平成22年度 第2回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第一部会)

  議 事 録



1. 開会/国総研所長挨拶

2. 分科会主査挨拶

3. 議事

(1)
個別研究課題の評価方法等について(確認)

(2)
平成23年度開始予定研究課題の事前評価
@地域における資源・エネルギー循環拠点としての下水処理場の技術的ポテンシャルに
関する研究

A災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究
B大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究

4. 今後の予定等について

5. 国総研所長挨拶/閉会



平成22年度 第2回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)

平成22年7月 21日


1.開会/国総研所長挨拶

【事務局】 皆様、おはようございます。時間になりましたので、ただいまから第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第一部会)を開催いたします。 それでは、国総研所長よりごあいさつを申し上げます。

【所 長】 おはようございます。一言ごあいさつ申し上げたいと思います。今年もまた国総研の研究評価の季節が参りました。 毎年、特に第一部会の委員の方々には長丁場で大変な審議をお願いしているわけですが、今年から、少し審議の方法を変えさせていただきました。これまでは国総研が直接財務省に要求していた研究課題の事前評価と、国総研が所として力を入れてやっておりますプロジェクト研究の評価を両方並行してやっていただいておりましたが、今年からは、プロジェクト研究、特に新規については、もう少し時間をとって秋が深まったころにもう一度改めてお願いしようということで、 今回は予算要求に関わるものだけに絞って御評価をお願いすることになっております。 ただその予算なのですが、現在、いろいろとマスコミで報道されておりますとおり、実は概算要求の基準がはっきり決まっておりません。噂では、どうも一律1割カットで持ってこいというような話が出てくるのではないかということで、それぞれの省庁は予想して仕事を進めているのではないかと思います。 これ以外にも、仕分けに類する行政レビューなどについて説明に来いという話も来ておりまして、我々にとっては、外部の先生方にしっかりと研究評価をしていただいた上で進めているということが、非常に大きな支えになっておりますので、今回も是非よろしくお願いしたいと思います。 簡単ですが、挨拶に替えさせていただきます。

↑TOPへ戻る

2.分科会主査挨拶

【事務局】 それでは、主査に挨拶をいただきまして、以降の議事をお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【主 査】 おはようございます。所長のあいさつが「また」という言葉で始まりましたが、ご挨拶の中にもありましたように、お金がないということでは大学も同じでして、運営費交付金が下手すると本当に1割カットされるのではないかということで大騒ぎになっております。大学の教育研究もそうですが、国総研の研究も、国の行く末を占う上で非常に基盤的な、本当の意味でのインフラだと思っております。現在は困難な時期ではありますが、我々としては本当に良い研究をしていただきたいと考えています。そのために「また」なのですが、緊張感を持って今日も臨みたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

↑TOPへ戻る


3.議事

 (1)個別研究課題の評価方法等について(確認)

【主 査】 それでは、早速でございますが、議事の1番目、事前評価に進んでまいりたいと思います。その前に個別研究課題の評価方法についての確認を行いたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。

【事務局】 右肩に資料2と書いております「個別研究課題の評価方法等について」をご覧ください。所長から先ほどお話がありましたように、今回は、評価対象のところにございますとおり、平成23年度新規予算要求を行う研究課題のみを評価対象とする分科会でございます。
 評価の視点と項目については、事前評価ですので、ここに書いてありますとおり、必要性、効率性、有効性の観点から御判断をいただくということでございます。

 評価の進め方でございますが、別添2の表を見ていただければと思います。縦表がございますが、各課題の評価時間を書いております。それぞれ25分で3課題の評価を行います。10分間で説明しまして、その後、15分の中で評価・まとめをしていただくということでお願いをしたいと思います。

 また、資料2の1枚目裏側を見ていただきたいと思います。評価詰果につきましては、今回の審議内容と、お配りしております評価シートに基づいて、主査の責任において取りまとめるということになってございます。その後、研究評価委員会の委員長の同意を経て評価結果と致します。

 公表につきましては、議事録も含めて公表することにしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 参考のところに書いてございます、第5回〜第7回についてですが、プロジェクト研究あるいは中間・事後評価につきましては、11月の開催を予定しております。また、改めて日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 事務局からの説明は以上でございます。

【主 査】 今の説明に対して質問等はございますか。よろしいですね。

↑TOPへ戻る

(2)平成23年度開始予定研究課題の事前評価

〈事前評価〉@地域における資源・エネルギー循環拠点としての下水処理場の
技術的ポテンシャルに関する研究

【主 査】 それでは、早速事前評価に入ってまいりたいと思います。
 今日は3つございまして、最初は「地域における資源・エネルギー循環拠点としての下水処理場の技術的ポテンシャルに関する研究」でございます。説明をお願いします。

【国総研】 それでは、地域被害推定と防災事業への活用に関する研究について御説明を申上げます。よろしくお願いいたします。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示

・ それでは下水道の有する資源・エネルギーのポテンシャルについて、概要を御説明いたします。下水道におきましては、さまざまな資源がございます。具体的には下水汚泥、熱、リン、そして風力、場内での太陽光発電であるとか小水力発電、こういったものも可能でございます。しかしながら、これらのものについては、現状、全賦存量の1割にも満たない量しか利用されていないという現状がございます。

・ 次に、これが希少金属、希少鉱物の含有状況でございます。右上に行きますほど利用価値の高いものを並べております。具体的には、銀とかスズ、亜鉛、こういったものの希少度がかなり高く、含有量も 一定程度含まれているといったことが分かっております。この他に、長野県の諏訪湖の処理場では金が大量に含まれておりまして、年間4,000万円ぐらいの売却収益が上ったという特異な例もございます。

・ これは具体的な事例でございます。岐阜市で焼却灰からリン回収を行っている事例でございます。

・ これは横浜市で10年ぐらい前に始めたものですが、消化ガスの中の成分を水素に変換をいたしまして、燃料電池の原料として使っているという例でございます。

・ これはドイツの例でございます。欧州では非常にこの分野が進んでございまして、この下にあります食品残渣であるとか油脂分、こういったものを外部から取り込んで、相当大規模に消化ガスによって発電を行っているという例でございます。

・ 一方、我が国はどうかと申しますと、現在約2,000カ所の下水処理場がございます。しかしながら、まだ循環利用が進んでございません。例えば消化ガスで申しますと、全体の汚泥のうち消化ガスを発生させている量は約4割でございます。さらにその4割のうちの約4割程度しか有効利用されていないという現状がございます。その他のガスについては、大気に廃棄、放出されているような状況だと聞いております。それからリンにおきましても、右側のように処理場に入ってくるうちの1割程度しか有効利用されていないという現状がございます。

・ さらに京都議定書の目標達成計画の中でも、下水道における省エネ・新エネ対策の推進という目標、対策が掲げられてございます。これにつきましても、つい先般評価がなされたわけですが、現在52万トンCO2、それから14%対策評価指標といったことで、これは本来であれば73%、19%ぐらいの達成計画でありましたが、やや遅れ気味であるといった現状がございます。したがって、今後はより一層取り組む必要がございます。
 そこで、下水道の事業主体である地方公共団体に、その進まない理由を聞いてみますと、やはり@設置運営コストであるとか、A運転管理の人員体制の面、それからB技術そのものがまだ十分に理解できていない、ノウハウがない、そういった課題のあることが分かってまいりました。

