平成23年度 第5回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第二部会)

議 事 録


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平成23年度第5回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第二部会)

平成23年12月8日

【事務局】 予定の時間となっておりますので、平成23年度第5回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会の第二部会を始めたいと思います。
 開会に当たりまして、国総研所長の○○よりご挨拶させていただきます。

【所 長】 それでは一言ご挨拶申し上げます。
本日は、師走の本当にご多忙の中、また寒い中、お集まりいただきましてありがとうございます。前回は7月だったと思うのですが、予算要求に先立って新規課題について事前評価いただきました。
 今回は、今、説明がありましたように、研究所としての重要課題でありますプロジェクト研究の事後評価と新規の事前評価をいただくわけですが、普通の年でしたら今ごろになるとそろそろ予算の内示はいつかということがささやかれている頃ですが、今聞こえているのは全然めどが立っていないということだけで、このところ、予算がいつ頃どういう形で成立するかというのが分からないというのが平年になってしまいました。それでも、7月以降いろいろヒアリングなどがありまして、大体どの辺の予算がつきそうかというのは見当がつきつつありますので、多少確度を持ったお話ができるのではないかと思います。
 今年は3月11日の東日本大震災発災以来、特に関係する研究部も本当に大活躍をしてくれていると思います。4月26日に国総研としての震災の報告会を、建築研究所、土木研究所と一緒にいたしましたところ、非常に好評でありまして、次はいつやるのだということを随分言われていたのですが、なかなか足並みがそろわないところがありまして延び延びになっていたのですが、何とか来年3月13日に東京に会場が取れそうだと。それから、実は地方でも開催してほしいという声がありまして、21日に大阪でもできることになりました。1年が経ちまして、部長・センター長の皆さんの顔を見ていると、そろそろ何かしゃべりたいという雰囲気になってきておりますので、是非また機会がありましたらおいでいただければと思います。
 最後は予告になってしまいましたが、本日は長時間ですが、是非宜しくご審議をお願い申し上げます。

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【事務局】 続きまして、○○主査から一言ご挨拶をいただければと存じます。

【主 査】 ○○でございます。皆様、本日は、先ほど○○所長からもご挨拶がございましたように、暮れの押し迫る中、ご参集いただきましてありがとうございます。今ご説明がございましたように、この国総研の役割はますます重くなっていっていると認識しております。きょうは、ご案内がございましたように、既に終わった課題の評価ということになりますが、研究というのは、釈迦に説法ですがPDCAサイクルで、良いレビューがあってまた次のステップにつながるものだと思っておりますので、忌憚のない、将来につながるご評価をいただければと思っております。
 また、今日ご出席の委員方は、12月ということもございまして時間制約のある委員の方もいらっしゃいますので、事務局の方には恐縮でございますが、拙速にするつもりはございませんが、時間進行を、我々も気をつけますが、事務局も時間進行の厳格化を宜しくお願いしたいと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

【事務局】それでは、以降の進行につきましては○○主査にお願いしたいと思います。○○さん、宜しくお願いいたします。

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【主 査】 それでは議事に入らせていただきます。まず、本日の評価方法などにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 お手元の資料2をご覧いただければと思います。「個別研究課題の評価方法等について」という資料でございます。
 まず、本日の評価対象でございますが、先ほどもお話がありましたように、22年度に終了した事項立て研究課題、プロジェクト研究課題です。それから、来年度もしくは今年度からというのもありますが、新規プロジェクトの研究を開始するに当たっての事前評価ということで対象となっております。
 なお、その資料の一番最後のページでございますが、これら事項立てプロジェクト研究というものは国総研で重点的に推進する研究課題ということで、これら2つのカテゴリーを設けておりまして、各分野における専門的視点から本日評価をいただければと存じます。
 事項立て研究課題というものは、国総研が自ら課題を設定して行政部費で研究予算を確保して実施する研究課題でございます。それからプロジェクト研究課題と申しますのは、研究開発目標を共有する研究を束ねるなど、研究所として重点的に推進する研究でございます。
 事項立て研究課題につきましては、事前評価は、予算要求に必要になりますので、7月に行う分科会で事前に評価をいただいておりますので、本日行っていただきますのは、事項立て研究課題、プロジェクト研究課題の事後評価と、それからプロジェクト研究課題の事前評価ということで、このページの赤で書いております部分の評価となります。
 それでは1ページ目に戻っていただきまして、評価の視点でございます。事後評価につきましては、必要性、効率性、有効性の観点から、目標設定の妥当性ですとか、研究成果の活用方針の妥当性などの項目を踏まえまして、ご評価をいただければと思っております。
 事前評価につきましては、同じく必要性、効率性、有効性の観点から、目標設定の妥当性等これらについて評価をいただければと考えております。
 本日の進め方でございます。当部会が担当となっております研究課題ごとに評価を行っていただくこととしております。最初に研究課題についてご説明を事務局からいたします。その後、他部会等から意見をいただいて、それがある場合についてはそれらをご紹介するということをしております。更に、本日ご出席いただいた各委員の方からご意見をいただきまして、それらについては逐次お手元の評価シートにご記入いただければと思います。審議時間が経過しましたら、最後、評価シートを集めまして、それをもとに主査から、最後、総括をお願いしたいと思います。
個別の時間配分につきましては、3枚目に記載しておりますが、事後評価につきましては説明と質疑応答等を含めまして1件当たり40分。事前評価につきましては説明と質疑応答を含めて25分ということで設定をしております。
それから1ページ目の裏側を見ていただきまして、評価結果のとりまとめについてでございますが、審議内容、評価シート及び事前意見をもとに、後日、主査名で最終的な研究課題の評価結果としてとりまとめたいと考えております。なお、評価結果につきましては、研究評価委員会、いわゆる親委員会に報告をしたいと考えております。
評価結果の公表についてでございますが、評価結果は議事録とともに公表したいと考えております。なお、議事録における発言者名についてでございますが、自由闊達にご意見をいただきたいということもありますので、個人名は記載せずに、「主査」、「委員」、「事務局」、「国総研」等として表記したいと考えております。
 なお、今後の予定につきましては、その下に記載しておりますが、本日第二部会、明日、港湾関係の第三部会、翌週13日に土木関係の第一部会を開催する予定でございます。以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。今のご説明にご質問、ご意見などございますでしょうか。ございませんか。
 では、ないようですので、早速、平成22年度の終了研究課題についての事後評価に入りたいと思います。

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【主 査】 まず最初は「人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究」でございます。それでは15分ということになっておりますので、時刻の厳守でご説明をお願いいたします。

【事務局】 この課題は事項立て研究課題ということで実施されたものの事後評価でございます。

【国総研】 都市研究部の○○でございます。早速ではございますが、この課題の説明を申し上げたいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ まず最初に、研究の背景・目的でございますが、我が国の地方都市での持続可能な都市の構築の必要性ということがございます。市街地が、特に地方部において拡散的に拡大し、人口減少や超高齢化、財政・環境制約の増大という中で、その達成が危うくなってきているということでございます。

・ 次に、地方都市でこういった持続可能な都市を可能としようというために、集約型都市構造、いわゆるコンパクトシティというものの展開の必要性が、特に国土交通省あるいはそれぞれの都市において叫ばれておりますが、各都市で目指すべき具体的将来像や、その客観的理由というのは不十分であるという状況がございます。図の下の方にありますのは、有名な富山市の都市マスタープランでございますが、いわゆる一般型の左側の集約型とは違って、右側の串とだんごと言われる集約コンパクトシティを目指すと言っておりますが、例えば一般の他のある都市ではどちらを目指すべきか、あるいはそれはなぜなのか。あるいは集約拠点のようなものに関しても、どこを選択してどこを選択しないのか、あるいは選択されないところに対して、ある種の痛みに対して、どういう手当てをどこまで行うべきかというようなことに関する説明責任というのが今後出てくるだろうと。
 また、人口減少期ということを特に考えていきますと、今後は痛みを分け合うとか、あるいは痛みを最小限にとどめる都市計画の必要性があって、選択と集中、あるいは市街地の集約と縮退ということで、まず痛みの問題と向き合わざるを得ないなど、そういった選択・集中に関する必要性の広範な理解と、客観・公平な判断というものが必要になってくるだろうと。
 こういうことを考えていきますと、将来都市構造の選択に関する、客観的で分かりやすく、定量的で比較可能な予測・評価のツールが必要だろうということで、こういったツールを用いて複数の施策案を比較・評価することによって合理的な選択を可能とするようなアセスメント技術の体系を目指そうというものが研究目的でございまして、対象は日本の人口減少期に見舞われております地方都市でございます。

・ 研究目標・成果でございますが、自治体におけるアセスメントの流れを、データの収集の加工、施策オプションの作成、将来都市構造の予測、将来都市構造の評価、そして採用案の決定という5段階で考えておりまして、それぞれに対するアセスメントのイメージというものを描きまして、これに対応する研究内容といたしまして、データ活用手法の開発、施策オプション群の体系化、将来都市構造予測手法の開発、将来都市構造評価手法の開発、そして全体をとりまとめる統合的アセスメントツールの開発という5つの構成で研究を進めました。
 成果の活用といたしましては、こうした開発したアセスメントツールを自治体等で活用することによって、持続可能な都市の構築の推進、あるいは長期的な行政コスト等の削減に資するというように考えています。

・ 研究の成果目標ですが、今申し上げました左側の5つの研究開発で構成しておりまして、予算とか時間が限られている中で、特にツールにかかわる評価手法、予測手法、そしてアセスメントツールの開発という部分について重点を置いて研究を進めました。
 説明におきましては、まず最初にツールの開発の概要について説明した後に、ツールをケーススタディー都市に適用したスタディーの内容を説明いたします。

・ 研究成果の中の将来像アセスメントツールの開発でございますが、先ほどのアセスメントの流れを左に示しておりますが、これに対応する形でアセスメントツールの構造というものを考えました。代替案の設定等のデータを作成して入力すると、その結果が予測モデルというもの、これは土地利用と交通が相互に影響し合う形で将来予測される土地利用交通モデルというものを中心に置きまして、それに他の予測を少し組み合わせる形で、施策群の都市構造への影響を予測するという形にしておりまして、その結果を代替案への評価という形で評価モデルにおいて、暮らし、安全、環境、活力、コストの5分野に渡って評価すると。最終的にこれが表示・集計という形で出力されて、その結果を参照して、都市構造の計画の採択と、簡単に申し上げるとこういう流れで考えて研究を進めてきました。

・ 研究成果内容のうちの予測手法の開発につきましてですが、研究の手順といたしまして、まず、内外の土地利用交通モデルの適用性の評価を行いました。ベースとして、先ほど申しました土地利用交通モデルを採用した上で、欧米でのアセスメントの事例について海外にヒアリング調査などを行いました。例えば、イギリスのケンブリッジ市でグリーンベルトを今後どうするかというようなことと、交通計画にかかわるCambridge Futuresとか、ポートランド大都市圏におけるGrowth Concept 2040における都市成長案の選択だとか、こういったものに土地利用交通モデルが使われておりますが、人口増加基調下で検討した事例が多いという状況がございます。
 こういったものを使われているモデルにつきまして、開発の背景ですとか適用例、基礎理論、実用上例えば人口減少にどう使えるかというようなことを整理しております。

・ 次に、日本の都市への適用を踏まえて仕様を検討いたしました。モジュールを入れ替え可能な比較的単純なモデル構造にして、土地利用と交通については、土地利用と交通が同時期に均衡するのではなくて、土地利用が交通に影響を与えて、交通が次期の土地利用に影響を与えるというような、漸進的相互作用を採用して計算時間短縮を図ったと。また、世帯タイプ、右に示すような15のタイプを想定しまして、あるいは建物床というものを明示的に扱うようにしております。更に、高齢化あるいは人口減少の中での世帯移動ということに関しまして、世帯タイプによって移転のしやすさというのが変わってくるということを反映するために、世帯タイプごとに残留率というものを設定いたしました。また、解析的には、土地利用と交通など、データ集計単位がどうしても統計で異なってくるということから、それらのゾーンサイズを調整するような機能を組み込んでおります。

