平成22年度 第6回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第一部会)

  議 事 録



1. 開会/国総研所長挨拶

2. 分科会主査挨拶

3. 議事

(1)
本日の評価方法等について(確認)

(2)
平成21年度終了研究課題の事後評価
@大規模災害時の交通ネットワーク機能の維持と 産業界の事業継続計画との連携に関する研究
A気候変動等に対応した河川・海岸管理 に関する研究
BセカンドステージITSによるスマートな モビリティの形成に関する研究

(3)
平成23年度開始予定研究課題の事前評価
C社会資本LCAの実用化研究
D道路交通の常時観測データの収集、分析及び利活用の高度化に関する研究

(4)
平成23年度開始予定研究課題の報告
E災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究
F大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究

4. その他

5. 国総研所長挨拶/閉会



平成22年度 第6回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)

平成22年12月9日


1.開会/国総研所長挨拶

【事務局】 ただいまより、第6回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)を開催いたします。それでは、国総研所長よりご挨拶を申し上げます。

【所 長】 本日は大変御多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。 前回の会議で申しましたとおり、1回余分に御足労いただくことになりました。本当にありがとうございます。
 今回、委員会を1回追加させていただいた理由は、研究所の看板として考えておりますプロジェクト研究について、今までは新規課題をブラッシュアップする時間が少し足りなかったということ、また、終了課題についても、終わった後の整理と次への動きに、もう少し時間がほしかったなということで、この時期に繰り越させていただいたということでございます。

 まだ来年度の予算の案がどうなるかは全然見えないのですが、昨年はかなり大幅に削減され、来年度はどうもそれだけではとまりそうもないということで、今日も、特に新規課題にあっては、資料の表記よりもさらに予算が減ることになると思います。その分、知恵を使って効率的に仕事をしていかなければと考えている次第でございます。  長時間になりますが、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

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2.分科会主査挨拶

【事務局】  それでは、主査にご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【主 査】 今日もよろしくお願いをいたします。
 9月の初めぐらいでしたか、本省に道路企業評価部会というのがありまして、馬淵(当時はまだ副大臣でございましたが)が来られまして、「評価をやってきたが形骸化している。これからはびしびし厳しくやるのだ。」という挨拶をして帰られましたが、そのようなものだと思っております。

 そのような中で、国総研は様々な工夫をされて2回に分けての開催になったのですが、実質的な評価をさらに進めていこうとする国総研の姿勢は非常に素晴らしいのではないのかと思いますので、我々としてもその姿勢に是非応えていきたいと思っております。

 委員会が始まる前に、委員の方々と「任期が随分長くなりましたね。」という話をしておったのですが、そういうことに決して慣れることなく、初心に立ち返って厳しいところは厳しくやりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。

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3.議事

 (1)本日の評価方法等について(確認)

【主 査】 それでは、今日は長丁場でございますが、よろしくお願いをいたします。お手元の議事次第にございますように、まず「本日の評価方法等について」のご説明をお願いしたいと思います。

【事務局】 課題の評価方法の説明の前に、先ほど所長の挨拶にもございましたが、平成23年度新規のプロジェクト研究につきまして、今年度は新しい取り組みをしましたので、簡単に資料2−1と資料2−2でご説明したいと思います。
 先ほどのお話にもありましたように、今年度は分科会を2回に分けて開催させていただきました。7月には取り急ぎ概算要求を行う行政部費による研究のみを評価いただきまして、今回は事業調査費による研究の事前評価をいただくこととし、ブラッシュアップの期間を取らせていただきました。この間に分野横断的かつ多様な観点から所内でブラッシュアップを行ってきたところでございます。

 1枚めくっていただきまして、その結果でございますが、これは所全体の数字でございます。平成23年度の新規プロジェクト研究は事業調査費による研究が3件、行政部費によるものが5件、総プロが1件ということになりました。このうち行政部費及び総プロによる研究につきましては、既に事前評価が済んでおりますので、今回の分科会では、この事業調査費による研究の事前評価をいただくということになります。

 なお、7月の分科会で事前評価をいただきました行政部費による研究につきましても、所内のブラッシュアップで進捗した点を中心に、ごく簡単ではございますがご報告させていただきまして、ご意見を頂戴できればと考えております。

 具体的に選定した課題でございますが、資料の2−2をご覧いただきたいと思います。継続分も含めまして、平成23年度に実施することになりますプロジェクト研究の一覧でございます。

 12番〜20番までで、枠囲いをしたものが新規の9件でございます。このうち本日の第一部会に関わりますのは、ちょっと資料戻っていただきまして、資料2−1の3枚目、「第一部会の平成23年度開始予定課題」ということで、本日初めてご説明させていただきまして評価をいただくのが2件、社会資本LCAの実用化研究と道路交通の常時観測データの収集、分析及び利活用の高度化に関する研究でございます。7月に既に事前評価をいただいており、報告させていただくものがその下の2件で、津波浸水想定システムに関する研究、それから大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究の2件でございます。

 それでは個別研究課題の評価方法についてご説明します。

 資料3をご覧下さい。7月にもご説明をしておりますので、簡単にご説明いたします。評価の目的および対象ですが、今回は事後評価と事前評価をお願いいたします。なお、プロジェクト研究についてもご説明いたしますが、評価についてはこれまでと同様ということで結構でございます。特に変更はございません。

  それから1枚めくっていただきまして、別添1というのがございます。「分科会委員が評価対象課題に参画している場合等の対応」というのがございまして、評価課題ごとに、利害関係者が評価者に加わらないようにしなければなりません。今回は、次のページの横表で時間と一緒に本日のメニューがございますが、Aについては○○委員が、BからC、Dにつきましては主査が該当しておりますので、それぞれの課題で評価はいただかないということで整理させていただきたいと思います。また、横表にありますとおり、平成21年度に終了した事後評価は3本、それから平成23年度から取り組む事前評価が2本ございまして、それぞれ視点や項目については資料3にあるとおりでございます。

 この中で、評価対象について1点だけご報告をさせていただきたいと思います。事後評価案件のB、「セカンドステージITSによるスマートなモビリティの形成に関する研究」につきましては、研究のスタート段階ではスマートウェイ推進会議において事後評価することを予定しておりましたが、現在、同会議は開催の目途が立っていないことから、事後評価を第一部会でお願いすることにいたしました。なお、この課題は当部会で評価しておりませんが、平成17年度に第一部会にご報告して、進め方等についてご意見いただいたというものでございます。評価につきましては、他の事後評価課題と同じ形で評価をいただければ結構でございます。

 具体の評価の進め方ですが、主に時間管理という観点で、カラーでパワポの表をつけてございます。1枚目が事後評価の流れですが、それぞれ40分の中で最初に説明15分、質疑20分、それからまとめ5分となりまして、このうち3分の間に評価シートを書いていただき、主査に集めて取りまとめを行います。また、事前評価につきましては若干時間が短くて、説明10分、質疑が概ね11分ぐらい、まとめに4分というような流れでございます。それぞれ予鈴1回、本鈴1回、超過1分後に1回、ベルを鳴らさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  本日の結果のまとめについても7月にご説明しておりますので、同様でございます。 また、最終的な結果につきましては、主査にご相談をいただいた上で取りまとめ、予算が確定しないと課題が決まりませんので、その後にホームページ等で公表をしていきたいと考えております。議事録についても同様の扱いにさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【主 査】 ありがとうございました。ただいまご説明にありましたように、私は今日ご審議いただく7つのうち3つの関係者ということになりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまのご説明に対して何か質問等がございましたらお願いいたします。―よろしいですか。では、どうもありがとうございました。

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(2)平成21年度終了研究課題の事後評価

〈事後評価〉@大規模災害時の交通ネットワーク機能の維持と産業界の
事業継続計画との連携に関する研究

【主 査】 それでは、早速でございますが、「平成21年度終了研究課題の事後評価」でございます。3つございますが、まず、「大規模災害時の交通ネットワーク機能の維持と産業界の事業継続計画との連携に関する研究」の説明をお願いいたします。

【国総研】 よろしくお願いいたします。  本課題は、平成19年度から21年度までの3カ年、総研究費として4,500万円、こちらの研究費はすべて行政部費の研究となってございます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示

・ この研究の背景でございますが、言うまでもなく、自然災害が頻発し、あるいは大規模な地震が切迫している状況の中で、それらに対する取り組み、そして経済活動もグローバル化しているということで、企業の継続的な活動は日々重要性を増しております。

・ また、このBCPという事業継続計画でございますが、こちらの方は災害対策基本法に基づく防災基本計画においても定めるように記されていますので、現在、都道府県を始め各地で進められているところでございます。

・ 一方、どのぐらいそのBCPの策定が進んでいるのだろうかということで、これは研究後のデータとなってございますが、大企業においては約6割の企業が策定済みあるいは策定中ということでございますが、中堅企業、こちら中堅企業と申しましても資本金1億円を超えるような、あるいは従業員が100人を超えるような規模の企業においても30%を切るような策定の状況ということで、いわんや、もっと小さい企業においてはさらに悲惨な状況になっているのが現状となってございます。

・ ではなぜそういうBCPを策定しないのかということでございますが、スキル、ノウハウがないという話と、それに割く人手がないということ、そして4番目にありますが、策定効果が期待できないということで、BCPをつくって何の得になるのかよく分からないというのが、BCPを策定しない要因となっているようでございます。

・ そこで、本研究ではそのBCPを官民が連携して策定する仕組みを作ろうということで取り組んで参りました。このプロジェクト研究は4つの研究のサブテーマから構成してございまして、1つ目は、なぜBCPを策定すれば良いかということの動機づけを与える研究。2つ目は、実際にどのようにBCPを策定していけば良いかということを支援する研究課題。3つ目と4つ目は、実際にBCPを作成する際に必要となる情報、公的な行政から企業に提供できる情報を準備するための研究となっております。

・ これがその構成を図示したような形になります。2つの研究で支援を行って、それを下支えする2つの研究。実際には中小企業と行政が連携をしながらBCPを策定していこうという構成となってございます。

・ では、実際に研究の成果についてそれぞれご説明させていただきたいと思います。
 1つ目は、BCPを策定する効果でございますが、こちらは、BCPを策定するとその普及にかかる時間がどれだけ短縮されるかというようなものについて、このような効果があるということを企業に示すものを幾つか取り上げて、BCPの効果を皆様に提供するということで取りまとめさせていただいております。

・ そして企業の必要な情報として、さらには企業からのヒアリングによりまして、要員の確保だとか通信の確保だとか、このようなものが必要であるということを把握して、その研究の中で実際に企業の方に提供するという支援を、実際に具体的に行ったというところで、このサブテーマの成果を使ってございます。

・ 2つ目の部分でございますが、こちらが策定支援に関する研究ということで、写真はその検討会の様子でございます。実際、なぜこのような支援が必要かということでございますと、先ほどの繰り返しになりますが、スキル、ノウハウがない、あるいは手間や時間が確保できないということなので、我々としては、短時間で無理なくBCPを作ってもらえる方法の開発を目指しました。そして、実際にそれらを検討し、ケーススタディで検証しようということで、机上の空論では使いものになりませんので、検討会を開いて、実際に使えるものかどうかというものを検証して、取りまとめました。
 その成果をお手元に配布させていただいておりますガイドラインにまとめております。後でまたご説明しますが、現在、このガイドラインに基づいて地方自治体の方にやっていただけるよう、各地方整備局に働きかけていただいているところでございます。

・ そしてこのガイドラインの特徴でございますが、先ほどご説明したように、短期間で作れる検討会を行う手引きとなっています。この中で作るBCPは防災計画と一体化しておりまして、中小企業の方々ですと、なかなか防災計画すら立てていないところが多いので、それも合わせて作っていただくようになっております。そして我々行政側から提供できるものをここで明確に示し、さらに、短時間で作っていただくために、ひな型を示すことによって、BCPの知識の乏しかった方にも簡単に作れるようにいたしました。

・ 以上で2つ目の部分が終わりまして、あと2つ、それを支援する部分に入らせていただきます。  まず1つ目がネットワーク評価を想定した構造物の整備・管理水準に関する研究ということで、ここで課題名が示しますように、これは構造物の整備あるいは管理水準を示すことによってBCPに役立てようということでして、被害想定を予測するものではないことを念頭に置いていただければ幸いです。

・ 現在、ネットワークの評価につきましては十分なされておりませんでした。個々の構造物の損傷・劣化の評価がなされていますが、それは定期的な点検によってなされています。我々行政はそういったデータを持っていますが、それをネットワークの評価にまで繋げるのが、この研究のミソでございます。
 そのためにはどうしようかということですが、異種の構造物、トンネル、橋、土工などを共通の指標で評価してやろうということで、まずそれらをつくり、そしてそれをネットワークとして評価しようというのがこの研究となってございます。

・ まず共通の指標ということでございますが、構想物の管理水準をあらわす共通の指標としてどんなものが良いかということでいろいろと検討いたしまして、最終的には災害抵抗性、走行安全性と耐荷性という、この3つの指標でその構造物を評価してはどうかということを、この研究の中で提案をさせていただいております。

・ ネットワークの評価に行く前に、例えば構造物の損傷が今までですと、どこの橋梁にどんな傷みがあるかということでやっていたわけですが、それを同じ災害抵抗性だとか、この3つの指標によってネットワークにある構造物を同じ指標で評価しようということになりまして、ネットワークに行くわけですが。

・ 例えば、非常に傷んでいるこの支承ブロックが破断しているような場合は非常に点数が低いだとか、そういう形で具体的に点数をやっていった結果です。

・ そのネットワークの中で構造物そのものがどのぐらいの点数のものがどう並んでいるかということから、最終的にその最悪値でネットワークのリンクを評価いたしますと、こういうような形になるというものでございます。

・ この評価の方法は、実際、具体的に行政の現場の人たちは非常に有効なツールとなり得るのではないかという評価をいただいております。管理者が別々に管理する道路網を鳥瞰的に把握できるという価値を認めていただいておりますし、また指標の意味するところ、これも余り総合的になって抽象的な指標ですと意味がわからないのですが、意味のわかる指標になっていると高く評価していただいております。

・ それらの指標に、さらに復旧の優先度や交通量といった情報を合わせて示すならば、さらにBCPに使えるのではないかということで、それらのこともあわせて鋭意検討しております。以上が3つ目の研究でございます。

・ 4つ目の研究は、そのインフラの復旧に関するものでございます。こちらの方はインフラ復旧の構造化ということでございますが。

・ その中で被害が波及するということでございまして、それを把握することによってその障害がどれぐらい遅れるのかを把握するとのが、この研究課題の主眼となってございます。例えば道路交通と電力という異種のネットワークでございますが、交通信号が、電力が途絶することよって交通が混雑するならば、実際に電力を復旧させようとする際の人員だとか資材の輸送に支障が生じて復旧にも遅れが出るといったものでございます。

・ これを解決するために、我々はシステムダイナミックスでモデルをつくりまして、それを表現しようということでございます。それぞれの組織あるいはその構成から、それぞれのインフラの復旧に必要な復旧モデルを構築いたしまして、その中で他のライフラインとの関係を構造的に、どの段階でどの程度関係を持つのかということをデータ的に洗い出し、全体のダイナミックスモデルを構築してございます。その際、特に、我々道路管理をしているという立場から交通モデルを構築するために、道路あるいは鉄道の災害がどれぐらい他のライフラインの復旧に影響を与えるかというものをモデル化いたしました。

・ そして、そのモデルで実際に計算してみるとどうなるかということですが、東京都の直下型の地震で中央防災会議の地震規模を想定して試算をしてみたところ、交通のモデルを入れることによって、数日遅延してしまうことが明かになりました。

・ つまり、このモデルによって実際にこの交通モデルを想定していないものよりも、想定している方が、かなり時間がかかるということがわかり、それをもとにまたライフラインを供給する企業の方に新たなBCPを検討していただくために、現在、情報報を提供しているところでございます。

・ まとめさせていただきますと、つくりましたガイドラインは地域の中小企業によるBCP策定のきっかけ、あるいは動機づけの下支えになっているということでございます。本研究終了後に企業の方々にアンケートを取ったところ、この検討会に参加した企業から、これらをもとにBCP策定に取り組んでいる企業も数社ございまして、実際そのように使われていることを我々も把握しております。
 またネットワークの評価でございますが、これも行政の方にその有効性を確認し、その機能、限界を正しく伝えることを前提にBCP策定の参考資料になり得ると我々は評価しております。また、ライフラインの復旧についても、同様にライフラインの企業体に対して自らのBCP策定において新たに検討していただく上で使うことができております。