 本研究の目的といたしましては、特にこのA番、B番のあたりをターゲットとしております。こういった効率化、省力化の部分について、また、技術の複合化であるとかIT技術等を使った一体的かつ効率的な運用方法について、
解決、方策を生み出せないか。それから事業のインセンティブ付与のあり方について、これはコストも含めたものでございますが、そういったもののあり方について研究してまいりたいと考えてございます。

・ 研究の全体イメージでございますが、イラストでお示ししましたとおりとなります。左側が、これは既に個別の技術というのは相当我々も研究してきてございます。しかしながら割と散発的にやっておりますので、統一的な視点で個々の技術を評価することがまだ出来てございません。従いまして、最初にエネルギーの利用可能性であるとか、それから個別技術の評価手法などについて、調査、分析をしてまいりたいと考えてございます。これらを実施した後、本来の目的でございます、いわゆる地域特性に応じた循環利用をいかに円滑にしていくかということ、外からバイオマスをどれだけ取り込めるか、また場内でどれほどの有効活用ができるか、といったところについて評価シナリオを設け、それに基づいてFSを実施して、最終的には循環利用技術へのフィードバック、課題整理等を行っていき、これらをガイドラインに反映させていきたいと考えてございます。

・ 先ほど申し上げましたものをフローに示したのがこちらでございまして、初年度調査・分析を中心といたしまして、それから技術評価項目を抽出し、手法を検討し、費用関数などのいわゆる基礎データを出してまいりたいと考えてございます。

・ 2年目以降は、これに基づいたシナリオを設定してフィージビリティーの検証をします。この中では、各種条件、それから技術の複合化、一体的運営、こういったものをあわせて検討し、最終的にはガイドラインに落とし込んで、地方自治体の方に配布して普及啓発を進めていきたいと考えてございます。

・ これがガイドラインの構成のイメージでございます。前段は各技術の概要、それから技術的評価を記しまして、後段で地域特性を踏まえた技術の適用の考え方であるとか、そういった技術を組み合わせて複合化し、より効率化を図ること、また、IT技術等を用いて一体的運用を図ること、そういった効果を示して啓発してまいりたいと考えてございます。

・ これが研究の具体的イメージの1つでございますが、調査の段階で様々な項目が課題項目として挙がってくると思います。これらを抽出して、どれが自治体のインセンティブ等に一番影響を与えるかを見てまいりたいと考えてございます。

・ それから、これが複合化のイメージでございます。外部からバイオマスを取り入れて、消化ガス発電をし、それに場内の燃料電池であるとか太陽電池、こういったものを組み合せて極力契約電力量を減らす方向に持っていき、あわせてそのコスト削減を図っていきたいと考えています。また、バイオマスをふやすことによって、最終的には場内100%自給を達成して、スマートグリッド等にも参入できないかと考えてございます。

・ また、コストの面で言いますと、上段が従来の下水の処理方法でございます。これと循環利用技術を適用して極力リサイクルし有効活用します。また、これらをコスト比較して、従来の手法よりも低いコストですべてのものがとり行えるようにインセンティブを図っていきたいと考えてございます。

・ こういったことで、研究成果のイメージとしては4点をお示ししてございますが、これらを3年間で実施してまいりたいと考えてございます。以上でございます。

【主 査】 ありがとうございました。
 続いて、本日欠席されている委員や他の部会の委員の方々からいただいている意見はありませんので、早速皆様からこの研究に対する質疑や評価意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【委 員】 この技術は、現行の施設そのままでやられるのですか。あるいは更新をしなければならない、あるいは新設をしなければならない、そのあたりはどういうことになっているのですか。

【国総研】 基本的には両方で考えてございます。既存のもので、該当箇所を見つける必要もございますが、両方がバランスよく含まれるように調査をしてまいりたいと考えてございます。

【委 員】 私はよく知りませんが、下水の整備というのはここ10年ぐらいでかなりのレベルまで行くのではないかと伺っています。更新状況だとか、そういうところとうまくコンバインしないと投資が大変だなという気がするのと、もう一つは、ガイドラインを作っても市町村レベルで本当に技術力に転嫁できるのかというあたりについては、もう一歩進んで、研修や講習までやらないとなかなか普及できないのではないかと思います。その辺の展望はお持ちでしょうか。

【国総研】 おっしゃるとおりで、やはり更新時期は非常に重要でございますので、できたらガイドラインの中に取り込んでいきたいと考えてございます。また、今後いわゆる研修でセミナーみたいなものとか、そういう普及のための説明会のような場も、可能であれば設けていきたいと考えてございます。

【委 員】 地域特性に応じたということで、いろんな立地状況や規模で判定していくというようなお話だったと思います。ただいまの質問と同じような質問で恐縮なのですが、場合によっては、スケールメリットのために施設の再編・統合を行う必要はないのか。これから人口が減少したりとか経済活動が低下してきたりして発生量が相当減ってきた場合に、1施設での規模のメリット、つまり採算性がとれないのではないか、そういうことはお考えなっているのでしょうか。

【国総研】 施設のスケールメリットというのは我々も非常に感じてますし、その必要もあると思っております。また、後背の需要地というのも非常に重要でございまして、それらがマッチングするのであれば、そういった方向で進めていけたらと考えてございます。

【委 員】 最終的にガイドラインができるということで、具体的な成果は分かるのですが、このガイドラインが本当に適切に使われるのかなという心配が若干ありました。既にいろんな技術が出ていて、なおかつ、下水道ビジョンなどで汚泥リサイクルの推進は自治体でいろいろ言っていますし、説明の最後に出てきたように技術は出てきているようです。先ほど再編・統合の話がありましたが、今回の研究では、1つの事業体ではなく自治体を超えた広い地域で汚泥を考えて、より有効利用できるのかというところに重点を置いた、国レベルで実施すべき事業ガイドラインの方が、意味があるように思います。そうするとやはり、自治体としては今までとは違った指標みたいなものがない限り、「さあ新技術などを導入しましょう」と言われてもお金が出てこない時代ですから、コストはこうですよ、これだけCOを減らせます、それによってこれだけメリットがあります、というような、COだけの話ではない、もう一つ踏み込んだ形の、自治体が本当に事業費を確保できるような形の指標をつくらないといけないのかなという気がいたします。自治体自体が本当にそれを導入したいと思うような指標をつくるところに、もう少し重点を置いたガイドラインでなければいけないのかなという気がします。
 もう一つは、いざ技術導入となると自治体だけではなくて、産業側の汚泥や水のビジネスのできる企業が魅力的であると感じることが重要です。企業にとってメリットがないと参入してこないのではないでしょうか。そうすると、国総研の仕事なのかどうかは非常に微妙なところですが、こういったものをもう少し海外向けに使えるような英語版ガイドラインも国策として作っていって、企業が海外にも同時に展開できるような付加価値を得られるものではあれば、魅力的なガイドラインになるのではと感じました。後半はコメントですが、前半は非常に重要な部分だと思うので、どのようにお考えなのでしょうか。

【国総研】 自治体にも大きなところと小さなところがございまして、確かに小さなところだと体力的、コスト的にも非常に大変な部分があると思いますが、その辺の課題についても、まだ我々は十分に把握できていないところがございます。従いまして、今回の調査の中で把握して、集約化にメリットがあるのか、それとも個別の単位でも何らかの有効活用の方策があるのか、また、それがコストの問題であれば、今現在2,000カ所あるうちの200カ所ぐらいしか、こういった有効活用の施策が採られておりませんので、その数を増やすことによってコストを下げていく、量でコストを下げていく、いわゆる高循環の流れをつくっていければ、というようなことも考えてございます。
 また、そういったいろいろな事務的な部分については、国や例えば下水道事業団なども、やはりある程度サポートしていく必要があるだろうと考えてございます。