・ こちらが完成した都市構造予測モデルの詳細構造でございまして、大まかに申し上げますと、上の方に入力がありまして、施策だとか現況などが入力されて、そして予測モデルのうち右側が交通モデル、これは4段階推計法。そして左側が土地利用モデル。土地利用モデルについて示すと、左側に世帯立地と人口分布を予測するためのモデルと、右側に企業立地あるいは従業者分布を予測するためのモデルがあって、これがアクセシビリティだとか土地床供給において調整がなされると。それで最終的に出力がなされるという構造になっております。

・ 次に、評価手法の開発に関しまして説明申し上げます。指標の設定と算定式の作成におきましては、ここに示しましたような内外の事例・計画・調査・研究を参考といたしました。その上で、社会資本整備重点計画に挙げます4分野と行政コストに渡る36のアセスメント指標を採用いたしました。右側の図に、その分野、小分類、主要な指標名、モジュール化の内容について示しております。また。各仕様の算定式を作成し、これをプログラムとして構築しました。

・ 特に行政サービスコストにつきましては、人口減少期において特に重要な指標として詳細に検討いたしました。例えば自治体に対するコストの検討状況等のアンケート調査を行う。あるいはいろいろなところで行われている既存検討等のレビューを行う。その上でコスト算定項目と手法を整理いたしました。
 算定対象・算定方法につきましては、次のように考えました。算定方法の違いに着目して4つの行政サービスコスト指標を抽出いたしました。ネットワーク型、拠点型、施設系、サービス。こういう整理をすることによりまして、算定方法が類似の行政サービスコストへの適用というのも今後可能になるだろうと。採用したコスト項目としては、道路、公共交通、小・中学校、訪問介護になります。その上で標準的な原単位を所与とした上で、対象都市で独自のものに入れ替え可能になるようにして、算定方法・算定式を整理しましてプログラム化いたしました。

・ 更にこれらの結果につきまして、その妥当性を検証するために、都市タイプごとに仮想都市モデル、これは1つの例ですが、このような単核の都市のモデルを仮想的に考えまして、その上でいろいろなモデルを使っていろいろな条件を変えていったときに、算出値の検証をいたしました。入力値の出力の挙動に関する感度分析だとか、あるいは行政コストと利便性のようにトレードオフ関係にあるものについて、それがきちんと表れているかどうかについて検証いたしました。

・ 次に、ケーススタディーによる検証についてご説明申し上げます。ケーススタディーは北海道の道央都市圏及びその一部としての北海道の小樽市、更に新潟県の上越市を対象といたしております。いずれも、特に道央都市圏が一番人口的には伸びが、最近まで伸びてきたのですが2010年から人口減に転じている。小樽市、上越市については、ここ30年以上人口減少が続くと。小樽については、大都市圏の中の札幌市の影響を受けやすい地域であるということと、あとデータがどれぐらい取れるかというようなことも含めて検証いたしました。

・ 代替案の作成ですが、道央圏におきましては、札幌の中心部を都心、それぞれの区あるいは周辺の5市1町の中心部を拠点といたしまして、その拠点、都心への集約をどう考えるか、あるいは市街地の拡大をどう考えるかということで、このままの場合の現況趨勢、更に拡散型、更に集約を進めるような集約型の3タイプ、合わせて5タイプ。交通条件等もそのタイプごとに設定をして予測を行いました。詳しくは述べる時間がありませんが、それぞれのタイプにつきまして、右側に示すようなゾーンごとの人口分布予測というものが計算されております。

・ 上越市につきましては、もう少し市街地の実態を見まして、現状維持型は同様でございますが、将来市街地を拡大し続ける市街地拡大型、更に集約型といたしまして、現在のところ3拠点と、合併した町とか村があるのですが、それぞれすべての中心部に拠点配置する多極集中型と、3極だけに集中する3極集中型を考えて、それぞれに対して郊外から撤退するしないを合わせた4タイプを想定しております。こちらの右側がそれぞれのタイプでございまして、それぞれにつきまして詳しい設定をして予測をしております。

・ こちらが道央・小樽に対する指標の試算結果でございます。知見といたしましては、道央・小樽につきましては、まずアセスメントのあり方に関しては構成都市間の相互作用というものがかなり見られたと。こういうものを実施する際には対象範囲をどう設定するかというのがかなり重要であろうかということでございます。
 道央圏のアセスメント結果からの知見といたしましては、集約型施策によって評価指標群が改善するということがある程度見られた。あるいは集約型を3案採用いたしましたが、それによって都心や拠点への集約効果が違うということも確認いたしました。
 小樽市についての知見でございますが、総人口・世帯数だけ見てみれば拡散型をとるのが最も人口が増えるということが結果に出ておりますが、拠点での人口というものを見れば全く逆の傾向が現れると。拡散型の短所というものを多少は示しましたが、市全体の人口の増減の影響を受けるという意味で改善しない指標も見られました。

・ 上越についての指標の計算結果でございます。実施上の課題としましては、区域のずれ、行政と都市計画あるいは旧市町村間の関係というものが課題であろうと。代替案の作成方法に関しましては、拠点の配置とか市街地の範囲、あるいは基盤整備水準、大規模都市開発をどう実施するか、公共交通の整備とか維持水準をどうするか、更には、今回は実施していませんが、施設系(ハコモノ)をどう考慮するかによって、検討レベル向上の可能性があると考えられました。
 アセスメント結果からの知見でございますが、集約拠点を少なく絞り込んだり、市街地を縮退するということは、人口を集約する、あるいはCO2発生量、民生部門、あるいは道路維持管理コストの削減という意味でかなりの効果が見込めます。ただ、拠点地区の人口を増加させる、全体の人口が減っている中で増加させるためには、更なる手だてが必要であろうということもみえてきています。

・ 研究の実施体制でございますが、本省あるいは自治体、学識者などと緊密に情報交換、協力を得て進めております。

・ 今後の課題ですが、ツールの開発とアセスメント手順・課題は整理いたしまして、新たなる課題として、ツールの運用に関する技術的な知見、市街地の縮退策の現実的な方法論、全国的な傾向・地域特性の分析というようなことがあって、それぞれに対して取り組みを始めているところでございます。
 これらにつきまして、今後、自治体で活用を働きかけるということで、成果の普及・活用に努めております。
以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。それでは質疑応答に入っていきたいと思いますが、その前に、他部会の委員などからの意見の紹介がございましたら、事務局からお願いをいたします。

【事務局】 この課題につきましては、特段、他部会もしくは欠席委員からはご意見をいただいておりません。
 本日の進め方の説明の追加ですが、国総研の研究評価では、評価の公正さを確保するために、利害関係者は評価に加わらないといたしております。本日予定しております評価4件につきましては、出席委員におかれましては利害関係者はおられませんので、ご報告いたします。

【主 査】 皆さん、特にこの研究に関与されていませんか。
 それではそういう前提で、今のご説明につきまして、この研究に対する質疑や評価意見をお願いしたいと思います。ご自由にお願いいたします。

【委 員】 内閣府の環境モデル都市とか、今選定中の未来都市とか、要は共通の評価手法といいますか、こういったものがまさに求められている中で、タイムリーにこういう成果をまとめられたというのは、国総研としてもふさわしいテーマですし、時宜を得ているかなというのがまず感想でございます。たまたま10月にフィンランドでサスティナブル・ビルディングの世界大会でこの発表を拝聴して、ここまで詳細かつ具体的な手法がもう完成したのだというので実は驚いたといいますか素晴らしいなと、そのときも思ったのですが、質問としては、今後の展開ということになると思うのですが、日本だけではなくて世界中、都市の、特に未来、人口が減っていく中で、それをどういう方向に政策を持っていくのかというツールが求められていて、まだ実用的なツールがないと私は認識していて、国総研の成果を世界にもっとアピールして、日本が提案したものが世界標準になっていくように発展していってくれたら良いと思っているのですが、事後評価なので、今後の展開として、国際化といいますか国際的な取り組みについて何かあれば教えていただきたいと思います。

【国総研】 ありがとうございます。国際的な取り組み、その一部として既にフィンランドの国際会議等で発表しておりますが、その際にCIBのW101というワーキングで「都市のアセスメント手法」というテーマで、フィンランドなど研究者と意見交換をしたり、あるいは、アメリカの西海岸等での成長管理におきましては、実際の都市において土地利用交通モデルを使って代替案の作成をしている事例がかなりあるという状況を認識しておりまして、そこに対してヒアリングをてご意見とか状況を伺いつつ、成果についてもメールとかでお送りして意見をもらったりとか、そのようなことを進めております。併せて、国内の自治体への普及ということも進めていきたいと思います。ご助力等いただければありがたいと思っております。宜しくお願いいたします。

【主 査】 ○○委員、よろしいでしょうか。
 それでは他の委員方、いかがでございましょうか。○○委員どうぞ。

【委 員】 国総研だからこそできる調査研究だなと深く感じました。そういう中で、これを現実にどうつなげていくかという話が非常に重要であるので、その辺のところを伺いたいのと、今日ご発表を伺わせていただいて少し理解できていない部分もあるのですが、例えば将来都市構造評価モデルの中で暮らし・安全・環境・活力・コストというのがございまして、それで暮らし・安全・環境・活力に関しましては、指標が9ページ目のパワーポイントに出ているのでしょうか。それとコストというのが、非常にやはり自治体レベルでは大きな問題ですので、これがネックでいろいろ動けないということかなと思うのです。その辺との関係というのがどういうご説明だったのかということを確認したいというのが1つ目。
 2つ目は、先ほど申し上げました、現実に自治体さんの施策の方につなげていくための方法について、多分最後の18ページに出ているのかと思うのですが、その辺のお考え等がありましたら教えていただきたいということです。これは評価になっているのか分かりませんが、質問になってしまいますが、宜しくお願いします。

【国総研】 ありがとうございます。まず1点目の、予測結果とコストの評価との関係についてですが、予測モデルでは、土地利用に関して、昼・夜間の人口がゾーンごとにどう分布しているかと、交通量の状態についての結果が計算されまして、さらに代替案によってどれぐらいに道路が整備されるかが与えられます。それに応じまして、例えば道路については道路に対する維持管理等の原単位を掛け合わせたり、あるいは年齢別に予測される人口の分布に応じて小学校の学級数だとか、生徒数に対応する人口が出てくる。それを既存の施設あるいは計画している施設の中で収めようとすれば、どれだけのクラスが必要になって、それに対して先生がどれぐらい必要になる。更には学校の位置から遠いゾーンがあれば、そこに対して通学バス等の配慮が必要になるというようなことで、それぞれに対しまして全国的な原単位というものを推定いたしまして、それを掛けることによって計算すると。例えば学校については、そのような手順をとっております。原単位につきましては、平均的な値の他に、それぞれに自治体さんで、都市による差もいろいろあろうかと思いますが、それぞれの都市においてそれぞれの都市の原単位というものが得られるのであればもちろんそれを採用するということも可能な形にもちろんしております。
 また、自治体への普及ということに関しましては、本省などとも当然連携していきますが、都市計画運用指針の改定が最近なされまして、その中で都市計画基礎調査の将来見通しに関する事項を強化するということが述べられておりますが、これをバックアップするような技術として、先々月、全国都市計画担当課長会議の場で、一枚物ですが紹介をされたりだとか、あるいは今後こういうアセスメントを進めていく上でのガイダンスとかマニュアルを配布するだとか、あるいはケーススタディー都市に対して、月曜日も札幌市、小樽市に行ってきたのですが、紹介していくというような形で、若干地味ではありますが進めていきたいと考えています。