・ あとは様式にまとめてございますが、我々としては4つの研究において、達成状況としては◎と○とし、ほぼ目標は達成できたと考えております。

・ 研究の体制についても、国総研の他に地方整備局、自治体、経済団体、公益企業、これらと関係する人たちの協力のもとに研究が進めることができ、成果が得られたのではないかと考えております。

・ 先ほども少し触れましたが、現在、実際にガイドラインを地方整備局で使っていただけるように働きかけを行っております。地方整備局においても温度差はありますが、非常におもしろいとの評価をいただいているところです。またネットワークの評価につきましては、さらに精度のアップなどに取り組んでいるところです。さらに最後の波及構造のモデル化につきましては、ライフラインの企業にモデル化を行っており、現在も引き続きその活用に向けて活動しております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【主 査】 ありがとうございます。それでは、欠席委員や他部会からの意見はありますか。

【事務局】 ございません。

【主 査】 では、ご質問やご意見等、十分に時間がありますのでお願いしたいと思います。

【委 員】 大変重要な研究だと思いますが、一番お聞きしたいのは、25ページのところのある必要なリソースに「要員」というのがありますが、東大の地震研のある研究結果によると、首都の直下地震で復旧を1年でやるのには、技術者の数がなく、労働者もいないといった報告の論文がございます。ここで考えておられる必要なリソースとは、どういう人材がどのぐらいアベイラブルか、どのぐらいの期間にどうすれば復旧できるのか、この辺のコンセプトはどのようにつくられたのか、教えていただけますか。

【国総研】 我々の情報といたしましては、各ライフラインの企業体の情報は入れておりますが、どういう人材がトータルで何人いるかといったところは、実際には重複してカウントされているようなところもあるかもしれませんし、まだ精査しきれていないというのが実情でございます。

【委 員】 伺っていて非常に重要な研究だと思いましたが、BCPについては専門外のことなので、どういうイメージのものなのか教えていただきたい。例えば、中堅企業で策定が非常に遅れているのは手間やコストがかかるからだと思うのですが、どの程度のコストがかかるものなのか、あるいは状況の変化に応じて随時変更していくといったメンテナンスも必要だと思うのですが、そういったBCPの策定コストにはおよそどれぐらいかかるのか。また、それを投資することによって復旧が早くなり、経済的な利益があるというビジネスモデルがあるのだとすれば、多分、そこにインセンティブが働くと思うのですが、そのあたりについて、もしお分かりなら教えていただければと思います。

【国総研】 BCPにつきましては、どのぐらい精緻なBCPをつくるかによって、かかる経費もかなり違ってこようかと思います。普通ですと、数名の方がかなり時間を割いて計画をつくることになろうかと思います。また今、先生のご指摘のようにメンテナンスという意味では、一旦つくったらそれで終わりというわけではなくて、状況に応じて常々見直していかないといけません。
 さらには最初につくった計画から、より広範なリスク、最初は地震についてのBCPをつくったのですが、そのあと大雨について、あるいは洪水について、さらにはパンデミックについてなど、さまざまなリスクについてBCPを拡充することになると、ますます大変になりますが、企業は100点のBCPをつくろうとするものですから、かなり二の足を踏むのではないかと私は考えています。あともう一つは、阪神・淡路大震災の後に、家の耐震性能を無料で診断してもらえるという話があったのですが、なかなか診断する方がいませんでした。BCPも同じように、事業継続計画をつくると、つくった計画に従って行動することが求められるようになります。家の診断も同じで、家が診断されて地震に対してこれだけの手当てをしないといけないという診断をいただくのが怖いものですから、診断そのものをしないということになります。

 ですから、コストにつきましては、つくるコストとつくった後に計画を実施するコストについて、企業によっては本当に真面目にやると相当コストがかかるけど、幾らかかるのだと言われても、企業によって相当違うというのが答えかなと思っています。

【主 査】 もうちょっと回答を短く言っていただければありがたいです。いかがでしょうか。

【委 員】 私も、大変興味深い研究で非常に有効な成果が得られているなと思ってお聞きしていました。1つ質問なのですが、こういった成果を日本中に広めていくことは必要で、例えば、中堅企業にこういった制度を取り入れるための努力はされるのだと思いますが、実際にやっていける見込み、そのための努力、または交通ネットワークの評価を全国展開するときどれぐらいの期間で全国展開できるのかなど、この研究成果の活用について少しお話ししていただけないでしょうか。

【国総研】 この方法の活用の見込みということですが、我々は非常に良いものだということを示して、自治体の方も多分良いということで評価していただいていると思っています。それを企業の方が取り入れるかどうかにつきましては、我々は水飲み場まで連れていくことはできますが、水を飲むかどうかはその企業の方に判断していただかざるを得ないので、どこまでやるか、なかなか見当がつかないのですが、少なくとも行政には是非やっていただきただきたいと思っております。
 そして、我々が示すネットワークの評価ですが、現在、構造物についてはどのような管理水準にあるかということを全国的に定期的な点検をすることになっていますので、そのデータから、今日私たちがお示しした評価まではいけると考えています。ただ、その公表の是非となると行政判断が入ってまいりますので、もう少し現場と調整しながら進めていく必要があるのではないかと考えてございます。

【主 査】 いかがでしょうか。

【委 員】 私も非常に重要な成果が出てきたように感じております。研究内容の前半部分で最終的にできたマニュアルという成果物があって、後半の2つは、行政側がそのBCPをつくる上で重要な情報を提供するために、こんな形で整理しましょうという部分だと理解しました。一緒にやった結果として、BCP策定支援マニュアルの中に、ネットワークを評価した構造物の情報を持って、その企業がどういった対策を考えなくていけないのか、こういう情報が将来出てくるから、あるいは出てきたときにはどう考えるのだという部分は、ガイドラインをざっと見た限りでは余り言及されてないようです。後半の2つの成果情報が反映した形でガイドラインができていないように思ったのですが、それは、具体的に入れるにはまだ十分でないために、そういったガイドラインに入れるのはおかしいと考えておられるのでしょうか。

【国総研】 ご指摘のとおり、ガイドラインをつくったときと、他の研究の成果のタイムラグがありますし、ガイドラインはあくまでもその進め方という形で整理していますので、学識者の方がBCPについてさまざまな講義をしていく上で、企業の方にインプットする情報がガイドラインには書かれていなかったり、今回、行政がどんな情報を示すかということもなかなか書き切れてないという状況なので、今後、さらにブラッシュアップする段において、是非やった方が良いよといったような情報があれば、入れていきたいと考えています。

【主 査】 他にいかがですか。どうぞ。

【委 員】 有益なご報告、ありがとうございます。私どもは協会ということでございまして、先ほど中小企業は3割程度しかつくっていないというご報告ございました。建設コンサルタント協会400社ちょっとございますが、ほとんどがこの中堅企業に当てはまりますので、実際にはほとんどつくってないなという状況だと思うのです。
 そこで、協会としても是非今日のお話も踏まえてBCPを策定していく必要があるなと考えているところですが、通常この、BCPと言ったときには、内的なBCP、すなわち従業員とか家族を守るという点と、外的なBCPと称しまして、いわゆるお客様や仕事そのものを守る、といった2点で我々考えていきます。その辺はこのガイドラインの中でどのような形で反映されているか、お教えいただければと思います。

【国総研】 ご質問ありがとうございます。まず、内的、外的ということでございますが、やはり内的な側面、従業員、家族の安全を図ることが第一義で、防災計画の中にもそのような形で盛り込んでいます。さらに外的という意味で、実際の主要業務をいつまでに普及しないといけないかということを入れ込むということですが、今回につきましては防災計画プラスBCPということで、まずは安全、そしてその次に、存続に向かっての事業の継続という形で整理しています。もちろん、両方一緒になったものが計画になりますので、どちらが先、どちらが後ということではないので、どちらも含んだ計画としてガイドラインの中に記載しています。

【委 員】 ひとつには、こういったBCPは危機管理のようなものだと感じたのですが、これは道路の交通ネットワーク化が最も重要な形として議論されているのでしょうか。先ほども仰っていたように、起こりうるいろんな災害に対応したBCPの危機管理的なテーマが有り得るような気もします。そうであるならば、他の災害と結びついた形での様々なBCPをつくるという議論は不可能に近いような気がするので、なぜ道路なのかということを教えていただきたいと思います。
 あともうひとつ。私もこの手の議論は活用が大変重要だと思っています。ただ、先ほど○○委員が仰っていたように、水飲み場までは連れていくけど飲むかどうかはその人の結果だということですが、例えばこれを渡されて、さあつくって下さいと言うのは非常に辛いと思います。ですから、これが国総研の仕事なのかどうか、あるいは別の普及の形としてやっていくのかは分からないのですが、その辺で研究を研究としてまとめてしまうのではなく、もう少し広げていくための努力として、これを配布する以外に何かないのかなと思っています。

【国総研】 なぜ道路かということですが、BCPをつくる中で一番オーソドックスな災害として、中央防災会議あるいは防災基本計画において地震が代表例として挙げられています。道路の役割は非常に大きく、我々もまた道路の管理者として、そこからが最も取り組みやすいので、まずは道路が地震によってどうなるかというところから取り組ませていただきました。
 そして活用についてですが、国総研の仕事としては確かに、これをばら撒くだけで仕事がおしまいというわけではないかもしれません。ただ、すべての場所に我々が出向いていって、「指導」と言ったら上から目線で申し訳ないのですが、一緒になって検討していきましょうというには人材が足りないところもありますので、まずは地方整備局の理解を得て、本局や事務所から自治体にも広げていき、自治体からの様々な相談に地方整備局の方が対応していくような形で取り組んでいければと思っています。

【委 員】 ありがとうございました。ひとつだけ。国総研の中で、道路以外にBCPがつくられたケースはあるのですか。

【国総研】 国総研にはないと思います。初めてです。

【主 査】 よろしいでしょうか。皆様、もう慣れていらっしゃるので、そろそろ評価シートを書いていただいければと思います。その間を利用して、私も質問したいのですが、よろしいでしょうか。
 小松島と大津で地域検討会をやられたというのはすごく良いことだと思うのですが、実際に企業の方に何かつくっていただいているのですよね。そのときの手ごたえはどうでしたか。結構簡単につくれたなとか、あるいはちょっと大変だったなとか。

【国総研】 私も直接現場に出向いていないので分からないのですが、非常に分かりやすかったと、後の企業の方のアンケート結果をいただいています。ひな形ということでご説明しましたが、ある企業でつくるとこうなり、自分の企業に置きかえるとどうなるか。こういうことを書けば良いのだな、ということも示していますので、比較的つくりやすいとのことでした。全然違う業種であるため、ひな形を示されてもつくり難かったという企業の方もいらっしゃったので、すべての企業でオーケーだというところまでは、なかなかレベルが上がっていないのですが、それなりにつくりやすかったというご意見はいただいています。

【主 査】 でも業種が違ってもつくっていただくことはできた、ということですよね。

【国総研】 はい、そうです。

【主 査】 ちょっと思ったのですが、同じ四国でも山を越えて高知の方に行くと、いろんな問題、例えば、東南海や南海地震、台風などが起きるので企業にも来てもらえないといったことがあります。そういうところで、立地促進や企業誘致のために地域の自治体と連携して、こういったBCPを仮想的につくってみませんかと。そうすると、あながち思っていたほど事業継続が難し過ぎることはないかもしれません。そんな扱い方をしていただくと、困っているところはいっぱいありますし、良いのかなと思います。そのためにも、非常に良いデータをつくっていらっしゃると思いますので、そういったデータセットをつくることを今後、強力に推進していただければと思います。コメントでございます。

【委 員】 17ページのところでございます。構造物の評価方法を共通化は大変重要な視点だろうと思いますが、新しく3つの指標を出されています。それはそれでよろしいと思いますが、今度は設計する側の指標とどういう絡みになっているのかというあたりを整理しておく必要があると思います。例えば、性能設計をどんどん進めているときに、新たに災害抵抗性と言われても、設計する側は何を目指しているのか見えないですよね。だから、こういった構造物の評価と、物をつくるときの評価が違ったものであると混乱を招く恐れがあるので、この辺の整合性は極めて慎重に対処すべきだという気がします。その辺りを今後、十分にご注意をいただければと思います。

【委 員】 道路やトンネルのクラックが入っているという情報入手を、今回のためにやるわけでなくて、既にやったものを如何に活用して点数化し、それがネットワークとして見たときにどうなるかという仕事を、行政側がやるということでよろしいのですか。

【国総研】 研究を担当しました道路構造物研究室の者です。仰るとおりでして、今のところ、定期点検などでデータを取っているのは行政管理者なので、そちらでデータをつくることになると思います。ただ、こういった指標にしたものを示すのは我々の仕事でもありますが、管理者が示すという話もありますので、企業等に対して管理者側でどこまで出していくのかという議論はありますが、出すのはあくまでも管理者だということになります。
 1点補足いたしますと、先ほどネットワーク、この資料をどう展開していくのかというお話がありましたが、実は橋梁につきましては直轄の定期点検のデータが揃っていますので、全地整の点検データで既に計算をしたものを、このように国総研資料という形で既に公表しています。途中の評価段階で完全なものにするべしというご意見もいただいていましたので、今回の研究では地方自治体でやっているような点検データでも計算できるように検証してまして、それを出していこうと考えています。

【主 査】 市町村道の橋梁などのうデータが結構危ないと伺っているのですが、その辺りも含めて検証出来そうですか。

【国総研】 実は、この研究の過程で国交省直轄の定期点検ほどの点検はできないという自治体がたくさんありまして、データ数を少し絞った調査要領を出しています。それで、直轄の定期点検データと同じ信頼性で、この指標が計算し得るという検証をしています。今回、途中でお見せしました実際に地整と県と市で行った四国の事例では、すべての管理者のものを同じ土俵で計算したマップを見せて、打ち合わせをしています。

(事後評価シート回収)

【主 査】 ありがとうございました。集計が終わりましたので、これから取りまとめに入りたいと思いますが、口頭でのコメントも、よくやっている、成果が十分であるといった意見が多くありましたし、集計結果もそのとおりなので、妥当性については「適切であった。」、目標達成度についても「十分に達成できた。」と判断したいと思います。
 コメントをたくさんいただいております。コメントの視点は、どのように活用していただくかが重要で、そのための様々な条件や準備があり、モニタリングも必要であるということです。ですから、その辺を中心に評価シートの原案を出させていただいて、委員の皆さんのチェックを受けた上で、評価委員会全体にお諮りして取りまとめたいと思いますが、よろしいですか。

 では、どうも御苦労様でした。

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〈事後評価〉A  気候変動等に対応した河川・海岸管理に関する研究

【主 査】 それでは、早速でございますが次の事後評価に参りたいと思います。「気候変動等に対応した河川・海岸管理に関する研究」の説明をお願します。

【国総研】 よろしくお願いいたします。
 このテーマにつきましては、表題にございますように、平成18年度から4年間にわたる表題のプロ研が1つありまして、一番下に小さい字で書いてございますが平成20年度から2年間にわたりまして「地球温暖化による気候変動の影響に適応した国土保全方策検討」という事項立てが追加で補充され、同じ年度に終了していますので、この2つの研究について評価をいただきたいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ 復習でございますが、この研究のテーマの目的、背景の一番根っこにあるのは、私どもが管理している河川海岸施設の管理を高度化です。しかし、それに関連いたしまして、ここにゲリラ豪雨という一例が書いてありますが、こういった気候変動の影響の顕在化に伴って安全度が落ちていることに対する国民の関心の高まりに対応することが背景になっています。
 具体的には、後でご説明しますXバンドMPレーダーという技術を活用したり、影響評価、適応方針の必要性を検討して、最終的には下に書いてありますように、新しい水管理技術、国土の脆弱性を把握する、それから新たに取り組むべき適応策を提案するということが、この研究の大きな目的になっています。

・ 様式の方に書いてありますが、この2つのテーマは非常に多岐にわたって書いてあります。4カ年のプロ研につきましては、TとUの問題、それから後から追加しました事項立てはVということになっていますが、丸数字のテーマだけ読んでいきますと関係がよく分からないかと思いますので、このような形で整理しています。
 一番左下のUを見ていただきたいのですが、これが上から河川、海岸、水資源といったように分かれていまして、各テーマがどうなっているかを整理しています。