【委 員】 私の質問が悪かったのかもわかりませんが、今回の場合は汚泥ですから、その事業体から入ってくる汚泥だけで勝負をするのか、周辺の生ごみだとか、いろんなものがありますが、それらは単独の自治体だけで集めてくるのか、周辺の都市も含めて積極的に行くのか。下水処理場は自治体単位としても、汚泥については自治体の枠を超えてやるということなら、単独の自治体ではなかなかできないこと。集約するメリットがあるかをモデル的に示せるガイドラインになるとよいのかと思います。地域の総体としてのメリットが出るような汚泥利用なりあるいはエネルギー回収みたいなものになるようにする。要はインプットが変わればアウトプットは変わるので、そのインプットのところをどう考えるのかというのを、幅広に捉えて積極的に展開する。この点は、計画書のなかでは地域特性という言葉で示されているのだと思うので、きっと同じことを考えておられるのだと思いますが、これらの点を具体的にガイドラインにどう反映するのか、ぜひ検討していただければと思います。

【委 員】 下水道の資源エネルギー利用が、我が国で大体1割程度だというお話でしたが、少し教えていただきたいのは、世界的に見てこういうものがどれぐらい利用されているのかということ、また、1割しか使っていないというのには技術的な問題とかコストの問題とかいろいろな問題があってのことだと思うのですが、我が国で一体何が、どういう状況で1割程度になっているのかということ、3つ目は、この研究で将来的に何割ぐらいの利用を目標に設定されているのかということについてお聞きしたいのですが。

【国総研】 世界の情勢につきましては、なかなか正確なところは我々も把握してございません。ヨーロッパ等で進んでいるということはかなりわかってきてございます。

【委 員】 この分野はヨーロッパの方が先進国だというような判断でよろしいのでしょうか。

【国総研】 そうですね。我が国の目標としましては、先ほどスライドでお示ししたように、まずは、公的な目標であります京都議定書の達成に向けて、可能な限りの対策は実施していきたいと考えているところです。

【委 員】 京都議定書が1つの目標だということですか。これまで余り利用が進んでいないというのは何か特別な理由があるのではないでしょうか。もしそうなら、それを解決しないと、この研究成果の実現性が難しいのではないかと思います。

【国総研】 やはり初期投資のコスト、それから付加的な施設を設けるわけですから、職員等の体制みたいなものも整っていないとか、そういった諸々の原因が考えられると思います。

【主 査】 他にいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【委 員】 地方公共団体用のガイドラインをつくるのは、とてもよろしいと思うのですが1点だけ教えていただきたい。12ページのガイドラインの構成(案)の中のいわゆるFSに当たる部分というのは、1〜4のうちのどこに当たるのかなと。結局最終的にガイドライン通りに物事を進めていくと、「おたくの自治体にとって一番良いのはこれですよ。」というのが出てくるのがよろしいかと思います。その部分がどこなのかというのを確認したいのですが。

【国総研】 まだこのガイドラインも案でございまして、このとおり確定したわけではございませんが、FSの成果については主に4の配慮すべき事項の中の(4)、(5)あたりに、「こういったケースであればうまくいくのではないか。」とか、「こういった特性の自治体ではこういった部分の利用の仕方が適していますよ。」など、そういった例を示せたらと思っております。

【主 査】 よろしいですか。まだいっぱい御意見があろうかと思いますが、そろそろ時間でございますので、評価シートへの御記入をお願いしたいと思います。

(事前評価シート回収)

【主 査】 提出していただきました。7人中4人が「実施すべき」、3人の方が「一部修正して実施すべき」となりました。内容は、「実施すべき」あるいは「一部修正して実施すべき」と書いていただいた委員に共通しているのですが、地域特性をどう反映するか、あるいは下水処理プラントの使われている技術などについての、シナリオという言葉で表現されておりましたが、そのシナリオをどのように上手くつくってパッケージ化するか、あるいはガイドラインを適用することによって生じるメリットというのを、どのように、流行りの言葉で言うと「見える化」するか、人材育成とどう絡むのか、あるいは集約化のメリットをどう指標化するか、といった御指摘をいただいております。

 ただ、共通して重要な研究であるということ、数の上からも4対3ということでございますので、この分科会の評価としては「実施すべきである」と評価にしたいと思います。また、頂いたコメントについては十分反映していただければと思っております。これは後ほどきちんと文章にまとめた上で、委員の皆様方にお諮りして取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ダメという声がありませんので、そのようにさせていただきたいと思います。御苦労さまでございました。

↑TOP へ戻る

〈事前評価〉A  災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究

【主 査】 それでは、次のプロジェクトでございまして、「災害対応を改善する津波浸水想定システムに関する研究」です。説明をお願いいたします。

【国総研】 それでは説明させていただきます。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ この研究につきましては、今年の2月末にチリ地震の津波が来たのでございますが、そこで得られた教訓をも とに津波災害対応を改善するために実施するものでございます。
 主眼は、気象庁から発表される大津波警報や津波警報と、市町村が発令する避難指示・勧告等、あるいは我々ですと水門を閉める等の災害対応との間をつなぐ、現在はハザードマップというものでつないでいるのですが、ここの津波浸水想定を改善するということでございます。以下、必要性、概要等を述べていきたいと思います。

・ 今年の2月28日、前日に発生したチリ津波を受けまして、三陸沿岸においては大津波警報が、それから太平洋沿岸には津波警報が発令されました。この警報を受けまして、対象地域の海岸や河川管理者は水門や陸こうを閉鎖し、市町村で整備しております津波ハザードマップだとか、あるいは1960年のチリ津波とかの浸水実績等を参考にして避難指示勧告等を出したところでございます。また、交通機関においては、道路管理者等が津波来襲予測時刻の1時間前までに通行止め等の措置を取りました。
 今回は、津波来襲が予測される3時間前にもう警報が出されておりますので、災害対応が非常に行いやすいというケースのはずでした。しかしながら、幾つかの課題がありましたので、以下で紹介いたします。

・ 3点ほど挙げられるのですが。1点目はまず非常に避難率が低かったということでございます。避難所へ避難した方を率で言うと3.8%ということでしたし、これ以外に親戚の家に行ったというのを含めましても4割程度という避難率でございました。
 2点目としましては、津波最大波が到達する前であるとか、あるいは避難勧告や指示が解除される前に家に帰ってしまった方が非常に多かったということでした。

 3点目としましては、通行規制や渋滞発生等も加わりまして、非常に苦情等が多かったということがございました。これらの課題が、どうしてかということを次に分析してみたいと思います。

・ まず避難率が低かったことについてですが、こちらについては内閣府と消防庁でアンケートをとっております。これに関連して、要因については防災担当大臣からもコメントが出されております。今回の避難指示や勧告は、津波ハザードマップというものをもとに出されたわけですが、これが三陸沿岸でいきますと、大体10mぐらいの高さのものを想定してつくられたハザードマップをもとに勧告などが出されたということでした。しかし、今回受けた大津波警報では、高さが3mほどと非常に小さいとの予測だったことから、「3mぐらいであれば大したことはないので避難しない。」という判断をされた地域の方も多かったのではないか、という分析に落ち着きつつあるということでした。つまり、ハザードマップが想定しているところの津波高と、実際に出てくる警報等で予測される津波高の乖離が非常に大きくて、避難指示の範囲が過大であったということが1つ言えるのではないかと思っております。
 これを受けまして、防災担当大臣の方で地域の防潮堤の高さも含めて、もう少し実際的なハザードマップをつくった方が良いのではないかということ、それから大体3mぐらいの対策はできているところが多いという現実を踏まえると、もう少しきめ細かいやり方があるのではないかということを問題提起したい、というようなコメントをされております。