【委 員】 コストの問題は理解できたのですが、財政との関係というのはいかがなのでしょうか。また別途ということですか。

【国総研】 財政というのは、実際の自治体の予算ですか。

【委 員】 そうです。

【国総研】 基本的に私ども開発した前提は、例えば先ほどのケンブリッジだとかポートランドだとかは、その都市で独自のモデルを持って運用しているのですが、私どもはどこか特定の都市を対象にするというのではなくて全国的にいろいろな都市でこういったものを適用する上での普遍的な部分、ベースの部分をつくりたいというスタンスで進めております。そこで、実際の自治体において、対象を絞って数年かけてこういうことをやっていこうといった場合には、おのずと先ほど言った原単位などもより現実に近いものが出てきて、実際かかっているコストと対照してそれに近づけていくような若干のチューニングをして対応ができてくると考えております。現段階でそういう調整を細かくしているというような状況では必ずしもありません。目的と照らし合わせて、そういう状況でございます。

【主 査】 ありがとうございました。それでは○○委員。

【委 員】 非常に興味深く、意義の深い研究であると思いました。多分こちらにいらっしゃる委員の皆さんも、そういう意見だと思いますが、少し厳しい見方でお話しいたします。
ツールの開発がこの研究課題の目標ということだということでお伺いしましたが、2つツールがあって、1つ目が予測ツールで2つ目が評価ツールということですが、予測ツールでは、その予測精度が問題になると思います。今日説明いただいたのは、1つが仮想的なものであり、もう1つが将来的なものと捉えられますが、精度の観点で見ますと、現実の都市の過去から現在に至るまでを対象としてツールの検証がもしなされていれば、そのツールの精度や妥当性がより深く検証できたのではないかと思われます。
 もう1つの評価ツールについては、評価項目に関してですが、最初のところでは5項目ぐらいが大分類で掲げられていますが、最後のところで示していただいた指標は項目として余りにも少な過ぎると思われます。これで本当に持続可能な都市というもののすべてが評価できているのだろうかという疑問が湧いてきます。持続可能な都市はどうあれば良いのかという別の研究があると思いますが、それに基づいて、都市の持続可能性をはかる指標としてはこれこれしかじかのものが妥当であるという説明をいただきたかったと思います。以上です。

【国総研】 2点ご指摘いただいたと思いますが、まず前半の予測結果の検証という観点についてご説明いたしますと、予測モデルにおきましてパラメータを設定するためのキャリブレーションという過程がございまして、そこにおいて、ある時点、そのモデルにおける現時点、例えば北海道であれば2005年、更にその1時期前である2000年のデータを使いましてパラメータの推定をしております。モデルの前提となる式がそれによく合うかどうかという観点からいきますと、そこで回帰式に対する決定係数R2に相当する数値を出しているのですが、そこからいけばそれなりに高く式にフィットをするという結果は出ております。ただ、それ以上さかのぼってというようなことは、今回はしておりません。
 次に、聞き違えていたら申しわけないのですが、実際にここで示しました36の指標に対して、ケーススタディーにおいて本日お示しした指標が少な過ぎるのではないかというご指摘だと思うのですが、当然それぞれの都市でこの指標すべて計算はできる状況にして、かなりの数の数値を出しております。ただ、時間とスライドの制限がございます関係で、本日はお示ししたものだけにとどまったということでございます。

【委 員】 最初の予測ツールですが、一般的に、複雑系の予測をするときに設定するモデルでは、まず、一部の要因との関係だけに焦点を当ててモデル化して予測をし、次に、かなり大きな範囲でほかの要因も絡んできた場合にモデルがどう挙動するかとか、そのモデルが他の要因にどのくらい影響を受けるのかということを検討します。是非、都市全体での予測の妥当性を確かめていただきたいと思います。それで確かめられたら、このツールは非常に有意義で、これに基づいて施策の決定ができるのではないかと思いますので、今後、是非ご検討をお願いします。

【主 査】 ありがとうございます。○○委員、いかがでございましょうか。

【委 員】 ガイダンス作成されるということですが、やはり早く自治体に活用いただくことが、実効性・有効性を確認できる、検証できる手段だと思いますので、その辺りを早く作成・配布の方をお願いしたいと思います。
 研究期間がちょうど平成22年度までということで、この3月に起こりました東日本大震災を踏まえていないのですが、今回の復興あるいは新たなまちづくりといった、まったく町が壊滅してしまったような状態の中で、こういったツールが活用できるのかどうか、私は門外漢なので分からないのですが、そういったところにも有効活用できるのであれば、今後の復興にこのツールが何らかの形で使えるのではないかなということ。
 それと安全面で言いますと、いろいろなところで津波等の減災システムというのが今、構築されておりますが、安全面から、そういった減災システムと関連づけができるようなシステムにブラッシュアップできるようであれば、更に素晴らしいツールになるのではないかというような、感想に近いのですが、そういった意見です。

【主 査】 ありがとうございます。特に復興のプランにこの予測評価が使えるのかどうか。

【国総研】 関係者の中でも議論していて、いろいろな意見があるのですが、予測と評価の内の予測に関しては、基本的に予測の前提というのが大幅に違う状況であるので、これがそのまま当てはまると申し上げるのは必ずしも正しくないだろうと認識しております。
 もう1つよろしいですか。ただ、今回の被災地域ではなくて、今後被災のおそれのある沿岸都市等に対しては別の研究課題を進めておりますが、こういった沿岸都市において、評価指標としてすでに災害危険区域の戸数・居住者数という指標がございますが、そういう危険区域を設定したときに、そこの人口が増加する傾向にあるのか減少する傾向にあるのかというようなことは算定できますので、そういう面での活用というのは図れるのではないかと思っております。

【主 査】 それでは議論も尽きないところでございますが、時間も限られておりますので、まだ評価シートにご記入いただいていない委員の方はコメントの記入、あるいは加筆などお願いいたします。既に終わっていらっしゃる委員の方は、事務局に評価シートをお渡しください。

(事後評価シートの回収)

【主 査】 それでは、この評価のとりまとめを行いたいと思います。集計結果を拝見いたしますと、まず評価項目の1番目の研究の実施方法と体制の妥当性につきましては、大半の委員の方が「適切であった」とご評価いただいております。
 目標の達成度については、全般的に良い評価ですが、若干評価が分かれておりまして、「十分に目標を達成できた」という方が2人、「概ね目標を達成できた」という方が3人という評価結果になっております。今日はたまたま奇数ということでございますので、目標の達成度については「概ね目標を達成できた」という評価にいたしたいと思います。
 皆様の評価を拝見いたしますと、非常に期待度が高いといいましょうか、意義が高いというご評価をいただいております。特に○○委員、私も思いますが、社会的にもこの種のツールは、作るよと風呂敷を広げた研究は多いのですが、実際に使えそうだという水準に達している研究やツールの開発というのは極めて少数でございますので、これについては更に年度を超えて今後更にブラッシュアップをしていただきたいと思います。
 一方、予測ツールについては、これはもともと難しい課題だと思います。非常に複雑で大規模なシステムの予測だということになりますが、ご示唆がございましたように、1つは初期値にかなり依存している等々のことや、ちょっとしたパラメータが大きく効いてくるということで、一種のこれは気候モデルと同じだと思うのですが、やはり論理としては、過去の都市の発展とかパフォーマンスを評価できているということが出てくると、一段と信頼性が出てくるということでございますので、これからの予測ということだけではなくて、その論理というのは過去を説明しているかというところを更にしていただけると良いということ。
 それと、テストランを増やしていくということが、このツールを使えるようにしていくという意味でも大事でございますし、普及という点でも大事だと思いますので、是非これから多くの自治体で使えるように更に努力をしていただきたいというご意見が多くここにございます。
 あと、先ほど復興プランにということがございました。確かに全く条件が違うということで、なかなか難しいというのはご担当の方の学者的良心に発しているとは思いますが、社会的意義に照らし合わせて、少しでもこの成果というものが、かなり前提条件が違うところでもある程度は使えるようなご努力をしていただけると良いと思う次第でございます。
 以上が評価の中身でございます。以上のようなとりまとめでよろしゅうございますでしょうか。−ありがとうございます。それでは、まず第1の終了課題についての評価は終わらせていただきたいと思います。

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〈事後評価〉(2)-2
業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計法に関する研究

【主 査】 では、引き続き次の課題に移りたいと思います。次の課題は「業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計法に関する研究」でございます。

【事務局】 この研究課題でございますが、平成20年から22年の3カ年で実施された研究でございます。プロジェクト研究、それから事項立て研究課題ということで実施された研究課題でございます。では宜しくお願いします。

【国総研】 「業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計法に関する研究」ということで発表いたします。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ こちらの研究は平成20年から22年度に行わせていただいております。研究の概要でございますが、CO2の排出量、東京を見ますと民生用、業務用、その他部門のエネルギー消費量が多いという話は出てきておりまして、そちらの部分の削減を図らなければいけないということになろうかと思います。建築物におけるエネルギー消費に起因する二酸化炭素排出による地球温暖化を検討する必要があると。
 その中で、事務所・店舗・ホテル・病院・学校等の業務関係の建築のための二酸化炭素排出削減対策に関して、その費用対効果を高めるための評価指標及び設計手法のあり方を検討するというのが、こちらの課題の目的でございました。2020年頃までの間の対策として、精度を高めて実効性の高い基準及び精度構築を行うための技術的基盤を整備することを目的とするというようなことで、平成20年から3年間、行わせていただいております。

・ こちらのプロジェクトは、平成20年から平成22年度、昨年まで行いまして、こちらと並行して省エネ基準の非住宅、住宅ではない部分の省エネルギー基準の検討を続けております。予定ではございますが、平成24年早々のうちに省エネ基準非住宅の改定を予定しておりますというような流れになっておりまして、こちらのプロジェクト研究で行っておりました技術的知見、根拠データなどを、一番下の本省の省エネ基準の改定を検討する部分の委員会になるのですが、こちらの方に反映させているということでございます。本プロジェクト研究と併せまして基準整備促進事業を立ち上げておりまして、こちらでもデータの収集ですとか分析とかを行っておりまして、併せて基準化に向けた評価方法の検討に向けた流れをつくってございます。

・ こちらは、昨年度末時点での新しい省エネ基準の枠組みの概要ですが、これまで非住宅の省エネルギー基準はPALと呼ばれる暖房冷房負荷にかかわる部分と、あとはCECと呼ばれる設備にかかわるものについて評価を行っておりました。そちらの枠組みをある程度大きく変えようということで検討が進められております。こちらはエネルギー量を、ある基準となる建物のエネルギー量の総和に比べて、実際に建てようとする建物のエネルギー量を小さくしようと。足し算をして総量を減らしていこうと。そういうことを評価する枠組みとして省エネルギー基準を位置づけようというような形で検討を進めてまいっております。
 そのためには、新しく建てようとする建物、改修なども含めてになろうかと思いますが、そのような建物において実際にどのように使われているのかというスケジュールですとか、使用される状況、内部の発熱の実際の状況、設備の効率、制御方法とかそういったものがなかなか分かっていないと。まずそういったところを解明していこうというのが、このプロジェクト研究の中の1点でございました。そしてこういったことが分かってきた中で、計算方法の枠組みを考えていこうというのが、このプロジェクト研究の2点目でございます。

・ 研究の目的・目標としましては、先ほど申しましたとおりでございまして、3つ大きく検討を行っております。建築・設備システムの実働効率に関する調査及び実験。実態がどうなっているのかということをまず把握しましょうという部分になります。2番目が、実働性能に基づくエネルギー消費量推計手法の開発。どういったエネルギーになっているか、計算する方法を検討しましょうということになります。3番目は、省エネ設計手法の枠組整理というようなことをしております。