 1つ目のTでございますが、これは河川についての新たに取り組むべき適応策の範疇ということで整理しています。

 Vでございますが、国土保全方策の検討というのは、それぞれの河川、海岸、水資源に対しての影響評価手法を確定するという形で整理しています。それと、Vの@につきましては、脆弱性把握という形で、それぞれ3つの分野について整理し、こういう形で分類というか全体を鳥瞰的に見ていただきたいと思っています。

 最後に取りまとめた結果がVですが、今日、お手元に「気候変動適応ガイドライン」を配布してありますが、これに最終的には成果をインプットするという形でやらせていただいております。

・ 研究体制でございますが、これは私ども河川研究部だけでなくて、研究所の中、危機管理センターの水害、砂防とも協力しながら、所内のチームを組んでいます。また、所外につきましては、左上にあります21世紀気候変動予測革新プログラムのチームの一員として参加し、各大学の先生や独法の研究所と共同しながらやっています。当然ではありますが、施策への反映については社整審の答申の一部に反映したり、本省・河川局、地方整備局、さらに水資源機構等と協力しながら研究しています。
 テーマは多々ありますが、次からは、今整理した順序に沿ってご説明したいと思います。中身がわからないかと思いますので、目次を入れながら説明したいと思います。

・ まずTですが、新しい水管理技術の開発のご説明をさせていただきます。
 1つ目の右の上に書いてありますが、これはTの@とBに関連する項目ということです。1つ目につきましては、洪水・浸水監視を今より強力に進めるという問題、テーマです。具体的にはXバンドMPレーダーの実用化と活用ということになりますが、本研究費9億のうち、大体4億ぐらいを使って、特にこの最近2カ年の間に全国のXバンドレーダー雨量計が整備されることになりましたので、その実用化に合わせて大分精度を高めていった研究でございます。

・ この左が現在河川局のホームページで出ていますCバンドレーダーです。右が、今年の7月から試験運用しているXバンドの画面ですが、書いてありますように、従来は1キロメッシュのもので観測時間は5分、それで配信に5分〜10分かかっていたところをこれでは250mメッシュで1分ごと、1〜2分で提供するという形になりまして、高分解能化、高頻度化、即時性の向上が果たせたわけでございます。ゲリラ豪雨のように局所的な雨というものは、従来データでは取れなかったのですが、取れるようになっています。
 それと、時間がないので解説できませんが、従来のレーダーの解析手法とちょっと変えているところがありまして、MPのマルチパラメーターと書いてあります。下に今年の7月の板橋での豪雨の事例、地上雨量計とCバンド、Xバンドの比較が書いてありますが、これは試験運用でアルゴリズムのチューニングなど、まだ十分でない段階ではありますが、かなり精度の高いものができています。予定としては、これを3カ年ほど運用して、25年からは実運用を目指しています。

・ 続きまして、それと同時に雨量の方がXバンドで精度が高まるということでございますが、それを今度、具体的な浸水予測に使うというものでございまして、これは淀川でやったものですが、分布型モデル、京大モデルを使うことによって、この下のグラフにありますように実測値と計算値がかなり合うことが解っています。先ほどの雨量と、このモデルを組み合わせることによって、かなり具体的な浸水予測ができるといった成果が出てきています。

・ 続きまして、このU番の河川水害への対応ということですが、ご覧になったグラフは社整審のところでも公表したものでございますが、書いてありますようにGCM20、全球モデルをダウンスケーリングして、日本の国内の降雨量がどれだけ増加するかを出したものでございます。ご覧になって分かるように、一般に言われているような高緯度ほど安全度というか危険度が高まるというか降雨量が増加するという結果が出ています。これを社整審に出すことで、国内における気候変動による影響がどの程度あるかといった情報発信に繋がったことが、1つの成果になるかと思います。

・ 続きまして、これをまた応用いたしまして、流量になったらどうか、河川整備に関してはどうかといったことを、雨量から流量、整備量の順に示してあります。全国図は同じようなものですが、この下の表を見ていただくと分かりますように、予測は低位、中位、高位とございますが、大体全般的に見ますと降雨量は1割〜2割の増ですが、損失雨量等の関係があって、流量に関しましては1割〜3割、それから、そういったものの河川整備の必要というのがまたダムの調節とか何かがございますので、5割から2倍の増というようなことが求められていまして、先ほどの社整審の結果だけではなく、こういった影響もあることを定量的に公表したものでございます。

・ 続きまして、海岸の問題でございます。海岸につきましては、まず高潮等の潮位がどうなるかという問題についてまとめてございます。これは京大の防災研等と協力しながら進めまして、結論としては、将来の異常潮位の増加量は3大湾ともにこのような形で増加していくことが予想されています。

・ 続きまして、今度は海面上昇に伴うものでございますが、こういう形で、これに関しましても現在のところ単に大体60cmぐらい潮位が上がるというところですが、左のグラフにありますように、前浜、前の施設が水没することによって、プラスアルファの危険度が高まるといったような結果が出ています。端折りながらで申し訳ございません。

・ 3番目が水資源に関しての問題です。これについても同じように、全球モデルを回しながら気候変動によりまして降水量がどうなるかということを期別に出しています。見てわかるとおり、春と秋に関しましては現在より安定することになりますが、冬場と夏場に関しては発生する場所が違うところですが……逆でした、春と秋で、また減少する区域が多くなっています。これに関しては、さらに精度を高めるような検証を現在、実施しているところです。

・ それに伴いまして、では低水管理を総合的にどうするかといったことをシミュレーションしたものが、この低水管理シミュレーターの一部でございます。この表はたまたまいろんなケースをやりましたが、節水率を一定にするためにはどのような取水配分にするかを出したもので、こういう形になっています。各自治体によって水源が違うので、取水比を変えないとなかなか万遍なく給水できないということが分かったかと思います。

・ 続きまして、後の事項立てのものです。これは脆弱性のタイプを分けるということで、海岸について分けたものです。具体的には、この左のグラフにありますようにa〜b、防護必須型から防護優先型等、a、b、c、d、eに分けていますが、右に書いていますように、今までの考え方を言えば一律に整備することが目標かと思いますが、現在も未整備の段階で安全度を上げるにはどうしたら良いかということ、メリハリをつけるにはどうしたら良いかということを、その裏返しで脆弱タイプ別に分けたという結論になっています。こういう形の海岸については5タイプに全国的に分けたらどうかということを提案した形になっています。

・ 今度は砂防の方でございます。同じように降水量が増加することによって斜面の安定度がどの程度変わるかということになっていまして、左上の、雨量に伴うがけ崩れ災害の発生増分という、この式に当てはめて、先ほどの気候変動の降雨量の変化を当てはめて出すことによりまして、大体同じ結果にはなるわけですが、多少先ほどのものと違いますが、高緯度の北海道、その次に東北の地方につきましては、こういう形で安全度が、がけ崩れの災害が増加するということが予想されています。

・ 次が、今度は災害による波及被害がどうなるかということでございます。結論だけでございますが、単なる事業所だけでなくて、それが間接的に家計に波及的被害がこれだけ多くなるということが、4倍程度上がるということが算定されています。

・ 最後でございますが、これらの結果をもとに、お手元に配布しましたガイドライン等にまとめています。これにつきましては本文に書いてございますが、アジア地域に対して発信するため原文は英語になっておりまして、これを日本語に訳したのが本日配布したものです。私どものところでは日米英蘭の4カ国で気候変動に対しての研究会を開催しておりまして、そのようなところで発表しております。

・ それから、この研究の期間外ではありますが、今年から新たなプロ研を始めています。表題につきましては上に書いてあるとおり、また4カ年で実施しています。これにつきましては、今までの4年間の結果を踏まえて、メリハリをつける意味で水災害リスクについてさらに評価しています。それに伴ってオプションの組み合わせをして、統合的な施策を打ち出していこうとしており、今までの4年間の成果が生かされているわけでして、こういったものを生かしながら、最終的には具体的な施策に反映するよう提言していきたいと思っています。
 以上、端折りながらで、いろいろテーマが多かったのでございますが、説明を終わらせていただきます。

【主 査】 ありがとうございました。欠席委員や他部会からの意見はありませんよね。

【事務局】 ございません。

【主 査】 ずっとありませんか。はい、分かりました。では、その手順はこれから省きます。
 非常に興味深い研究成果でございました。多くの意見があると思いますが。

【委 員】 大学を始め他の研究機関と協力しながら、非常に多くの良い成果が上げられていて、大変評価できると思います。ただ、全体を見ると、山地から海岸まで様々なツールや情報が得られており大変すばらしいと思うのですが、それを1つに取りまとめているような部分が余り見られず、研究全体のつながりみたいなものが見えないのが、少し残念な気がします。研究体制のところで、非常に多くのところと連携されていて、特に外との連携は非常に密にやっているという印象を受けたのですが、点線の中身のところの連携というのがどれぐらい密にされているのか、実情なりを少し教えていただけますか。

【国総研】 大変的確なご指摘、ありがとうございます。余りにも縦割りではないかというご指摘かと思いますが、確かに各事業それぞれに条件があって、接着剤でまとめることが十分できなかったのかなと思います。ただ、その反省というわけではございませんが、昨年から、さらに下水道研究部や環境研究部を加えて拡大させた、「気候変動適応研究本部」という組織を国総研の中につくりまして、横の情報をつなぎながら、打ち出すときには様々に、共通してやるところは一緒に取り組むようになりましたので、今後はそういったことが反映されてくるのではないかと思っております。

【委 員】 大変良い研究をされていますので、ぜひその辺りを改良というか、進めていただけたら良いかなと思います。

【主 査】 他にいかがでしょうか。

【委 員】 私も質問というより感想なのですが、今、社会的に関心のあるテーマに取り組んでいらっしゃる重要な研究だと思いました。私は素人なのですが、時々NHKスペシャルなんかで最近の様々な災害に関連して、非常にリアリスティックというか、どこまで科学性があるのかちょっと私は分かりかねる部分はありますが、これだけ重要な研究成果なので、メディアとうまく連携して、こういった研究成果を社会的に発信していくような工夫をされていくと、研究の重要性が社会的に認知されるのではないかなと思います。そういう意味で幾つかの項目について、今日は板橋の事例に関しては最近すごかったというのはわかったのですが、もう少し地域スタディ的な形、海岸線も河川もすべてを含めた形で、地域で総合的にやることの意味合いや、研究の有用性をもっとアピールされると、より良いのかなと思いました。何かそういう工夫をされているのでしょうか。

【国総研】 先ほど説明し忘れましたが、国総研ホームページ内に、バナーから入っていけるような気候変動適応本部のホームページをつくってございます。まだ、この研究の成果等が十分載ってないところもありますが、とりあえずは、そこからの情報発信に取り組んでいきたいとは思っていますし、成果等はまだまとまっておりませんが、その概要のようなものをつくりながら、情報を発信していくことも考えていきたいと思います。今のアドバイスを受けながらやっていきたいと思っています。

【委 員】 先生と全く同じ印象ですが、これだけ立派な成果を出されていらっしゃるので、アウトリーチをどうするかということが国総研としての次の大きな役割ではないかと思うのです。例えば、小学校に簡単なパンフレットをつくるとか、こういうことはどうしてもやらないと国民全体がこういうことの重要性を認識しない気がしますので、是非努力していただきたいなという希望を持っています。
 もう1つお伺いしたいのは、土砂災害とか何か4つぐらい大きな法律がございますよね。こういった法整備との関係というのは、どのようにお考えになっているのですか。

【国総研】 気候変動も適応策ではなくて緩和策の方は様々ありますが、適応策の方はまだ政府として緒についたばかりのようなところです。法整備に関しては、もう少しこれが具体的なってからのことになるかと。それから個別に、土砂だけは新しい土砂法ができておりますので。

【委 員】 ただ、平成17年ぐらいですから、情報がないままにつくっていますよね。ですから、こういったことで規制の範囲が変わるとか、様々な考え方が法的に変わるだろうという気がしますので、その重要性の政治的な意思決定と同時に、法体系との関連というところもぜひ国総研としてはお考えいただきたいなと思います。

【国総研】 どうもありがとうございます。

【主 査】 他にいかがですか。

【委 員】 この手のいろいろな情報が出ていて、私もすごく重要だと思っています。それで1つ聞きたかったのは、適応策の議論において、特にガイドライン的なこの冊子の方にもストラティジックといったような言葉が書いてありますが、説明ではあまりご発表されてなかったかなという感じがしました。海岸に関しては自然適応型、どちらかというと撤退型のような海岸防災、沿岸防災の議論をされていましたが、例えば、土砂災害について、もしくは河川について、今までの倍ぐらいまでなってしまうというような問題が提起されたとき、人口は減少し、お金はなくなり、この先どうするのだろうと私は非常に不安になるのですが、その辺について教えてください。
 今後は、ずっとお金を注ぎ込んでいくのはどう考えても無理だと思っていますので、片方の気候変動の議論だけで、どんどん流量が上がる、崩壊が発生するというだけでなく、人口減少社会における危機管理みたいなこと、要は社会的な要因についても考慮していかないと、世の中としてはうまく回らないのではないかなという感じがしています。その辺も、もしお考えがあればコメントください。

 最後にガイドラインについてですが、日本は東南アジアも含めてたくさんの技術援助をしている割に、この手のガイドラインといった日本のモデルが、東南アジア地域、モンスーン地域におけるプロトコル的なモデルにはならないなと感じています。そういった意味で、日本が海外向けにこういったものをつくっていくのなら、しっかり普及させないと、あるいはしっかり使えるモデルにしないといけない気がするのですが、その辺りもコメントください。

【国総研】 的確なご指摘ありがとうございました。河川と土砂の適応策ですが、最後のページにありますように、結果的に、この研究では従来型の延長のようなものを確認したところで終わっていまして、次期プロ研の方でリスク評価しながら、その辺の施策の的確さを評価しながら打ち出していく予定です。特に、研究を始めたときと終わったときでは、だいぶ社会情勢が変わっておりますので、力不足というか時間も足りなかったこともあって次へ送っているというのが現状です。ガイドラインについては研究官から説明いたします。

【国総研】 ガイドラインにつきましては、ねらいはまさに仰るとおりです。これは国総研と土研が技術的にサポートして本省が総括して作成したものですが、本省がベースになって設けた「気候変動適応策に関する国際貢献推進アドバイザリー会議」において、内容ももちろんですが、アジアの国々に普及させていくための具体策を練っています。ADB等のアジアの援助のスキームの中に組み込むというねらいもあって、現在、幾つかのオプションを想定しながら順次、活動を広げているところなので、これが1つのスタンダードとして根づくように、さらにいろいろ取り組んで参りたいと思っています。

【主 査】 他にいかがですか。

【委 員】 非常に多くのことがなされていると思います。一方で、全体で研究費が9億円ですか、Xバンドレーダーのところに4億か5億円が投入されていたとしても、それ以外のところにもそれなりの金額が配分されているようです。コストパフォーマンスはどうなのかなと。参考資料の「気候変動等に対応した河川・海岸管理に関する研究(平成18〜21年度)」の最後に付録として「成果にかかわる論文、報告書等のリスト」というのがありまして、ここに示されているだけが世に公表された成果だとは思いませんが、もう少し研究所として、学術的にレベルの高い成果物が世に出ていくと良いのではないでしょうか。今回出されたガイドラインは、かなり一般向けの内容をカバーしていることと、従来とは違う新しい視点で考えなくてはいけないということを広範に示しているという意味において、評価は高いと思うのですが、研究所の成果物としてはちょっと物足りないなという感じがします。それは、今後何か具体的な形で出ていくものなのでしょうか。それとも、行政への貢献を重視した研究所として、学術研究成果とよりも実際に役立つ施策や適用策を具体化して貢献するところにウェイトを置いて整理をしていくと理解すればよろしいのでしょうか。

【国総研】 言い訳になるかもしれませんが、この9億は関連したものも含めてやっていますので、多少多めになっています。
 それと、論文につきましては、遅ればせながらまとまってないものもありまして、後から出ていくとものもあるということをご理解いただきたいと思っております。

【主 査】 他にはいかがでしょうか。このXバンドMPレーダーですか、すごいなと思ったのですが、全国のカバー率はどのぐらいですか。4地域と書いてありましたが、1つの地域というのは、この6ページ目の地図の範囲ですか。そんなことはないですよね。

