平成19年度 第2回 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会
(第二部会担当)

議 事 録


1. 開会
2. 国総研所長挨拶
3. 分科会主査挨拶
4. 議事
(1) 評価の方法等について(確認)
(2) 平成18年度終了プロジェクト研究の事後評価
A地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の検討
@都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための研究
(3) 平成20年度開始予定研究課題の事前評価
〈プロジェクト研究〉
B業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計手法に関する研究
〈その他〉
C人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究
D地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発
5. 今後の予定について
6. 国総研所長挨拶
7. 閉会


平成19年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第二部会)

2007年7月30日

1.開会

【事務局】  お待たせいたしました。

 それでは、平成19年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会第二部会を開催させていただきます。

 本日は足元の悪い中、お集まりいただきましてありがとうございます。私、研究評価・推進課長をしております○○と申します。本日の司会を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、先にお手元の議事資料の確認をさせていただきたいと思います。頭に議事次第が1枚ございまして、次に資料1から5が入ってございます。資料5は大きい冊子になってございます。その後ろに参考資料の1、2、3がございまして、コメントシートを左手に置かせていただいてございます。それに加えまして、右側に座席表及び参考図面こうした冊子類が入っております。内容につきましては、議事次第1枚をおめくりいただきましたところに配付資料一覧というものをおつけしてございますので、審議途中でも結構でございますので、もしお手元にないということでしたら、合図をいただければと思います。

 それでは、私ども国総研の○○所長より、一言簡単なあいさつをお願いいたします。

 

2.国総研所長挨拶

【国総研所長】  所長の○○でございます。本日はお忙しいところをご出席賜りまして、大変ありがとうございます。きょう5件のご審議を願うわけでございますけれども、国総研の内部でも議論をして評価をしておりますけれども、どうしても中でやっておりますと、若干ぬるかったりするところがございます。ぜひ忌憚のないご意見、あるいはご評価を賜りますようにお願い申し上げます。

全般に議論はしていますけれども、特に事後評価につきましては次にどうつながるかというあたりが非常に大事な点かというふうに思いますので、そうした点も含めて、ぜひ幅広い観点からのご指摘を賜ればと思います。

よろしくお願い申し上げまして、簡単ではございますが、最初のごあいさつにさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【事務局】  それでは、本日ご出席の委員のご紹介をさせていただきます。お手元の資料1に基づきましてご紹介をさせていただきます。

 まず最初に、ご報告をさせていただかなくてはいけません。本日、○○主査が急遽体調不良によりご欠席というご連絡をいただきまして、主査代理を○○委員にお願いをいたしております。こちらは国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会設置規則第4条第2項に基づきまして、委員長よりのご指名をいただいているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、ご紹介申し上げます。

 ○○主査は本日ご欠席でございます。

 東京大学空間情報科学研究センター教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  ○○です。

【事務局】  筑波大学名誉教授○○主査代理でいらっしゃいます。

【主査代理】  ○○でございます。

【事務局】  京都大学大学院工学研究科教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  ○○でございます。よろしくお願いします。

【事務局】  東京理科大学工学部教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  ○○です。

【事務局】  東京大学大学院工学系研究科准教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  ○○でございます。よろしくお願いします。

【事務局】  東京大学生産技術研究所教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  ○○です。

【事務局】  首都大学○○委員におかれましては、本日ご欠席でございます。

 また、本日、第一部会より、株式会社長大取締役上席執行役員国際事業部長○○委員にご出席をいただいております。

【委員】  ○○でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】  また、第三部会より、埼玉大学大学院理工学研究科教授○○委員にご出席をお願いしております。ちょっとおくれていらっしゃるようでございます。

 以上でご紹介をさせていただきました。

.分科会主査挨拶

 それでは、○○分科会主査代理よりごあいさつをお願いいたします。

【主査代理】  ただいまご紹介がありましたように、○○主査が体調を崩されたということで、本日の事後評価及び事前評価に関します主査の代理を務めさせていただきます筑波大学の○○でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうはただいま申し上げましたように、事後評価が2件、事前評価が3件ということで、予定では5時前までという長丁場でございますが、よろしくお願いをしたいと思います。

 お願いでございますが、一応各課題につきまして説明の時間等々が事前にセットされているかと思いますので、できる限りその時間を守っていただいて、質疑の時間をなるべく多くとるようにご協力いただければというふうに思います。

 それではもう始めてもいいですか。

【事務局】  ちょうど今、○○委員がいらっしゃいましたので、ご紹介をさせていただきます。第三部会からご出席をいただきました埼玉大学大学院理工学研究科教授○○委員でいらっしゃいます。

【委員】  埼玉が豪雨で駅までたどり着けなかったものですから、遅くなりまして申しわけございませんでした。

【事務局】  それでは、主査代理、進行をよろしくお願いいたします。

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4.議事

(1)評価の方法について(確認)

【主査代理】  それでは、お手元の4番目の議事に従いまして進行させていただきたいと思います。議事につきましては、初めに評価の方法などについて、それから18年度終了プロジェクトの事後評価、これは2件ございます。休憩を挟んで、平成20年度開始予定の研究課題の事前評価、この第二部会では中間評価はございませんので、事後評価と事前評価という合計で5件の議事を進行させていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、初めに議事の(1)評価の方法などについてということで議事に入りたいと思います。事務局から説明をお願いしたいと思います。

【事務局】  国総研の評価研究官をやっております○○でございます。説明をさせていただきます。

 お手元の資料2をおあけいただきたいと思います。評価の方法等について、確認をさせていただきたいと思います。

 まず、この評価の目的でございますけれども、「科学技術基本計画」「国の研究開発評価に関する大綱的指針」「行政機関が行う政策の評価に関する法律」等に基づきまして、公正かつ透明性のある研究評価を行い、評価結果を研究活動、研究体制の整備・運営等に的確に反映することによりまして、社会経済状況、住宅・社会事情に係る国民的・社会的要請、国土技術政策の企画立案・実施に必要な技術ニーズ、公共事業等の効果的実施に必要な現場技術ニーズ等を的確に踏まえた研究課題の設定、適切な研究計画の作成及びその効率的かつ着実な実施に資します。また、組織の使命に応じて研究能力が最大限に発揮されるような研究体制の整備・運営、さらに研究成果の円滑かつ適切な行政及び社会への反映並びに国民への研究内容の開示等に資することを目的といたしております。

 2番目の評価対象でございますけれども、プロジェクト研究及び予算要求上評価が必要とされる研究課題を評価対象といたします。事後評価につきましては平成18年度末で終了した研究課題、中間評価は研究期間が5年以上で、本年度が3年目に当たる研究課題、事前評価は平成20年度開始予定の研究課題でございます。

 ここでプロジェクト研究というのが下にご説明を書いておりますけれども、これは技術政策研究を核に研究開発目標を共有する研究を結束いたしまして、国総研として重点的に推進する研究をプロジェクト研究と呼んでおります。プロジェクトリーダーを中心とする分野横断的な体制によりまして、技術政策課題の解決に向けて、より効果的に成果を得るための戦略を立てて進めるものでございます。先ほど○○主査代理からご説明がありましたように、今回は事後評価と事前評価のみでございます。

 その評価の視点と項目、3つ目でございますが、事後評価につきましては必要性、効率性、有効性の観点を考慮し、以下の項目について自己点検結果をもとに事後評価を行う。当初の目標に対する達成度、成果目標に対してどの程度成果が得られているか、研究成果と成果の活用方針、研究の実施方法、体制の妥当性、これらの状況を踏まえた本研究の妥当性。この中には科学的・技術的意義並びに社会的・経済的意義、目標の妥当性等も含めるものでございます。

 中間評価は今回ございませんけれども、ここに書いてございますような必要性、効率性、有効性の観点を考慮して、以下の項目につきまして自己点検結果をもとに中間評価を行うということで、そこに4点ほど書いております。詳しくは省略させていただきます。

 2枚目をあけていただきますと、事前評価についてでございます。これは必要性、効率性、有効性の観点より、以下の項目について、自己点検をもとに事前評価を行う。必要性につきましては研究の背景を踏まえました研究の必要性、効率性につきましては研究の実施方法、体制の妥当性、有効性につきましては研究成果、見込みと成果の活用方針でございます。

 プロジェクト研究につきましては、プロジェクト研究としてふさわしいか。つまり技術的課題の解決に向けた目標の設定、分野横断的な研究実施戦略がちゃんとあるかどうかに留意をするということになっています。

 本日の評価の進め方は4番目でございますが、まず最初に、個別研究課題の説明を事務局から差し上げます。

 2番目に個別研究課題についての評価をしていただくことになります。その中では、最初に他の部会及び欠席の委員等から事前に伺っている意見を、事務局からご紹介させていただきます。その後、主査並びに各委員から意見をいただきます。その後、事後、中間につきましては、今回は事後ですが、評価シートをお手元に用意いたしております。それから、事前評価については、コメントシートをお手元に用意いたしております。昨年と同様な形でございますので、ご記入をいただくことになります。ただし、口頭で発言された意見は、議事録をとりますので、記入不要でございます。

 3つ目は本日の審議内容、事前意見及び評価シートの指標集計結果に基づきまして、主査に総括をその後行っていただきます。その後書いてございますが、分科会委員が本評価対象課題に参画している場合等の対応について、別添1のとおりとなっておりますが、別添1は次のページでございますが、あけていただきたいと思います。

 少し説明をさせていただきます。これらの対応の必要性が1番に書いてございますけれども、国の研究開発評価に関する大綱的指針におきまして、評価者の選定において評価の公正さを高めるために、評価実施主体にも被評価実施主体にも属さない者を評価者とする。外部評価を積極的に活用するとされております。また、「その際、利害関係の範囲を明確に定めることにより、原則として利害関係者が評価者に加わらないようにする」こととされております。

 このため、分科会委員が評価対象課題に参画している場合として想定される3つのケースについて、以下のとおり整理を行っております。1つ目は国総研と共同研究を実施している場合、2つ目は国総研の委託業務または請負業務を受託している場合、3つ目は国総研の研究を進めるための研究会、勉強会等に委員等として参加している場合でございます。