・  もう少し具体的に、どう過大なのかということを次のスライドでお示ししたいと思います。左側の2枚につきましては、津波高の違いによる浸水範囲の違いなのですが、左側はこの地域では津波高4.5mでハザードマップの浸水範囲をつくっています。これぐらいだけの範囲が浸水想定範囲なのですが、これが実際の津波警報に相当する2mの高さですと、ここまで減ることになります。特に点線の丸で囲った範囲は1割未満に減少することになります。
 右側は、施設の有無による違いでございまして、上の方は防潮堤が全く機能しなかった場合に相当する津波の浸水範囲でございます。下はきちっと防潮堤が機能した場合ということで、浸水想定範囲が大きく減少することになります。これは言いかえると、防潮堤の耐震対策がしっかりできている場合が下、できていない場合が上というように読みかえることもできると思うのですが、施設の状況を想定するだけで、大きく浸水想定範囲が減少することになります。このように、津波高を考慮したり、施設の状況を考慮した浸水想定図が必要だということがおわかりいただけるかと思います。

・ 次は、解除前に帰宅したという話でございますが、こちらは岩手県さんで実施しましたアンケートで大体の要因が推定できます。真ん中にあります棒グラフが、帰宅を決めた理由について、岩手県さんが実施されたアンケート結果なのですが、こちらを見ますと真ん中の赤で囲ったようなところ、ここの部分が非常に多うございます。具体には、予測時刻までに津波が来なかった、第1波が非常に低かった、長時間居て疲れてしまった、避難所で退屈だった、食事がない、等々、津波の避難時間が非常に長かったことが要因になっております。本来はこの上にあります指示が解除される、あるいは津波注意報が解除されるといったことで帰宅していただくのが望ましい行動になるのですが、そうなっていないという現実がございます。要因の1つとしましては、予測される津波高であるとか、到達時刻であるとか、観測情報として津波高が出されているのですが、これらにおける見通し等に関する情報が余りないということが挙げられると思います。例えば津波の継続時間はどれぐらいあるのだとか、あるいはどれぐらいの時間で減衰するのだとか、あるいは次はどういうタイミングで判断できるのだとか、そういう情報があるともう少し避難指示や警報などの情報を待ってから行動しようという方が増えるのではないかと思っているところでございます。

・  こういうことを受けまして、どういう研究をしていきたいかということでございますが、この黄色で囲ったように、我々としては「津波浸水想定システム」というものをつくりたいと考えてございます。
 このシステムの中身につきましては2つに分かれまして、1つは浸水計算システムを開発するということでございます。こちらについて、重要で、ぜひ実現したいと思っている点は、まず津波高別に計算できるもの。それから施設整備や耐震化の状況等を反映して随時更新していけるものにしたいということ。それから水門閉鎖など、実際に津波警報が発令された後に実施する災害対応もありますので、そういった情報を反映できるような迅速性のある計算をしていきたい、このように考えております。

 2点目は見通し等の検討ですが、こちらは過去の津波波形のデータベースを整理しておく、あるいは津波高の減衰関数を検討して予測できるようにする、あるいは地形的な特性等を整理して、どういったところで長期化するのか、そういったことを整理していきたいと考えております。

 これを具体に海岸管理者の方で使う場合には、1つは津波高別の浸水データベースという形で、チリ地震以外に近くで起きた地震の場合には時間的余裕はございませんので、特に迅速に結果が出せるようにしていくという形が想定できます。 もう一つは、実際に避難した後、解除までの間の対応をリアルタイムに計算する。そういったものの2本立てで使ってもらえるようにしたいと考えているところでございます。

 もう少しイメージ図にしたものが次のスライドになります。

・ 地震が発生した後に津波の注意報、警報が出されているわけですが、これを受けまして、まずはあらかじめ計算してある津波高別データベースから、実際に一番近いものを取り出して災害対応に使っていくというようなこと。それからもう一つは、その後の対応で水門を閉鎖した情報を反映して、リアルタイムで計算していくというようなこと。あるいは減衰予測みたいなもので見通しを出していくというようなことを考えております。また、平常時につきましては、あらかじめ津波高別の要避難範囲を出しておいて、十分周知するというようなことも考えられるかと思っているところでございます。

・  最後のスライドですが、研究実施体制としましては、まず本省と連携してやっていくということと、実際に警報を出されたりする気象庁さんと情報交換していく。それから、今回の津波を受けまして、いろいろ津波避難支援技術検討ワーキングというようなものをつくっております学会関係とも、情報交換しながら進めていきたいと考えております。また、当然のことではございますが、実際のユーザーになります海岸管理者とも、データ提供やシステム提供するといった以外に、どういったものにしていったら使ってもらえるかということを情報交換しながら進めていきたいと考えているところでございます。
 以上でご ざいます。

【主 査】 どうもありがとうございました。これも意見等はなしですか。
 ということでございますので、委員の皆様からの御質問あるいは御意見等をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【委 員】 御質問したいのですが、今回研究開発を進められるシステムの、一番のユーザーは地方自治体と考えてよろしいのでしょうか。

【国総研】 我々が開発したものを使うのは海岸管理者を想定していまして、大部分が都道府県になります。あとは一部直轄でやっているところ、その二者になります。

【委 員】 ご説明の中にあったのは、実際にこのような情報を住民が知るのは、多分テレビなどのメディアを通じてだろうと思うのですが、都道府県がメディアに対して情報を提供する仕方に関して念頭に置かなくていいのか、あるいは、住民がこういう情報をどう理解するのかというところとの関係が分かりにくいかなという気がしたのですが。私としては、大変良いシステムだとおもっているのですが。

【国総研】 1点目の、情報の末端までの流れみたいなものにつきましては、我々だけではなかなかできないものでもあるので、本省等を通じて、あるいは内閣府さんなどとも協力させてもらいながら、有効な使い方を考えていきたいと考えてございます。
 あとは住民がどう考えるかというあたりでございますが、ここについても今年度まで避難……ここでも審議してもらったかと思うのですが、避難意思決定要因に関する研究というのをやって、どういう要因で住民は避難を決定するのかというような研究をしていたことがございまして、そこでワークショップをやるなりして、実際に住民の方といろいろ研究しておりますので、それを通じて改善点等を探っていければと考えてございます。

【委 員】 わかりました。

【委 員】 今の質問とほぼ同じなのですが、いわゆるハードなシステムと同時に人間の行動のことにも、もう少しアプローチしたら如何かと思っています。岩手県のアンケートをお使いになるのは良いかと思いますが、そのアンケートの3番目は、人が行動したから自分が同じようにしたと書いてありますよね。だからもうちょっと、人間の情報と行動というのも、システムを有効にするにはどうしても必要な情報なのではないかと思ったものですから、両足を入れた研究にしては如何かという感じがいたしました。