・ こちらの@ABのいう成果は、大きくは平成24年度改定、予定ですが、建築省エネルギー基準における、新しい、一次エネルギー消費量という数値で評価を行おうとしておりますが、こちらの一次エネルギー消費量評価法の構築に向けた技術資料として活用していきますというのが、大きな成果の活用の方向かと思っております。
 それから機器及びシステムの実証データに基づいた評価による省エネ効果指標の精度向上ですとか、建物運用段階での省エネ性能検証手法に関する技術資料と、こういったあたりに使っていこうかということを考えてございます。

・ まず、1番目の実態調査の部分でございますが、建物の設備にかかわるもの、中央式空調システム関係、エレベーター関係、あとは室内の発熱機器にかかわるものといったようなものの要素について実態を把握するような研究を行いました。

・ こちらは中央式空調システムの実働効率の測定の部分ですが、こういった、よくあるシステムでございますが、吸収式冷温水発生機のある冷暖房をしている部分で詳細に計測をするというようなことをしております。実態としてどうなのだろうということをまず確認するような段階で、暖房の時点、冷房の時点で、これは機器の一次エネルギー効率を出しているのですが、定格と言われている、性能として言われているものに比べて、やはり運転の状況というのは1割から2割落ちると。それから使い方によっては更に落ちると。こういう実態は以前からよく指摘されておりますが、そういった部分をまず把握するというようなことをしております。
 それから、システム全体として考えますとその効率はどうなるのかというのを見ていきますと、こちらは暖房・冷房で、こちら側は熱源にかかわる効率から、あとは空気を送って水を送ってというような部分になる効率になっていきますと、だんだん効率というのは下がっていきます。実態としてこういった効率の下がり方をするのだなということを把握するような計測をしております。

・ こういう計測を行うことで様々な問題点などが把握されてきております。先ほどのシステムについてですが、幾つか問題点が指摘されておりまして、こちらは改善をしなければいけないというようなことで指摘をするようになっております。

・ こちらはエレベーターについてです。エレベーターの今現在の省エネルギー基準の中では、CEC/EVという評価で行っておりますが、そちらの評価指標は、またそちらもご意見がいろいろございまして、どうなっているのかという実態を把握する必要があると。こちらは1件だけの評価ですが、計測を行っておりまして、計測したエレベーターでは、実際はCEC/EVで計算した消費量の半分以下であったというような実態がありまして、こういったデータを積み重ねてCEC/EVの効率的な評価を行えるようにしようというのが1つございました。

・ こちらは事務所及び店舗の内部発熱機器に関する実態把握ということでございますが、昨今のOA化、あとは店舗などでも冷凍・冷蔵機器などが増えておりまして、そういった部分の内容を把握するというようなことを通しまして、実際に省エネ基準で評価をする際に、室内の発熱、使用状況はどうなっているのかということを把握するために、機器の計測などを広く行っております。こちらは冷凍・冷蔵設備の機器ですが、温度によって依存するとかそういった部分のデータを取得してございます。

・ 実働性能に基づくエネルギー消費量推計手法の開発ということでございます。幾つか書いてございますが、本日紹介いたしますのは3つ目ということになりまして、空調負荷の簡易予測モデルですとかエネルギー消費量の簡略計算手法の構築を行っておりまして、室用途ごとに定常負荷から非定常負荷を簡易に推定する手法を検討しております。また、空調エネルギー消費量の簡略計算法をExcelベースで開発しておりますというような内容をご紹介いたします。

・ こちらは空調負荷の簡易予測モデルの開発の部分でございますが、パラメトリックに検討を行いまして、室単位に日積算空調負荷の予測式を作るというようなことをしております。
 こちらの室単位でというのがみそでございまして、さきの、今後構築を図っている省エネルギー基準では、建物単位ではなくて建物を分解した部屋単位で評価を行って、それを積み上げて建物全体のエネルギー消費量を計算するというロジックになってございます。そのため、室単位にばらしたときの評価を行わなければいけないということで、こういう簡易予測の方法を検討してございます。

・ エネルギー消費量簡略計算手法の構築ということでございますが、まずExcelベースで実際に評価をされる方々に入力していただけるようなものをソフトとして作っております。こちらは空調について記載してございますが、省エネ基準の基準化に向けて空調エネルギー消費量の簡略計算法をExcel上に構築しておりまして、そちらの概要になっております。部屋単位ごとに負荷を足し合わせて、空調系統ごとに足し合わせていきまして、そちらを、このシステムの場合は二次ポンプですとかそういった部分でのエネルギー量に変換して、最終的には熱源でどれだけエネルギーを使ったのかと、こういったことを系統的に計算できるようなシステムをつくっております。

・ そちらを簡単でございますが紹介しますと、こちらになります。室負荷ですね、部屋の負荷がどうなっているのかということを積み上げたExcelシートに対して、空調負荷として足し算をしまして、そちらを空調機でどう処理するのかという空調機の性能、あとは空調機がどう処理するのかという頻度の条件に分解したりしております。そこから二次搬送系でどうやって処理するのか、それから熱源系でどう処理するのかと、そういう流れで、それなりに設定は煩雑になっておりますが、それを簡略にできるようにシステムを作っておりまして、この課題の中ではExcelベースで計算できるように構築しているということでございます。

・ 最後に省エネ設計手法の枠組整理ということでございまして、省エネ設計手法をどう構築するのかということを検討してございます。ヒアリングをして、省エネ要素技術の動向について整理しておりますが、そのような部分を反映させて、先ほどの簡略計算法のフローがこちらになりますが、簡略計算法のフローを作って先ほどのようなシステムを作っていると。今後、省エネ基準化に向けて検討を進めていく中で、省エネ基準のガイドラインといいますかそういったものに反映させていくようなことを考えてございます。

・ 以上でございまして、これまでの成果の活用及び今後の予定ということで、先ほど3つ挙げたもの。平成24年度改定の建築省エネルギー基準における新しい一次エネルギー消費量評価法の構築に向けた技術的資料として活用していきますという部分。あとは機器及びシステムの実証データに基づいた評価による、省エネルギー効果指標の精度向上をはかれるという部分。それから建物運用段階での省エネ性能検証手法に関する技術資料として活用していくということを通しまして、建築省エネルギー基準における一次エネルギー消費量評価法の構築を、来年度頭予定ということになっておりますが、そちらの方の検討を進めているという状況でございます。
 以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。続きまして、本日の欠席委員あるいは他の部会の委員の方々から意見がございましたら、事務局からお願いいたします。

【事務局】 この研究課題につきましては、他部会等の委員からは特段のご意見はいただいておりません。それから、ご出席の委員の利害関係者に該当する方もいらっしゃらないということです。

【主 査】 ありがとございます。それではこの研究に対する質疑、評価意見をお願いしたいと思います。それでは○○委員、お願いいたします。

【委 員】 非住宅建築物のエネルギー消費の実態とか、あるいはそれ以上に設備システムの実働効率の実態などをきちんと把握できていなかったというのがこれまでで、恐らく個別・散発的にいろいろな研究者がいろいろ研究発表としてはやってきたとは思うのですが、なかなか省エネ基準に反映するとかいう次元になっていない現状に対して、平成20年からこういうテーマで取り組まれたというのは、まさに国総研でなければなかなかまとめ切れないところをきちんとやられたという意味では、時宜を得た研究だと思いました。
 これはもう完了して、更に平成24年、いわば間近の新たな省エネ基準に盛り込んでいくということですので、1点質問ですが、予測手法をExcelベースで要は簡易に、簡易ですがそれなりの精度で出せるものを既に作られたわけですが、例えば簡易予測された結果が実際個別にたくさんある建物のエネルギー消費の実態を概ね言い当てているかとか、そういう予測ツールの検証という部分について、多分これまでの限られた時間の中では十分検証し切れていないかもしれないと、今日のお話を聞いて感じたのですが、例えば期間内には終わらなくても、そういう検証については引き続きやっていくいことで予測ツールの精度、実用性を上げるということは継続的にやるべきテーマではないかと思うのですが、今後そういうような継続的な研究というのは何らかの形で国総研では検討されているのかどうか、この場で聞くべき話かどうか分かりませんが、関連して、もし差し支えなければ教えていただきたいと思います。

【国総研】 ありがとうございます。一番最後に示したExcelベースのものでございますが、こちらは昨年度末の時点で作り上げているものでございます。こちらを作る上で幾つかモデルとなる建物を併せて計算を行っておりますが、その時点では、実際の建物というよりは、ほかの負荷計算のプログラム、評価のプログラム、そういったもので併せてやってみてどうなのかというようなことで精度の検証を行っておりました。実際の建物に併せて検討を行うのは、この調査研究の中では残念ながら行えていないところはあるのですが、今年度に入って省エネ法の検討をしている中で、このプログラムの改良版といいますか、これはExcelベースでいま検討しているのですが、省エネ基準化を図ったときには恐らくWeb版と呼ばれるようなプログラムを、これをベースに作っておりまして、そちらの方で評価できるようにということで、今、実際に手分けをしてこれを使って評価をしているところでございます。このプロジェクトとは離れているところはありますが、以上のようなことを検討しております。

【委 員】 この研究そのものではないところでの質問になるかもわかりませんが、設備の効率を上げて室内環境のコストパフォーマンスを高めていくという研究に取り組まれているように伺いましたが、設備自体の寿命とか、設備自体の生産にかかっているエネルギーとかは、設備の効率が上がってくればくるほど考えなければいけなくなってくると思うのですが、どう考えられますか。
 もう1点。私自身の専門の観点から申しますと、建築材料的に工夫をすることでも効率が高められると思うのですが、それについては総合的にどういう形でこのツールの中では考慮されているのかご紹介いただければと思います。

【国総研】 ありがとうございます。ライフサイクル的なLCAの視点は非常に大事だと国総研としても考えておりますが、省エネ基準のこの枠組の中では、今の段階でライフサイクル通して評価を入れるというところまでは申しわけございませんが至っていないということになろうかと思います。今の時点では、平成24年度の頭にと言っている部分については運用上のエネルギーがメインでございまして、そういった意味では現行の省エネルギー基準の拡張版というようなことに位置づけられるかと思っております。
 それから材料のお話というのは、建築の構造的なお話だということで、断熱であったりとか日射遮蔽であったり、そういう理解でよろしいですか。

【委 員】 はい、そうです。

【国総研】 そういった部分については、こちらの室負荷の部分のシートのところで、こちらは簡略計算法なので簡略ですが、建物の仕様に応じて負荷をどう見積もるのかといったそういった部分で反映するようにはなってございまして、実際にはこちらのツールの中では室負荷という形で初めの段階で建物の負荷を与えてしまうようなことになってしまうのですが、建物の外皮の性能、窓の性能、昔のPALの部分については反映されるようになってございます。

【委 員】 今の質問に関連しているのですが、この手法というのは非常にいろいろな建築性能を持った建物の事務所が概ね網羅されているとは思うのですが、室ごとの負荷については隣の部屋の影響も考慮されていると考えてよろしいですか。

【国総研】 こちらは簡略計算法でございまして、そこは割り切りになってございます。ですので、部屋単位の方位ですとかそういった部分については考慮されるのですが、隣室の条件は、隣室は基本的には同じように空調されているものだという想定で割り切りになって、今のところ評価の枠組は作ってございます。