 その3つのケースについての対応方針でございますが、「共同研究を実施」している場合につきましては、そこに書いてございますが、分科会委員が直接携わる共同研究につきましては研究実施に係る協定が締結され、分科会委員と国総研の間に密接な関係が認められることから、以下のとおりと致します。対応の1としては、分科会委員は評価対象課題のうち、かかわりのある部分の評価は行わないこととする。また、当該分科会委員が主査である場合には、当該分科会の評価を行う間、あらかじめ委員長が他の分科会委員から指名した分科会委員が主査の職務を代理する。ただし、分科会委員が民間企業に属する場合には、当該民間企業が当該共同研究を実施している場合には、分科会委員が直接携わっていない場合においても対象とする。

 次のページをあけていただきますと、2つ目のものでございます。「委託業務又は請負業務を受託」している場合でございます。この場合は評価対象課題の検討へのかかわりがあることに加え、経済的な利害関係も有するため、以下のとおりと致します。対応方針としては、共同研究を実施している場合と同様の取り扱いとする。分科会委員が民間企業に属する場合の取り扱いについても、共同研究を実施している場合と同様とする。

 3つ目でございます。「研究会・勉強会等に委員等として参加」している場合。国総研が研究を進める上で必要なアドバイスにつきまして、学会等の意見交換と同レベルで受けるものから、請負業務の委託先に設置された研究会等の座長を務める等により、評価対象課題を構成する研究の取りまとめに大きなかかわりを持つに至るレベルのものまで多種多様でございます。このため、以下のとおりとしたいと思います。

 対応方針としては、請負業務の委託先に設置された研究会等の座長を務める等、評価対象課題を構成する研究の取りまとめに密接なかかわり持つと認められ場合には、密接なかかわりがあると認められる部分の評価については、共同研究を実施している場合と同様の取り扱いとする。その他の場合につきましては、当該分科会委員が評価対象課題の評価に参加するということでございまして、本日の分科会につきましては、○○委員が地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の研究の一部に参加されておられます。これは3の場合にあたります。それから、本日ご欠席の○○主査でございますが、○○主査におかれましては、都市型社会に対応した良好な市街地環境確保のための研究の一部に参画をされております。これは2に該当いたします。

 これにつきましては以上でございます。

 また、もとに戻っていただきたいと思います。2ページでございます。時間配分につきましては、別添2のとおりということでございます。一番後ろに別添2を添えさせていただいております。本日、事後評価2課題、事前評価3課題ございまして、事後評価につきましては説明が15分、ご審議いただく時間が20分、それから評価分の取りまとめが5分という時間配分でございます。事前評価につきましては、Bのプロジェクト研究につきましては説明10分、評価20分でございます。CDにつきましては説明10分、評価15分でございます。説明者の方は時間厳守でお願いいたしたいと思います。

 また2ページのほうに戻っていただきたいと思います。5番目でございます。評価結果のとりまとめでございます。本日の評価結果につきましては、審議内容、評価シート及びコメントシートに基づき、主査の責任において取りまとめる。その後、研究評価委員会委員長の同意を経て、国土技術政策総合研究所研究評価委員会の評価結果とする。

 6番目、評価結果の公表でございます。評価結果は議事録とともに公表する。なお、議事録におきましては、発言者名については主査、委員、事務局等と表記いたします。

 参考に、研究評価委員会の本委員会は既に7月4日に終わっておりますが、本日第二部会でございます。第三部会は7月27日に終わっております。第一部会は8月2日の予定でございます。

 資料2につきましては以上でございますが、引き続きご説明を差し上げたいと思います。これから前のパワーポイントを使ってご説明を差し上げたいと思います。お手元には資料3ということで、全く同じものをご用意させていただいております。どちらでも参照していただければと思います。

 昨年度も少しご説明を差し上げましたけれども、これからご説明差し上げる研究課題の説明資料の中に耳なれない用語、「コア」、あるいは「大枠」というふうな言葉が使われております。その言葉自体が研究課題の設定、あるいは研究活動の核心的役割を持っておりますので、ここで確認の意味も込めまして、その概要を簡単にパワーポイントで説明をさせていただきたいと思います。

 これは確認の意味ですけれども、国総研の役割でございますが、国総研は住宅社会資本における国の唯一の研究機関として、こちらに書いております主として国の政策企画・立案に関する研究、事業の執行・管理に必要な技術的な支援、法令等に基づく技術基準策定に関する研究を行っております。関係としては、国土交通本省と連携をしながら政策支援をする。それから、実施部隊の地方整備局とは具体的な技術支援を連携をとりながら行う。実際の研究を行う上では大学・研究機関・独立行政法人と連携をしながら、体系的な研究を進めていくという立場にございます。

 まず最初に、「コア」についてご説明差し上げたいと思います。「コア」というのは、こちらに書いてございますように、国土交通省の研究機関でございます。その組織力を駆使して、住宅社会資本分野においての情報を全国的に収集を行う。それを継続的に収集・蓄積することによって、データや事例、あるいは技術指針等の分析を行って、常に現状を認識する。そういう中からいろんな課題を抽出しながら、政策の技術的裏づけ、あるいは技術基準の策定支援、情報・ノウハウ等の提供の基礎になる部分の研究活動でございます。これは長期継続的な国総研としての基本的な研究を意味しています。

 具体的には各研究部・センターの「コア」ということで、それぞれの研究部・センターで中心的なコアの内容を書いております。例えば環境研究部では社会資本に係る環境の保全・再生に関する技術基準のマネジメント、道路研究部では道路ネットワークの整備・管理運営に関する状況把握・分析、こういうのを中心とやっていくというものでございます。

 もう1つ「大枠」についてでございます。これは国土交通省が目指しております政策目標につきまして幾つかのテーマを設定いたしまして、これは実際に行動の方向とか、目標が互いに共有でき、メリットを明確なスキルで設定いたしております。具体的には後ほどご説明を差し上げます。そういうテーマ設定をいたしまして、そのテーマに対して、国土・社会システムの将来像を想定いたします。その想定した状態に対して、具体的に実施すべき行動は何かというのを明らかにしていきます。そのための行動を実現するためにどういうふうな研究をすべきかというのを示しているというもの、全体をあわせたものを体系化したものでございます。

 実際に実施すべき研究を企画・立案いたしますと、それの具体的なプランをたてまして、実際の研究の実施に至ります。研究を実施していく過程で手法についてうまくいかない場合があれば、原因あるいは手法の分析を行い、計画へフィードバックする。一連の研究期間が過ぎますと、実際の研究成果についての効果を把握して、評価をする。それをもう1度、例えばうまくいかない場合、あるいはその後のアクションにつなげまして、また研究計画のほうに持っていくというような、PDCAのサイクルの中に実際は組み込んでいくものでございます。

 具体的な「大枠」の設定テーマにつきましては、こちらにありますような国土交通省の基本的政策目標でございます安全・安心、活力、暮らし、環境という大きな政策目標の中で、具体的にわかりやすい、例えば自然災害に対する安全・安心であるとか、人のモビリティの向上、こういうふうなテーマを設定いたしまして、具体的な先ほど申しましたようなものをつくり上げていっております。

 本日ご出席の委員の方だけにこういう研究マネジメントというA3判のものをお配りいたしております。資料4というのは「4」は消していただきたいと思います。この中に具体的な「大枠」というのがありますので、ちょっと時間が限られておりますので、省略をさせていただきますが、こういうのを今つくっております。

 ただ、総合的な国土マネジメント手法については、まだ未策定の部分でございます。

 以上が研究マネジメントについてご説明でございます。

 最後に、資料4につきまして簡単ご説明を差し上げます。資料4は技術政策課題に対するプロジェクト研究等の一覧ということで、現在、国総研で研究を進めておりますもの、それから18年度に終了したもの、20年度に予定しているものをプロジェクト研究、あるいは予算要求上重要な課題について一覧を載せております。研究期間、分科会の担当、その中でのプロジェクト研究というのがどれであるかというのを、一応整理をさせていただいている資料でございます。

 以上でございます。

【主査代理】  どうもありがとうございました。ただいま資料2に基づいて評価の方法などについて及び資料3に基づきまして研究マネジメントについて、資料4でプロジェクト研究等の一覧のご説明がございました。これらのご説明に対しまして何かご質問、ご意見等々、ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 評価の方法等についてご説明がありましたが、これから事後評価2件を始めたいと思いますが、今のような方法で、評価の項目等々がございますので、それに沿って評価をしていただければというふうに思います。よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、ご意見はないということで、次の議事の2番目でございますが、平成18年度終了プロジェクト研究の事後評価に入りたいと思います。何回も申し上げますが、事後評価は2件ございまして、地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の検討というのが1つと、都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための研究ということで、順次ご説明いただいて、質疑をしていただき、それから評価をしていただくという形で進めさせていただきたいと思います。

【事務局】  この研究につきましては、先ほど先ほどご説明を差し上げましたように、被災リスク情報の活用方法に関する調査業務の中に設置した研究委員会に○○委員が参画されておられますので、○○委員におかれましてはかかわりのあった部分を除いた評価をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

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(2)平成18年度終了プロジェクト研究等の事後評価

〈事後評価課題A「地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の検討」〉

【主査代理】  それでは、用意ができましたら、「地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の検討」について説明をお願いしたいと思います。

【国総研】  建築研究部の○○でございます。スライドを用いまして、成果の概要についてご説明したいと思います。

 表題のところにタイトルが2つありまして、一番上に大きなタイトル、下に建築物の「安心」の定量的評価のための技術基盤の研究ということで、我々建築研究部のほうで最初に提案しましたのは下のタイトルでして、同じような内容で本省のほうでも予算要求があったという形で、両方まとめて上の大きなタイトルにしておりますけれども、我々の部としては2番目のような内容で研究を実施してきたということでございます。それから、プロジェクトリーダーは私ということになっておりますけれども、研究にはプロジェクト研究というのとその他の基盤的研究というのが当時ありまして、このテーマ自体は基盤的研究で、その基盤的研究のプロジェクトをリーダーとして建築研究部長がやっているという位置づけでございます。

 そういうことですので、このようなテーマで進めておりましたけれども、内容的には我々はハードの研究ばかりをしてきていて、安全というところにはいくんですけれども、人々の感覚と関係する安心にどうやってアプローチするかというあたりについては、全く新しいということで、勉強しなさいよという形で研究プロジェクトを進めさせていただいたという状況でございます。以下、具体的にどういう活動を3年間してきたかということにつきましては、○○研究官のほうから説明してもらいたいと思います。