【国総研】 これは時間がないのであれでしたが、今までのCバンドは160km2ぐらいの円がかけたのですが、これは半分の80km2ぐらいのものしかかけず、密度が高くなる代わりに範囲が狭くなってしまいます。それで、4地域というのは関東、中部、近畿、それと金沢だけの4地域で、ゲリラ豪雨に弱いのはどちらかというと都市地域なので、全国を整備するのではなくて、脆弱な都市地域を中心にやっているところで、多分全国に普及することはこの状況ではないのかなと思っています。

【主 査】 はい、わかりました。それと、もうちょっと社会的なアピールを考えたらどうということに関連するのですが、本日お見せいただいた成果はごく一部だと思いますが、日本全国が単位ですよね。そうすると、余り迫力というか、大変なことだとは思うのですが、テレビに何かそういうプログラムをするとかとなったら、もうちょっとマクロな視点との連結といいますか、この川がこんなになりますよとか、例えばCGなんかでつくると大迫力だと思うのですが、そういったデータというのは、この巨大研究プロジェクトの中にも盛り込まれているわけですよね。

【国総研】 具体的に言うと、これをつくったものは全球モデルからダウンスケーリングしているのですが、この当時はまだメッシュが全体的に50km2で、これは20km2になっていて、今もさらに精度が上がってきています。気象学の進歩に合わせて具体的なものができるかと思うのですが、この当時はまだ、この地域ぐらいのものが限界かなというところです。

【主 査】 そうすると、自己評価のところでは、正直に適応戦略の検討が△にされていますよね。そういうところが今後、解析モデルの分解能アップと絡めて、リアリティや戦略を考える場合のシナリオ想定など、今後の課題として重要かなと思ったのですが、いかがですか。

【国総研】 ご指摘のように、これをどのように情報発信して皆さんに理解していただけるかというところかと思います。先ほどもご説明しましたように、気候変動ではまだ緩和策の方が中心で、世の中も緩和策だけですが、いかに適応しなければいけないかという意識は非常に低い段階でございます。そういった意味で、ご指摘のように、気象学の研究成果の向上に合わせて、様々なものが出来るようになっていくかと思いますので、最終的には考えていきたいと思っています。

【主 査】 本当に大事な研究テーマだと思いますので、引き続きお願いしたいと思います。他はいかがでしょうか。

【委 員】 ガイドラインについてなのですが、拝見して、大変分かりやすくて勉強になるものだと思いました。ガイドラインの初版としては良いかなと思います。適応策を考える場合には、考えたシナリオに対して適応策が出てくると思うのですが、気候変化によって外力が変化するとき、どのようなシナリオに対してどのような適応策を考えるのかといったことに関するガイドラインは、今後つくられていくのでしょうか。

【国総研】 まだ今後の結論が出てないのでわかりませんが、それも一手法だとは思います。

【委 員】 この研究の中では、まだその辺は十分ではないと理解してよろしいのでしょうか。

【国総研】 研究期間は終わっていますが、現在、最後のブラッシュアップをしているところもございますので、必要に応じて考えていきたいと思っています。

【主 査】 いろいろ議論もあろうかと思いますが、時間が参りましたので評価シートへの記入をお願いしたいと思います。終わっている方は回収をしていただければと思います。
 多少時間がかかると思います。その間を利用して何かございましたらお願いしたいと思いますが。感想でもございましたらどうぞ。

【委 員】 例えば、斜面崩壊みたいなものが北海道全域で示されてもピンとこないというか。例えば、日高山脈でどんどん発生する可能性が明らかに高いとか、もう少し一般向けの議論をターゲットにして、日本全国を俯瞰する図もあって良いと思うのですが。仮にバックデータとしてもっとスケールダウンしたものがあるならば、そちらの方が有用で、特に斜面崩壊などは拠点的に分布するものだと思うのです。その辺が今回のデータから出てくるのでしょうか。

【国総研】 先ほども説明しましたとおり、これは全球モデルからどんどん落としているので、このときのものも精度は上がってきていますが、各領域となると、まだ精度は粗いので、河川流域といった領域では値は出てもかなり不確定なところがあって、それをもとに何が言えるかというところは、まだ見送っているような段階です。全球モデルもだんだん小さくなっておりますので、いつというのは言えませんが、いずれは正しく評価できる時が来るのではないかとは思っています。確かに、そうしないとアピールが何もないなというのは実感しているところです。

(事後評価シート回収)

【主 査】 集計が終わりましたので取りまとめに入りたいと思います。まず妥当性ですが、「概ね適切であった。」ということにしたいと思います。目標達成度は意見が分かれていますが、どうしましょうか。実施方法や体制が概ね適切であったということなので、目標達成度についても概ねということにしたいのですが、よろしいですか。ちょっと厳しめの評価になります。ただ、非常に大型の研究を、効率的かつ組織的に実施されていて、高い評価であります。社会的にも関心の高いテーマですし、むしろ適応策に関して、これからの関心といいますか、意識喚起を是非頑張ってほしいと思います。そのために、ホームページやテレビでという話がありましたが、そのような方向でも頑張っていただきたいということと、適応戦略について、まだまだ課題があろうかと思いますので、様々なモデルが開発されていますが、分解能の話や高精度化の話、あるいは既存のデータの蓄積やノウハウとの連結をどうするかといったところが本当に重要なテーマだと思いますので、是非これからの課題にしていただければと思います。そういうことを中心にして評価結果をまとめたいと思います。よろしいですね。どうもありがとうございました。

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〈事後評価〉B セカンドステージITSによるスマートなモビリティの形成に関する研究

【主 査】 それでは次の事後評価ですが、冒頭ございましたように、私は本研究に関係しておりますので、主査代理に司会の取りまとめをお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【主査代理】 それでは、主査の職務を代理させていただきたいと思います。
 「セカンドステージITSによるスマートなモビリティの形成に関する研究」ということで、ご説明をお願いいたします。

【国総研】 それではご説明申し上げます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ 実施時期は平成18年度〜21年度の4カ年ということで実施しております。早速背景からご説明申し上げますが、2004年8月にスマートウェイ推進会議より「ITS、セカンドステージへ」という提言が出されておりますが、この提言におきましては、ここにございますように3つのサービス、すなわち1番目タイムリーな走行支援情報の提供、2つ目が場所やニーズに応じた地域ガイド、3つ目があらゆるゲートのスムーズな通過、この3つのサービスを、1つの車載器でドライバーに提供するということを目標に掲げております。

・ こうした提言を受けまして、右側にありますように本プロジェクト研究では5つのテーマを設定いたしております。まず(1)次世代ITSシステム、すなわち道路と車そしてその両者をつなぐ通信系からなります次世代のプラットフォームの規格・仕様をつくるということ。(2)は、そのプラットフォームに乗せて具体のサービスを実現するアプリケーションをつくるということ。(3)は、あらゆるゲートのスムーズな通過に関係いたしますが、いわゆるスマートICの規格・仕様をつくること。(4)は、3つのサブテーマから構成していますが、1)と2)につきましてはそれぞれ、総プロあるいは事項立て研究として取り組んでいるところでございまして、両者とも来年別途評価を受けるようになっております。そういうことから、ここでは時間の関係もありますので省略させていただきまして、3)の方に移りますが、3)のテーマにつきましては、車の旅行速度のようなデータを効率的に取得するという趣旨から、プローブデータの活用技術を検討する。(5)のテーマにつきましては、車や道路構造の位置を特定していく上でベースとなる道路地図あるいはその構造に関しての電子データの蓄積、流通、こういった技術を開発すること。以上の5つの研究テーマを、本プロジェクト研究では設定いたしております。

・ 研究体制でありますが、これは適宜ご覧下さい。

・ 研究成果ですが、これも総括的にこのページに記載しておりますが、この後に個別テーマごとに具体に説明をさせていただきますので、適宜ご覧下さい。

・ 早速個別テーマごとに成果のご説明をさせていただきたいと思います。
 まず1番目のテーマ「次世代ITSシステムの規格・仕様の策定」の関係でありますが、まず次世代ITSシステムというものの概要についてご説明申し上げます。この絵にありますように、次世代ITSというのは、車側のITS車載器、そして右側の道路側に取りつけている路側機、そしてその両者をつなぐいわゆる路車間通信、この3つから構成されておりまして、今回のプロジェクト研究では、この中で右側の道路側の方の装備群、すなわち、路側機等の装備群についての規格・仕様をつくることを目的にいたしております。

・ 次に、この規格・仕様をどんなふうにしてつくったかということのご説明をさせていただきます。まず、最初の箱でありますが、このシステムに備えるべき機能要件、例えば道路交通情報の提供というのが当然第1の機能要件になりますが、そういった情報の提供、プローブ情報の収集、あるいは当然ですが高い信頼性のある暗号通信とか相互認証、こういった、このシステムに備えるべき機能要件をすべて網羅的に洗い出すということをまず最初に行っております。その上で、具体の規格・仕様の案をつくりまして、それに基づき試験用の機器を製作する。その試験用の機器を製作したならば、その後に実際の路上等で実証実験・動作検証を重ね、そして不都合があれば改善を行う。こういった作業を繰り返しまして最終的な規格・仕様をつくる、こういった流れを踏んでおります。

・ 次に、この成果の概要を若干ご説明申し上げますが、このシステムを9つにカテゴライズして仕様書をつくりました。具体的に申しますと、車側の車載器と通信のやりとりを行う路側無線装置、@のところです。そしてその背後に控えるセンター装置群。すなわち、A、B、D、E、この4つに相当しますセンター装置群。このセンター装置群というのは全国で今現在15カ所程度設置することを考えておりますが、このセンター装置群にたまる情報を束ねて1カ所に集約するようなセンター装置というものを考えておりまして、このセンター装置の関係。G、Hに相当します。さらにFになりますが、道路側とセンター側の通信インターフェース。さらにC、センター間のインターフェース。こういったものの仕様書、全部で9つになりますが、仕様書を作成したというのが成果でございます。

・ もうちょっと掘り下げてご説明申し上げますと、先ほど説明しましたセンター装置群のうちの中央処理装置を例に説明いたしますと、この中央処理装置というのはITSサービスを実現するための情報を生成することと、その生成した情報を路側無線装置に配信するという役割を担っておるわけでありますが、この役割を担っていく上でこの中央処理装置の機能を、ここにあります5つの機能を装備させることといたしました。すなわち、上から言いますと、情報の各装置間受発信を行う通信処理機能。その下、受信した情報を記録・保存する情報管理処理機能。さらにその下、各装置に故障などがないか、こういったものを監視する監視制御機能。さらにその下におりまして、情報を編集した後に路側機へ配信する機能。RSU。RSUというのはRoad Side Unitのことです。RSU編集配信処理機能。さらにその下、交通管制システムなど他のシステムから送られてくる情報のデータを変換して関連する装置に送信する情報変換処理機能。こういった5つの機能を装備させることといたしました。
 さらに、この仕様書では、これら5つの機能を、右側の吹き出しの方になりますが、さらに細分化していきまして、最終的に中央処理装置の機能を全部で36機能により構成させるように整備をいたしておりまして、それぞれ36機能1つずつ具体に説明文あるいは解説文をつけて仕様書として完成をさせた、こういうものでございます。

・ 次のページですが、これは先ほど説明しました中央処理装置の規格・仕様を策定する上で検証実験を繰り返しておりますが、この検証実験の概念図を描いておりますが、時間の関係で、適宜ご覧いただければということで省略させていただきます。

・ 成果の活用について若干ご説明をいたしますが、この成果は、来年早々から次世代ITSのサービス開始を目標にして、現在高速道路上を中心に、今回のプロジェクト研究の成果であります仕様書を反映させまして、約1,600カ所の路側機を整備しているところであります。さらに、先ほど説明しましたが、センター装置群を、全国15カ所設置を現在進めているところ。さらにセンター装置を関東整備局の方に1カ所整備するという形で整備を進めております。
 なお、ちなみにこの次世代ITSシステムに対応します車側の車載器の方ですが、この車載器については、昨年秋から既に市場に出回っている、こういう状況でございます。

・ 次に、2番目のテーマに移らせていただきたいと思いますが、アプリケーション開発関係でありますが、今回のこのプロ研では、安全性向上、渋滞軽減、この2つの視点からシステム開発に取り組みました。左側の安全性向上の方ですが、これは事故原因の大半を占めますドライバーのヒューマンエラーに対しまして、いわゆる直前対策を講じていこう、こういう視点からシステム開発に取り組んでおります。右側の渋滞軽減関係でありますが、従来ですと、道路延長大体200km分の交通情報提供が可能であったわけでありますが、今回の次世代ITSですと、200kmではなくて1,000kmぐらいある。約5倍程度の広域な路線の情報提供が可能になる。こういったようなことから、広域経路選択情報提供に関してのドライバーの受認性とか実効性、こういったような検討を行っております。
 さらにその下でありますが、都市間高速におきまして渋滞ポイントの約57%を占めておりますサグ部での渋滞対策として、車線の適正化利用を促すような情報提供システムの開発を行っております。

・ もう少し具体的にご説明申し上げますと、今回のプロ研の成果の代表例をここでは示しておりますが、まず安全性関係につきましては、今回のプロ研は、以前から取り組んでおりました首都高の新宿線、参宮橋急カーブ付近で前方障害物情報提供、ここで導入しておりました速度検知システムが画像センサー方式であったわけでありますが、もっと安くできないかということで、@なのですが、ETC−ID方式による速度検知システムを開発した、そしてそれをここにありますようなところに導入したということが1番目。Aでありますが、この前方障害物情報提供システムにつきまして、さらにAの右側にありますが、こういったところに拡大展開を図ってきたということであります。
 渋滞軽減関係について、@、Aのところでありますが、これはサグ部での交通円滑化支援システムの開発の一環といたしまして、サグ部での渋滞発生メカニズムをまず解明しまして、その上で渋滞発生直前の状況の検知あるいは情報提供のコンテンツとかタイミング、こういった検討を加えまして情報提供システムの開発を進めてまいりました。そしてさらにBの広域経路選択関係でありますが、これについては、特にドライバーの受容性、受認性といった観点から、Bの右側にあるようなところで実証を重ねております。

・ これは、先ほど申し上げました速度検知システムでありますが、左側が画像センサー方式、右側がETC−ID方式ということであります。適宜ご覧下さい。

・ これは、同じく先ほどの成果をあらわしたものでありますが、左側は前方障害物情報提供システムの概要図でありますが、これは急カーブなどの見通しの悪い先での前方障害物の存在を検知いたしまして後続の車に注意喚起するというシステムであります。右側は、急カーブ箇所で、ある一定速度以上で進入してきた車両に対しまして注意喚起をするというシステムであります。こういったシステムにつきましては、先ほど申し上げました来年早々からの実運用で展開を行っていく予定にしております。

・ 渋滞軽減関係について若干申し上げますと、これはサグ部での円滑化支援関係の概要図でありますが、時間の関係がありますので適宜ご覧下さい。

・ これは、先ほどの成果でもご説明しました広域経路選択可能なシステムでありますが、時間の関係でこれも適宜ご覧いただきたいと思います。

・ 次に3番目のテーマでありますが、いわゆるスマートIC関係の規格・仕様の策定でありますが、これは既に仕様書を策定済みでありまして、ご存じのように全国で51カ所のスマートICが供用済みであります。

・ 次のテーマ、プローブ関係でありますが、ここでの目的は交通情報提供サービスあるいは道路管理者が実施する交通調査にプローブ情報を活用して、高品質なサービスや効率的な道路交通調査を実現していくものであります。ここで想定しておりますプローブ情報というのは、右側の絵にありますが、ITS車載器に一定量蓄積されます走行履歴とか挙動履歴、こういった生データのことを指しておりまして、ここで目指しておりますシステム、プローブシステムというのは、同じ右側の緑色の箱でありますが、これらのプローブデータが車載器から路側機側にアップリンクされ、そしてその後サーバーに蓄積される、こういったシステムであります。今回のこのプロ研の成果といたしましては、左下にありますが、先ほど説明したプローブサーバーの仕様、そしてプローブデータのアップリンク機能に対応した路側機の仕様を策定し終えたところでありまして、現在プローブサーバーを関東地整の方で構築中という状況にあります。なお、このサーバーにたまりましたプローブデータの活用については、右下のところで赤書きで矢印を書いておりますが、旅行速度関係の調査には活用できるような形で既に関東地整のサーバーの中で織り込み済みであります。一方、交通事故対策への活用ということについていえば、まだこれからの今後の課題ということで、別途システム検討をしなければならないということになります。