【委 員】 ということは、先ほど○○委員がおっしゃられた、隣の部屋の材質だけは考慮されていると。

【国総研】 隣の部屋との間の熱の授受ははなしということで考えています。

【主 査】 私からは質問というか、皆さんがおやりになったことをどう思っているかという質問になると思うのですが、○○委員がおっしゃいましたように私も同じ感じを持っておりまして、実測データというのは非常に限られています。しかも建築屋さんと機械屋さんというか、空調機器のメーカーとのある意味では境界領域で、極端な悪口を言うと、空調機器メーカーはCOPを上げたと称して出荷しておきながら、実際の稼働率が低かったりとか、負荷が低くてそのとおりの性能が出ていないと。車については、トヨタが言っている燃費と実際の違いは社会的重要性があるかも知れません。、これが明らかになったら相当、空調機器メーカー自身に対する不信感が出るぐらい大きく乖離があることは事実ですので、そういう意味では、機能が悪いというよりは、まるっきり違う設計条件の機器を入れているというところに差がありますので、そういう意味で、実態としてこうだというデータが体系的に集まりまして一般に公開されることは非常に意義が高いと思うのです。
 今日も、今、○○さんからのご質問にございましたように、これを適用するときの条件として計算をされていて、それはそれで設計やむを得ないとは思うのですが、ある意味では実測データの貴重なところだとすると、そこに変に計算した評価のバイアスをかけないで、生にご発表いただいた方がもっと多くの方に使っていただけるような感覚を持つのですが、その点はいかがでございましょうか。最終的にはそのシートでということで、シートはどなたが使われるか分からないというようなまとめ方をされているのですが、むしろ実測された非常に貴重な技術資料そのものを、もっと多くの方に公開されて、単に国総研のコミットだけではなくて、空調機器メーカーの方にもお任せいただけるようなデータとして公開されていくようなおつもりというのはないのでしょうか。

【国総研】 その部分については、今こちらのプロジェクトでも図っているものもございますし、もう1つ、基準整備促進事業と呼ばれるような少し別の枠組での事業もございますが、こちらの方でも図っておりまして、そちらの方の結果については、その建物のこれが悪いからどうなのだ、こうなのだということを言うつもりではなくて、実態はこうなのだということを、まさに委員がおっしゃられるような、データとして淡々と出していくと、そういうようなことはしていく予定でございます。

【主 査】 もう少し下品な言い方をしますと、最近いろいろなことがあって、CO2何%減らすとか、何か色は薄くなっていますが相変わらずずっとそうだと思うのです。その際に、では建物を省エネにするからといって機器を交換しようといって、政策上もそれが良いということでCOPを上げた機器に置き替えればどれだけ下がるというようなことを言うのですが、今日ここで捉えられた問題を考えなければ、ただ単に機器メーカーをもうけさせるだけで効果は出ていないと。良い機器は入ったのですがやはり実性能は上がらないということになりかねないので、そういう意味ではこのデータは、そういうことは国総研ご自身で言わなかったとしても、この技術データを地道に出していただければ、そうではなくてやはり機械屋さんと熱負荷を抑える建築設計をしている人が一緒にいろいろやって、そして更に引き渡した後も専門技術者がきちんとオペレーションの最適化をするようなこともやって初めて出るのだという方向に向いていくと思うのです。そういうように使えるように活用されると良いかと思うのですが。

【国総研】 ありがとうございます。

【主 査】 ほかにいかがでございましょうか。

【委 員】 むしろ質問にまたなってしまうのですが、一番興味深いところは、実測効率のところのデータの解析のことです。解析というか調査についてですが、やはり相当、建築計画の内容によって違うのではないかというご質問がずっとあったのだと思うのですね。その辺をかなり詳細にご説明いただいた中で、だからこうなのだというような形でご説明いただければ良かったかと思うのです。対象とされたものは何件あったのかも分からなかったのですが、これはある物件のみを扱ったのか、それとも幾つか扱ったのか、それもはっきりしなかったのですね。私はそのことこそ重要な点だと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

【国総研】 詳細に計測を行えているのは、計測機器の配置とかそういった部分もあって多少やはり予算がかかりますので、詳細に計測できたのは最終的にはこちらの1件だけということになります。ただ、並行してベムスのデータベースとかそういったものの収集は行っておりますので、そういった部分について、詳細な計測とは評価の軸というかレベルが当然変わってくるとは思いますが、そういった部分についても検討は行ってございます。

【委 員】 このツールの既存建築への適用は可能なのでしょうか。

【国総研】 省エネ基準の大規模改修などのときには、省エネ基準のシステムがこの後どうなるかということは正直なところまだ見えていないところがございます。ただ、大規模改修の場合などですと省エネ計画書をもう一度当然出すことになっておりますので、そういったときに評価は行うようになります。こちらのシステムを使って評価を行っていただいて届け出をしていただくというようなことになろうかと思いますが、将来的にどうなるかということは見えない部分はございます。

【国総研】 補足したいのですが、先ほど観測データというご質問がありましたが、本省の方で電気料金とかガス料金を月単位で集めるという、そういったアンケートの方で数万のデータが蓄積されてございます。併せてエネルギー消費の時間データでございますと、大体数百のオーダーで集まってきております。ここの基準整備促進事業やこの研究で実施いたしましたのは、1つ1つの機器にたくさんの計測器を網羅的に付けた非常に詳細なものでございまして、それが大体10件のオーダーで集まっております。それらを踏まえて、こういった様々な基準の方向に整理していくということでやってございます。

【主 査】 データ流動の違うデータがあるけれども、皆少しぼやっとしていて、ここで詳細に徹底的に測ったのがこの研究だと、このように理解すればよろしいですね。それで、それぞれぼやけ方とか流動は違うのですが全部総合して政策に展開していくと、こういうことですね。ありがとうございます。
 それでは皆様、意見も出尽くしたようでございますので評価シートにご記入ください。また、コメントの記入をお願いします。記入を終わっておられる委員の方は、シートを事務局にお渡しください。

(事後評価シートの回収)

【主 査】 それでは、今、私のところに集計シートが参りましたので評価の取りまとめを行いたいと思います。
 まず評価項目の1番目でございますが、研究の実施方法と体制の妥当性ということでございます。全般的に高い評価でございまして、「適切であった」とする評価が3つ、「概ね適切であった」という評価が2つでございますので、これも全体としては「適切であった」という評価にまとめたいと思います。
 また、目標の達成度でございますが、「十分に目標を達成した」という評価が1つ。「概ね目標を達成できた」という評価を4ついただいておりますので、評点といたしましては「概ね目標を達成できた」という評価といたします。
 既に意見は出尽くしておりますが、皆さん非常に意義のあるところでありますが、やはり1つは、個々の建物への対応からきますと、個々の建物、あるいは単位区間の個別性ということもございますので、それに対応できる手法に更にしていっていただきたいといったような点が、ある意味では期待であるとともに、そこら辺が「十分に」というよりも「概ね」というあたりの要因にもなっているように見られます。
 また、ここに出てくる実測値とインジケーターとの関係についても、若干、ご説明の時間が限られたところもありますが、そこの関係が分からなかったというご意見もございます。
 また、先ほどからございますようにライフサイクルベースでの評価にも結びつくように考えていただきたいということもございました。
 それととともに、励ましの意見が2つございまして、最後にご説明がございましたような、基準や政策への反映ということもございますが、そのコアになってくるのが、国総研だけにしかできない継続的、体系的な計測、分析という点で、これについては今後、何らかの形で継続していただきたいという御意見が二人の委員から出ておりますので、事業としてはこれで終わりでしょうけれども、特にデータのコレクション、整理、発表、そして更にそれを省エネ政策への継続的な反映という点についての利活用について一層御努力いただいたらと思います。
 以上のように取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。−どうもありがとうございました。それではこれで事後評価を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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【主 査】 続いて、3つ目の研究の評価に入りたいと思います。ご評価いただきますのは、「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」です。

【事務局】 この課題は先ほどの課題と同じく、平成20年度から22年度と、3カ年で実施された研究課題です。なお、こちらの課題は事項立て研究課題ということで実施されております。

【主 査】 この研究についてご説明をお願いいたします。

【国総研】 ご説明申し上げます。「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」でございます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに・の表示〕

・ 地方公共団体の主体性や創意工夫を活かした住宅政策を、例えば地域住宅交付金制度の創設等により国が支援するという仕組みに現在移行しております。この際、成果指標を用いて目標を設定し、事後に目標の達成状況を評価することが必要になっております。しかし、地域住宅施策につきましては、施策効果の評価につながる客観的な成果指標の設定が十分行われていないケースや、重要施策であっても指標の設定が難しい場合には評価そのものがなされないケースが問題視されております。こうしたことを踏まえまして、ロジックツリーと成果指標を用いた客観的な施策効果の計測手法について研究を進めてまいりました。

・ まず、「成果目標と活用方針」ですが、成果目標は大きく3点掲げてございます。@点目は、地域住宅施策に適したロジックツリーの提示を行うこと。A点目は、そのロジックツリーに基づいてモデルとなる成果指標、その計測手法を提案すること。B点目は、提案した成果指標等を用いて具体に施策効果を計測する手法を提案すること。
 成果の反映と活用ですが、@、Aの成果については、中間段階で本省に提示いたしまして、その一部については住生活基本計画の見直し時に反映されております。一方、成果全体については今後マニュアル等として取りまとめて、地方公共団体への普及を図っていくことを考えてございます。

・ 「研究の実施体制」ですが、地方公共団体において活用できる実践的、実用的な手法を提案しようということを考えておりましたので、検討の各段階において、その検討案を対象とする地方公共団体に提示し、地方公共団体における活用の妥当性、可能性などの調査をしながら意見交換を踏まえながら成果を取りまとめていったという方法で実施しております。

・ 具体的に成果の概要について以後ご説明します。
 まず1つ目、ロジックツリーと成果指標のモデル提案でございます。まず、地域住宅交付金を活用した施策を全国から幅広く収集しロジックモデルを作成する17の施策体系を抽出しました。次に、地域住宅政策の特徴を踏まえたロジックツリーの表現方法を開発し、具体にモデルとなるロジックツリーの提案をしてまいりました。ここで地域住宅施策の特徴ということで、一番下に2点ほど大きな特徴を挙げてございます。1点目は、民間指標を活用して市場のプレイヤーの認識や行動の変化を促すような施策をしていくという点、2点目は、施策対象や実現ツールをさまざまな施策を組み合わせて実施していくという点に大きな特徴があろうかと思っております。そのようにして作成したロジックツリーに基づいて具体に成果指標の設定提案をしていったということです。

・ 6ページが抽出した17の施策体系です。詳細な説明は割愛します。

・ 7ページ目ですが、地域住宅施策のロジックツリーの表現方法についてです。ロジックツリーの作成例はお手元の参考資料1に具体の作成例をお示ししておりますので、そちらをご覧いただくといたしまして、ここでは、どういう考え方でロジックツリーの表現をしていったのかということについてご説明します。
 まず、施策の波及効果を5つの段階に区分しました。このうち、@認知・理解からB行動までが民間市場でのプレイヤーの活動領域に当たります。それぞれの段階に対して具体の施策を講じて、施策の結果として、それぞれの段階での短期のアウトカムが実現し、それが波及していくということを考えました。また、この市場の段階では、例えば戸建て持ち家に対する施策、マンションに対策施策、民間賃貸住宅に対する施策というように、施策の対象の数だけ複数のルートで表現される。こうした市場での領域が集積することによって地域における住宅だとか住生活の状態が改善され、最終のアウトカムの実現に至るという表現方法を開発しました。

・ 続いて、こうして作成したロジックモデルに基づいて、各アウトカムに対応した望ましい成果指標と、それを計測するためのデータの取得方法だとか、どういうデータを用いて、どういう分析をすれば、その項目は把握できるのかというような提案を行ってまいりました。こちらについては、お手元の参考資料2に示しておりますので、ご覧いただければと思います。