【国総研】  ○○です。説明を続けさせていただきます。

 ということで、この研究は当初より、ここに掲げました4つの研究目標を達成しようということで研究を進めてまいりました。被災リスクの評価技術体系の全体像から始まりまして、具体的な評価手法として何があるのか、使えるのかということです。それから、市場において建築物というのは選択されていくわけですけれども、そういうものに評価技術がどう適用されるのか。そういうような1番から3番のような情報を、地震以外の分野にも適用できるのではないかということで、それについて検討するということになっております。手法の原理を含めて十分調査した上で、現在ある手法を実際に普及させるために、どのような問題点があるのかということを抽出するということになっております。

 これはちょっと字が小さくて恐縮ですが、事前評価では幾つかコメントをいただいておりまして、安全だから安心なのかということもいただいておりますけれども、我々としては定量的評価のような形でリスク情報をきっちり提示することによって建築主等が具体的な行動を選択するという意味で、それによって災害を低減して、不安を解消できるという大きな流れの中で情報をきっちり提示するという枠組みをしっかりしようということで、研究を進めてまいりました。

 安全・安心という言葉の中で、先ほどの国総研としての研究活動の全体のいろんなところに出てまいりますが、我々の研究の中では安全・安心な社会という言葉については、文科省の懇談会の報告書がございまして、そこにある「安全・安心な社会」というようなイメージでとらえております。そこには安全・安心な社会を実現するためには、1から5の5つが満たされた社会でなければいけないということを書いておりまして、その中には3番と5番というところで、我々がやろうとしている定量的評価が果たす役割の非常に大きな部分がございまして、例えば3番であれば、個人が安全に対する意識がしっかり醸成されていて、社会全体がそういう個人で構成されている。それから、5番はそのような個人を含めて、施策には当然正負両面があるわけですけれども、そういうものを合理的に判断できる社会でなければ、安全・安心な社会とは言えないということも書かれております。

 というわけで、我々は定量的評価が3番や5番を下支えするという意味で、非常に重要であるという位置づけで研究を進めてまいりました。

 研究の当初、我々が考えたことは、連続ワークショップをして、この分野の先端を走っておられる方々、先生方、実務の方をお招きしてお話を伺う。その中でいろいろ勉強していこうということをやりました。この連続ワークショップがちょっと特異なのは、通常ですと、ワークショップは講師のときだけ先生方に来ていただくんですが、このワークショップはできるだけほかの会にも来ていただいて、一緒に議論していただくという形態をとりました。

 それから、一番最後を見ていただくと、少し法規範という言葉が出ておりますが、これは名古屋大学の法学部の中舎教授でありまして、法律の世界と安全のかかわりについても少し一緒に議論させていただきました。

 連続ワークショップで幾つか発言をいただいて、それは非常に多くのものになっていて、レポートとしてはまとまっているのですけれども、そこから幾つか書き出したのがこれで、きょうは時間の関係であまり詳しくは紹介できませんが、リスクというようなものをキーワードにして連続ワークショップをしましたけれども、建物の性能を環境を含めて定量化しなければいけないとか、米国ではこの定量化をするということ自身を是認している。要は信じているという共通認識がある。でも、日本ではまだそこまで至っていないので、その辺で今後、将来問題が生じるのではないかというご意見をいただいて、定量化の必要性というのは深まってきたと思います。

 我々がその後考えた、安心につなげていくための定量的評価そのほか全体の枠組みなんですが、これは非常に簡単な図ですけれども、定量的評価をすると。それから評価結果が出てくるわけですけれども、それに一方で評価を使う側、何らかの行動を起こしたりする側、建築主等とここでは書いていますが、それぞれの方にはそれぞれの方の事情や価値判断というのがございますので、そういう判断基準は個別になってまいりますので、その2つを突き合わせて、安心を得たいために何らかの行動、オプションを起こしていただくという流れになる。その中で定量的評価は、当然、最も主要な情報として必要になってくるという位置づけで進めております。

 地震を中心に考えておりますので、地震を考えますと、大きくはここからは個別にどういう手法があるかという話にもなってくるんですけれども、定量的評価の手法というのは非常にたくさんのものがありまして、地震ですと大きく3つに分けて考えるというのが普通ですけれども、例えば一番上が地震動の予測、2番目が建物の応答予測、最後は建物を含めたいろんな意味の被害ということになってまいりまして、ここに20個ほど挙がっておりますが、この20個ほどのキーワードの下にさらに階層的にたくさんの手法が位置づけられているという状況になります。

 これらの手法を組み合わせて、被災リスクであればその定量的評価をするということになるんですが、ただただ手法がありますよだけでは、一般の方々にも何をやっているのかわからないブラックボックスであるというご指摘につながって、安心にはつながっていきませんので、この手法はどういう意味であって、どういう情報が出てくる。ですから、こういうことをしたいんだったら、こういう手法を組み合わせて使われたらどうですか、そのための入力データはこんなもので、市場にあるないというような情報を整理していくということになります。

 これは地震被災リスクの定量的予測手法ということで、大きなフローをかいております。当然、地震被災リスクですので、建物のデータ、地震のデータ、地盤のデータというものを組み合わせて定量的評価が出る。この図は、最後はマクロな予測のために建物の棟数の被害を書いておりますが、個別の建物であればその部分が具体的な被害につながっていく。BCPを考えるのであれば、より詳細な被害の状況ということになって、枠としてはこれですけれども、現実に真ん中の揺れによる被害を求めようとすると、次のスライドになりますけれども、簡便なやり方をとったとしても左側の幾つかのノードをつなげていって、評価につなげていくという、1個1個にそれぞれの多数の手法がある。右側の、より詳細な場合になりますと、さらにそれが多数のものの組み合わせになるという状況になります。

 ですから、必要なことは、各要素の理論的な背景ですとか、適用可能なデータ、そういうものに関してしっかり把握して整理した上で、定量的評価の意味合いを明確にするということになってまいります。

 これは1つの例でございますが、地震の生成に関して、例えばこういうものが使われておりまして、昨今話題になっている長周期というものも先ほどのたくさんある手法の中の幾つかを組み合わせて、実際には適用できるということも、3年前は我々もあまり共通の認識等はしてなかったわけですが、現在では共通の認識としてこういうことができ上がっている。

 それで、現実には手法がある程度明確になってきて、その先にはほんとうに使えるんですか、それからどうやったら使えるんですかということが、どうしても使う側から出てまいります。ここではフィージビリティということで整理しておりますが、要は欲しい情報は何かを考えて、そのために必要な入力データは何だろう、経費は、期間はということがわかれば、かなりフィージビリティがあるということが認識できると思います。

 ということで、ここではA1−1からCまで、7通りの詳細度に分けてこのフィージビリティを考えるということをやりました。具体的にはこの表は見えないと思いますので、細かいことは省略しますが、それぞれ特徴としてはここに書いたようなものを持っているということになりました。

 入力のデータにつきましても個別には詳細に調べておりますけれども、一覧表にすると、このように詳細なものから簡易なものまで、必要なデータは変わってくるということになります。これは結果だけを見ると、ただただ線を引いているように見えるかもしれませんが、実は日本を代表する専門業者によって試算をしていただいて、それぞれの手法によってあるターゲットの建物を想定して、超高層で一番詳細な手法を適用したらどのくらいの費用がかかるか。これは費用の試算ですけれども、そういうのを書いております。

 もちろん、だんだん下のほうにいくとマクロな簡易なものになってきますので、コストとしては安くなる。と同時に、こういうことをするのに何カ月かかるんですかという話になってまいりますので、この日数についても専門業者によって試算をしていただきまして、ちゃんと使うためにはこのくらいの日数と期間、それから入力情報としてはこういうものが必要ですよということを明確にしております。

 それから、3つ目の目標として、地震被災リスクの市場選択の適用性についても検討しておりまして、既に平成13年以降、保険料率等もリスク評価──リスク評価というのは、とりもなおさず定量的評価結果――を反映するということが行われているという状況にありますし、今後は先ほどの手法をより使うことによって、それをより詳細化することが可能な状況になってきている。

 それから、不動産評価等においてPML(Probable Maximum Loss)と言われているものでございますが、こういうものを共通の指標として活用しているという状況が生まれておりまして、定量的評価そのものが市場選択に重要な位置づけを獲得しつつあるのが現状であります。

 この表は、さらに今後、活用が見込まれる状況としてはどういうものがあるか。その活用者を設定して、その活用の場面、どういうリスク情報がどういう形で活用されるかというのをまとめた表になっております。

 ということで、その他にもやったことはございますが、大まかには定量化というものがどうあるかということを調べて、情報をまとめているというのが成果でございますけれども、課題の抽出というのも一方でやらなければいけなかったことで、いろいろ調べてみますと、手法にはいろいろありますけれども、当然ながら簡易から詳細まであって、コトス等のトレードオフの関係があるということがわかる。それから、入力情報に一部パブリックドメインの情報もあるんですけれども、地盤情報とか。やっぱりいい情報は、なかなかパブリックドメインになっていないということもわかってきた。

 ということで、簡易で高い精度の予測手法というのは、今後、開発が必要であろうということがわかる。

 それから、PMLという言葉は指標として定着しているんですが、実は評価者ごとに微妙なずれがあって、ほぼブラックボックスで、最後の値だけ、再取得価格の何%見ますよということだけが意味があるかのように思われている節がありまして、実はどういうプロトコルで求めたか、どういう手法を適用したかということが共通化されておりませんので、同じPMLといっても中身が違うという状況が現在ございます。そういう意味で、共通のプロトコルの開発が必要であろうかというのが課題として指摘できる。

 そういうことも含めて、要は評価に用いた情報とか手法が評価する側、される側、その他も含めてちゃんと共通の認識というのが成立しないと、安心アップにはつながらないんだろうというふうに思います。

 これは時間になりましたので、省略いたします。

 ということで目標の達成度でございますが、1番から3番については、おおむねの意味は幅広いとは思いますが、おおむね達成している。ただし、それを他の分野に応用するというのは火災の分野で一部やっておりますが、残念ながら幅広くはできなかったということで、あまり達成できなかったと思っております。