・ これはプローブサーバーの仕様の目次ですが、適宜ご覧下さい。

・ 最後に道路基盤データ関係のテーマですが、ここでの目的は道路基盤地図情報の整備を進めることと、そのための体制を構築するということであります。

・ ここで道路基盤地図情報とは何かということでありますが、一言で言えば道路構造をGIS化した形式で表現した基盤地図ということだろうと思います。具体的に言いますと、この絵にありますように、CADデータベースで発注者が500分の1縮尺ベースで納品していただいた工事完成図面をGISデータへ変換した地図情報のことでありまして、具体の活用場面としましては、その地図情報の上に道路構造に関わる種々のデータ、あるいはその他道路に関係する種々のデータを重ねて道路管理などに役立てることができる、こういったシステムでございます。今回のプロ研では、例えばCADデータを所定の様式できちんとつくっているかどうかをチェックする技術、あるいは、CADデータからGISデータへ変換するコンバーター技術、さらにはこのGISデータがばらばらに路線的につながっていない形でたまっていくわけですが、その図面を接合するような技術を開発いたしまして、右下にありますような成果を今回のプロ研でまとめたということであります。現在各地方整備局でこの要領等に基づいて、このGISデータがどんどんたまってきている状況にありまして、現段階で直轄管理区間約30%の整備状況、たまってきているという状況にあります。

・ この道路基盤データを今後はITSの方へ適用、いろいろ応用できる、そういった面での検討を行っていきたいと考えております。

・ 以上、テーマごとの成果の概要を申し上げましたが、今後の課題を若干ご説明させていただきますが、1つは、ここで得られた成果をさらに普及・改善していかなければならないこと。それと、来年早々からこの次世代ITSサービスが開始されるわけでありますが、さらに交通円滑化あるいは安全支援の観点から、こういった課題に対応したサービス展開を、さらにメニューを増やして拡大展開していかなければならないという課題があろうかと思っております。
 さらに、特に環境負荷低減を主眼に置いた取り組みということで、@、A、Bの3点掲げていますが、こういったテーマについても取り組んでまいりたいと思っておりますが、それにつきましては、今年度からの新たなプロ研、先日御審議いただきましたが、こういったところで取り組んでまいりたいと考えております。

 以上、成果の概要をご説明申し上げましたが、最後に一言申し上げますと、4年間でかかった研究費、既にお配りしております調書に載せております。特に2番目のアプリケーションの開発関係で、全体の研究費の約6割かかっております。といいますのは、規格・仕様の原案をつくった上で、それに基づく試作アプリケーションを製作して、それに対する実証実験を実際の道路上で重ね、そして不都合があればさらにそれを改良するということを何回も何回も繰り返す、こういったようなことを今回のこの研究では積み重ねております。しかも、そういったものを、それぞれのアプリケーションごとに重ねているというようなことで、先ほどアプリケーション関係で6割と申し上げましたが、そういった形になったということであります。以上であります。


【主査代理】 どうもありがとうございました。欠席委員からのご意見の方はないということですので、各委員の皆様からこの研究に対する質疑、評価意見をお願いしたいと思います。どなたかございませんでしょうか。

【委 員】 とても有意義な研究ありがとうございます。1点だけ確認なのですが、今のご説明の7ページにありました規格・仕様の策定のところの話ですが、これはもともと自動車メーカーあるいは通信メーカー、地図メーカー、こういうところの協力を得て、恐らく規格・仕様案に基づいて試験用の機器をつくっておられると理解するのですが、そういう民間の業者をこの研究の中で選定する過程と、それが最後に一番下の規格・仕様にもつながってくると思うのです。そこの関係を教えていただけたらと思うのです。どういう基準でメーカーが選ばれて、下の規格にそのメーカーのものがそのまま利用されているかどうかというあたりでございます。

【国総研】 試作用の機器の製作に当たりましては、民間のメーカーに御協力をいただいているわけですが、メーカーにつきましては、公募させていただいて御協力をいただいているというのが1番目の回答です。
 2番目の規格・仕様につきましては、最終的なこの規格・仕様の策定者は、道路側の方の装備の規格・仕様の策定者はあくまでも国総研という形で取りまとめさせていただいております。したがいまして、繰り返しになりますが、そのプロセスの上で試作品の試験用機器の製作等につきましては、民間のメーカーさんの御協力を、先ほどのプロセスを経て御協力をいただいた、そういう仕組みでございます。

【主査代理】 よろしいでしょうか。他に何かございませんでしょうか。

【委 員】 質問というより感想で、非常に重要で実践的な研究で、すごくどんどん便利な社会になっていくのだなという風には思ったのですが、これのメンテナンスというのは、どれぐらいの費用がかかっていくのかとか、最近のこういうITというのは、ある意味では、要求レベルによっても違うと思うのですが、過剰なスペックでユーザーにとって分かりにくいものになってしまっては困るという、何かどこか適正なラインが必要なのではないかなというのは思うのですが、そのあたりについてのお考えとか、あとはこういうせっかく開発されたのを、今いろんなインフラのシステムを含めて国際的な戦略商品として売り出していくということは、これから多分日本ではものすごく求められていると思うのですが、こういう成果をもっと他の国々にも普及していくような国際的な普及、あるいは統一的なデファクトスタンダードを日本は出せるかどうかとかも含めて、そういうことに関して何かお考えがあれば、教えていただければと思うのですが。

【国総研】 まずコストの話ですが、確かに研究段階でこの試作品をまず製作して実証実験を重ねているわけですが、研究段階での試作品は確かにオーバースペック的なところがあって、コスト的にも高いものに多分なっているのだろうと思います。ただ、規格仕様を国総研の方でつくった後には、実際の道路側の装備群などの製品化は、各メーカーがこの規格仕様に基づいて製品化をする、そういうプロセスを経ますので、そこのところで、メーカーが実際の製品化をする上で、コスト的には低廉化されていく、安くなっていく。試験段階の試験用機器に比べるとスリム化されていくということになろうかと思います。
 それから、国際関係の話ですが、ITSの分野は国際標準化の動きが激しく今現在行われている。そういうところの分野でもありまして、具体的に言いますと、TC204というところで、ISO関係の標準化が今火花を散らしているというところで、その舞台に我が国も、日本も、本省もひっくるめて積極的に加わって、我が国のこのスペックを国際標準化の動きの中で反映させるべく、展開を今現在進めている、そういう状況に今あるということです。
【委 員】 そういう意味で、例えばこういう研究成果を国際的に打って出るためにもっと英語で出していくとか、そういうことは試みられているのでしょうか。

【国総研】 ITS関係、10月も世界会議が釜山でありましたが、世界会議が毎年秋に行われております。こういった世界会議の場で我々も参画して、英語版のパンフレットなどもつくりまして我が国のこのシステムをどんどんアピールする、こういったようなことを積極的に行っています。

【委 員】 分かりました。

【主査代理】 他に何かありますか。

【委 員】 必ずしもこの分野は詳しくはないのですが、ご説明を聞いている範囲においては、研究成果目標であるAHSの部分に関しても十分な成果が出ているように、首都高のところで実際に配置して軽減を検討されたとかという成果も出ている割に、自己評価の中では「成果目標がおおむね達成できた」というように二重丸ではないのですが、他のところは仕様書ができたことなどから二重丸とされています。ここも十分二重丸ではないかなと私はお話を聞く感じでは思ったのですが、何か足りないところがあったのでしょうか。

【国総研】 「おおむね」とつけましたのは、先ほどサグ部での渋滞軽減システムの開発というご説明をさせていただきましたが、サグ部での取り組みが、来年早々からいよいよこのITSのサービスが開始されるのですが、それに若干間に合わなかったということで、「おおむね達成できた」とさせていただきました。

【主査代理】 他に何かございますか。
 大変便利で、安全面でも改善されるということで、すばらしいシステムを考えられて、既にもう来年度から運用されるというようなことで、研究成果としてはすばらしいと思っております。いろんな面で便利になるということで、社会的な意義として、例えば交通事故が減るとか、そういう意義はわかるのですが、便利になるということで何か波及効果みたいなこともあるのかなと思うのですが、そういうことも、こういった研究の意義として何か成果みたいなものがあるのでしょうか。

【国総研】 1つは、当然のことながら道路交通が安全性の面とか円滑性の面で、このシステムが大きな役割を果たすという面がありますが、それ以外に、産業界への波及効果という面もあろうかと思います。すなわち、今後ITS関係の車載器を普及していくということが必要になってくるわけですが、そういった意味では車載器を製造しているようなメーカーとかが今後普及に向けて取り組んでいく。その中で産業の活性化にも寄与していくという、そういったところもありますし、また路側機あるいは中央処理装置の製造や、コンテンツづくりという面でも新たな市場開発が今後期待できるのかなと思っています。

【主査代理】 せっかく良い研究ですので、研究の意義としてその辺も明確になっていったら良いかなと思います。コメントですので、ありがとうございました。
 他に何かございませんでしょうか。○○委員意見はあれですが、何かコメントがありましたら。よろしいでしょうか。

 そうしたら、主な意見がもう出尽くしたようですので、ここで評価シートに記入していただいて取りまとめにいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【主査代理】 待っている間に、何か他に御意見がありましたらよろしくお願いします。

【委 員】
 全く素人の質問で恐縮なのですが、これはいわゆる道路側からの情報なのですが、車との相互関係的で、車の技術進歩によって道路側もまた改変しなければいけない要素というのがあるのでしょうか。そういう相互関係というのはどういう関係なのかを教えていただければと思うのです。

【国総研】 車の方でも、プローブ情報として車の経路であるとか、あるいはその他の車の持っている情報を路側に提供するという形になってきますと、その路側の方も渋滞情報の現況であるとか、あるいはデータが蓄積されることによって今後の渋滞予測とか、路側の研究開発をさらに新たに進めていくことも必要になってくるのではないかなと思います。

(事後評価シート回収)

【主査代理】 それでは結果が出ましたので取りまとめたいと思います。ほとんどの委員の方が適切だったということで、この研究については、目的または結果も十分得られたというような評価で取りまとめたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
 意見の中には、1つは国際的な戦略としてのこれからの活用も考えていってほしいとか、または環境負荷の低減についての問題にもこういう研究から発展させていただきたいというような意見もありましたので、その辺も取りまとめて報告書に書かせていただいて、また参考にしていただければと思います。

 この研究についてはこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

【事務局】 ありがとうございました。
 ここで事後評価について終わりましたので、休憩時間をとりたいと思います。

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(3)平成23年度開始予定研究課題の事前評価

〈事前評価〉C社会資本LCAの実用化研究

【主査代理】 それでは、議事の(3)「平成23年度開始予定研究課題の事前評価」に入ります。事前評価課題は2課題ありますが、いずれも主査が参画されておりますので、引き続き私の方で代理をいたします。
 それでは、「社会資本LCAの実用化研究」についてご説明をお願いいたします。

【国総研】 それでは、現在要望中の「社会資本LCAの実用化研究」について説明したいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ 研究期間としては、平成23〜24年度までの2カ年間。以下のようなところが参画する予定でおります。そもそもこのプロジェクト自体ですが、現在行っている総合技術開発プロジェクトの後釜プロジェクトというか、それを普及するためのプロジェクトとして位置づけております。これが簡単に問題意識を書いた紙なのですが、総プロ、実際今いろんなところで地球温暖化対策が強く叫ばれてはいるのですが、建設業もしくは社会資本整備から発生するCO2がどうなっているかというのを示したのがこの図です。例えば日本全体の中で建設業から排出されるCO2は約1%なのですが、これが実際建設業ではセメントを使ったり鉄を使ったりします。そういったものを合わせると実際どうなっているかというのは、その真ん中のあたりにある横の棒グラフでございまして、実際直接排出以外にもいろんなところでこの緑が、主として緑が資材関係、青が運搬関係、それを全部足していくとこのような比率になります。2005年でいうと、そういったものを全部足していくと14%程度が日本全体のCO2の排出量になっております。
 こういったものを適切な評価しなければいけないということと、それからあと従来の環境影響評価ですと、例えば騒音などをイメージしていただければわかると思うのですが、建設中にうるさくなければ良い、それからあと例えば道路を使った後の音がうるさくなければ良いということで、騒音の基準値を超えるか超えないかということが大事だったのですが、CO2を考えてみると、それは積和が問題になってきますので、例えば採取から出ようが供用から出ようがどこから出ようが全部同じ。そうしてみると、この全体を評価するということが、この総量が大事になってきます。

・ 次に、ではこの結果で従来、総プロというのはどうなってきたということなのですが、まず従来だと、プロジェクトのCO2を算出しようと思うと、それぞれの原単位と言われているアスファルト1つつくるのにCO2をどれだけ使いますかとか、そういったものがいま一つ整理されていませんでした。だから、従来のものを評価しようと思うと、再生砕石であるとか再生アスファルトを使おうと思っても生産として差が出ないというような結果になっていました。ところが、実際今回のプロジェクトを使って、考え方を使っていろいろやっていくと、こういうふうに、従来評価できないかったものが評価できるようになってきた。そうしてみると、今まで例えば再生砕石を使ってもCO2の観点で良いのか悪いのかよく分からないというような状況だったのが、このプロジェクトの考え方を使うところで評価できるようになったというようなことが総プロの成果です。

・ それで今回、この総プロの結果をどのように、総プロジェクトとの関係はどうなっていくかということなのですが、平成20年度から22年度までで、社会資本LCAを新規に導入するためのいろんな技術開発を行いました。それは先ほど例をお見せしましたが、こういったものです。それでここに、実際来年度から実用化のために地方整備局等で試行を行っていきたいと思っています。その際に、こういうまたPDCAサイクルでいえば、1回目のAが終わって、その後またPlan、Do、Check、Actionを起こす際のこのPDCAサイクルを少なくとも初めて導入する段階においては、1回回さなければいけないということ。それからこの導入結果をきちんと適切に評価して、それを世の中に広く知らしめていくことで、さらなるLCAの普及を図っていきたいと考えております。

・ ではこのときに、実際今想定される(P)というのはどういったものを想定しているかということなのですが、まず制度を導入するに当たって、実はLCAといっても利用の方法によっていろいろ伝え方は変わってきます。
 これをそれぞれ貫く理論というのは基本的には同じなのですが、設計段階と構想段階であれば、この総プロで開発したところというのはこの赤の太線のところなのですが、例えば供用段階、道路で言えば実は道路交通から発生するCO2なんて非常に大事なのですが、本プロジェクトでは構造物についてのみ行っているので、構想段階で実際使っていこうと思ったら、構造物に加えて供用のCO2を加えてトータルで判断しなければいけない。そうすると、本プロジェクトの利用というのは、この構造物のところに行く。それに対して設計段階でいうと、構造物をひととおり評価することが可能になりましたので代替案も含めてCO2の算定が可能になった。あともう一つ、例えば施行段階で入札制度ですとか、そういったところに使おうと思うと、あいまいな要素は排除していかなければいけない。つまり、いろんなところでCO2を計算しようと思うと結構みなしというか、エイヤッで決めなければいけないところが出てくるのですが、実際入札に使おうと思うと、そのように決めているようなファクターはなるべく排除していき、厳密な計算方法でしなければいけない。つまりこのような、それぞれの利用方法によって、入札で使うのだったら精度が確保されなければいけない。それに対して設計であれば網羅性を確保しなければいけない、さらに構想段階であれば、もっとさらなる網羅性が必要になってくる。そういう意味で、いろんな利用方法が出てきます。

・ それから、(D)のところについては、まだやってないので何とも言えないのですが、来年度以降の話になりますが、まずLCAによる定量的評価を実施する。いろんな評価を実施するというのは、審査するという方法もありますし、設計者が評価、試算するという方法もありますし、応札する方々が評価するという方法もあります。そういう評価を実施する。案件選定に当たっては、地方整備局、本省との連携のもとで行っていく。実際にLCAを実施していくと、従来困難であった環境負荷量の定量的評価が可能になってきます。