・ 続いて、今ご説明しましたモデルとしてのロジックツリーや成果指標を用いて具体の自治体で幾つかの施策効果の評価等を行うケーススタディーを実施しました。その点についてご説明します。
 まず、1つ目のケーススタディーでございますが、福島県南会津町の地域材の活用施策について実施したものです。この自治体におきましては町の重要施策として地域材を用いた住宅を普及させることを掲げておりまして、具体には地域住宅交付金を活用して平成18年度以降、地域材を用いた住宅だとかリフォームに対する補助施策をしているということでございます。現在、この自治体での政策評価のための指標だとか目標はここに挙げておりますが、この補助事業を使った住宅の戸数を増やすことを現在目標に設定しております。27年までの10年間で60戸、32年までの15年間で90戸、年平均6戸平均の戸数を増やしていくことを目標に掲げております。

・ まず11ページに飛んでいただきまして、上段をまずご説明申し上げます。
 現在、この町で評価のために設定している指標というのが、いわゆるアウトプットの指標で評価をしようとしております。平成18年度以降の、この補助事業のアウトプットの活用実績を見ますと、このような形で、上下はありますが、大体ほぼ平均並みに近い数字は実現されているということですが、このように補助実績等のアウトプットによる評価でございますと、果たしてこの結果が地域にどれだけの波及効果を及ぼしているのかということを適切に評価ができないという課題がございます。ですから、このような、アウトプットで政策評価をしようとしている自治体は多く見られるわけですが、こういう場合は、まず評価手法を改選していかなければいけないという提案をしました。

・ 1ページ戻っていただきまして、10ページですが、まず作成したモデルのロジックから、今回の評価に用いる部分のみをフレーミングしたロジックツリーを簡単にここに載せております。この構造段階に対して今具体に補助事業をしているわけでございまして、これが地域の状態の改善にどのようにつながるのかという評価をしていかなければいけないという提案をいたしました。
 その下に成果指標を載せておりますが、現在使われているのが、このアウトプットとしての補助件数を成果指標に使っているわけですが、そうでなくて、アウトカム指標として、例えば年間のフローに占める地域材を使った住宅の割合はどれだけなのか、そういうことで評価をしていくべきだという提案をいたしました。
 11ページの後段のところですが、そうした観点で新たにこれまでの、この町の18年以降からの実績データを集計し直しまして、新たに提案したアウトカム指標に基づいて、施策、評価をいたしました。その結果、新築の木造住宅に占める地域材を使っている比率が大体4割程度。微増ではございますが、4割程度。さらには、リフォームだとか公営住宅を合わせても、年間の総住宅の工事戸数に占める割合は5割にも満たないという結果になりました。
 こういう結果を踏まえて、従来のアウトプットによる評価からアウトカム、つまりフローに占める地域材の活用住宅の割合に評価に用いる指標を変えることによって、更に目標値を当面50%として設定して推進していくというように、この町の政策評価のやり方を改善するという提案をしまして、今そういうふうなものに向けた取り組みが行われているというのが1つ目でございます。
 2つ目のケーススタディーは、現在実施されている施策をより詳細に評価していくという事例です。富山市のまちなか居住施策の事例でございます。まちなか居住人口を増加させるということで、平成18年実績2万4,000人のまちなか人口を28年には2万8,000人、年平均400人増加を目指しているということです。この目標を達成するために現在地域住宅交付金を用いまして、ここに青字で書いております、まちなかに流入した世帯が住宅を取得するための3つの民間施策対策としての補助事業を実施しております。富山市側の評価のニーズとして、この実施している3つの民間住宅施策がどれだけの効果を今発揮しているのか、更に今後、この施策をどのように改善していけばよりよくなっていくのかというところに評価のニーズがあるということで、この部分に取り組みをしてまいりました。

・ 提案しましたロジックツリーのうち関連する部分をフレーミングしましたのが13ページでございます。

・ また、今回、評価に用いまして成果指標を提案している部分も同様に抽出してお示ししているのが14ページです。

・ では、ここから評価結果についてお話しいたします。時系列モデルを用いまして施策効果の評価を行いました。まず、平成18年から22年までの4年間、4期間の行動段階でのアウトカム、すなわち、まちなかに流入した人にとって、どの住宅が受け皿になったのかという形で3つの民間住宅施策の実績値、達成値をお示ししております。年平均にしてお示ししているのがここの数字です。
 一方、状態の改善のレベルとして、まず、まちなかの転入人口がどのように変化してきたのかというものをお示ししております。これを見ますと、平成18年度の政策実施以降、まちなかへの転入人口が大幅に増えているということは、この図からお分かりいただけるかと思います。
 また、まちなか人口の社会増減を見ますと、平成18年以前までは転出超過であったのが、平成18年以降は転入超過に転じていることが明瞭に認められます。ただ、まちなか人口自体が増えているかといいますと、富山市においても、まだまちなか人口は増えておりませんで、施策を実施しておりますが、まだマイナスであるということでございます。ただ、マイナスの伸び率はかなり鈍化してきているということです。現在の施策の評価としては、年間150人程度の人口減少の抑止効果はあるものの、人口増をもたらすほどまでの施策効果は生み出していないという評価になろうかと思います。

・ では次に、今後の施策のありようを評価するために、もう少し細かい分析をいたしました。これは行動アウトカムの3つの民間施策の各施策が状態の改善にそれぞれどの程度、寄与しているのかということについて分析したものでございます。左側の図が、まちなかの人口転入に対してどの住宅タイプがどれだけ寄与しているのかを示しております。一方、右側の図は転入と、そこからの転出を差し引いたまちなか人口の社会増に対して3つの住宅タイプがどれぐらい寄与しているのかを示しております。これを見ていただきますと、民間賃貸住宅への入居、つまり家賃補助等の民間住宅施策というのは、まちなかへの人口転入を増やすということでは非常に大きな寄与率を持っておりますが、まちなかの人口の定着には余り大きな効果を示していないことがよく分ります。一方、人口の定着に対しては持ち家等への補助事業がより効果的、費用便益も非常に高いことが示されます。ですから、今後富山市においてまちなか人口を更に進めるための住宅施策としては、一たん町の中へ流入してきた賃貸住宅層が更に町の中にとどまるような継続的な施策を打っていくことによって、より効果が出てくるのではないかという提案をしまして、富山市もそういう方向で新たな補助事業等を今検討している段階でございます。

・ 以上、ケーススタディーをお示ししましたが、研究の到達点としまして、モデルとなるロジックツリーと成果指標を提案しまして、これらを用いて、現時点において地方公共団体で活用できると思われる実践的な効果計測の手法を提案しました。モデルを参考としまして、それぞれの施策の状況に応じてロジックツリーを作成して具体の施策評価、更には今後の施策の改善方向を地方公共団体で検討していくことが、本研究を使うことによってできるのではないかと考えてございます。
 以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。
 続きまして、本日の欠席委員や他の部会の委員の方々から意見がございましたら、ご紹介ください。

【事務局】 他部会の委員からは特段のご意見はいただいておりません。それから事前の調査では特段、利害関係者に該当する方はいらっしゃいません。

【主 査】 それでは、この研究に対する質疑や評価意見などをお願いします。

【委 員】 非常に分りやすくご説明いただきましてありがとうございました。「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」、すばらしいと思いました。非常に分りやすかったという意味は、パワーポイントの4ページ目にありますが、実際に動いている行政の施策をデータにして展開されたということがあるかなと思います。そういう中で、まさに、こういう住宅施策の見直しの段階等では、今までの手法で評価がされてきて、なかなか分かりにくかった。それをアウトカム指標ということで、どのように波及していくかということを非常に論理的に構築されていまして、新たな効果手法として提案されていて、市民にとっても分りやすいですし、行政にとっても施策の展開がしやすくなったかなという感じがしました。

【委 員】 方法論という意味では、今日の一番目の研究にかなり近いように見受けられました。つまり、予測という観点が含まれているかどうかは分からないのですが、実際の社会という複雑系を適切に評価しようとする研究であると思いました。因果関係等を明確にするということでは、ロジックツリーがポイントだと思うのですが、実際の施策があまりにストレートにアウトプットとしての評価項目に流れていると、現実社会とは若干異なるのではないかと思います。現実社会では、ある施策を打ったときに、それがそのままストレートには効かずに、別の方向に波及していくということもあると思います。その辺りについての分析はどういう形でなされていて、今どういう状況なのかが分かれば教えていただきたいのですが。

【国総研】 ご質問ありがとうございます。まず、施策の実施のほかに外部要因がかなり効いてくるところに対しては施策の効果が思うようにいかないとか、そういうことが多くあろうかというご質問だろうと理解しました。
 施策の結果のアウトプットというのは、例えば施策を打ったことによって施策の補助実績が何件であっただとか、そういうのがアウトプットになりますので、ここについては施策の結果という形でダイレクトにつながってくるのだと思います。ただ、このフローでいきますと、右に流れるほど、この施策以外の様々な外部要因が効いてくるために、思うように施策の効果が出ないということも十分考えられると思います。富山市で私がまさに分析したのは、こういうアウトカムのうちの、このルートと、このルートと、このルートが果たしてこの転入人口の増加という状態の改善にどれだけ効いているのか、あるいは効いていないのかを分析することによって、ここはきれいに流れている、ここは滞りが出ているということがロジックツリーをもって分析していくことができるということで、そういうことを認識して分析したことが1点でございます。
 それから、ご質問がございましたように、きれいに流れているかどうかというのは、そういう結果でもって、更に何が要因であるのかということを評価していかなければいけないということで、こうしたロジックモデルを使って成果指標を用いて政策評価する上で大事なのは、外部要因をきちんと施策側が認識することが必要だということで、お手元の補足資料の21ページで、この研究の中で、今日はご説明はいたしませんでしたが、外部要因の整理方法というものを新たに提案しました。外部要因は地方公共団体の内部に起因する要因と外部に起因する要因があるということで大きく2つに分けまして、更に、地方公共団体の内部に起因する要因であれば、例えばまちなか居住政策を例にしますと、当該施策に起因する要因として施策の立案過程、利用過程でどういう外部要因があるか、あるいは関係施策に起因するということで、まちなか施策であれば例えばまちなか施策を一生懸命打っているのですが、郊外部でも逆にいろいろな開発をしたりという、逆の効果を表わす施策が行われていることによって、例えばまちなか施策が有効に機能しないだとか、あるいはまちなかにおける住宅施策は一生懸命やっているのですが、商業施策だとか公共交通の整備が併せて行われてないために、関連施策が不十分によって、余り効果が出ていないと。このような、施策のタイプごとに外部要因を整理するような具体的な方法を提示していって、これも公共団体に示していこうということを考えております。

【委 員】 私も初めて聞いて、非常に分かりやすい説明で、ロジックツリーも多彩な例が作成例として挙げられております。評価手法についてもかなり参考資料として細かく付いていると思いますので、自治体の職員の方々にとっては使いやすい資料になっているのではないかと思います。まとめてガイドラインとして公表するときには、その辺りのインハウスの職員を意識した取りまとめ方をしていたただければと思います。

【主 査】 大変労作だと思います。ロジックツリーという、一種のメタ知識というか、フレームワーク、これは単に思いつきで作ったわけではなくて、今、○○委員からもご意見がございましたが、実際に参考資料1のような事例をお付けになったというのは、これからの普及にとても役立つだろうと思います。ただ、お話を聞いていて、時間の制約がありましたので私が理解していないのかもしれないのですが、再現性というのでしょうか、つまり職員A、職員B、職員Cで違うロジックツリーを作る場合もあるわけですね。
 質問の1つは、そうではないのだ、ちゃんと再現性があるのだとおっしゃるのか。そうではなくて、再現性がなくてもそれぞれくせのある作り方をしても、この枠組みであれば、その政策目的を評価するのにはいいのだよという、その辺りはどちらなのでしょうか。