 体制については、おおむね当初予定したとおりの体制でやられておりますので、これが現実には可能性のあるもの、最大限だったと思っております。

 それから、研究実施の方針・年度ごとの経過ということで、最初に言いましたように、連続ワークショップから始まってずっと書いておりますが、実はこの間に中越地震が最初の年度の途中に起き、姉歯事件が起き、能登地震が起き、中越沖地震が起き、我々のやっている定量的評価というのは重要だということを再認識されるのはもちろんあったんですが、一方で実際に研究に携わる者がこれに忙殺されてしまったという悲しい事実もありまして、それが実態であったということであります。

 ということで最後のスライドになりますが、我々としてはおおむね妥当な成果を上げてきたと思っておりますけれども、この成果を、建築基準法とか、品確法とか、耐震改修促進法を今後考える上で、非常に貴重な情報源、情報基盤として活用できると思っております。ただし、最初にも申し上げましたけれども、定量的評価を安心に変換するというところについては、明確な方途を得ていないわけで、それとともに個々の要素を見ると、全般的に深掘りが不足している。もしくはせっかく得たデータを最終的に利用される方、一般の利用者ということになりますが、そこへ情報を整理して公開するというところは、今やっておりますけれども、まだでき上がっていないということもありまして、やや成果全体をぼやけさせているということは否めないことでありますので、今後取り組んでまいりたいと思っております。

 どうもありがとうございました。

〈課題説明終了〉

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【主査代理】  どうもありがとうございました。おおむね時間を守っていただきましてありがとうございます。

 それでは、当初の予定では20分間ぐらいの質疑の予定があるんですが、ご出席の委員の先生方からのご意見、ご質問を伺う前に、他の分科会の委員の先生方々から何か意見がございましたら紹介をしていただいて、それからきょう出席委員の先生方のご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【国総研】  事務局にも確認いたしましたが、現在のところないということでございます。

【主査代理】  私も他の分科会のコメントと言われて、テーマを見ただけでしり込みするようなテーマがございまして、コメントは出してないんですけれども、他の分科会の欠席の委員の先生方からのコメントはないということでございますので、本日ご出席の委員の先生方から質疑、ご質問、ご意見をいただいて、その後評価に入りたいと思います。どこからでも、どなたでも結構でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 ○○先生は具体的には発言をしてはいけないんですか。

【事務局】  そんなことはありません。

【主査代理】  ああ、そうですか。じゃ、一番かかわりの深いであろう○○先生、何かご意見はございますか。

【委員】  すみません。しゃべらなくていいと思っているところへ振られましたので。私は幸運なことに、中越地震で皆さんがお忙しくなる手前のところまでご協力をさせていただいております。それで、僕としては仲間に法学部の先生がいて、1人亡くなられたのですけれども、もうちょっと文科系の先生、いわゆる社会が動いていく過程の中で、工学部一本やりのやり方ではなくて、もうちょっと社会を判断する人たちの意見みたいなのも入れていきたいなと思っていたんですけれども、とりあえずは後半の忙しさに引きずられて、あまりそういうふうにはなってないのかなというふうに思いました。

【主査代理】  ありがとうございました。ほかに先生方、時間は十分とってございますので、どこからでも。

【委員】  こういう言い方をすると、○○先生に怒られるかもしれませんけれども、キャスビーという環境性能のアセスメントで悩んでいる点と同じような傾向が見えたので、あえて申し上げたいんですが、それはどういうことかというと、この研究は最初のご説明、特に国総研のほうで提示された括弧つきの安心の定量評価ということがあったわけでして、このときはおそらく企画されたときのお気持ちとしては、むしろプロフェッショナルとノンプロフェッショナルの間で、どういうリスクに関するコミュニケーションをしたらいいか、その物差しを用意されたいといったお気持ちがあったではないかなと想像しますし、途中までのご説明を聞いていると、そういうふうに空気が流れていたと思います。

 ところが、ある段階から、○○先生のお話とも絡むんですけれども、評価の方法を考えると、技術者集団の中でやっていくと、不正確な評価はとても気持ち悪いものですから、どんどん技術的な正確さ、詳細さを追っていく傾向がありまして、でき上がった体系を見ると、特にノンプロフェッショナルの方からごらんになると複雑で、それは何をして見るか、その意味がややわかりづらくなってしまう。これは実際にキャスビーがはまり始めている、つまり実際に環境性能についても、一般のプロフェッショナル、ノンプロフェッショナルの間でブリッジするコミュニケーションツールをつくりたいんだけれども、アセスメントツールを改定すればするほど正確さは増していくんだけれども、わかりづらくなっていくというジレンマがあると思うんですけれども、これもパンドラの箱をあけかけられたんじゃないかなというような感を持ちます。

 そういう意味では、これ自身の成果をさらに今度は後を継いでいくとすれば、1つはもちろんこういった技術的な詳細性というか、精確さを追っていくような方向というので完成していくべきだろうと思いますし、一方では先ほどお話がございましたように、ノンプロフェッショナルの方々にもわかりやすくしていくという、オーナーとあるところで、そういった情報の受け取り側の方々をお招きして、つくっていく必要があろうかと思います。

 前半の正確さを増すほうですけれども、これも悩みどころですが、建築物の安全・安心というのは、一般の方が言われると、つい安全ですと言ってしまうんですけれども、技術屋の立場からいけば、これはどのような、逆に終局状態というか、不安全な状態があるかということを想像といいましょうか、想定して、それが現実的に起こり得たのか、あるいは起こった場合にそれがどう制御するかということだろうと思うんです。

 そういう意味では今日お話を聞いていて、正確さを上げるほうのさらに延長線をやるとすれば、長周期状態をどう想定するかとか、あるいはその前提としてどういうような外力等と相当するかというあたりについても、もう少しどういう過程を置いたかがわかりやすくなるようなことを、さらにわかりやすく提示することを加えていただけたらと思います。

 非常に労作だし、これからいろんな発展性があるかと思いますが、あえて少し苦いコメントをさせていただきました。

 以上です。

【主査代理】  ただいまのコメント、ご意見に対して、プロジェクト推進側から何かございますでしょうか。

【国総研】  私もこの4月から建築研究部のほうに移ってきて、当初の方針というのがどういう方向を向いていたか正確には把握していないんですけれども、○○先生のおっしゃられた話については、我々はハードをやっているから、そういう方向に向かっていかなきゃいけないなという意識を強く持っていて、多分、スタート時点ではそうやってやっていたんですけれども、これは○○先生の話になってくるのかと思うんですけれども、具体的なものを形にしなきゃいけないと思ってくると、すぐ地震となって、入力地震動をどうやってつくったらいいかという、どんどん細かい話になってしまっていたということは反省しなきゃいけないかなと。

 ただ、○○先生はそういう中でも2つの方向性を示していただいて、技術的に正確にもっとやっていったらという方向と、それからノンプロの方にもわかりやすい表示という2つ示されていて、後者のほうをメインにおっしゃられるかなと思ったら、前者のほうをあえて言っていただいて、実はこのプロジェクトの中ではいろんな評価法があるんだけれども、それぞれの評価法は精度は高まっていくんだけれども、精度が高まったときにトータルというのはどのぐらいグレードが上がるのか。グレードという定義は難しいと思うんですが、建物の性能が上がるのかという、その差がどのぐらいあるのかというあたりを正確に評価しようというところまではやってないので、その辺は今別のいろんな事項立て研究なんかもあるので、その辺でさわっていきたいなという実は思っておりまして、○○先生の最初のほうの発言を聞いていたら、そんなことをやってもしようがないよというような雰囲気もあったんですけれども、後段、それも必要だというふうに言っていただいたので、非常にありがたく、心強く思っております。

【委員】  研究が終わった段階でいろいろ申し上げるのは、かえって申しわけないような気もするんですが、ちょっと門外漢的な分野にいるんですが、1つ気になったのは、安心の定量化評価が表に出たような説明だったので、安心という部分の定量的評価はどうなさるかという感じで聞いていたんですけれども、どうもどちらかというとハードウエアのリスクレベルの評価というふうに受けとめたんです。今、ご発言があったように、ノンプロフェッシナョルの方はハードウエアがどれぐらい危ないかという話よりも、そのレベルをどう受けとめるかというほうが、むしろ安心にかかわる問題だという気がするんです。

 そういう意味では少なくとも半分ぐらいは環境心理的な問題があって、ハザードパーセプションとか、リスクパーセプションをどう分析して、それをフィジカルな危険性とどう関係づけるかという研究が必ず必要だと思うんです。その上で、このぐらいの危険性だと受けとめていいという問題ではないんですが、可能性としては非常に頻繁に起こるということであると、それは覚悟するという社会の構えができてくるんです。そうすると、これをクリアしてくれるのであれば、安心して暮らせるなというレベルが見えてくると思うんですけれども、そちらのサイドについて今回は含まれてなかったようなので、その辺を今後の課題としていただければなという、ちょっと感想めいたことを申し上げておきたいと思います。

【国総研】  最初のスライドの説明で、多分資料を見ていただくと書いてあるんですけれども、建築物の安心の定量的評価のための技術基盤の研究というタイトルであるんですけれども、スタートした時点の話をスタッフに聞いてみると、建築物の定量的評価を高めることによって、安心をどうもたらすかというようなニュアンスで考えていたようで、研究の中で○○先生がおっしゃられたようなことは、安心とはどう考えるのかという、文科省がそういうものを検討する中で、そういう方向の検討も必要だということは認識しておりまして、ぜひ今後の課題としたいと思います。この辺は○○がかなり詳しく勉強していたと思いますので、何か追加のコメントがあると思います。

【国総研】  実は10年ほど前に新構造総プロというのがございまして、そこでも、リスクパーセプションという言葉は使っていませんが、そのはしりを勉強したときがございます。その当時、私は建研なり国総研にいなかったんですが、いずれにしても今○○先生がおっしゃったようなことは重要であるということは重々承知の上で、この研究の評価を受けた段階では、今、部長から説明がありましたように、そのために必要な定量的評価の先ほどの○○先生の言葉であると、この辺の精度のほうにまず重点を置いて、トコトン押さえようということをやった。