【委  員】 私も情報伝達は大丈夫なのかなという気がしました。例えば海岸理者が減衰の見通しを出すのと、水門の閉鎖などは関係ないですよね。つまり、自然現象として減衰の見通しを出すことは気象庁がやる議論と重なってしまうのではないかということです。減衰の見通しとおっしゃっていたのは、あくまでも管理上の減衰見通しではなくて、自然現象の津波自体が減衰していくということを海岸管理者の方で検討するのが、今回のプロポーザルなのでしょうか。
 それからハザードマップも、さまざまな津波の高さによるハザードマップができてしまうと、1つの津波においてもハザードはグラデーションを持っていそうな気がしますし、そういう意味で、逆に情報を受け取った市町村の担当者は混乱するのではないでしょうか。よりきめ細かいやり方というのは、裏を返すと、その現象が余りよくわからない人間にとっては、さまざまな判断基準を持ってしまうということになって、混乱してしまわないかなといった心配があるのですが、その辺はどうでしょうか。

【国総研】 最初の御質問の減衰の見通しにつきましては、おっしゃるとおり気象庁の方で海の中の潮の高さが、例えば1mとか2mとか、そういう基準値を超えると警報が出しますし、それがもうないだろうという段階になれば警報の解除あるいは注意報の解除が出されているところですが、一方で、避難されている方あるいは施設管理者にとっては一体いつまで避難していれば良いのか、いつまで災害対応をしていれ良いのか、そういう見通しがないまま対応するのもなかなか辛いところがあります。この研究では過去の事例の収集 や、あるいは数値計算をたくさんやろうと思っておりますが、そういったものから出てくる各地域の地形に応じて、どれくらい減衰するのか、どれくらいの時間がかかるものなのか、そういう見通しをある程度つけておいて、海の中だけでなくて、実際、海岸線には堤防がございますので、例えばこの地域であれば3mよりも津波が小さくなれば堤防があるから守れますよ、といった見通しを持っておくというような研究をやりたいと思っています。
 2つ目の、きめ細かい情報が出ると、かえって市町村等で現場の混乱を招くのではないかという御懸念ですが、私どももそういう心配を持っております。今までのハザードマップは、2つとか3つも状態があると、どれが瞬時に判断出来ないこともあると考え、まずは最悪の状態を想定してつくっておりましたが、実際は、10mと3mでは浸水の範囲が違うといったこともございますので、混乱を招かないようなスキルアップといいますか、住民の方も含めて、そういう情報処理能力といったものを高めていくような試みも、別途考えていかなければいけないとは思っております。この研究の中ではまず、どこまで細かくできるかということを検討したいと思っております。

【国総研】 補足しますと、7枚目のスライドにちょっと入れたのですが、混乱を防ぐために、平常時のハザードマップの中に波高別の要避難範囲のようなものを書いておいて、これを普段から十分周知しておくというようなことが考えられると思います。もちろん、この津波高範囲が同じ津波高の中でも最も大きなものをとるので、これ自身もやや過大なものは入るとは思うのですが、こういう使い方も一つとしてあるのかなと。

【委 員】 こういうハザードマップをリアルタイムに自治体へ送っていくことはできないのですか。いわゆるハザードマップなら、平常時に皆さんに配布して知っておいていただくというスタイルだと思うのですが。そうすると、どういう高さの津波が来るかわからない状態で、いろいろ知識を覚えておかなければいけないと思うのですが、仮に今回の津波においては何メートルぐらいだという予想がついた段階で、れに応じたハザードマップを自治体に提供していくことはできないのでしょうか。

【国総研】 河川局の方で、津波に限らず洪水などの情報も如何に提供するかということをやっていると思いますので、そちらの方に載せていってもらうという活用方法は模索したいと思っております。

【主 査】
 他にいかがでしょうか。どうぞ。

【委 員】 避難率が低いとか勧告解除前に帰宅してしまうというのは、安全側に予報を出すため、想定したより大分小さい規模のものだったりすると、住民の皆さんがそういう判断をされてしまうのかなと思います。今までの意見にもありましたが、人間の考え方というものをこの研究の中で少し考慮すべきではと思います。具体的にこの研究では、例えば津波が来るという予想をした段階では、その予想値に従ってハザードマップを見ながら住民が避難し、津波が到達したときその予想値より規模が小さい場合は、そのような情報を住民に流して、避難解除などをしてもらうことを想定されているのでしょうか。

【国総研】 恐らく近いところの津波でありますと、この予測を待つ前に地震があった時点で避難されると思います。その後に、帰って良いかどうかが知りたい。近地地震津波については、そういう使い方をするイメージでおります。

【委 員】 それがリアルタイムで浸水予想図なりハザードマップを示す、ということでしょうか。

【国総研】 今回の範囲はこのぐらいですよ、ということを示して、自分のところは帰っても良いなと判断して帰ってもらうようなイメージかなと思っております。

【委 員】
 そうすると、安全だけどわざわざ避難所にいてもらったとい状況を無くそうということになるわけでしょうか。

【国総研】 今回で言えば、3mから10mまでの間の人はおそらく避難しなくても良かったはずなので、このシステムが機能することで、そういう人たちが避難しなくても良いようにしたいと。

【委 員】 私は、津波のことは専門外ですが、そういった状況で、安全だと思っていても急にまた大きな津波が来たり、別の地震による津波が来るなどすると、このようなリアルタイム情報で避難することで、かえって混乱してしまうようなこともあるのかなという気がしますが、その辺はどうですか。

【国総研】 見通しかなと思っていまして、専門家であれば、1波目よりも2波目、3波目の方がもっと高いとこともあり得るとわかっているのですが、その辺をもう少しきめ細かく、2波目、3波目を見てからでないと判断できんよとか、そういうことが伝わっていければなと思っています。

【主 査】 他に如何ですか。どうぞ。

【委 員】 リアルタイムの浸水計算ができるシステムができても、例えば住民にとっては将来どうなるかが知りたいのであって、リアルタイムの情報が知りたいのは海岸管理者ですよね。ということは、もともとこのシステム自体は海岸管理者のためのものだからそれで良いのでしょうが、その情報を市町村に提供して、避難や誘導をより正しくするための情報が提供できるシステムをつくるところに、すべての主眼を置いているのではないでしょうか。それならば、システムをつくりっ放しにするのではなくて、どう使って市町村に情報提供するのかという、活用のところ、いろんなシナリオですかね、それをできるだけしっかりと整理されると非常に有効活用できるように思います。これはシステムの中に言葉としては入っているのですか。

【国総研】 そこを踏まえて、使い方も高めていきたいと思います。ありがとうございます。

【主 査】 それでは、そろそろ時間となりましたので、評価シートへ御記入をお願いしたいと思います。その時間をかりて、ちょっとコメントをさせていただきたいのですが、ハザードマップって何なのだろうかというふうに思ったのですね。おそらく今までは既往最大で普段から気をつけましょうね、というのを注意喚起するのがハザードマップですよね。ところが今回は、そのときそのときの予測をハザードマップというのかなと思って誤解してしまったのですが、そういうことはないですか。これだったら、ハザードマップということについての概念が随分変わるので、気をつけた方が良いのかなと思って言いましたが。

【国 総研】 ハザードマップをつくる情報の1つに浸水予測図というのがございまして、今回は、その浸水予測図をきめ細かくする、そういう…。

【主 査】 だから、ハザードマップがあるから避難しなかったというのでは、ちょっと……担当大臣がおっしゃったのであれなのですが、それと浸水予測というのは違うのではないかという気もするのですが。

【国総研】 警報により合った浸水予測図が入ってくるようにしたい。

【主 査】
 そうですよね。

(事前評価シート回収)