・ 次にチェックのところなのですが、では今度その結果をどのように分析し、さらに問題点を改善していくかというところです。これはまず土木学会と連携いたしまして、審査機関とかいろんな課題を抽出していきます。それから運用上の課題を抽出していく。それから環境負荷削減効果の分析を行っていく。さらにその評価方法に関する事例の蓄積、公表を行いまして、皆さんに情報を周知していく。例えばどんなことが分かりますかといいますと、これはあくまで事例で、例えば道路の土工の事例なのですが、道路土工を実施していくと、CO2の主なものというのは資材関係ですよ。それに対して土工であればトラックで運搬するものが多いですよ。機械の稼働もそれなりにありますね。その中でもブルドーザーとバックホウが多いですね。運搬についてはダンプトラックによるものが多いですねとかと出てきて、それでこういうことから、さらに開発課題として、例えばバックホウ、ブルドーザーの低排出型への改良とか、コンクリート製品の環境負荷を低減しなければいけないとか、そういったものがこういう評価結果から分かってきます。

・ それによって、実際に(A)ということで、これはあくまで今想定しているところでの導入のアクションのところなのですが、まず1つはLCAの標準化の検討という形で、今年度まででつくるところというのはかなり先進的なところもありますので、まず1つは、抽出した課題について検討し、社会資本LCAの理論、基盤を更新する。もう既に一応ひととおりできていますので、あとは更新するということ。それからあと、環境負荷原単位などを必要に応じてどんどん更新、追加していくということ。それからLCAの省力化。これも大事なところなのですが、今年試行していますので、審査機関とか体制などを見直ししていく。これは発注者側の省力化をするということ。それからあとLCAの精度とデータ収集の厳密さのバランスを考慮した計算範囲の見直し。これはLCAを実施する側、つまり施工業者であるとかコンサルタントの方であるとか、そういった方が負担を減らしていくということを考えていきたいということ。あとは、低環境負荷技術開発課題の提案。つまりいろんな工事から発生するCO2もしくはさまざまな環境負荷を公表していくことで、CO2を全体で総量を減らそうと思うとどこを減らさなければいけないのかということについて開発課題を提案していくということ。それから、社会資本LCA評価対象の拡大。今年度は、来年度以降実施するところというのは最初の段階だったので、ある意味で範囲が狭かったのですが、それを例えば道路以外にもさまざまな工種、それから道路でも複雑な工種に拡大していくとか、そういった形でやっていきたい。それによって社会資本LCAの定着を行うことを考えております。

・ 実施体制ですが、下水道研究部、港湾研究部、道路研究部、河川事業、それぞれの専門の研究部が入ってきて、それからあと入札契約については総合技術政策センターと協力しながらやる。それで実際行ったりするのは、地方整備局であるとか本省が入札制度を行いまして、その中身について適宜、土木学会の場を通じましてLCA系学識者、マネージメント系学識者、コンサルタント会社、建設会社の方々と協議しながら、このシステム全体の省力化とか効率化を求めていきたいと思っています。

・ プロジェクトとしてはここまで、今年度までで総プロが終わりまして、来年度以降につきましては、今言った内容を、23、24でやりまして、今年度、標準的な施工を対象としたマニュアルを作成しますが、2年後には全体も幅広く網羅したマニュアルを作成していきたいと思っております。
 以上で説明を終わります。どうも御清聴ありがとうございました。

【主査代理】 どうもありがとうございました。これにつきましても欠席委員の方から御意見とかはございませんか。

【事務局】 ございません。

【主査代理】 それでは委員の皆様から、この研究に対する質疑、評価意見をお願いしたいと思います。どなたからでも結構ですのでよろしくお願いします。
 皆さん考えておられる間に私の方から。専門外で、こういう研究の意義とか内容とかを十分してない質問ですので適切な質問ではないかと思うのですが、LCAが必要だということは何となく分かったのですが、研究面としてLCAの実用化を研究しなければならないという必要性について、専門外ですのでよく理解できませんのでしたので、その辺をもう一度、なぜ国総研でこれを、いわゆる研究としてやる必要があるのかというところを教えていただけないでしょうか。

【国総研】 この2カ年間という、それともその前段階でという、基本理論の開発と普及の両方あって、どちらのことについて。

【主査代理】 全般的なことについて、我々の分野の研究と立場が違うのかなとは思いながらもお聞きしているのですが、今日は研究の必要性、効率性、有効性を議論するということですので、もう一度必要性についてわかりやすくご説明いただけたらと思います。

【国総研】 まずちょっとイメージしていただくために、これは今開発する予定のものなのですが、実際に計算しようと思うと、それぞれの資材ごとに、セメントだったらCO2がどのぐらい排出するかとか、そういったものを細かく定めなければいけないということがあります。それをどうやって定めるかというところで、1つ研究の課題があります。
 それが例えば、これは例としてですが、環境省とか経産省がつくると、例えばセメントであれば、彼らにとっては、セメントは1種類しかないのです。セメント産業がつくるものがセメントであって、経済産業省にすれば、セメント産業がつくる生産物がセメントです。それに対して我々からすると、中庸熱とか普通ポルトランドセメントとかいろいろあります。そうしてみると、実際一番当初の段階であったのは、例えば経産省がセメント産業のつくるものであれば、セメントはすべて同じ単位になってしまう。何を変えても結局同じになってしまう。だから、そこをまず1つ分解しなければいけないということがあります。それに対しては、業界へのヒアリングであるとか、そこからやらなければいけないということがあります。

 もう1つは、今やっているLCAというのは、それぞれの産業ごとに実は計算方法が違っていまして、それを、少なくとも社会資本については計算方法を統一したというようなことがあります。そういう意味で、国総研が音頭をとらなければいけないというのがあります。特に解釈で違いが大きいのは、例えばアスファルトというものがあるのですが、アスファルトというのは評価しようと思ったら、アスファルトの環境負荷というのは、中東で採掘してタンカーで運んでくる分の環境負荷は非常に大きいです。しかしながら、例えば今の日本のシステムで言うと、タンカーの分とかは計量されないことになっているので、そうすると非常に低い値になってしまうということがあります。そういうふうに、実際やろうと思うと従来の枠組みで評価できないようなことがあって、それをどんどん評価するということで研究的な意義があると考えています。

 それからあと、もう1つは、いわゆる学識者の方に方法をつくっていただくと、必要以上に細かくなって、実際現場で使おうと思うと厳しいと思います。例えば生コンプラントだと、数字を持っているのは、社長以外に自分の数字を持ってないとか、そんなところもあります。そうしてみると、そういう生コンプラントの社長もしくは経理担当の女性の方ぐらいがちゃんと計算できるような方法でないと実用化できないというようなところがあって、そういう意味で省力化とかそういうことを考えてやっております。

【主査代理】 いわゆるLCAというものはありますが、具体的に皆さんがそれを使う1つのモデル的なものがまだ十分整備されていないというのが現状だから研究するということと考えてよろしいのでしょうか。

【国総研】 それは第1ステージというか、総プロ段階はそれです。それをつくった上で、今度は省力化していったり普及していったりするというのが次の2カ年間の課題になります。

【主査代理】 分かりました、ありがとうございます。他に何か。

【委 員】 私もほとんど余り理解できてないのですが、最初の説明では舗装工事を事例として計算、総プロ段階でやられていて、今度の実用化段階のものは道路を主体としてやられるというふうに考えて良いわけなのですか。

【国総研】 今もう既にいろんな段階でやっているのですが、今、道路は先行してやっているのですが、例えばトンネルであれば青いのが資材製造、オレンジ色が資材の運搬とか、ずりを出したりするもの、緑のところは機械の稼働の部分とか、このように、それぞれ構造体の種類ごとに比率は変わってきます。例えば右側の方にある立体交差化のところは、ほとんど資材製造になってきます。では実際に、こういう切り盛りなんかはどうなってくるかというと、切り盛りなんかだと掘削とか土量が多いので一番下のところががばっと多いのですが、運搬、機械稼働、それから機械の減耗みたいなもの。このようにいろいろひととおりでするのですが、これを土木系の構造物、少なくとも国交省が直轄でやっているものについてはひととおり全部できるようにするということ。それからあと、計算ができるようにするということを次のステージとしてやっていこうと思っています。

【委 員】 ということは、基本的に言えば相当幅広くやられるということで、なおかつ日本の国土というのはいろんなところで地形的にバラエティが多いと思いますので、この限られた予算の中で本当にこの2年間で、すべてを網羅的にできるのかなというのが懸念というか素朴な疑問なのですが、そこら辺は大丈夫なのでしょうか。

【国総研】 それはやろうと思わなければできないので、やることを目標にします。私は全部とは言わないですが、相当数いけると思っています。

【主査代理】 他に何かございませんでしょうか。

【委 員】 私もよくわかってない一人なのですが、ひとまず最終的に、例えばこの新たなLCAを導入してCO2の計算をする場合に、現在の日本政府が言う2025年で25%削減なりが、かつての方法でやられてきたことをもう一度やり直すのですか。それで現在こういうものを取り入れながら新たに削減をするという形になってくるのですか。先ほどおっしゃったように、輸入してくる場合には、そのタンカーのCO2まで入っているという話をされましたね。そうなると、当然かつてはそれを入れてないということではないのですか。そうなると、実際はかつてにおいてもたくさんのCO2を日本は排出してきたということになってしまいますよね。その辺の整合性は、かつてのものと25%削減でしたっけ、その辺との整合性をどうやってとるのですか。

【国総研】 その整合については国総研が単独で決めるのではなくて、実は京都議定書の枠組みの根本に関わるところなので、そこについてはフットプリントと言われている、今のそういうものの研究成果をためていきながら、いずれ国際的な合意の中で決められていく話だと思っています。だから正直な話でいうと、今の京都議定書の枠組みというのは、そこに問題点があるというふうに言われています。それは例えば、経産省がよく言っているセクター別アプローチなんかも、そういったところが問題点になっています。

【委 員】 同じような質問になるのですが、そうしますと、今まではそういうのを海外から輸入するものに対して石油換算でCO2をこれだけ排出していたというのを計算外にしていたのを、今回精緻化してやると、見かけ上の数字としてはむしろ増えることだってあり得るというお考えなわけですか。

【国総研】 それはもうしようがないと思います。というのは、地球環境からCO2を減らすときに、中東でやるものは関係無しというわけにいかないので、そこはもう決めの話で、それはやるのだと私は思っていますが。

【委 員】 それで結構だと思いますし、多分だからそういう意義のある研究だということを、ちゃんとアナウンスされた方が良いのではないかなと思うのですよね。削減効果があったかないかなんていうレベルというか、どういう土俵でやるかによって違ってくると思いますので、それはぜひ、意味のある研究だというのを積極的に打ち出された方が良いと思います。

【国総研】 ありがとうございます。

【委 員】 すみません、続きで。わかりました。ということは、算定の仕方がかつてと現状では、新しく開発されたものとは違うということで、すぐにはそれとのパーセンテージの対比の議論にはいかないと思いますが、将来的にはそこには議論があり得るだろうという話だったと思います。
 それで、これを導入した場合のLCAの制度化の[入札制度]と書いてあるのですが、これは将来的な持っていき方としては、例えばLCAを使ってCO2の排出量が少ないものをより高く評価していくようなことを全体としてお考えなのかどうかなのか、その辺の絡みを教えてください。


【国総研】 そのとおりです。

【委 員】 それは、例えばある期限値みたいなものをそれぞれの定める、事業自体に1つ1つに、例えばLCAで計算した場合のCO2削減目標はこのくらいで、この事業をやってほしいとか、そういう議論になっていくのですか。

【国総研】 それは今のシステムであると、例えば標準的なCO2の値を出して、それに対して提案をいただいて、それに対して何%減らしたとか、何トン減らしたとかという評価をいただいて、それぞれの何トン減らしたというのを点数化して、入札の際の1つの参考にするという形になると思います。

【委 員】 次の5ページなのですが、真ん中に設計段階ということで計算の実施者に「建設コンサルタント業者」という言葉もございますので、これについてお尋ねしたいのですが、真ん中の絵のCO2の棒グラフで、a案よりもb案の方が少ないということになりますよね。そうすると、今後設計で使うものは当然CO2の発生量が少ない方が良いわけですから、全部この右側のbの階段面箱桁というのを採用すると。そうしないと先ほどの入札の話も含めて設計が進まない、できないよということになるのかどうか。このアウトプットというか最初の結果の使い方ですね、そこを教えていただきたいのですが。

【国総研】 今まででも、いろいろな構造の基本的概略設計とかする際にいろいろな要素があって、その中の1つになるだけだと思っています。だから、例えば箱桁であれば、下のクリアランスの問題とか別な要素でできなくなることもありますし、だからあくまで要素の1つとして加わっていく。そのときに、今まではCO2の検討というのが、社会的な要請がありながら検討できなかったのが加わっていくということだと思います。これが決定要因になるかどうかというのは、それはならないのではないかなと思っています。

【主査代理】 他に何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、ちょうど時間にもなりましたので、この辺で意見を集約したいと思いますので、評価シートに記入をお願いいたします。


【国総研】 それぞれ産業、個別の資材ごとにいろんな単純な四則計算による計算方法を定める、そういったことがあります。これはアスファルト合材をどう評価するかということ、これはいろんなアスファルト合材、すべての建設系の主要資材の環境負荷がどうであるかということ。それからあと、これは試しに道路についてやってみたものですが、先ほどは公共事業全般だったのですが、道路で言うと、これだと道路交通から発生するCO2が日本全体の16.4、それに対して資材関係が1.6%、それからあと道路関係のダンプで運搬するものとか、そういったものはこういうふうにやる。これはあくまで道路でしかないのですが、そういうふうにいろいろ出てきます。こういういろいろな基本的な分析方法ができてくるというのができます。

・ それからあと、これは最近だと中温化アスファルトということについて評価したのですが、中温化アスファルトを評価したことで、今年度からグリーン調達の特定調達品目になって、中温化アスファルトというのがCO2対策上十分有効であるということを評価して、それが今試行というか、実際それで今どんどんどんどん中温化アスファルトの推進なんかも行っています。これは現在のプロジェクトの状況です。これをなるべく幅広く進めていくということです。

・ これはNATMとか、それから交差点立体化はCO2の比率がこのようになりますよとか、こういう土工だと掘削で非常にCO2が多いですよとか。

・ 橋梁のこういう高架構造だと、ほとんどがセメントのCO2ですよとか、こういったものがわかってきて分析できるようになってくるということでございます。

【委 員】 海外でここまで細かくやっているようなデータはお持ちですか。

【国総研】 スウェーデンとか北欧はかなり細かくやっていますね。

【委 員】 というのは、最終的なCO2の議論になったときに、足並みがそろわないと、日本だけ細かくやっていてもそれほど具体化に、国際的にはうまく評価されなくなってしまうのではと心配があるのですが。

【国総研】 それはこれからの話ですね。それは私も、国際会議とかに出たりして、日本の方式をやるとともに、データが各国でどのくらいあるかとか、そういうのにも依存するので、どういうふうにやっていくのか、次の話だと思います。

(事前評価シート回収)

【主査代理】 皆さんの意見がそろいましたので総評をしたいと思います。4名の委員で、実施すべきが4名で、皆さん実施すべきだということで事前評価いたしましたので、今後この目標に向かって研究を進めていただけたらと思います。委員のコメントとしては、例えば総事業費におけるLCAによる削減コストも留意していただければと思いますというもの、あとは、重要な研究でありますので、研究目標の達成を目指してほしいという肯定的な意見ばかりですので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【国総研】 全力で取り組みます。ありがとうございました。

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〈事前評価〉D道路交通の常時観測データの収集、分析及び利活用の高度化に関する研究

【主査代理】 続きまして、「道路交通の常時観測データの収集、分析及び利活用の高度化に関する研究」についてご説明をお願いいたします。

【国総研】 よろしくお願い申し上げます。この研究は4研究部、6研究室で行う研究です。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ まず必要性です。今年度は国勢調査が行われている年なのですが、実は道路の国勢調査と言われる道路交通センサスというのも5年に一度行われております。それは交通量や旅行速度を特定の1日だけとって年の代表値とする調査なのですが、従来、交通量が右肩上がりで道路整備をどんどんしていく、ネットワークをつくっていこうというときには非常に大きな役割を果たしていました。しかし、最近のように、交通量が横ばいになっている中では、現状認識を徹底的に行い、道路のサービスの状態を把握して効果的な対策をやっていく必要があるという時代に来ています。そのときに、施策を効果的にやるということはもちろんなのですが、その根拠を一般の方に分かりやすく説明していく必要が生じております。