 当然、最後に言いわけがましく、安心に変換する部分ができてないというのは、ほんとうはもうちょっと芽として、○○先生がおっしゃったようなことにつなげるような整理の仕方をして、ここをこう変換する部分を開発できればという指摘ができれば一番よかったと思いますが、残念ながらそこには至ってないというのが正直なところで、今後やらなきゃいけないというのも反省を込めて理解をしているというのが現状です。

【委員】  お話をお伺いしていて、工学的に技術的に精度を高めることは、今後もまだまだ必要であると感じました。私の認識では、当初この研究を始める段階で、耐震性を評価する様々な手法の精度は既にある程度認識されていたのではないかと思います。3年後の成果としては、AからCの方法でどれぐらいの精度があるのか定量的な評価がなされ、精度を高めるためには、価格、費用、歳月を考慮した上でどうすべきかをを、この研究で明らかにして欲しかったという気がしております。

 それともう1つ、評価結果自体を結局どういうふうに表示されるのか、その表示方法が安心への橋渡しのキーワードになるんじゃないかと思います。質問ですけれども、どういう形で安全を定量化されて、安心につなげようとしているのかというあたりを教えていただければと思います。

【国総研】  まず最初の工学的な精度の話ですが、先生がおっしゃることは非常に表現はしにくいですけれども、おっしゃることはよくわかります。我々がまず最初の段階で一生懸命やったことは、先生はかなり構造に近いところで研究しておられるし、私もわりとそうなんですが、そういう人には確かにこんなのは当たり前だというようなことはあっても、一般の方には実はほとんどが当たり前でないということもあって、全体として何をやっているんだ、何を前提にどの程度の信じられるものなのかというのを1個1個押さえることは、それはそれで価値があると思って一所懸命やった。ですから、1個1個の精度がやった過程で格段に上がったということは、残念ながら当然ない。1個1個はどういう精度かということを少しずつ勉強した。

 それから、今度はこの精度を上げるためにはどうしたらいいか。今1つあるのは、専門コンサルタントにしてもパブリックなデータとインハウスのデータと、それから新たにオーナーに言われてつくるデータというのがあって、順番にずうっとお金が高いんです。ということは、パブリックなデータが増えると、かなりいい手法を使ってもわりと安い料金でも実施できるということにつながっていく。それから、手法についても簡易な手法はウェブベースで、例えば東大の○○先生なんかもやっておられますが、そういうものがあるんですが、ちょっと詳細なことをやろうとすると、専門家しかできない世界になっていくので、少しずつパブリックなドメインにデータも手法もあることによって、精度を少しずつ全体に上げるという可能性はあると思います。それが最初の質問へのお答えになります。

 それから、評価結果をどう安心へ変換していくかというヒントでも出せということなんですが、これはいろんな想定パターンをまず示して、それに対してこういう評価をやる、この手法を使うとこの程度の評価ができるという、一覧表のメニューとは言いませんけれども、その組み合わせをいろいろ示した上で、そこから先はオーナーと個別にやり取りしながらしかできないかもしれませんが、どういう情報があればあなたは選択行動に移れますかということを聞き出して、じゃ、この手法とこの手法を組み合わせてやるとこういう情報が出ますという形で、出る情報の定量的評価の意味合いをしっかり押さえることは当然として、そこから安心へ変換することができますよというふうに導いていくということを考えています。

【委員】  資料の11ページに表3というのがございますが、活用者と活用場面ということについて検討されていることは非常に興味深く拝見いたしましたが、例えばマンションの居住者がどこにあたるのかというふうに思って見ますと、必ずしもぴたっと当てはまるところがないんです。複数の属性があるというふうに見れば出てくるのかもしれませんが。それから一方で、例えば行政とか、法曹関係者とかいったようなカテゴリーで見ると、行政もいろんな行政がありますし、法曹関係というと、これは特定のプレーヤーの名前ではないということになりますので、これもいろんな属性が出てくるわけです。全体として、建築市場の中にどういうプレーヤーがいて、それぞれのプレーヤーにとってどういう意味があるのかということがもう少し具体的に提示されていると、この表はもっとわかりやすくなったなという印象を持ちます。

 それから、最近、区分所有の集合住宅の居住者のもとめる、安心・安全に関わる情報ニーズが大きくなっています。たとえば、安全性の評価です。今回の報告では評価の費用について分析されていますが、ここも非常に興味深く拝見させていただきました。大規模な区分所有建物になると、経済的負担だけをとっても、1区分所有者の意思決定ではとてもできないことがたくさんあるわけです。建物全体の評価を個人で行うことは不可能です。このように建物の権利関係によって、安全性の評価が比較的簡単にできる場合もあれば、禁止的な費用がかかる場合もある。建築の所有・利用形態との関係で、評価技術はあっても使えなくなることがある。何らかの戦略が要るなということを痛感しているところですが、もしそういうことについて何か検討されていることがあったらお教えいただきたいと思います。

【国総研】  表3自体は、こういう検討の成果をどういうところで活用できるかというような視点で、この表をつくった後はどういうふうに具体化していくかというところまでは十分検討してなくて、この表をつくるところまでの検討という形でやってきておりますので、○○先生のおっしゃるような形で、これをもっとブレークダウンしたものがレポートの中にあるかと言われると実はない。それは具体化した検討というのは、実施の耐震構造特性的な部分を主にやってきておりましたので、それをすぐどこかに当てはめるというわけにいかなかったということで、実は表3以上にブレークダウンしたものはございません、残念ながら。

 それからあと、後段でおっしゃられた話は区分所有の話とか、そういうことがあろうかと思いますけれども、その辺はきょう多分、住宅研究部のほうも来ておりますので、興味深く思っていると思いますけれども、私が構造の専門としての感覚で見ていると、所有者のところに情報伝達するところについていうと、ほんとうの意味での本来安心すべきような情報が十分提供されていなくても、今、情報が偏在している形よりは、わかりやすい形の情報提供がまずは必要な段階にあるのかなと。

 要するにこのぐらいすると、少し強調した形の表現で、こういうことをしておかないとこんなことが起こっちゃいますよと。必ずしも100%そういうことが起こるわけじゃないんだけれども、そういう傾向がありますよということを情報提供しておくことによって、その情報提供さえ正しい方向を向いていれば、所有者の判断をいい方向に持っていけるような状況なのかと。

 こちらの研究の中で具体的に検討したものというのは、もうちょっと精密なことを考えてきたので、なかなかそこにダイレクトには結びつかないのかなというふうに思っております。

 ただ、先ほど○○先生のほうの話もありましたように、プロとノンプロとの間を結ぶいろんなところを目指した情報提供がはっきり、これは相当精度がいい提供ですよとか、これはラフだけれども、わかりやすい情報提供ですよとかいうのが、グレーディングされたのがよく見える形で情報提供していけるといいのかなと思っております。こちらでやったものは、どちらかというとグレーディングとしては、相当細かな話まてやったらこんな感じですよというものなので、そういう意味ではほんとうにユーザーのため、すぐ近い将来、役立ってもらうということでいえば、もうちょっとラフなスケッチをつくるということが必要なのかもしれないなという認識をしております。お答えになったかどうかわかりませんけど。

【主査代理】  まだまだご意見はあるかと思いますけれども、質疑の時間は20分ということで、お手元に評価シートがございますので、ご発言できなかった点がございましたら、評価シートのほうに書いていただくということで、議事をこの辺で終わらせていただきたいんです、この際ということはございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、お手元に資料とは別に、評価シートというのがゼムクリップでとまっていまして、課題名がA地震安全性評価技術を活用した地震防災対策の検討ということで、評価項目2つ、研究実施方法、体制等の妥当性、目標の達成度、1から4つの段階がございますが、これには必ず○をつけていただいて、コメント等につきましてはご発言いただいた内容については書いていただかなくても、その他気がついた点をコメントのほうに書いていただくということで、5分ぐらいの時間をとりましてシートにご記入いただいて、その後、集計をいただいて、この課題についての評価の取りまとめを行いたいと思います。よろしくお願いします。

(評価シート記入)

【主査代理】  よろしいですか。全員で8名の委員の先生方から評価をいただいて、「おおむね適当であった」という方が8名、達成度につきましても「おおむね目標が達成できた」という方が7名ということで、全体の評価としては「おおむね目標を達成できた」ということで、評価全体の取りまとめをさせていただきたいというふうに思います。

 評価に当たって「おおむね目標を達成できた」という評価、最終的には○○主査等々とご相談して、評価のシートをつくるということになるかと思いますが、委員の先生方の先ほどの質疑とか、今いただいたコメント等々をまとめさせていただきますと、パワーポイントの最後のページにも、その辺のところがプロジェクトの推進側からもございましたけれども、定量的な評価を安心という、ある意味では非常にやわらかいものへ変換する方法ですとか、それから研究成果は一般の方々にもわかりやすいように表現をし直すというところをこれから努力していただいて、最終的にはいつごろ公表されるかあれなんですが、成果の取りまとめ等々をやっていただければというふうに思います。

 この辺のところは、先ほど申し上げましたように、評価の結果を含みまして、○○主査等々とご相談をさせていただいて、取りまとめをさせていただきたいというふうに思います。

 以上のような評価でよろしゅうございますでしょうか。特にこういうキーワードを入れておけとかいうことはございますでしょうか。どうもありがとうございました。

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〈事後評価課題@「都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための研究」〉

 それでは、続いて、休憩の時間の前にもう1つ事後評価がございます。「都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための研究」ということでございます。まず、この研究課題に関して、事務局から説明等々ございますでしょうか。

【国総研】  都市研究部長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための調査研究についてご説明をさせていただきます。

【主査代理】  他の分科会からの委員のご意見は。

【国総研】  特にございませんでした。

 この研究は、ここにございますように、集団規定のうちの形態規制につきまして、性能規定化に向けての基礎的な研究を行ったものでございます。建築基準法は大きく単体規定と集団規定とに分かれておりまして、単体規定につきましては性能規定化がかなり早くから進んでおりますが、集団規定はちょっとおくれておりまして、ここにございますように、社整審あたりから規制効果の定量検証と性能基準の検討の必要性があるというふうにご指摘を受けまして、特にこの集団規定の中の形態規制につきまして、将来的には建築基準法の法制度の見直しということも念頭に置きながら、その基礎的な検討を行ったものでございます。