【主 査】 全員からいただきまして、「実施すべき」が5でございます。「一部修正して実施すべき」という御意見がお二人からございました。やはり話題にもなりましたが、システムのアウトプットの活用方法ですよね、活用シナリオや伝達方法についても、もう少し工夫した方が良いのではないかということでございます。同様の意見は、「実施すべき」という評価をいただいた委員からも寄せられましたので、これも評価としては「実施すべきである」とさせていただきたいと考えています。その中で、こういう点について御留意くださいというコメントをしっかり書いた上で、この分科会の評価とさせていただきたいと思います。そのような方向で取りまとめさせていただければと思いますが、よろしゅうございますよね。
 では、どうも御苦労さまでございました。

↑TOPへ戻る

〈事前評価〉B 大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究

【主 査】 それでは、本日最後の事前評価でございます。「大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究」でございます。説明をお願いいたします。

【国総研】 それでは、御説明をさせていただきたいと思います。

〔パワーポイント映写 以下、画面ごとに ・ の表示〕

・ タイトルは「大規模広域型地震被害の即時推測技術に関する研究」でございます。

・ 本研究のねらい、目的でございますが、国交省では地震計ネットワーク、こちらに図がありますが、こういった強震観測のネットワークを持っております。このネットワークの地震動データを使いまして、所管施設の被害の推測をする技術を開発したいというものでございます。地震発生直後には点検に行くわけですが、その点検データが上ってくるまでは情報が非常に少ないという状況でございます。その間に、施設管理者の初動対応における意思決定をサポートするような情報を出していきたいという研究でございます。

・ こちらの方の図にございますが、地震が発生し、震度情報が出され、その震度情報に応じて初動体制を確立し、点検や必要な応急復旧を図っていくわけでありますが、被災情報が上ってくるまでは、何がどうなっているのかよくわからない時間があるということでございます。ここでは情報の空白期と呼んでおりますが、これは2時間から、地震の規模ですとか発生時間帯によっては非常に長くなってくるということでございます。特に夜間に起きました地震や、被害が広域甚大な場合ですと、この状況把握が非常に大変で、長期化することが予想されております。この情報の空白期において、迅速かつ的確な初動対応が困難になっている状況を改善したいというものでございます。

・ 地震直後につきましては、震度が気象庁から公表されるわけでございますが、この震度自体は即時に出てくる非常に重要な情報でございます。ただ、いろんな構造物がございますので、震度だけではその構造物の振動特性に応じて被災状況を細かく見ていくということがなかなか難しいという点もあるかと思います。例えば2008年の岩手・宮城の地震、あるいは2009年駿河湾の地震では、震度が6強と6弱でしたが、この震度に比較しまして橋ですとか道路、あるいは河川の被害の方は必ずしも大きくなかった、限定的であったということでございます。一方、岩手・宮城では、大規模な斜面が壊れたり、これにより非常に大きな被害が出たりということで、施設に応じまして、その振動特性を十分考えた上での被災評価を行うことが重要ではないかと考えるものでございます。

・ 空白時間ですが、大体どのぐらいで出てくるのかというのを、過去の地震で整理したものでございます。これは神戸の地震の例でございます。都市域で早朝に起きた地震でございますが、地震が起きてから点検に入っていろんな情報が上ってくるまで12時間、全体把握まで24時間、1日ぐらいかかっているというような実情でございました。
 それから、2004年の新潟県中越沖地震、これは中山間地で起きておりますが、なおかつ夕方発生したことから夜の点検となり、被災状況の全体像を把握するには、どうしても次の日になって明るくなってからの点検情報を踏まえた上でのものになっているというものでございます。

 昨今、首都直下地震あるいは東海・東南海・南海地震というような大規模な地震が起こることが懸念されているわけでございますが、この断層規模を見ましても、例えば東海・東南海・南海ですと700kmぐらいに被災地域が及ぶということがございますので、この空白期が長期化していくのではないかということが考えられるわけでございます。

・ 2月にチリ地震がございました。我が国でもこのような大規模な地震の経験は必ずしも十分でないということがございます。大体500kmぐらいにわたる非常に広域の災害であったわけでございますが、早朝に地震が起きまして、4時間後には大統領が国際援助不要と発表されております。後ほどのニューヨークタイムスの大統領へのインタビューで、被災規模を小さいと評価したことについて回答されておりました。地震の際、なかなか情報を入手できなかったり、担当の方と連絡がとれなかったというようなこと、コミュニケーションシステムがダウンしたり、道路が通行できなくなったりといった原因で、被災状況の把握がなかなかできなかったということを話されていました。
 これに対しまして、チリの「
ElMercurio」紙という新聞でアンケートが行われておりますが、政府の対応が遅い、不十分だったというような評価がなされております。広域で被害が多発した場合の大きな地震などですと、やはり初動対応が非常に重要となります。初動対応を図るには、被災情報を把握するのが非常に重要であるということでございます。
 この研究では、こういった情報の空白期となる地震発生直後に、被害の推測情報を災害対策本部等に提供できるような技術開発をしたいということでございます。そういった情報につきましては、あくまで推測にはなるわけでございますが、重点的に点検すべき箇所がどこにあるのか、重大な被害があるのかないのか、あるいは広域で応援体制を構築していく必要があるのか、応援部隊をどういった形で準備していくのか、あるいは人員・資機材の手配の準備を図る際に、大規模地震でも情報の空白期をなくし、即時に迅速な初動対応ができるように支援したいというものでございます。

・ この研究のために何をするかということでございますが、3つ検討を考えてございます。
 1つ目は、地震動分布の推定でございます。観測点は国交省では700点ございますが、大体20kmとか40kmと離れた離散点です。なお、地震動は表層地盤の影響をかなり受けますので、その表層地盤の影響を考慮した上で任意の構造物がある地点の地震動を評価したいというものです。それから精度を上げるために観測点数をふやしたいということで、これは防災科研さんの方でK−NET、1,000点がございますが、そちらの方との連携を予定していまして、点数をふやした上で地震動分布の推定精度を高めたいと考えております。

 2つ目は被害推測でございますが、得られた地震動データをもとに、対象とします所管施設の被害度、被災度を推測するというものでございます。これは、実際の被災事例あるいは実験や解析等のデータに基づいて、構造物特性、それから振動しやすい周期特性などを踏まえた上で推測手法をつくりたいというものでございます。

 それから、災害対策本部の方に情報提供することを念頭に置いておりますが、災害対応に際して情報の使い方がいろいろあり、それを使いやすい形で提供していきたいと考えております。

・ まずは地震動分布の推定でございます。ここに簡単に書いたものでございますが、離散点でとられました地震動、地震計で得られたデータがございます。それを一旦基盤の方に戻しまして、基盤から任意の地点の自振動を推測しようというものです。「応答倍率DB」と書いておりますが、地盤あるいは地形条件等に応じて増幅率が変わってまいりますので、その辺を統計的に処理した上で、より精度の高い任意点の地震動の推測法をつくりたいというものでございます。

・ それから施設の被害推測手法でございますが、振動特性はいろいろな構造物によって被害とその地震動の強さの関係が異なりますので、この図のように、横軸に計測震度SIと書いておりますが、地震動の強さを示し、さらに構造物の振動特性を考慮した指標値を見つけ出しまし、こういったフラジリティカーブを開発していきたいということでございます。構造物に応じた地震動の強さと被害の関係を出していきたいと考えております。