・ 一方、最近のITSの普及という中で、交通データの取得環境が目覚ましく向上してきております。行政的には車両感知器を拡充していくとか、先ほどもITSについて説明がありましたが、ITSスポットの全国展開というものがあります。さらに一方、民間ベースでも、各社において会員制のカーナビを普及させておりまして、日々15分ごとぐらいの速度のデータが蓄積されている、そういう状況にあります。こういうデータを有効に活用していくということができる状況になってきております。

・ そういう中で、このプロジェクト研究では、交通データの取得・共有というシーズを担当している研究室と、このデータを分析、利活用していこうということでニーズに関係する研究室がタッグを組んでプロジェクト研究を行うことにしております。シーズの研究室についてはニーズを受けた形で道路交通のデータ構造、あるいはデータの取得・共有のタイミングや範囲を決めていく。さらに分析、利活用ということでは、できるだけ共通のデータをベースに用いて分析を行う。最終的に施策の総合的な評価が可能となるというようなことを目指していきたいと思っています。

・ それで、まずはシーズに関する研究でございます。これは取得、交換、共有・蓄積ということですが、取得ということでは交通量調査については、交通量のデータをどうとっていくか。さらに旅行時間のデータでは、これも先ほどITSのプロジェクト研究の事後評価でありましたが、そういうITSスポットで取得できる官のプローブデータ、それから民間で取れているプローブの旅行時間データを相互に利用するためのインターフェイスをつくっていくということです。通信の高度化というテーマは、全国の車両感知器などで取れた交通量のデータや旅行速度のデータを各行政レベルで、現時点では国土交通省内を想定していますが、その中でできるだけ速く共有するために通信についても高度化していこうというものです。さらにデータを共有・蓄積していくために、道路の恒久的に不変な電子ネットワークデータを作ることを目的に、それを表す共通的な位置参照方式を標準化していこうということでございます。

・ さらに、分析及び利活用に関する研究ということでは、まずは、道路交通円滑化については、時間信頼性、定時性等の新たな評価指標の算定方法を検討する、あるいはボトルネック単位で渋滞の量を束ねて、それを定量化したり、またさらにその原因の分析方法について研究をする。さらに都市間移動サービス向上のための道路改良方策ということで、道路の新設が厳しい中で今の既存ネットワークを有効活用して、どれだけ機能アップができるかというところに取り組んでいくというものがあります。交通安全では、速度と交通事故の発生率の関係分析。道路環境ではCO2の排出量について、より細かく高精度に推定をしていく、把握をするということです。さらに経済的な面では、経済社会の動向と道路交通指標の関連を分析したり、道路交通管理にも使っていくということです。そのときに、交通量と速度というのはベースとなるデータなのですが、それぞれの分野ではこの2つのデータと他のデータとを組み合わせて指標を作成し、施策の立案や評価を行うということでございます。

・ 1つ研究の例ですが、これは交通量調査の高度化というテーマです。衛星画像から交通密度を分析し、それと旅行速度のデータを掛け合わせて交通量を出す。この調査だけを単独で使うというわけではなくて、衛星画像のデータというのは取れる時間帯が限られてきますので、周辺の車両感知器のデータと連動させて、交通量の比をとることを行います。車両感知器の周辺において、このような調査を行い、車両感知器のデータを用いて周辺の交通量の変動を推定していくという方法でございます。

・ 次に、このグラフ時間信頼性をあらわしたものです。横軸が所要時間、縦軸がその確率密度になっています。青が道路の整備前、赤が道路の整備後ということで、道路整備によって、このように所要時間の平均値が短くなるだけでなくて、所要時間のばらつきも小さくなるということがわかります。これで定時性が上がるということで、こういう定時性の評価というのはイギリスでは今まさに始まろうとしているのですが、日本でも最終的にはその推定手法の開発を目指す。当面は現状ある日本全国の一般道路の旅行速度のデータが入手できておりますので、その分析から始めていこうと思っております。

・ 本研究の特徴でございます。まず必要性については、今説明いたしましたように、道路事業の必要性や効果をいろいろな評価の視点から科学的データを用いて客観的に説明する必要が出てきております。
 研究の新規性ですが、全国規模の道路交通の常時観測データを実務や研究で用いた例というのは、国内だけでなくて海外でもないと考えております。

 効率性ということでは、データの質・量の大幅な向上とデータ取得コストの劇的な削減を両立できると考えております。例えばその交通量については、トラフィックカウンターをベースに推定を交える、あるいは旅行時間については会員制のカーナビやITSスポットで取得されたデータを活用していくということで、かなり調査コストを落とすことができるようになっております。

 発展性ということでは、従来は5年に1回の道路交通センサスをもとにすべての計画・設計の体系が組み上げられていたのですが、今回その調査のやり方から変えていくということで、これらは大きく変わってくる可能性があります。例えば道路構造令では、現在は日交通量のデータをもとに設計全体の体系が組まれていたのですが、例えば都道府県道や市町村道については、条例委任というような形で各県、市で自由に構造の基準が決められるような法案の審議がされております。こういう世の中の動きを見ても、より細かい計画から設計の考え方が求められていると思います。

・ では、なぜ国総研がこの研究を実施するのかということですが、これは1つには、国交省あるいは道路管理者が推進する施策を技術的に支援するということで、行政的な要素が強い実務研究ということでございます。さらに今回扱うハードの機器として、車両感知器、ITSスポット、あるいは光通信ネットワーク等があります。それらの機器やそれらから得られる道路交通データの特性についても、研究者として精通している必要があります。さらに、全国の常時観測データを統一的に収集、加工して分析あるいは評価していくということで、全国の道路交通に関する研究・開発を所掌する国の研究機関が実施することが妥当ではないかと考えております。

・ 研究成果と社会への貢献ということでは、成果については、まずはデータの効率的な取得方法、それからデータの交換・共有のための共通基盤ということです。これは国際標準化を目標に検討をしています。今も一部は標準化されていますので、それを更新していくということです。さらに、新たな課題の分析方法及び評価指標とその算定方法がまとまるということで、行政、社会への貢献としては、コストの削減、それから施策の必要性の説明性の向上、あるいは効果的な施策の立案、さらにITS分野での国際貢献というものがあると思います。
 最後に補足いたしますと、この調査費なのですが、3年で大まかですが4億円程度を予定しております。研究テーマは11テーマありますので、1テーマにつき1年分で、大まかですが1,000万円ぐらいということになっております。以上です。

【主査代理】 どうもありがとうございました。それでは各委員の皆さんから御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

【委 員】 この道路交通観測データは、主として幹線道路とか高速道路とか、そういうところの観測データを中心にという風に考えていらっしゃる。

【国総研】 幹線道路です。基本的に都道府県道よりも上の道路です。

【委 員】 上のところで。

【国総研】 はい。

【委 員】 あとは車種別情報も。

【国総研】 大型車と小型車の2車種で考えております。

【主査代理】 他に何かございますか。

【委 員】 観測データのデータという中身は、交通量と速度と、こういう理解でよろしいですか。

【国総研】 はい、その2つです。

【委 員】 ちょうどこの絵が出ておりますが、それの入手の、具体的なデータの収集の方法は、この右側の絵の形でいくと。

【国総研】 交通密度の方は衛星画像から出してきて、プローブ旅行時間データについては、現在、年間データが入手できておりますので、それらを組み合わせていくことになります。

【委 員】 おっしゃるように5年に1回の1日のセンサスよりも、365日24時間のデータが入るというのは全然勝負にならないぐらい飛躍的にすばらしいことだと思うのですが、今この研究ができるようになった背景といいますか、今までのセンサスから飛躍的に時代が変わっているというあたりはいかがですか。

【国総研】 背景については、先ほどご説明しましたように、どんどん新しい道路をつくっていくという時代ではなくて、今ある道路を有効活用する。料金施策なんか代表的なのですが、あるいは道路を再編していくというようなことに、より重きを置かなければいけない時代になっているということで、ニーズの必要性があります。あと、環境として一番大きいのは旅行速度のデータが、会員制カーナビが普及している中で全国的にとれるようになっている。それとITSスポットを通じて取得されるデータが今後関東のサーバーに集まってくるということになっています。このように、データがちょうど使えるタイミングになっているということです。

【委 員】 そうすると、常観の全国のデータを1点に集めるための基盤はもう既にあると。

【国総研】 常時観測のデータについては、車両感知器については今実際にちゃんと稼働しているのは500幾らぐらいなのですが、古いものを少し手直したり新設するというようなことも含めて700、800ぐらいの数にはなると思っています。これまで、道路交通センサスでは実は2万4,000区間ぐらいで交通量を測定していたのですが、今後は車両感知器をうまく用いて推定もしながら、交通量調査を行っていきたいと考えています。

【主査代理】 他に何かありますか。

【委 員】 ちょっと意地悪っぽい質問なのかもしれないですが、例えば効率性のところにデータ取得コストの劇的な削減ということが書かれていて、一体今まで幾らぐらいかかって幾らぐらい削減できるかという具体的な値というのはどのぐらいなのだろうと思ってしまうのです。劇的というのは一体どのぐらいのことをおっしゃっているのかがよくわからないので、もしわかるならば、どのぐらいコスト削減になるのかを教えていただきたいのと、例えばITS分野における国際貢献と書いたときに、こういったものというのが一体どの辺の国際貢献をねらえるのか。例えば発展途上国だととても無理だとか、もしくは、いや、発展途上国でもすぐにこういうシステムは導入できる、もしくは技術的に援助も含めてやっていけるのだという議論なのか。日本の僕は怖さというのは、よく言う、批判的にガラパゴス的な、日本独自で発展させてしまって、国際社会がなかなか使えないものが多いというのがとかく多いような気がしていて、その辺については国際貢献的には大丈夫なのかどうなのか、教えてください。

【国総研】 コストの話ですね。今明確な数字は、正確には申し上げられないのですが、たとえば、旅行速度のデータというのは今まで全国で実験車を走らせて測定していたのです。それで1日、昼間12時間ぐらいだけの測定ということにしても、全国では十億ぐらいかかっていたかもしてません。それがもう今は全然オーダーが違って、データ量から見ると100分の1ぐらいのコストダウン、いや、もっと大きいかもしれないです。そこは、はっきりは計算してないですが。

【委 員】 この研究によってコスト削減ができるということなのですか。

【国総研】 データはすべての道路でとれているわけではありませんので、データを捕捉、補完するための研究を行っています。どれぐらいの精度を求めるためにはどれぐらいデータをとれば良いかという検討を行ってきました。それはもう今年度までにほぼ答えが出ています。このように取得したデータを全国で活用できるようにするための研究を国総研がやってきました。そこまではできているので、今後は発展的に、より瞬時にデータを共有できて、色々な場面で使っていく段階に移ってきているというところです。

【委 員】 2つ目は。

【国総研】 2つ目は、例えば共通位置参照、位置の表示の標準化というのがあります。デジタル道路地図のマップというのは各カーナビ、各車ごとに違う地図を持っているのです。共通のものとしてはデジタル道路地図協会のデジタル道路地図というものが日本ではあるのですが、それが毎年更新されて、データの蓄積ができない。過去のデータの蓄積がほとんど困難になっていますし、同じ横並びの表示なんかができないのです。実は今回の標準化というのは、ヨーロッパであれば全ての街路名に番地がついていますが、ああいうのをもう少しシンプルにしたもので、路線に対して距離標を打っていく形の標準化です。そういうことはアジアの国などでも十分適用可能ですし、今後のカーナビの普及のためには、非常に有効であると思っています。

【委 員】 2つお聞きしたいのですが、これは道路交通という範疇の中に、いわゆる高速道路のサービスエリアの渋滞状況なんかも、このデータの中では捕捉できるような形にはなるのでしょうか。今よく言われるのは、サービスエリアのある一部が流通のために、ジャスト・イン・タイムのためにものすごくそこが使われて、そこが非常に危険な状況になっているなんていうことがよく言われているのですが、そういうデータは、これで把握できるような形になるのでしょうか。

【国総研】 ITSスポットの中で得られるデータについては、高速の中のサービスエリアについても、入手が可能です。あと民間の会員制カーナビも、昔は高速のデータはあまり取ってなかったのですが、今後は増やしていくと聞いておりますので、取れる可能性は出てきます。

【委 員】 2点目は、せっかくこういうデータを集められた後の公開の仕方というか、いろんな研究者の方々に、非常に貴重な情報だと思うのですが、そういうのは公開されて使われるような形で、社会的な基盤情報として公開される予定はあるのかということなのですが。

【国総研】 国土交通省が旅行速度のデータを民間から取得しているものについては、購入の際に、ソフトのライセンスと同じで使用許諾がついておりまして、今のところは国交省の中での利用という形になっております。ただ、他のものについては公開できるものも出てくるかと思いますが、そこは今後の検討課題だと思います。

【委 員】 ぜひ公開していただけると。私自身は交通計画の研究者ではないのですが、例えばある幹線道路の沿道の土地利用との関連で、道路の渋滞具合とか、そういうのを分析するのに、こういうデータがあると非常に役立つのではないかと思っていますので。

【国総研】 データの一部は今回の道路交通センサスでも利用しており、その結果は、中データをある程度加工した形で公表するという予定にはなっております。

【主査代理】 私も1つあるのですが、この研究ではいわゆるデータを収集する側と、そのデータを活用する側がタッグを組んで連携するということで大変結構だと思うのですが、進め方としては、データ収集がある程度済まないとこの活用の方が進まないのか、並行して進めていくのかということは、その辺はどういう体制でやられるのでしょうか。

【国総研】 実はデータの方は、過去1〜2年分のデータについては収集ができておりますので、すぐ利活用の研究ができます。ただ、よりデータの共有を迅速化していくということの研究を並行してやっていこうと思います。
 あと体制で1点補足しますと、今は国総研の研究室の中だけでやるように見えていますが、実は研究テーマごとに、主査をはじめ大学とも連携していますし、もちろん標準化では民間と一緒にしながら標準化を進めているところです。

【主査代理】 コメントなのですが、我々の分野でもデータをとって解析するということはいっぱいやるのですが、データは使ってなんぼというものですので、そのデータをとる側と使う側のバランスというか、その辺も気を配りながらやられたらどうかと思っています。コメントです。

【国総研】 ありがとうございます。

【主査代理】 他にございませんでしょうか。なければ、取りまとめに移りたいと思います。


(事前評価シート回収)

【主査代理】 4名の評価委員の先生方の意見は、すべて実施すべきということですので、この委員会としては実施すべきということで取りまとめさせていただきたいと思います。
 その中で幾つかの意見を読ませていただきます。収集データ量が格段に増大することによる種々の交通現象分析、交通計画への利活用、期待大であるということで、ぜひ研究を進めてくださいという意見、それから、課題名がもう少しインパクトがあると良いという意見もありました。委員の先生の方から具体的に、こんなふうにしたらインパクトがあるという御意見がありましたら、国総研の方に言っていただけたらと思います。それから、道路交通政策のための基礎データの収集についての重要な研究と評価できる。データの活用方策について検討を深めてほしい。私は収集する側と活用する側の連携を深めてほしいというようなことでした。期待大という評価ですので、これから頑張って研究を進めていただけたらと思います。以上です、どうもありがとうございました。

 ここで評価全体を通じた意見等がございましたらお願いいたします。これは事前評価についての、今2つ評価したもの全体的な意見ということですね。

【事務局】 事後についても含めてで結構かと思います。

【主査代理】 そうしましたら、一旦ここで、今までのところで何か御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。  なければ、次に進めてもよろしいですか。それでは、以上で議事の(3)「平成23年度開始予定の研究課題の事前評価」を終了し、以降の進行を主査にお返しいたします。

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(4)平成23年度開始予定研究課題の報告

【主 査】 どうもありがとうございました。それでは、最後の議題でありますが、「平成23年度開始予定研究課題の報告」について進んでまいりたいと思います。事務局より報告課題の位置づけについてまずご説明ください。

【事務局】 報告課題につきましては、個別研究課題としては既に7月21日の分科会で御評価をいただいております。この後、冒頭にも説明させていただいたとおり、当研究所のプロジェクト研究課題として指定をしたということです。つきましては、今回そのあたりの経緯、あるいはプロジェクト研究としてどうかということのご説明をさせていただきまして、研究の進め方等について御意見等をいただければと思っております。また既に評価は終わっているという扱いです。以上です。