 ただ、対象といたします環境要素が非常に多うございまして、そういう意味では時間的、予算的な制約がございまして、ここの市街地環境要素の中にございますように、光と風と視覚という3つに着目をいたしまして、採光性能、換気性能、圧迫感、開放感というところを重点的に研究をいたしたものでございます。

 それぞれにつきまして、ここにございますように、市街地環境像を設定し、定量的な評価方法の開発をいたしまして、シミュレーション、実験等によって科学的な分析を行う。そして、望ましい性能水準を設定するという流れで検討をさせていただいております。

 体制といたしましては、国総研の中で私どもの都市研究部を中心に、建築研究部、住宅研究部のご協力をいただきながらさらに独法建研のご協力もいただき、実は3つのワーキングを設定したわけでございますけれども、特に専門の大学の先生方のご指導をいただきながら、実際の作業を進めさせていただいたというところでございます。

 検討の考え方でございますけれども、実は先行しております単体規定のところにございますように、NKBレベルシステム、よくノルディックモデルというふうに呼んでおりますけれども、このレベル1からレベル5のピラミッド型の性能規定の整理の考え方、これを使って単体規定の検討を進めておりますので、同じように集団規定につきましてもこの考え方を準用して、整理をさせていただきました。

 集団規定の規制の目的というのは、ここのA、Bにございますように、多分2つあるだろうと考えておりまして、1つ目は、建物の単体の水準を確保するために、外部の空間がどうあるべきかということ。それから、外部空間における環境そのもののあり方がどうあるべきか。その2つがあるだろうということで、例えば採光で申し上げますと、室内で採光環境を確保するためには、外部空間がどれだけの性能を確保していないといけないか。同じように風環境についても。それから、視覚的環境は外部だけを今回やっておりますけれども、同様の考え方で整理をさせていただいております。

 これから順番に3つの環境要素についてご説明をさせていただきますが、まずは採光の関係でございます。Aのところにございますように、建物居室内の採光環境を担保するのに必要な屋外採光環境はどうあるべきかという考え方で検討してございまして、ここにございますように、曇天日の日中、室内で行動に支障のない室内照度を得るためには、外部空間の採光性能はどうあるべきかということを研究の対象といたしました。ここにございますように、さまざまなモデル市街地、建物階数とか隣棟間隔等をさまざまに変化させまして、それぞれの壁面照度を測定いたしております。

 全天空照度1万5,000Lxという前提条件の中で、これは隣棟間隔が0.5mの場合のそれぞれタイプ別の壁面照度でございますけれども、このように隣棟間隔を広げていけばいくほど照度が上がっていく。当たり前の結果でございますけれども、こういうことが結論として得られております。

 それでは、性能水準、要は居室の環境を確保するために、屋外の採光の性能水準をどう設定すべきかということを、ここでは仮設定をしてございます。単体規定では一般的には室内の面積の7分の1の窓をとりなさいという規定がございますけれども、2000年の採光規定の合理化の検討の際に、室内の水平面照度の推奨水準といたしまして150Lxを確保する、あるいは許容水準といたしまして75Lxを確保するという考え方がとられております。これを壁面の照度に置きかえるために幾何的な計算をいたしまして、その結果といたしまして建物の外壁では壁面照度としてこの水準Aに相当するものが3,000Lx、水準Bに相当するものが1,500Lxという形で数字が出てまいっております。

 これを建物の形態規制との関係で整理をしてみるとどうなるのかがこの表でございます。隣棟といいますか、隣地境界から斜線を引いた場合に、その斜線の角度と一番条件の悪い1階の窓面で得られる照度との関係を整理したものがこれでございまして、照度水準A3,000Lxを確保するためには、ここにございますように、このh/dが1.45、照度水準Bを確保するためには、2.38で水準が確保できるということが、結果として示されてございます。

 ちなみに、道路斜線制限の勾配でございますけれども、住居系が1.25、商業・業務系が1.5ということになってございまして、結論から申し上げますと、照度水準Bはここに書いてございますように、道路側に開口を持っている建物であれば、安全に確保できることとなります。ただし、問題は、隣地斜線制限につきましては立ち上がりがございまして、住居系では20メートル、商業系では31メートルという立ち上がりが前提になってございますので、必ずしも保障されているものではないというのが、結果として出てまいっております。

 それから、これにかわる代替性能指標、もう少し簡単なやり方はないかということで考えましたのが、この壁面天空率というものでございまして、これは先ほどのモデル市街地で50センチ間隔で照度を測定したものをすべてプロットしたものでございます。これと水準A、水準Bを確保する壁面天空率、隣地境界の壁面にこういう天空を想定した場合のその天空率が幾つかということを確認いたしますと、水準Bに相当するのが5.83、水準Aに相当するのが13.46という数字が出てまいります。

先ほどのノルディックモデルで要求性能、検証法というふうに記述した最後に、例示仕様といたしまして、先ほど申し上げました道路斜線制限の勾配が2.38というものが確保できていれば、十分この水準Bというものは確保できるという結果が出てまいっております。

 次に、風でございますけれども、風につきましても同じように、換気性能というものを確保するということで今回検討を進めました。同じようなモデル市街地で建物の高さでありますとか、隣棟間隔を変化させまして、こういう仮想のVoid空間、ここの中での風向別の換気回数をCFD解析で検証してございます。CFD解析の有効性を確認するために、あらかじめ風洞実験とCFD解析の関係につきまして、さまざまな市街地パターンでの検証を行っております。

 結果でございますけれども、この空掘というか、Voidに対していろいろな方向から風が吹いた場合に、換気回数がどうなるかという結果がこれでございます。67.5度、あるいは90度のときに換気回数が大きくなるという結果が出てまいっております。

 それから、実は超過確率というものをここで導入してみました。風速とか、風向は当然のこと、常に変動しておりますので、この変動を考慮に入れるためには確率計算をしないといけないということで、これは東京地区のワイブル分布係数・風配を使ったケースでございますけれども、方位別にそれぞれのViodの換気回数と超過確率の関係を出したものがこのグラフでございます。ESEが最も有利で、SSEが最も不利という形が出てまいっておりまして、そのうちの有利なほうと一番不利なところで、建物のモデル、形状を変えたときにどう変化するかということを見たものが、このグラフでございます。

 ここでも同じように性能水準を仮設定させていただきました。居室の中で何らかの汚染物質が発生した場合に、それを100分の1以下に急速に低減させる。それを1つの目標にいたしまして、その際の居室の換気回数は時間で6回必要になってまいります。その居室の換気水準を確保するためには、建物の外側ではその1けた上、その10倍の換気回数が必要だろうということで、外部空間における水準というものを屋外換気水準として時間当たり60回、これを年間超過確率で85%以上確保するということを1つの水準として設定しました。先ほどごらんいただきました最も有利な東京のESEの場合で見てみますと、60回で85%というところをクリアするためには、隣棟間隔が1メートル、2メートルのところはアウトになります。3メートル以上であれば、何とか85%が確保できるということが、ここで結果として得られてございます。

 先ほどの採光と同じようにこれを何らか、ここでいいますと例示仕様的なものに置きかえられないかというふうに検討したものがこれでございまして、先ほどの60回のグラフがこれでございますけれども、ここも斜線勾配で考えてみようということで、h/dで整理をしたものがこれでございます。結果から申し上げますと、この2のあたりで収束しているようにも見えておりますけれども、実はほかの高さでやったものと比較をしますと、ばらつきが出てまいりまして、このグラフだけからでは必ずしもh/dで例示的な規定が置けるというところまでには至らなかったというのが結論でございます。

 それから、次の視覚的環境でございまして、これは建築されます特定の建物が与える著しい圧迫感の防止でありますとか、あるいは街並みそのものが与える著しい圧迫感の防止、こういうものを考えてみようということでございます。

 実はこれは当然のことながら、現行の建築基準法の中では、形態規制につきましてこういう考え方は何ら取り込まれておりません。ただ、現実に建築紛争というのは至るところで起こっておりまして、それが建築行政の一環として対処されているということから、こういう視覚的な環境というもの、心理量と物理量との関係を整理してまいらないといけませんので、なかなか難しいものではございますけれども、何らかの規範を提示することはできないかということで、研究に着手したものでございます。

 やり方といたしましては被験者実験により、現場での評価実験とVR実験を実施いたしました。圧迫感を感じるのか、あるいは開放感を感じるのかということをアンケートで聞いております。実験1、これは大きなアンケートを全国ベースで行ったものでございまして、きょうご報告いたしますのは2、3、4でございます。実験2は、単独の建築物について、どういう心理量と物理量との関係があるか。それは街並みの空間の中ではどうか。さらに、街並みの空間の中で特定の建物が変化するとどうなるかということを検討したものでございます。

 これは実験2の単独の建築物の圧迫感でございまして、SD法の7段階評価で、「全くない」というところから「多いにある」というところまで、圧迫感について被験者にアンケートで答えてもらったものでございますけれども、従来から単独の建築物につきましては、形態率がかなり圧迫感と連動しているだろうというふうに言われてございます。

 実際にこれをやってみたものでございますけれども、確かに形態率との間に一定の心理量の相関が見られるようでございますが、実は縦長の建物を見た場合と横長の建物を見た場合ではかなりばらつきが出てまいります。これが横長の建物、縦長の建物で、同じような形態率でございますけれども、かなりばらつきがあるということで、これを形態率に加えまして、建築物の縦横比で補正をしたようなもので検証してみますと、比較的物理量と心理量との関係がうまく出てくるという結果が得られてございます。

 それから、街並みでございます。これも同じように当初形態率でやってみましたら、どうもうまくいかないということがございまして、可視空間量という考え方を新たに提案させていただきました。これは先ほどの形態率と同様の考え方を基に、視対象となる建築物までの立体角に距離で重みをつけたものでございます。こういう感じのものになります。

 東大の平手研究室で新しくこういう画像装置を開発していただきまして、私どものほうでそこに提示いたします画像を用意いたしました。それで被験者に見ていただいて、結果を得たものでございます。この画像といいますのは、道路の幅員を変化させるあるいは建物の高さを変化させるということが任意にできるものになってございます。