・ それから、こうやって得られました推測情報を即時に提供していきたいと考えております。まず1つ目の地震動データでございます。これは国交省のネットワークと防災科研さんのK−NETを合わせて1,700点ございますが、これを即時に相互にデータを集約して、地震動分布を推定していくことが必要になると考えております。
 それから、被災推測情報もあわせまして、例えば10分後には地震動分布の情報、15分後には道路施設、河川施設、あるいはそういった公共土木施設の被害を推測した情報を出すことを考えております。

・ こういった情報をどう使うかでございますが、例えば大規模地震などが起きた際には、総理官邸で全体の指揮、災害トップマネジメントを行うわけでございますが、そういったところへ情報提供していきたいと考えております。

・ 現状ですと震度情報だけで、被災情報につきましては点検情報が上ってこないとよくわからないということがございます。推測ではございますが、その推測に基づいて重点的な被災地域あるいは例えば道路等が被災を受けた場合に、その道路が使えないので緊急物資等の輸送は例えばヘリで行う準備をするなど、そういった全体的なトップマネジメントに使うというようなことを考えております。

・ さらに、例えば地震発生後15分後は推測情報でございますが、これに、実際に上ってきた点検情報をリアルタイムで統合しまして、災害情報プラットホームのようなところで、時間とともに、最終的には予測から実際の点検結果を示していくような形も考えております。

・ 研究実施でございますが、先ほどございました地震動につきましては、防災科研さんと連携を予定しております。また、本省や地方整備局と連携したいと考えております。
 さらに、アメリカの方で、これは道路に限定されますが、REDARSという類似のシステムを持っております。これはリスクマネジメントが中心でございますが、そちらと情報交換を行い、より実務的なシステムを開発していきたいと考えております。

 以上でございます。


【主 査】 ありがとうございました。これも意見なしですね。
 それでは、早速委員の皆様方から質問やコメントを頂戴したいと思います。如何でしょうか。どうぞ。

【委 員】 まず1点目なのですが、11ページのところに3つの絵が描いてありますが、例えば斜面災害、いわゆる斜面が崩壊して天然ダムができるというような斜面災害なども含めて研究されようとしているのでしょうか。また、道路被害で「ここは危険だ」ということが絵に示されていますが、この中の個々の橋梁が倒壊して道路が遮断され、通行できなくなっているといった情報は、この結果をもとに詳細調査を実施して調べることになるのでしょうか。その辺の位置づけを少し教えていただきたい。

【国総研】 まず1つ目の斜面災害等でございますが、本研究の中で取り組んでいきたいと考えております。ただ、御指摘のように、非常に要件等が難しいといいますか、精度の非常に難しいところがあると思っております。この中では、主として国交省が管理しております施設に関連する斜面等について取り組んでいきたいと考えております。
 2つ目でございますが、被災予測につきましては、個々の施設の情報と地震動強度を踏まえて予測することになります。実際に起きたか起きてないかわからないものなので、予測情報を踏まえて現場の点検を行い、その結果に応じて最終的な判断を行うことになると考えております。ただ、例えばどこを重点的に点検すべきか、この辺で起きている可能性がある、この施設がもしかしたら大きな被害がある、といった情報も現場の点検の方に出していくようなイメージを考えております。

【委 員】 宮城岩手地震のときも、だいぶ経ってから大きな崩壊が見つかったりしたということがあったように思うのですが、こういう情報を得た後の次の行動が、やはり大事ですよね。いわゆる詳細調査というか。そのことについては、この研究では取り扱わないということでしょうか。それとも、そういうことも含めた研究ということになるのでしょうか。

【国総研】 この研究では、推測結果を出したいというのが、一番大きな課題でございます。それを具体的にどう使っていただくかということについては、もちろん御指摘のように、ここで被害が大きい可能性があるのでここを重点的に点検する必要がある、復旧準備をとりあえず実施するなど、そういった使い方については我々から研究の中でいろんな場面を提案していきたいと考えております。

【委 員】 大変すばらしい御研究だと思いますが、これができ上ったときに、どういう運用体制をお考えになっているのですか。どのぐらいのマンパワーで、多分24時間誰かが付いて何か判断してという話になりますよね。でき上ったときにどんな姿になるのか、ちょっと教えてください。

【国総研】 今のイメージは、地震が起きまして、15分とか30分以内にこの予測情報を出したいということを考えております。このため、基本的にはオートマティックを想定しております。ただ、あくまで近似と申しますか推測でございますので、その後に人が見て、このデータはどうも違うようだと判断したり、別の地震動強度を出して判断したりすることはあると思うのですが、このシステムとしてはあくまでも即時に、例えば30分以内に出す、もちろん推測ではございますが、初動に使えるような情報にすることをイメージをしております。 先生の御指摘のように、その後、例えば人がデータを見てチェックするといった場面も考えられますが、本研究の発展的な形で整理していく必要があると考えております。

【委 員】 13ぺージの図は、今の御質問とも関連するのですが、少し広域なので、これを情報提供する相手としては、国あるいは国交省という感覚で拝見したのですが、都道府県や市区町村への提供というのはいかがでしょうか。

【国総研】 復旧対応、点検対応といった災害対応をされる方々に情報を提供するということを考えております。広域になりますと、全体を鳥瞰して、どのように対応していくかを判断するような、おそらく総理官邸などでのトップマネジメントに使うということがあると思うのですが、情報自体はその場面場面でいろんな使われ方があると思います。このため、ご指摘の都道府県なり、あるいは、例えば道路の話ですと、将来的には一般ユーザーに向けて、ここは通れますよ、通りませんよ、といった情報を出していく、そういった使い方もあると思います。ただ、今の時点では災害に対応される方に推測情報として出していきたいと考えております。

【委 員】 この研究全体でやろうとしているプロポーザルの内容はよくわかったのですが、実際にそういうことができるのかという、今の研究の現状みたいなものがいま一つ見えてきません。既にこういうデータは持っておられると思うのですが、9ぺージのロジスティックみたいなこのカーブのデータ、これは実データなのですか、それともデモでつくられたデータなのですか。あと、海外と共同してやっていかれるような話も書いてあったので、少なくともこの被害予測がどの程度的中したか、これは場所が的中しないとほとんど意味をなさなくなってしまうと思うので、その辺がちゃんとできるバックグラウンドみたいなものを教えていただけるとありがたいです。

【国総研】 まず9ページの絵はイメージとして示させていただきましたので、土木構造物とは直接関連しないデータになってございます。 
それから、国交省が管理している施設はいろいろありますが、それに対して現状でどの程度できているのかですが、現在国総研では「サターン」という被害予測システムを持っております。ただし、閾値の設定次第で被災度を推定精度は確かに難しいところがございます。構造物の特性などの情報を入れれば入れるほど、精度はそれなりに上っていくと思いますので、使える精度と言うのでしょうか、初動対応にうまく使える範囲の精度を目指していきたいと考えております。また、従来のシステムではその地点の地震動を推測することもなかなか難しいところもありまして、その辺の改良も今回の研究で高度化していこうと考えております。

【主 査】 よろしいですか。

【委 員】 国総研で研究される部分としては、被害推測手法というのが非常に重要だと感じました。一方で、研究実施内容の地震動分布の推定手法の開発については、K−NETで1,000点お持ちの防災科学技術研究所で、既にある程度研究がなされているのではないかなと。私は専門ではないのですが、逆に言うとそのあたりはただデータをもらうだけではなくて、震度ではなくていわゆる被害に影響するような地震動というのですか、それを深めるのは先方にお任せして情報をいただき、被害の方に重点的に同じお金を投入して、先ほど言ったような精度だとか不確実性はどうだとか、あるいは災害本部でどう活用するのかといった後半の方に全エネルギーを投入された方が、全体としては非常に効率的な良い地震対応の被害対策ができるのかなと勝手に想像するのですが。1の内容については(独)防災科学技術研究所ではやっておられないのでしょうか。