【国総研】 再現性はなくていいと私は理解しております。と申しますのは、ロジックツリーというのは政策評価のために使うツリーでもあるのですが、一方で、インハウスの職員の合意形成のツールでもあると言われておりますので、それぞれがそれぞれで意見を交わし合いながら、最初は違うロジックツリーを作り合いながら、いろいろ議論する中で1つのものに収斂させていければいいのかな、そういう使い方があっていいのかなと理解しております。

【主 査】 そうすると、これを今度普及する段階での話ですが、今日配っていただいているようなテンプレートというか、事例を増やして、それを参考にしていただくと。あと講習会等でどのように使うかということもされていくのだと思うのです。しかし一方では、実際にお使いになるのは自治体なので、それぞれ個別に、くせのある使い方をしていただいても構わないということなのですね。

【国総研】 はい。と思いますし、参考資料1で載せておりますロジックツリーというのは全国の施策を寄せ集めて1つに作っておりますので、これだけのロジックツリーになる施策を打っている自治体は全国で1つもないと思いますので、この中から自分たちの市町村がやっている施策のところを抜き出して作っていただいてもいいかと思います。ただ、こういうようなテンプレートをお示しすることによって、自分たちがやっていない施策のルートもよく理解してもらえると思いますので、そういう使い方ができるのではないだろうかと思っております。

【主 査】 それと、ご発表で南会津町の事例がありますが、このツールは、地元産材のシェアという形のインジケーターになるのか、それとも、お考えの趣旨としては、地元の林業がどのように振興したのかということのインジケーターを使うこともあり得べしと。少なくとも、何でだったかという話ではなくて、政策のユーザーのことではなくて、シェアだとか、あるいはお考えによっては、そうではなくて、林業の振興度を表わすようなイジケーターでもありということなのですか。

【国総研】 はい、ご指摘のとおり、今、この状態の改善レベルで測定しているのですが、この後の最終アウトカムというのは地元材を使うことによって地域の林業だとか地域産業、地域経済の循環活性化、あるいは省CO2だとかというのも期待されると思います。実は更に、この次の地元産材を使うことによって地域の林業だとか地域工務店の経済活性にどれだけ寄与するのかというのは、ちょうどこれをやっているときに福島県で同じ作業をやっておりまして、そのときに産業連関表の分析をしまして、そうしますと、例えば2,000万円の家を作った場合、福島県では一時波及が1,100万円ぐらい、地元の工務店に落ちると。その場合に、地場産材を使うのか、県外の木を使うのかで340万円ぐらいの差が地元に発生するかどうか、違ってくるという結果が出ましたので、地元産材を使うと、使わない場合よりも地元に三百数十万円たくさん落ちるという推計結果、ここでお示ししませんが、そういうことも出ております。

【主 査】 今おっしゃった数量的な評価というのは、このロジックツリーを使って出てくるのか、外側の論理を使って出てくるのですか。

【国総研】 ロジックツリーの最終段階として、そういうような地域産業の活性化だとか地域経済の循環という項目を具体的にどういう手法で図るのかというときに、産業連関表を用いて分析しますということでやったわけでございます。

【主 査】 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、意見が出尽くしたように思いますので、評価シートにまだご記入いただいていない委員方はご記入をお願いします。また、もう終わっていらっしゃる方は事務局にシートをお渡しください。

(事後評価シート回収)

【主 査】 集計シートが集まってまいりましたので、評価の取りまとめをしたいと思います。
 まず評価項目の第1番目ですが、研究の実施方法と体制の妥当性については、全ての委員の方々が適切であったとご評価いただいておりますので、全体の取りまとめも適切であったという評価にさせていただきたいと思います。
 また、目標の達成度についても、過半数の委員の方が十分に目標は達成できたとご評価くださっておりますので、こちらも十分に目標は達成できたという評価を全体の評価にさせていただきたいと思います。
 コメントですが、まず期待としては、どの委員の方々も地方自治体などでぜひ実用化していただきたいということ。そのためには、このツールそのものをどのように使うかだけではなくて、政策決定にどうフィードバックして組み込んでいくか。要するに政策決定のプロセスにこれをどのように組み込んでいくかというところについても具体的な道筋を示してほしいという意見をいただいております。そういった意味では、現在動いております行政施策への展開という期待を、どの委員方もおっしゃっておられます。異口同音に期待をおっしゃっているということでございます。
 あとは、先ほど私が申しましたように、それだけに、この普及に当たりましては一種の再現性はないのですが、そのかわり、多分これを使いこなす知識というのが、座学で一回この講習会をやったからといっても、ぽかんと聞いて分かったつもりでおしまいで、一種の演習問題というのは、仮想の演習問題なのか、実際の本当にリアリティーのある現実の問題なのかはともかく、使ってみないと分からないところがありますので、自動車とか自転車を運転したりするような知識獲得だと思いますが、その辺も是非、普及に当たっては工夫をいただけたらと思います。
 以上のようなまとめ方でよろしゅうございますでしょうか。−どうもありがとうございました。それではこの課題についての事後評価を終わらせていただきます。
 それでは、事務局に一たんお返ししたいと思います。予定ではここで休憩ですけれども、○○委員は時間が厳しいということですので、予定より前倒しになっておりますので、また休憩時間は予定どおり取るにしても、開始時間を少し早めていただけたらと思います。

【事務局】 ただいま3時5分ですので10分間休憩をとらせていただきまして、再開は3時15分からとさせていただきたいと思います。

午後3時05分 休憩
午後3時15分 再開

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【主 査】 続きまして、今度は、これから行います新規プロジェクトの研究課題の事前評価ということになります。課題名は「木造3階建学校の火災安全性に関する研究」です。この研究についてご説明をお願いします。

【事務局】 この研究は、通常であれば来年度から開始する新規プロジェクトということですが、この研究については少し早目で、23年度から研究が始まるものでございまして、予定では23年度から27年度の5カ年で実施を予定しているプロジェクト研究でございます。

【国総研】 防火基準研究室の○○と申します。「木造3階建学校の火災安全性に関する研究」を説明させていただきたいと思います。

〔パワーポイント映写、以下、画面ごとに・の表示〕

・ まず、背景についてですが、木造ということについていいますと、材料を作るときの炭素放出量、それから建物の炭素貯蔵量という指標で見ますと、木造、鉄骨プレハブ造、コンクリート造について見ますと、木造が他の構造に比べて優位である。建物も貯蔵する量が多いということで地球温暖化の防止につながることが言われております。
 また、地域産業の活性化という観点について見ますと、こういった建設に取り組んだ職人が誇りや技術を育て、地場の伝統技術者の育成や地場産業の活性化につながることが言われております。また、学校環境の快適性を向上することが言われておりますので、こういった点が木造のメリットであると言えます。

・ また、別の研究の背景としては、平成22年5月に、「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」が創設されております。この中で、木材の耐火性に関する研究の成果に基づいて規制の撤廃または緩和のために必要な、法制上の措置その他の措置を講ずるものとするという形で決められてございます。
 さらに、平成22年6月、行政刷新会議規制・制度改革分科会では、特に学校の階数基準について研究の成果等を踏まえて必要な見直しを行うということの指摘を受けてございます。

・ このような背景をもとに、この研究を実施することになったのですが、現行の法令について簡単にご紹介したいと思います。どういった点が問題なのかということについてですが、3階建ての学校、階数と用途を見たときに、現行の基準では耐火建築物が要求されます。耐火建築物というのは、柱ですとか梁といった部分を耐火構造、いわゆる鉄筋コンクリート造とか被覆をした鉄骨造が一般的なですが、そういったもので建てなさいというのが現行の基準でございます。学校を木造で作ることを考えたときには、こういった耐火建築物を要求するというのは非常にハードルが高いというのが1点あります。ただ、そもそも、本当にそういう性能を要求する必要があるのかというところに立ち返って検討を進めます。また、木造に関する防火性能というものが実験等によりまして技術的な知見が蓄積されているということがございますので、準耐火建築物、後で少し詳しくご紹介しますが、こういったもので木造のメリットを活かせる条件を整理しまして、技術基準案を作成することがこの研究の目的でございます。

・ 先ほど少し言いました耐火建築物、準耐火建築物はどういうものかを簡単にご紹介したいと思います。基本的には主要構造部と言われます柱とか梁の部分を耐火構造、この耐火構造というのは、火災による加熱が終了した後も壊れないという性能が要求されます。それに対して準耐火建築物というものは、同じような主要構造部を準耐火構造というもので作ることが要求されるのですが、それはある時点、例えば60分という時点まで壊れないという性能が要求されます。例えば木材でありますと加熱されている間はだんだん炭化して断面がなくなってはいくのですが、その間は倒れませんという性能があれば、こういった条件を満たされることになります。耐火構造の問題について見ますと、木造でも、仕様については実際にございます。ただ、その仕様については必ずしも汎用的なものではないことが言えますし、準耐火構造について見ますと、一般的な設計者あるいは工務店でもこういったものを実現することが可能な技術であることが言えます。

・ 例えば一例ですけれども、木造で耐火建築物を建てるという、今の基準でいいますとツーバイフォー工法によって耐火建築物というのは実現できます。既に実績としては1,000棟以上の建物が建ってはいるのですが、ちょっと暗くて見にくくて恐縮です。これがツーバイフォー建築でできた耐火構造、耐火建築物の例なのですけれども、基本的にこういった部分、柵とか壁の下の部分、あるいは床に木材が使われております。ただ、壁や梁の部分には石膏ボードが張られております。外見的にはこういった空間がどういった、つまり構造材料は何が使われているのかというのは必ずしも見てとることができない。木材のメリットがなかなか活かせないということがございますので、可能な限り、こういった柱や梁という部分の構造も木材が見られるような形にできないかということが問題点として言えます。

・ そこで、研究の目的ですが、まず木造3階建学校の火災安全上の要求性能を明確にしております。1番目として出火防止機能。容易に出火しないこと。2番目として避難が安全にできること。3番目として周囲に対して放射・熱崩壊・火の粉の抑制をすること。4番目として周辺火災から容易に火災が延焼してこないこと。5番目として急激に倒壊することによって消防活動に支障があることでは困りますので、期待する性能が十分発揮できるかということを整理する。これは現在、別に検討しております性能規定化ということに関しましても、項目としては連動して検討しているものでございます。
 それから、こういった項目に対してそれぞれ実大火災実験を予定しているのですが、そういった建物の性能、例えば煙伝播シミュレーション、避難が安全にできるのか、避難安全検証はまさに避難が安全にできるのかということの確認ですが、それから教室規模の実験ということで空間としての性能がどうなのか、それから建物全体で本当に期待した性能が発揮できるのかということを実大の建物で確認していくことを今予定してございます。
 また、それぞれ実験に使われた仕様以外に、様々なデザイン上のバリエーションを増やすという点で部材の開発をする、仕様の性能確認をしていくことでバリエーションを増やすことを予定しております。そういったことを受けて最終的には技術基準案・例示仕様の作成をすることがこの研究の目的でございます。

・ 実施体制ですが、国総研の中で基本的な技術基準の方針をまず検討してございます。そのほか、「木造建築基準の高度化推進に対する検討を行う者に対する補助事業」ということで補助事業がございます。ここと連動しまして共同研究という形で実大建物火災実験、それから、ほかの要素実験も踏まえまして予測研究のもとに実験を行いまして、最終的には国総研で技術基準案、部材の例示仕様を取りまとめていくというのが全体の流れでございます。

・ 実施体制を再度ご紹介しますと、まずは技術基準検討方針を立てる。これに基づいて、1番目として、そもそも学校はどういう計画を考えるべきかという実態を把握した上で、部材実験、梁、床、壁などの性能確認を行う。2番目として、シミュレーションによって煙・避難が安全にきちんとできるのかどうかを確認すること。3番目として、教室規模の性状を実験によって情報収集する。4番目として、最終的には建物全体として部材がそれぞれ組み上がった状態で、期待している性能が発揮できるのかについて確認をしていくことを予定しております。これらの結果をもとにして技術基準案を検討していくものでございます。