 これが一般的なもので、ぐるぐると回して360度見ていただいて、どういう感覚が得られるかを確認したものです。これは一般的な6メートル道路のものですが、その道路を4メートルに狭めたものがこれでございます。それから、建物の高さを商業系の地域に置きかえましてもっと高くしたら、さらに開放感が減ったという結論が出てまいっております。さらに、特定の建物だけを変化させたもの、2倍、4倍に変化をさせると圧迫感が相当増えてくるという結果が得られてございます。

 目標の達成度は今申し上げましたように、採光関係につきましては一応例示仕様が出てきたので◎かなと。風はそこまでは行き着かなかった。視覚的環境は定量的な評価方法で一応指標を提示いたしましたが、まだ議論すべきことがたくさんあるということで、結論じみたところまではいかなかったということでございます。モデル的なところの検討にとどまっておりますので、今後、ぜひこの内容につきましてさらにいろいろなパターンの市街地で研究を進めさせていただきまして、実用性を高めていきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

〈課題説明終了〉

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【主査代理】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまの「都市型社会に対応した良好な市街地環境の確保のための調査研究」につきましてご質問、ご意見ございましたらどうぞ。

【委員】  これは性能規定化をねらって、いろんな観点から研究していただいたということだと思います。非常におもしろいなと思ったのは、同じ指標が複数のもので、完全に有効ではないですが、若干有効そうであること。実際にはh/dというのがありまして、おそらく今後、これをほんとうに性能規定にする場合に、考えられる環境性能すべてについて1つずつ別個の指標を使うというのは、実際には無理だろうと私は思うわけです。そういう意味でいきますと、どういう指標でとらえれば概略つかめるかというような研究も、今という意味ではないんですが、重要かなと思うんです。ですから、今後の発展の可能性としては、そういうところも考えていただくと非常におもしろいかなというふうに思いました。

 あと、形態率のところ、これは多分、○○先生の研究などをもとにされたと思うんですけれども、確かに高さが違うと、同じ形態率でも大分違うというのは興味深くて、先ほど可視空間量というのがあったんですけれども、ちょうど圧迫感に相当するような、変換をするような関数をうまく出していただくと、それでかなりのものが評価できそうな感じもしなくないので、そういうところをぜひ広げていただけるとよかったのかと思います。

 あと、形態率のところ、これは多分、○○先生の研究などをもとにされたと思うんですけれども、確かに高さが違うと、同じ形態率でも大分違うというのは興味深くて、先ほど可視空間量というのがあったんですけれども、ちょうど圧迫感に相当するような、変換をするような関数をうまく出していただくと、それでかなりのものが評価できそうな感じもしなくないので、そういうところをぜひ広げていただけるとよかったのかと思います。

 非常におもしろい結果が出ているので、今後、ほかの環境についてもなるべくその指標をそろえるような方向で考えていただけるといいのかなという感じがしました。

 以上です。

【国総研】  ご指摘のとおり、先ほどご説明いたしましたように、採光環境ではh/dがそれなりに効いているだろうということがわかってまいりました。風のほうでも、先ほどご説明いたしましたように、h/dでうまく指標化ができればというふうにトライをしてみたんですが、同じh/dでも建物の高さが9メートルのものは非常に多くのパターンで実験をやっているんですけれども、建物の高さを変化させたものは今回それほどたくさんバリエーションとしてできておりませんでして、この段階でh/dで説明できそうだというところまで行き着くには、いささか研究が不足しているという感じでございました。

 ただ、ご指摘のとおり、1つのものを設計しようとした場合に、いろいろな環境要素をそれぞれクリアしている必要があるとすれば、どれか1つの指標で総合的に判定ができるというのが最も望ましいと思っておりますので、私どもとしてもh/dは1つの切り口かなということで、これからも検討を進めていきたいと思っております。

 2点目の可視空間量でございますが、この下にも注釈をつけておりますように、いろいろと実は試行錯誤をしている最中でございまして、形態率ではどうも難しいようだというところまでは明らかになっているのですが、その形態率をどう補正するかということにつきましては、まだまだいろいろな研究もやってみないといけませんし、既に得られたデータにつきましても、そのデータをいろいろ加工してみて、どういうものが最も有効かということも検証してみないといけないと思っております。

 ここでは重みをつけたと書いておりますけれども、実は対象となるものまでの距離を立体角に掛けたものでここは見ております。その前に実は距離で割った、全く逆のそういう指標で見てみようというトライもしているのですけれども、結果的にこれが心理量との相関関係が一番いいということで、とりあえず仮置きの状態で、まことに申しわけございませんが、この時点では結論じみたものではないということで、ご提案をさせていただいているということでございます。

 対象となるものまでの距離を、何らかの形で重み、あるいは補正をするということでうまく使えれば、一定のルールがここで得られるのではないかなと。これについては引き続き、私どもとしてもトライをしていきたいというふうに考えているところでございます。

【委員】  2点ほどございます。参考資料1の12ページですが、下から10行目ほどのところに換気回数6回で、建物居室において発生する汚染物質の濃度が外部空間との空気の入れかわりに20分以内に100分の1というのがあるんですけれども、私は環境屋のはずですけれども、6回換気20分で、濃度が100分の1になるかなとちょっと思ったのが1点です。

 それから2点目は、わりとその辺に結構見込みで、決めの数値を随分お使いなんですけれども、さっきの地震のときの話もありますけれども、決めの数値を入れるには随分気を使って、ユーザーとの間の、ほんとうにそれでいいのかとか。例えば85%という値もぱっと決まっているんですけれども、どういうふうなイメージでそれを決めていかれているのかなというのが2つ目の質問です。

 今しゃべりながら、もう1つすみません。3つ目は、私も久しぶりにまた学生さんたちとお話しするようになり、みんな自分の家はどうしているんだと聞くと、カーテンを閉めて窓は一切あけない。そういう人たちを相手に一体このことをやって、どうするんだろうというのがちょっと気になります。

 以上です。

【国総研】  最初のご質問だけにお答えするんですけれども、これは単純にザイゲルの式を使って100分の1を出したつもりなんですけれども、ご指摘のようにもう1度確認が必要かなというふうに思います。

【国総研】  ご指摘はごもっともでございまして、ここは右上に書いてあるとおり、言いわけになりますが、あくまで仮設定のつもりで設定をさせていただきました。正直なところ、風の換気につきましては東大の○○先生にずっとご指導いただいておりまして、その中で実は建物の居室内の換気をどうするかというのを大分議論いたしました。1つは、100分の1という数字は、100分の1になれば相当な汚染物質についても安全になるだろうと。ただし、その100分の1にするのを、20分がいいのかどうかというところも議論の対象になりました。

 それから、その次の屋外の換気性能は居室の10倍必要だというのは、これも○○先生のご指摘で、けたが1けた多くないとだめだというご議論で10倍という数字をいただきまして、それで屋外換気水準の60回ということを決定いたしました。2つ目のご質問の超過確率85%の根拠は何だということも、これもある程度決め打ちのところがございまして、1週間のうちの6日間は確保ができる、1日ぐらいはごめんなさいねという水準が85%だということで、私どもは、それをとりあえず仮設定の段階ではちょうだいして、それに対してクリアできるかできないかという検証をしてみたという段階にとどまっております。

 ご指摘のとおり、当然、こういうものを外に対して示していくためには、社会的な合意形成を図ってまいる必要がございますので、これはあくまで私どもの1つの研究の成果でございますから、これからこれを表に出していろいろとご批判をちょうだいし、内容的に改めるべきところはさらに研究を深めていくということが当然必要になってくるというふうに考えてございます。

【委員】  表題に都市型社会に対応した良好な市街地環境とあったので、もう少し市街地の、つまり面的な都市のある部分の市街地の空間構造の話が出てくるのかなと思っていたんですが、建築を基本とした研究であるという感想を持ちました。

 これは既に終わった研究なので、むしろ今後の研究課題かもしれませんけれども、例えばこの3つのテーマの相互関係をもう少し追求するということが必要なんじゃないかと思うんです。特に視環境のところは、画像で拝見する限りは、基本的にグリッドパターンなところにきちんと建物が建っているという市街地が多いわけですけれども、実際、日本の建築物は一番最初のテーマは、日照の斜線制限なんかは形が矩形に立ち上がらない。しかも方位の影響を受けるという状態になっていますので、今後、そういうセットにした研究が必要なような気がしてなりませんでした。これは感想です。

 それから、今の街路の話でいくと、風の話は街路の配置を考慮されたモデルがつくられているようですけれども、市街地を日本でつくる場合は、日本人というのは昔はかなりそういうことを考えて、例えば宿場町とか、城下町の街路の配置等建築規制をやった部分があるんですけれども、ここでされているテーマから都市計画の規定に持っていくような方向を少し出されたほうがよかったのかなという感じがいたしました。

 コメントというか、批判めいた話で恐縮ですけれども、そういうことです。

【国総研】  最後のご質問からお答えをいたしますと、今回のテーマは基本的に建築基準法の集団規定について、今、仕様的な規定になっているものを性能的な規定に何とか置きかえていけないかという考え方でスタートしております関係で、今の集団規定の規定をベースに、そこの今後のありようを議論させていただいたわけでございます。実は都市計画は集団規定と密接な関係になっているわけですけれども、当然、内容によっては、都市計画の制限で確保すべき性能というものも出てくると思いますが、私どもの今回の研究の基本的な考え方といたしましては、都市計画にゆだねるのではなくて、建築基準法の集団規定の中でできるぎりぎりのところはどこら辺かなというところを見きわめようということでやらせていただいたのが、この研究の内容になってございます。

 それから、先ほどの○○委員のご指摘と同様のご指摘かと思いますけれども、いろいろな要素がございますので、そういうものを総合的に評価できるというのが、当然、最終的な到達目標になってくるのかもしれませんけれども、私どもの力不足もございまして、まだまだそこには到底到達できるような状況に至ってございません。まずは要素に分解をして、それぞれが求め得るべき性能水準はどのあたりにあるかというところの基本的な研究を今回やらせていただいたところにとどまっているのが現状でございます。

 それから、視環境につきましても、物理量と心理量との関係を研究対象にしたというのが今回初めてに近いような形でございますので、これはさらに少しずつ時間をかけながら、いろいろなパターンで研究を深めていって、ある一定の成果が得られればというふうに考えているところでございます。