【国総研】 1の内容ですが、いろんな研究がございます。防災科研さんの方でも多分やっている研究があるかと思います。観測点に基づいて、基盤に戻して、それから任意の構造物の地点で評価するという手法でございますので、いろんな地盤、あるいは地形情報のデータを入れ込んだ上での応答倍率DB、そういったものをつくらないとならないということで、それは私ども国総研の方でやりたいと考えております。防災科研さんとデータの連携については御相談をしているところなのですが、そういった倍率の評価もどこまで連携してできるかということについては、まだこれからの状況でございます。今の段階では構造物の特性も考慮した応答倍率DBをつくっていくということは、国総研で実施したいと思っております。

【主 査】
 他にいかがですか。まだ時間はありますが。
 これは多分いろんなところでいろんな研究がされていて、要素技術は日々前進していると思うのです。それを統合化して活用しようという発想だと思うのですが、そうするとおそらく、この期間だけで終わらずに、ある意味ではずっと続いていくので、そのためのシステムのフレームをつくろうという意味合いもあるのかなと思いました。そこで、今後こういうものをどう活用して、それをどう改良していくかというところについて、今の時点で結構ですが、どのようにお考えになっているのかお聞かせいただければと思います。

【国総研】 国交省が管理している橋梁があったり盛土があったり河川堤防があったり、いろんな公共土木施設がございますが、その被害関数につきましては、実際に被害等の検証がされたものも必ずしも十分ではないので、各種の研究成果を束ねるような形ではなくて、そのデータを踏まえて被害関数をつくっていきたいと考えております。
 今回の研究の中では、特定の地方整備局あるいは本省に御協力いただいて、プロトタイプをつくるところまでをやってみようと思っております。有効に使えそうだということをぜひ示したいと思っておりますが、その結果に応じて、おそらく展開を考えていくということになると思っております。

【主 査】 それと、甚大な被害が出るような地震というのはそうは起こらないと思うのですが、それに至るまでの地震でこのシステム全体の性能のキャリブレーションみたいなことは可能なのですか。こういう山があって、この辺のとば口だけで全体のシステムの性能評価をしろというのはどだい無理のような気もするのですが。しかし、待っているだけではシステムの改良になかなかつながっていかないとも思いますので、そういう兆候みたいなものでこのシステムの存在価値をうまくアピールできるような、そんな工夫も必要なのではないかなと。素人考えですが。

【委 員】
 私も全く素人的な発想で恐縮なのですが、今年の夏のように集中豪雨で地盤がものすごく軟化したり、リアルタイムで国土の状況が変わってきているときの、こういうデータの更新あるいはメンテナンスというのはすごく大事かなと思います。そういうことは視野に入れていらっしゃるのか。常時観測点というのはありますが、その常時観測点が置かれている状況がものすごく変わってきつつあるのではないかなという気がするのです。そういうのは、どう考えていらっしゃるのですか。

【国総研】 御指摘の点はあると思います。特に土構造物や斜面などは、そういった雨の後に地震を受けると、やはり被害が大きくなるということが言われております。実際そういう例もあるということでございますので、その辺をどこまで被害関数の中に取り込めるかという部分を少し研究していきたいと思っております。ただ、いずれにしても、今御指摘いただきましたように、過去の地震の経験、被害をベースに被害関数をつくっていって、そういった水量の情報といったものも幾分か入れていけるような形で研究していきたいと思っております。

【委 員】 コメントです。例えば道路や堤防、斜面など、いろいろな情報が発信されるということなのですが、そういったものが、おそらく複合的に災害を引き起こすこともありますので、今後はこの情報が複合災害的なものにも役立つように、少し工夫していただけたら良いかなと思いました。

【主 査】 どうもありがとうございました。
 それでは、評価シートの記入をお願いしたいと思います。

(事前評価シート回収)

【主 査】 全員が「実施すべき」という評価でございました。活用方法をしっかりしてくださいというような意見でございますよね。ただ、3年間9,000万円で、本当にこういう画期的ですばらしいシステムができるのという、そういうところもあります。その辺なかなか難しいかと思いますが、委員の皆様の評価が非常に高い研究でございますので、ぜひ努力していただければと思います。どうもありがとうございました。
 これにつきましても「実施すべき」ということで評価書を作成したいと思います。いただいた御意見につきましては、その中で反映させていただければと思います。

 これで3つとも終了いたしました。本日評価いただいた課題の評価書の作成でございますが、途中、口頭で申し上げたようなものを中心にして取りまとめをしたいと思います。そのときには、当然ですけが、本日の議事録を確認しながら作成したいと思います。基本的に、私に御一任いただければと思いますが、よろしゅうございますよね。 ― はい、どうもありがとうございました。

 そこで、全体を通じた意見等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【委 員】 先ほど主査からもお話がございましたが、私もお金のことをコメントしたいと思います。2番目の研究と3番目の研究は同じ額なのですね。どうもやはり、達成度、あるいは何か革新度などということを考えると、お金だけ考えたら同じレベルかなと。その辺は国総研全体でお考えになることだと思うのですが、どれが一番インパクトがあって社会に貢献するかということを考えた予算配分というのも、総合的には大事かなと思いましたので、ちょっと一言だけ。

【主 査】 ありがとうございます。それは、国総研の幹部の皆様に、ぜひお考えいただければということにさせていただきたいと思いますが。
 他にいかがでしょうか。

 それでは、以上で予定開始の研究課題の事前評価を終了したいと思います。

↑TOPへ戻る


【主 査】 あと、その他がございますが、何かございますか。特になしですか。はい。それでは、私の方から司会を事務局にお返ししたいと思います。

【事務局】 本日はどうもありがとうございました。今後の予定につきましては、冒頭の方でも御説明をしましたが、主査と御相談の上で最終的な評価書をまとめていきたいと思います。それに当たりましては、別途、委員の皆様方に連絡をさせていただく形で取りまとめをさせていただきたいと思います。最終版の報告書につきましては、国総研の資料、またホームページにもアップしていきたいと思っていますので、引き続きまた御協力をよろしくお願いします。

↑TOPへ戻る


【事務局】 それでは最後に所長から、あいさつをお願いします。

【所 長】 本日も非常に熱心な御討議、ありがとうございました。良いヒントをたくさんいただきましたので、またブラッシュアップしていきたいと思います。全体を通じて、成果が出た後の活用方法をしっかりと研究者の頭の中にビジョンとしてつくり上げることが大事だなと感じましたので、そのあたりを中心に予算要求に向けてブラッシュアップさせていただきたいと思います。
 それから予算の話もちょっと出たのですが、今回はいわゆるプロジェクト研究、我々として所内でいろいろな予算をかき集めて、もう少し大きな形の研究にまとめ上げるという作業を、今年は11月まで少し時間をゆっくり行いたいと思います。今日あった3つのどれかは、プロジェクト研究としてももう一度御評価いただくチャンスがあるのではないかと思っておりますので、その際には、もう一度御評価いただけばと思っております。

 本日は、お暑い中をお集まりいただきまして、熱心な御討議を頂きまして本当にありがとうございました。挨拶に代えさせていただきます。

【事務局】 ありがとうございました。資料につきましては机の上に置いていただければ、後ほど送付させていただきます。
 それでは長い間、どうもありがとうございました。

↑TOPへ戻る