・ 成果の目標ですが、繰り返しになる部分が多いのですが、木造3階建学校に関して実験で出火防止性能、避難安全性能、周囲への加害抑制性能、周辺火災からの受害防止性能、消防活動支援性能、こういったものを検討しまして、基本的には準耐火構造を主体とした技術基準案を作成することがこの研究の成果の目標でございます。これらを受けまして建築基準法を改正することを想定してございます。もう1点は、性能を満たす部位の仕様、壁の仕様はどういうものであれば満たすのかということについては、最終的に告示等への追加を想定しております。
 以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。続きまして、本日の欠席委員や他の部会の委員方からのご意見がございましたら、事務局からご紹介いただきます。

【事務局】 この課題について、欠席委員や他部会の委員からは特段のご意見はいただいておりません。この研究についての利害関係者に該当する方も、出席委員の方にはおられません。

【主 査】 ありがとうございます。それではこの研究に対する質疑、評価意見をお願いします。

【委 員】 法に即した形で木造を推進しようということで、一番ネックになっている耐火、防火という面での実質的な取り組みということで、是非推進すべきと思います。イメージとして既に何らかの形をお持ちだと思うので、それを紹介いただけると、研究の内容を把握するのに助かります。例えば8ページに研究目的がありまして、1番目に出火防止性能というものを掲げられておりますが、出火の防止というのはどのように達成しようとするのか、今の段階でのイメージで結構です。それから、火炎の伝播に関してどういうふうに制御しようとするのでしょうか。避難はシミュレーションなりで検証されるようになっているのですが、煙以外の火炎の水平方向、鉛直方向への伝播も、木造にしたときには必要かなと思います。そういう意味では、使用材料とか区画等はどういうふうに制限をかけられるのか、それとも何もかけなくてもいいのでしょうか。例えば、サンドイッチパネルのように、昨今思わぬ危険性が示されたものがあって、木造3階建に対しては、少しでも危険性を排除したいという気持ちがあれば、サンドイッチパネルの使用は難しいのではないかと思ったりしております。これらのことについてのイメージがあったら是非お聞かせいただければと思います。

【国総研】 ご意見ありがとうございます。大きく4点、今のイメージという点でご紹介したいと思います。出火防止という観点では、今の段階でイメージしておりますのは、通常に使っているときに、それほど多く頻繁に出火してしまうようであれば、とても人命の安全を確保することは難しいものでございます。ですので、今基準の中でそれぞれ決められていることがございますが、それに対してさらにプラスアルファをする、基準をプラスアルファして厳しくすることは具体には想定しておりません。特に学校の中で木材が使われていることを想定しますと、必ずしも木材自体は簡単に出火するということではございません。例えば紙あるいはプラスチックに比べて、木材はそれほど出火の危険というものは起きないという認識でおりますので、ここで言う出火防止ということに関しましては、木材よりも燃えやすいような材料をなるべく抑制していく、制限していくことで想定してございます。
 2点目の、火煙が伝播するということですが、まさにそういった問題はございます。ただ、火煙が伝播するときの時点といいましょうか、どういうタイミング、どの時点で火煙が伝播するのかということが、まさに避難との関係で危険になるのかどうなのかというところが決まってまいります。既に教室規模の実験等も行ってはおります。その中で、火煙が伝播することに関しては、まだ十分方針が決まっているわけではないのですが、条件によっては危険になる可能性がないわけではない。今の段階で十分安全ですということでは決して言えないのですが、そういった危険があるのであれば、木造3階建学校を建築する中では制限していくことを考えております。そういったことで技術基準を作っていくということで、避難との関係でその火煙伝播が本当に危険なのかどうかを今後十分検討していくという段階でございます。
 3点目の区画の考え方ですが、確かに学校という用途を見ますと、例えば共同住宅のような用途と比べまして、区画をする。学校ですと非常に広い空間を使うという用途上の特性がございます。ですので、このあたりも煙の拡散あるいは火災の拡大という点で、どの程度危険になるのかということについては、今のところ直ちに危険でだめだということではないのですが、こういったことは実験を通じ、あるいはシミュレーションを通じて確認していく予定でございます。
 それから、サンドイッチパネル等のいわゆる、従来想定していなかったというか、火災時に危険性が予見されるものがあるとすれば、それは安全性が確認できないということであれば、まずは規制していくことが、この研究の中での提案ということになっていくと思います。すべて構造を確認するというのはなかなか難しいとは思っております。だた、建物の計画と併せて、例えば学校ですとどうしても開口部を広くとるという特性もございますので、外壁の部分がどういう計画をされるのかということも踏まえて、その部位で使えるのかどうかについては検討する必要があると思っております。

【主 査】 ほかの委員方、いかがでございしましょうか。

【委 員】 技術基準についてですが、これは建築基準法でいいますと単体規定絡みの基準案になるのか、それとも避難とか消防活動等のことを考えますと、集団規定的なものも出てくるのかなと思ったのですが、その辺はどういう想定でいらっしゃるのでしょうか。

【国総研】 現在想定しております技術基準というのは、あくまでも学校という用途、それから規模という用途で、まず安全にするための条件を検討する。
 続いて、集団規定としましては、例えば建てる地域によりましてどういう要件が必要なのかということについては、今のところ直ちに検討するということではないのですが、十分周囲の条件も踏まえて、危険性のない、この中でありますと、例えば周囲への加害性、つまりは、火災が起きたときに周囲に対してどの程度、放射熱とか倒壊してしまうとか、火の粉は飛散するのかということ。それから周りが燃えたときにどの程度延焼しやすいのかということを地域に応じて想定することは検討の中では行ってまいります。ただ、直ちに、その基準の中に反映するかについては、この研究の中では想定はしておりません。安全性という観点では検討はするのですけれども。

【委 員】 木材を使うというのは、地球温暖化あるいは地場産業、環境の快適性という点で理解できるのですが、3階建にする必要性、逆に4階ではだめなのか、2階ではだめなのか、その辺り。今、少子化の中で3階建の学校の需要というのはどの程度あるのか、その辺がわかれば教えていただきたい。逆に2階で行ければ耐火基準が緩むのかどうか、その辺を教えていただければと思います。

【国総研】 2階建であれば、現行でももう少し、まさに法令改正を要しなくても建てることは可能です。それで、こういった木造3階建学校の需要がどの程度あるのかということに関しては、実際に木造を推進している市町村といいましょうか、学校を作る行政側の方に聞きますと、比較的木造を推進しているところではこういったものにチャレンジしたいということは意見としていただいております。ただ、今のところ、なかなか、例えば2階建の校舎にしても、木造で作ることに対して少しハードルが高い。従来、鉄筋コンクリート造ですとか、そういったものが中心だったのですが、そういったものと違うことをやらなければいけないという点で少し手間がかかっている。ただし、木造推進に熱心なところであれば、木造建築の推進をしているのが実際であるということは聞いております。

【主 査】 それでは、時間がもう来ておりますので、恐縮ですが、記入シートにコメントの記入をお願いします。また、記入が終わりましたら事務局にお渡しください。

(事前評価シート回収)

【主 査】 それでは、評価の取りまとめをしたいと思います。今、4人の委員が出席しておりますが、全員、実施すべきというように評価しております。コメントですが、余り無理な木造利用は避け、適材適所にするべしというご意見。また、もしこういうことを進めるとすれば、階数、規模などの需要を考慮して考えるべきではないかというご助言がございます。また、同じような意見ですが、こういったことを今後進めていくときに、なぜ校舎は木造とするかということについてのメリットを広範に説明していくべきであろうと。これは一回、国是で、むしろ木造校舎を鉄筋コンクリートにずっと置き換えてきた歴史がありますので、某大臣がおっしゃる国民目線のということが求められるときには、なぜそんなことをやっているのかということの説明ができることも含めてだと思いますが、お考えいただければと思います。
 あと、○○委員からご質問がございましたように、エンジニアリングで考えると設計上非常に難しい部分があるかと思いまして、そういった建物の安全を担保する際に、私どもデザイン・バイ・レギュレーションという言い方をしまして、解析を個別にして設計する場合と、何らかのレギュレーションとか技術ガイドラインがあって、それに基づいて設計する場合と、どちらが安全かというと、明らかに技術者としてはデザイン・バイ・ルールの方がより安全側だと思います。ですので、できましたら、説明しようとすれば、まず一次的にはデザイン・バイ・ルールで、3階建の木造校舎に挑戦しようとするには、それなりの手がかりになる知識を是非整理していただいた上で、それを現実の、○○元建築指導課長の前で口幅ったいのですが、パッチワーク的になっている建築基準法にどう展開するかについては、そこである程度、デザイン・バイ・ルールにも耐えるような知識を作っていただいた上でレギュレーションの方に落とすようなステップを踏んでいただけると、今回、壮大な火災実験もされるので、それが非常に日本の技術発展に役立つように思いますので、ご考慮いただければと思います。
 以上にまとめさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。−それでは、今のような形でまとめさせていただきます。

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【主 査】 それでは、今日予定しておりました3件の事後評価と新規課題について評価しましたので、第二部会が担当する研究課題の評価はこれで終了となります。本日いただいた課題の評価結果については、本日のご議論をもとに取りまとめたいと思います。取りまとめについては私にご一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。−ありがとうございます。
 全体を通じて、ご意見、ご注意などございましたらお願いします。特にございませんか。ありがとうございます。
 それでは以上で予定の議事を終了しましたが、事務局に引き継ぎたいと思いますので宜しくお願いいたします。

【事務局】 今後の予定等についてご案内したいと思います。
 まず、評価結果ですけれども、主査とご相談の上、最終決定いたしまして、本省及び国総研のホームページで公表する予定です。それから、本日の議事録については、また後日、委員の皆様方にメールでご確認をさせていただきますので、その結果を踏まえ、国総研のホームページで公開する予定でございます。報告書については、本日の資料等を取りまとめまして国総研資料という形で刊行したいと考えております。こちらも国総研のホームページ上で公開する予定ですので宜しくお願いいたします。

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【事務局】 閉会に当たりまして、国総研副所長の○○よりご挨拶を差し上げたいと思います。

【副所長】 本日は長時間にわたりご審議いただき、ありがとうございました。冒頭に○○主査から、国総研の研究の重要性はますます高まっているというご趣旨のお話がございました。私ども、その言葉を十分に受けとめて仕事をしていきたいと思います。
 財政事情が本当に悪くなってしまいました。また、人口構造が大きく変わろうとしております。そうした中、今までの延長上ではない、本当に実効性のある施策を打っていくことが求められております。その役に、国総研として立っていきたという思いでございます。今日の評価対象課題の@とかBはそうした観点の研究だと考えております。
また、技術基準に関わるAでありますが、省エネの基準に関しては2020年までにすべての新築の建築、住宅について省エネ基準適合を義務化していくという方向性が出ております。基準自体が本当に省エネに資する基準になっていなければ、負担をお願いする国民、企業に対して申しわけないわけですので、そうした観点で、本当に実効性のある基準を作っていかなければならないと考えております。
 それから、Cの木造3階建の校舎ですが、一見、対象が限定された特別な分野のようになっておりますが、強い木材産地等からの需要といいますか、要求があって、この研究に取りかかるわけでございます。きちんと成果を出さなければいけないわけですけれども、加えて、建築基準法の性能規定化という全体の体系整備を目指す中で、この研究についても取り組んでいきたいと考えております。数々のご意見、ご指摘をいただきましたので、それを踏まえて、今後の研究のより充実を図ってまいりますので引き続きのご指導を宜しくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

【事務局】 以上をもちまして、本日の研究評価委員会の分科会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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