【主 査】 7月に評価は済ませておりますが、その後またいろいろ具体化のレベルがさらに進んでおりますので、もし意見等ございましたらということでございます。

E災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究

【主 査】 まず「災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究」をご説明願います。

【国総研】 それでは説明させていただきます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ この研究ですが、この絵は7月にも出させてもらった絵なのですが、背景としましては2月にチリ地震のときの津波がございまして、そのときに避難率が極めて低かったという課題と、それから津波警報が解除される前、あるいは避難指示とか勧告が解除される前に自主的に帰ってしまう人が非常に多かったとか、そういう問題がございました。それについて、我々の方でその原因としまして、1つは現行の避難勧告とか指示を出す範囲が既往最大の津波の範囲であるとか、あるいは想定できる最大規模の津波についてつくってある津波浸水予測図に基づくハザードマップに基づいて出されているということが、極めて大きい要因の1つではないか、こう考えておりまして、それを解消するためのシステムを我々の方で「津波浸水想定システム」と名前をつけていますが、これを開発して、これを開発管理者に活用してもらうことによって、その情報を市町村であるとかあるいは防災関係者と共有して活用してもらうことによって改善していこうというものでございました。

・ 改めて7月にいただいた指摘事項について御紹介しますと、2点ほどございました。1点は、実施に当たってシステムの活用法だとか情報の伝達方法に留意して進めなさい、こういう話がございましたので、これにつきましてはシステムの活用シナリオについて我々の方で検討しましたので、それを以降説明させていただきます。

・ もう一点は、避難とかについては行動心理というものが非常に重要だ、それについてのアンケート情報等の集積モデルも継続されたい、こういう意見がございましたので、これにつきましてはまさに2010年のチリ津波に関して、釧路市において我々の方で避難実態のアンケート調査を実施しておりますので、その分析結果をお示しして、この研究はどう役立っていくのかということをご説明したいと思っております。

・ 次に、活用シナリオですが、平常時と地震発生後と2つに大きく分けました。こちらは平常時の方になりますが、まず海岸管理者の方で津波対応の防災施設の整備状況、耐震化とかも含めて、あるいは水門陸閘の遠隔操作化も含めた進捗状況を反映した津波高別の浸水データベースというものを進捗があるたびに更新していく、そういうことを津波高別の浸水予測に反映していく。そういうことを海岸管理者においてしていって、これを管内の市町村の防災担当者と共有する。そのことによって、例えばハザードマップの中に反映していくだとか、あるいは避難訓練やワークショップへ活用していくだとか、あるいは今「まるごとまちごとハザードマップ」だとかというのがありますが、そういうことで現地にこの津波高だとどこまで浸水が及びますよとか、そういうものをつくっていくとか、そういったものへの活用が期待できるのではないかと考えております。また、管内の交通機関であるとか道路の管理者の方々と共有すれば、そのことを通行規制の計画だとか運行停止計画などに反映できるのかなとも思っております。また、もちろん管理者の中でも堤防の耐震化だとか、あるいは防災施設の整備の計画に反映するためのツールとしても利用できるのではないかと考えておるところです。

・ 次に、地震発生後から津波の襲来、それから避難の終わりまで時系列に沿って、どう活用されるのかというのを、遠地の津波と近地地震の津波と分けて考えました。こちらはまさにチリ津波があったような遠地地震の場合のケースですが、こちらの場合は現行が上の方に書いてあるようなことになっていまして、まずハザードマップ等が、最大津波波高ができていたがために非常に過大だったこと。それから皆さんテレビとかを見て自主的な判断で帰宅されるので、解除前にどんどん帰られたということがございましたが、その点は、平常時において津波高別にどこまで浸水予測されますよということを十分周知しておくこと。それからあと、この場合は地震発生から時間的余裕が十分ありますので、そこで予測津波高が気象庁から出た時点で、それに対応した浸水予測計算を実施することによって適切な避難指示勧告範囲が出される。こういうことで適切な避難行動に移れるということを考えております。それからまた、予測津波高が更新されれば、それに合わせた計算をしていって、指示、勧告範囲を修正していくというようなことが期待できるので、帰宅等の行動も適正なものになっていくのではないかと期待しているところです。

・ 続きまして、日本の近くで起こった場合ですが、こちらの場合には、この前半部分だけが違っておりまして、ここでは計算している余裕はございませんので、あらかじめ周知してある津波高別の浸水予測図で避難指示勧告とかを出してもらうということで、津波のおそれがあるところの方は、地震があった時点で即座に避難されていると思われますので、そういう方々は、その後のこういう予測結果に基づいて、自分のところが安全であれば帰っていただくということになりますし、また水門を閉鎖したとかという防災対応の情報、それから施設が被災した、あるいは大丈夫だ、そういった情報を反映した浸水予測図に基づいて適切な避難指示勧告範囲が修正されて早目に帰宅できるとか、そういうことになっていくと考えているところでございます。

・ 2点目の行動心理についてですが、こちらが釧路市で行ったアンケート調査の分析結果です。これは避難行動であるとか避難意図に関連する要因がどうつながっているかというのが矢印の向きであらわされておりまして、またその関連の強さが矢印の太さであらわしております。これによりますと、この白黒情報がまさに釧路での分析結果なのですが、我々が今回対応している避難情報というものが、今回、避難意図には全くつながってなかったという結果、それから避難行動に対しても極めて細い線でしかつながってなかったという現状がございました。これが、我々が今回つくる浸水想定システムによって避難情報の信頼性が高まりまして、ここの矢印が太くつながるとか、あるいはこの線がもっと太くなる、こういう効果を期待しているところです。

・ 最後にプロ研の視点にふさわしいということで、突破力、緊急性、斬新性、発展性について、それぞれこちらに書いてあるとおりプロ研にふさわしいのではないかというふうに我々としては考えているところです。  説明は以上です。

【主 査】 ありがとうございました。それではコメント、御意見等ございましたらお願いしたいと思います。

【委 員】 研究面として予測を精度よくやって、その情報を避難につなげるというのは良いのですが、こういうものを現場の管理者の人が使うとき問題はないのか、大丈夫なのかと思います。というのは、予測して大丈夫だと言ったのに被害に遭うと管理者側に責任問題が当然出てくるわけで、本当に精度よくできれば問題ないのですが、その辺の兼ね合いで、現場への応用という点で考えておかないといけないこともあると思うのですが、いかがでしょうか。

【国総研】 御意見ありがとうございます。全くそのとおりかと思っておりまして、我々の方でも、この開発に当たりましてモデル地域においてまずつくってみたいと思っていまして、そこのモデル地域でのまさに防災関係者とか市町村さんなんかにも議論に加わってもらって、そういう心配がなるべくないようにつくっていければと考えております。

【委 員】 分かりました。

【主 査】 他にいかがでしょうか。

【委 員】 忘れてしまっているのだと思うのですが、この予測はリアルタイムで出てくるような形なのですか。特に真ん中辺の減衰見通しだとか。

【国総研】 2種類ございまして、こちらで言っている前半にある近地なんかの場合特にそうなのですが、この津波高別と言っているのは、これはあらかじめ計算しておくということです。こちらの後半にあるものが実際リアルタイムで回すというものです。

【委 員】 それはどこに、情報は市町村の防災会議みたいなところに行くわけですか。

【国総研】 海岸管理者が計算しまして、防災……。

【委 員】 消防だとか。

【国総研】 消防とかに情報を供与するというようなイメージで。

【委 員】 では、それは個人には渡らないのですね。

【国総研】 そこまではちょっとまだ。

【主 査】 時間になりましたが、ございませんか。
 数カ月の間に我々の意見を反映していただいて、ブラッシュアップしていただきまして、どうもありがとうございました。この調子でさらに研究期間中よくなることを期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

F大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究

【主 査】 最後でございますが、「大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究」でございます。準備ができましたらお願いしたいと思います。

【国総研】 それでは、ご説明をさせていただきたいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ 7月の時点でこの研究をやって良いということで御評価をいただいております。簡単に振り返らせていただきたいと思います。本研究につきましては、地震発生直後の情報の少ない中で、施設管理者の意思決定をサポートするような情報を出していきたい、そのために強震観測記録を使って被害を推測する手法を開発したい、というものです。

・ 通常地震が起こりますと所管施設の点検をしまして、二次災害の防止のための緊急措置あるいは機能回復の応急対応をするわけですが、どうしても点検情報が入ってまいりませんと初動対応ができないということで、情報の空白期ができてしまいます。この空白期に、推測情報にはなりますが、初動の対応の準備にとりかかれるような情報を出していきたいというものでございます。

・ 研究内容としては3つ考えておりまして、任意の地点の地震動を推定するということ、それから所管施設としまして、河川施設、道路施設いろいろございますが、そういった施設の被害推測手法を開発する、それから災対本部あるいは現場の方で使えるような情報として提供していく、というこの3つを研究課題としております。強震観測データとしましては、国交省の方で今700地点、防災科研さんの方で1,000点ございますが、これらの合計1,700点ぐらいのデータを使えるようにしていきたいということでございます。

・ 地震動につきましては、離散点で観測しておりますので、それを一旦基盤に戻して、それから地盤の各地点の条件を反映させて構造物のある地点の地震動を推定する手法を開発したいと考えています。

・ 施設の被害推測手法につきましては、地震動の強度と構造物の特性、種類に応じまして、いわゆるフラジリティカーブといった被害関数、あるいはこちらにフロー図のように描いておりますが、構造物の特性に応じて被害を推定するアルゴリズムを構築していきたいと考えております。

・ 情報につきましては、例えば10分後には地震動の分布、15分後ぐらいには各施設の被害推測情報、こういったものを災対本部等に迅速に提供していくという研究を考えているところでございます。

・ 7月の評価委員会で御評価いただいた後でございますが、準備を進めているところです。まず1つめの地震データでございますが、先ほど申しましたように国交省700点、それから防災科研さんの方で1,000点ございますが、そのデータを共有して使えないかということで、現在防災科研さんの方と共同研究について相談をしているところでございます。
 それからアメリカの方でREDARSという、これはもともとリスクマネジメントのためのものでございまして、地震発生直後の対応システムではございませんが、同じようにフラジリティカーブといった研究がなされております。これにつきましては、今年の9月にアメリカの方と情報交換をしまして、今後引き続き情報交換をしていきたいということの相談をしているところでございます。

 それから、災対本部等に提供すべき情報につきましては、本省の災害対策室あるいは道路防災対策室等と現場あるいは災対本部で有効となる情報の形というのを相談してまいりたいと考えております。また、実際にシステムとして整備していく場合には、地方整備局等との協力が必要になりますので、その辺の連携を図っていきたいと考えております。

 それから、今回対象とします施設としましては、道路、河川、斜面等がございますが、それぞれ専門分野が異なり、国総研の関連研究部あるいは土研の関連研究グループでの研究の蓄積がございますので、これにつきまして現在連携したいということで相談をしているところでございますし、この他に例えば高速道路会社、あるいは大学等の委員会等でも、こういった被害関数の研究がなされておりますので、この辺の連携等を図れるように進めてまいりたいと考えているところでございます。

・ それから、先ほどの課題と同一ですが、プロジェクト研究の視点ということで、本研究についても国総研のプロジェクト研究として位置づけて進めていきたいということで自己評価をしたものでございます。同じく突破力、緊急性、斬新性、発展性、そういったことで、この研究もぜひプロジェクト研究として進めさせていただきたいと考えているところです。以上です。

【主 査】 ありがとうございました。何か御意見、コメント等ございましたらお願いします。
 7月のときにも教えていただいたかもわかりませんが、フラジリティカーブの大きな要因に構造物の健全度みたいなものがございますよね。それをどういうふうにインプットするのかということと、逆にちょっと思うのですが、そういう定期的な平常時のいろんなコミュニケーションとか活動を通じて、このシステム全体の運用力が逆に強化できるような可能性もあるのではないのかなとも思うのですが、その辺はどういうふうにお考えですか。

【国総研】 健全度につきまして、確かに御指摘のようにいろいろ劣化が進んできて、これによって地震に対しても損傷度が高くなるような傾向の可能性があるのではないかという点があると思われます。これはまだ必ずしも十分研究ができてないのではないかと思っておりまして、フラジリティカーブをつくる上では、基本的には、実際に起こった被害とそのデータをベースにするということと、いろいろな実験等から得られたデータの活用を考えております。劣化度がどの程度生じていたらどのぐらい地震被害が大きくなるかということにつきましては、どこまで評価できるかというのは現時点ではちょっと難しいと考えております。かなり劣化していると損傷が広がるということはあると思われますが、劣化の程度と地震被害とどの程度リンクできるかというのは、御指摘のように少し検討したいとは思っておりますが、少し難しいとは思っております。

【主 査】 何でそんなことを言うかというと、被害推測情報ですね、正確に精度よく当たれば当たるほど良いのですが、万が一外れるとしたら安全な方に外れた方が良いですよね。大丈夫と言っておきながら壊れていたらえらいことになりますので、そういうことからすると、ここで考えてない要因がどっちの方向に働くのだろうか。そういうことも吟味をしていただければ、活用方法がさらによくなっていくのではないのかなという印象を受けましたので、あえて申し上げました。
 いかがでしょうか、他に。―よろしいですか。

 では、これも研究期間前から随分また進んでおりますので、この調子でペースを上げて目標達成に向けて頑張って下さい。ありがとうございました。

 それでは、長時間どうもありがとうございました。以上で、第一部会で担当する研究課題は終了です。本日評価いただいた課題の評価書の作成についてですが、これまでの課題ごとに評価の取りまとめを口頭で申し上げましたが、その方向をベースに本日の議事録を確認しながら作成したいと思います。藤田先生と私とで原案をつくって一度見ていただくという、そういうプロセスは踏まえたいと思いますが、基本的に御一任いただくということにしてよろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。

【主 査】 その他で、何かございますか。

【事務局】 事務局からは特にございません。

【主 査】 わかりました。それでは長時間本当に熱心に、時には厳しい御意見もいただきましてありがとうございました。心より感謝をいたしまして、私の司会はこれぐらいで終了させていただきたいと思います。この後の進行は事務局にお返ししますので、よろしくお願いいたします。

【事務局】 どうも長時間ありがとうございました。この後の処理につきましては、もう主査の方からご説明いただきましたので、いつものように御確認をさせていただくということで進めさせていただきます。いろいろとまたやりとりをさせていただくことになろうかと思いますので、どうか委員の皆様方には引き続きよろしくお願いします。最終版につきましては、予算の決定がはっきりしましたらホームページ等で公表していきたいと考えておりますので、あわせてよろしくお願いします。

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【事務局】 それでは、所長より最後ご挨拶をさせていただきます。

【所 長】 本日は長時間、いつもながら熱心な御審議、本当にありがとうございました。今回4〜5カ月後ろにしたことで、先ほど主査からもお言葉をいただいたのですが、私も途中段階でのブラッシュアップの会議とか内部評価の委員会当然出ていますが、やはり、遅らせた分だけ準備はかなり進んでおりまして、そのせいだと思いますが、今日もいろいろな評価なり御意見、非常に本質的な、準備不足という御意見よりもかなり本質的な御意見をいただきましたので、本当にありがたく思っております。また恐らくこの形で来年以降も行って良いのではないかと思った次第でございます。
 また、幾つかのテーマの中で、例えばXバンドの例だとか、あるいはプローブデータとか、かなり膨大なデータを国総研が扱うケースが、いろんな事情もあるのですが、増えてきております。そういったデータに我々一番先に触れることになりますから、そのあたりのアドバンテージを生かした研究もどんどん進めていきたいと思います。

 それから、同時に、我々も中でこれだけのデータがあったら単純に研究のためにも非常に役に立つのですが、それだけでなくて、うまく出せば民間のビジネスチャンスにもなるようなデータもかなり出てくると思いますので、そういったことを意識しながら、その一方で、余り信頼性のないデータを出すわけにもいかないという、この両方、それから物によってはデリケートなデータで扱いが難しいというのもありますが、ちゃんと両方意識しながら、自分たちだけで抱え込まないように考えていきたいと思っております。

 本当に今日は長時間ありがとうございました。今後とも引き続きよろしく御指導いただきたいと思います。

【事務局】 これで、平成22年度第6回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)を閉会いたします。 長時間の御審議、どうもありがとうございました。

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