます。事前復興計画論ということだと思いますが、例えば瓦れきの問題とか、そういう細かい項目については進んでいる部分もありますし、また、都市計画とかそういうところをどのぐらい広げるかというのは研究の中でしっかり意識して進めたいと思っております。宜しくお願いします。

【主 査】 ほかにいかがでしょうか。
 私の方から。
 来年度からスタートするので、最後の2枚は今の段階でいろいろ考えて絵を描かれたので、これでとやかく言うのは失礼だと思うのですが、若干気になっている表現があったので申し上げます。「ハードは高価、ソフトは安価?」で、「?」がついているから良いのかも分かりませんが、対比すると分かりやすいつもりで書かれたと思うのですが、実はソフトというのは、事前もあるだろうし、いろいろあるので、それが絵になってしまうと若干気になってしまって、そうすると次の絵も、時間軸は矢印がありますが、対策軸は両方に矢印がないとおかしいとか、表現の方法を適切にしないと、せっかく良い内容にしようとしているのに方向性を狂いがでてしまうと思うので、ご留意いただければ良いかなと思っています。
 その意味においては、今回の場合は大きな災害が起きるぐらいの外力があったときに、複合的な自然災害としてとらえたときにというところが非常に重要なのかなと思っています。東日本大震災は複合的な災害だったわけで、研究計画の中で、事例収集、整理というのが24、25年でとまっていますが、ある意味、非常に大きな災害の場合には、長いタームでどう対応していたかということをしっかりと残していくことが重要だと思います。事例収集、整理のメインは最初の年と2年目なのかも分かりませんが、絶えず、1年目に行うこと、2年目に行うこと、3年目にも行うなど計画の中では絶えず続けていくような部分を確保することもよいかと思います。大きな災害に対してどう対応すれば良いのかということとか、複合的な問題が1年後に別の形で起きることもあると思うので、是非そういった点も留意して研究の実施を考えていただくと良いかなと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、ほかにないようでしたら、これはあくまでも助言をするということですので、どうもご説明ありがとうございました。是非より良い成果を出すように推進していただければと思います。
 それでは、本日の第一部会で担当する研究課題の評価を一通り終えました。ご意見もいただきました。本日評価いただいたものは評価シートに書いていただいておりますので、今日の議論をもとに最終的に取りまとめていくということにさせていただきたいと思います。取りまとめについては、事務局と、併せて私にご一任いただくということで、委員の方々、よろしいでしょうか。
 これで一通り評価は終わりましたが、評価委員会全体を通じて委員の方からご意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。特にございませんか。
 それでは、以上、予定された議事の(1)から(4)ということで終わりましたので、「その他」ということで、事務局にお返ししたいと思います。

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【事務局】 それでは、「その他」としまして、今後の予定等についてご説明いたします。
 まず評価結果についてですが、主査とご相談して最終決定しまして、本省と国総研のホームページで公表する予定でございます。
 議事録につきましては、委員の皆様方に後日メールで内容確認をお願いしたいと思います。その結果を踏まて国総研ホームページ上で公開する予定でございます。
 本日の資料等につきましては、国総研資料ということで発行を予定しております。紙で刊行すると同時にホームページ上でも公開する予定でございます。
 それから、本日の資料でございますが、お手元に封筒を配付させていただいておりますので、そちらの中に入れてそのまま置いておいていただければ、後日郵送させていただきますので、そのままお手元に置いていただければと思います。

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【所 長】 本日は、長時間に渡りまして、いつもながら熱心なご審議を本当にありがとうございました。本日いただきましたご指摘、あるいはたくさんのアドバイスを糧に、今後とも研究に注力していきたいと思っております。引き続きご指導を宜しくお願い申し上げたいと思います。
 来年からの課題についての予算要求、これはどうしても地震に偏るだろうと思っていて、できるだけ偏らないようにと注意はしたのですが、結局今日の後半の3課題、第一部会に関わることは、地震だけではなくて土砂の話もありましたが、防災関係になりました。これはある意味でいたし方ないとは思うのですが、こういった大きな災害が続いた年ですので、この一連の研究で防災に関して1つのエポックになったと後で言ってもらえるような研究に是非したいと思っております。最後のところで危機管理勉強会と言っていましたが、内部で、もう想定外と言う言葉は恥ずかしいからできるだけ使わないようにしようというのを1つの合言葉にして、今までは無理だと思って遠ざけていたようなことも、ともかく今回枠を外して検討することはしようということで始めた集まりですので、こういった場も活用しながら、研究の目標は慎重に設定しないといけませんが、チャレンジングな気持ちだけは失わないように頑張っていきたいと思いますので、今後ともご指導を宜しくお願い申し上げたいと思います。
 最後に1つだけお知らせがありまして、実は、今年の震災の後、連休前に一度報告会を、国総研、土研、建研ということでやらせていただきました。半日の短い時間でしたが、土木、港湾、建築全般が見渡せたということで非常に好評をいただきまして、次はいつやるのだとずっと言われておりました。ただ、それぞれ出しやすいところ、出しにくいところ、進捗状況もいろいろで、なかなか開けなかったのですが、内部でもそろそろ話したいことがたまってきたようですので、場所を探しまして、何とか3月13日に東京で、それから、地方でもやってほしいという話がかなりありましたので、3月21日に大阪で、それぞれ報告会。今回は土木研究所と共催ということで、建築研究所、港空研の方はその直近に独自の報告会があるようですので、両方見ていただくということにして開催したいと思います。また、ご連絡もいたしますので、もし時間がございましたら、おいでいただければと思います。
 今日は本当に長い間ありがとうございました。今後とも宜しくお願い申し上げます。

6.閉  会

【事務局】 それでは、以上をもちまして第7回研究評価委員会分科会(第一部会)を閉会いたします。本日は長時間に渡るご審議、ありがとうございました。

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