【委員】  今、○○先生がおっしゃったこととも絡むんですけれども、基準法の性能規定化ということと、行われた3つの研究との関係を考えると、私も同様の研究は質が高いと思いますが、プロジェクト全体としての取りまとめから考えると、それぞれ3つの研究のエクセレンシーとプロジェクト全体の目的との間に少し乖離があるように思います。例えばこういうことをするのであれば、当然、今ですから、ヒートアイランドとの関係、つまり特に海域面の熱反射と、それが今度路面におりてくるとき、熱関係というのは完全に基準法の世界の中でも考えなきゃならないことだと思うんですけれども、そういうのはこういう3つの仕分けになると、どこかにいってしまって消えているというのは、最初に後藤部長がおっしゃった目的からすると、少なくともスコープに入ってしかるべきだったんじゃないかなと思いますので、今後、非常にすぐれた大学の研究者とプロジェクトをやるときには、そうであったとしても国総研側でかなり引っ張って、目的はこれですからということで、シナリオをしっかりつくっていく必要があるんじゃないかという感想を持ちました。あえて申し上げておきます。

【国総研】  ご指摘ありがとうございます。先ほど来から申し上げておりますように、実は表題が非常に大きなテーマでございますので、本来、この表題に負けないような内容であるべきものだったのですが、それを分解していきますと、なかなかその表題どおりのものまでは力が及ばなかったというのが正直なところでございます。

 今の○○先生のヒートアイランドの関係は、実はプロで16年から18年まで、これも都市研究部で検討させていただいておりまして、今回、プロは外部評価の対象にならないということで、ここの評価対象にはなってございませんけれども、一応3年間の成果はそれなりのものを私どもとしては得られているのではないかというふうに考えております。それがこういうものとセットでうまく、実際の都市に適用できればというふうに考えてございます。

【主査代理】  予定の時間を過ぎているんですが、質疑の時間はまだ20分いってないので、何かほかに。

【委員】  都市研究のところに集中しちゃって申しわけないんですが、今、圧迫感ということでとらえられているんですが、別の見方でいうと、路地のおもしろさみたいなものというか、そういうものも多分あると思うんですが、単純に圧迫感開放だけでないというところも今後の評価にぜひ含めていっていただいて、よりよい空間という意味で、日本の街路をおもしろくしていただければというふうに思います。

【国総研】  逆に実は今ごらんをいただいております映像の中では、街路樹とか、電柱とか、そういうものもこの画像の中に提示ができるようにソフトには組み込んであるのですが、あくまで建物だけの与える影響を観察しようということで意図的に排除している部分がございます。今の先生のおっしゃっている趣みたいなところまではさすがに提示画像の中に盛り込むわけにはいきませんでしたけれども、街並みとしてのもう少しおもしろさみたいなものは、今の提示画像の中でも若干できるようにはなってございます。それは今後の課題として、私どもとしてはいろいろと研究を進めていきたいというふうに考えております。

【国総研】  逆に実は今ごらんをいただいております映像の中では、街路樹とか、電柱とか、そういうものもこの画像の中に提示ができるようにソフトは組み込んであるんですけれども、あくまで建物だけの与える影響を観察しようということで意図的に排除している部分がございまして、今の先生のおっしゃっている趣みたいなところまではさすがに提示画像の中に盛り込むわけにはいきませんでしたけれども、街並みとしてのもう少しおもしろさみたいなものは、今の提示画像の中でも若干できるようにはなってございます。それは今後の課題として、私どもとしてはいろいろ研究を進めていきたいというふうに考えております。

【主査代理】  ほかに何かご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。質疑の時間は合計20分ということですが、全体の予定がちょっと押しているので、申しわけないんですが、ここらでお手元の事後評価シートに体制の妥当性、目標の達成度等々についてまたご記入いただいて、事務局のほうにお渡しをいただければというふうに思います。

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(評価シート記入)

【主査代理】  それでは、委員の先生方からの評価が出てまいりました。実施方法、体制等につきましては「適切であった」が2名の先生方、「おおむね適切」が6名ということで、評価としては2番目、「おおむね適切であった」ということでよろしいでしょうか。それから、目的達成度は全員一致でございまして、ほかに変えようがないんですが、「おおむね目標を達成できた」ということでございます。

 中身といいますか、今後の方向性等々でございますが、1つは何人かの先生からご指摘がありましたが、いろんな数値を中でとりあえず決めたという数値を使っておられますけれども、私なんかもそういうのを聞かれるといつも言うんですけれども、大抵それがひとり歩きをしてしまうので、その辺のところは十分注意をしていただきたい。

 それから、それぞれいろんな実験とか、実測をされて、評価をされているわけですけれども、一つ一つの指標について、いろんな要素をいかにこれから取り込んでいくか。あと、市街地環境ということで、今回は3つの指標しかやっていませんけれども、それをうまく広げていくか。広げた後にそれ相互の指標の要素をどういうふうに相互関連を見ていくかとか、その辺も含めて研究を進めていただければと思います。

 何か今の評価の結果につきましてご意見ございますでしょうか。どうもありがとうございました。

 それでは、予定では3時15分から3時25分まで休憩ということでございますが、どうしましょうか。3時半ごろまで。

【事務局】  半まででお願いいたします。

【主査代理】  3時半から始めましょう。じゃ、どうもありがとうございました。

(休 憩)

【主査代理】  それでは、再開してよろしいでしょうか。

 それでは、後半、事前評価でございますが、事前評価は全部で3課題、20年度の開始予定ということで、まだ成果は出てないところでございます。事後評価の場合はいろいろとご意見をいただいて、最後の取りまとめといいますか、最終的な部分への反映ということになるんですが、事前評価については、これからどういう点を重要視しながら、焦点を置いて研究をすべきかというご意見をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いをしたいと思います。

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(3)平成20年開始予定研究課題の事前評価

〈プロジェクト研究B「業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計手法に関する研究」〉

 それでは、1番目の課題でございますが、「業務用建築の省エネルギー性能に係る総合的評価手法及び設計手法に関する研究」、プロジェクト研究でございますが、これについてまずご説明をいただいて、その後ご意見をいただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。

【国総研】  それでは、建築研究部の○○から説明をさせていただきます。

 資料のBでございますけれども、今、タイトルに関しましてはご紹介がありましたけれども、この研究は地球温暖化対策、あるいは省エネルギーの推進に係る研究プロジェクトでございます。我々に関係いたします省エネルギー問題、温暖化対策としましては、大きくわけまして住宅と業務用建築という分野があるんですけれども、この3年間の研究は後者の業務用建築に係る省エネルギー技術開発に関するものでございます。このスライドは、現行の状態と、それを少し見まして、研究として取り組むとしたらば、どういう課題が抽出できるかということを整理したものでございます。

 左欄に業務用建築の省エネ施策の現状というところがございまして、簡単に紹介いたしますと、外皮、建築ですね、それから設備、この両者に関します指標を計算して、建設前に自治体に提出する。これは2,000平米以上のものは現時点で提出が義務化されております。それから、床面積5,000平米以下の比較的中小規模の建物については、計算によらずもっと簡便な、ポイント法と言われていますけれども、簡単に仕様をチェックする方法でもいいということになっております。あわせまして、ヨーロッパでありますとか、北米の様子も簡単にまとめさせていただいております。

 こういう現状を見ますと、幾つか課題が出てくるわけでございますけれども、1つは2,000平米未満の小規模建築、これは総床面積で約半分弱を占めると言われておりますけれども、これの手だてがまだされてない。それから、ここにあるような評価方法が施策に適用されているんですけれども、建物の使用条件が固定的でありまして、使用条件を加味した省エネ対策が評価されるまでには至っていない。

 このことと関連するんですけれども、ある省エネ手法は幾つかあるんですけれども、それを使っているか、使ってないか程度の評価しかしてない。例えばこういう変流量方式と言われる省エネ手法があるとすれば、これを使っていればいいよと。簡単に言えば、そういうような評価になってしまっておりまして、省エネ手法の分類だとか、定義にあいまいさが残れているのではないかなと。

 ほかにも幾つかあるんですけれども、これは特に重要かなと思いますのは、業務用建築の省エネ評価が意匠設計者であるとか、建築主だとか、あるいはパーツを製造するメーカーに対してなかなか浸透し切れてない。設備担当者、省エネの専門家に非常に特化して、知識が普及しているということがあるのではないかなと思います。

 急ぎますけれども、これは業務用建築って一体どんなものかということで、住宅と対比をする意味でつくらせていただいて、これが住宅で、省エネルギー技術を少し書かさせていただきました。それに比べますと、業務用建築というのは非常に規模が大きいというのが一番大きな特徴でございます。こういう規模の違いというのは非常に大きいんですが、こういうことも絡みまして、幾つか関連事情があります。

 例えば第1点としまして、運用時のエネルギー消費量、あるいはエネルギーを消費する設備等のメカニズムに関する実態情報が出てきにくい。あるいはこれは第三者がなかなかそういう情報をとりにくい。はかるだけでも相当な費用と手間がかかってしまう。あるいはこういう大きな物件になってきますので、いろいろな専門家がかかわってくる。設計の内容も多岐に及んで、住宅用に比べて非常に複雑であって、全体をとらえにくいという特徴がございます。

 今回の研究プロジェクトの提案といたしましては、こちら側に従来の評価方法、こちら側に開発する評価方法ということで、対応表みたいなものをつくらせていただきましたけれども、従来の評価が外皮と設備の評価が別個になされる。あるいは設備でもいろいろあるんですけれども、それらが別個になされていて、評価が断片的である。これをもう少し総合的に行いたい。簡単に言いますと、業務用建築全体で消費されるエネルギー消費量の合計値のようなものを推計可能にして、その中でのやり取りができるようにする。そういう意味で総合的というふうに言わせていただきました。

 それから、従来の方法では機械設備の性能の定量的評価が弱い。これは検証データの不足というところによっているわけでございますけれども、開発する内容といたしましては省エネ手法が常に効果を発揮するとは限りませんので、効果の程度も条件によって変わるということで、手法が適材適所であることを評価可能にできるような、実働性能を反映した評価方法というものを開発したいと考えております。

 これは文章だけで構成されております様式Bの3ページ目から抜粋したパワーポイントでありますけれども、研究の実施方法をごく簡潔にまとめさせていただきました。3つの段階から研究を構成してはどうかというふうに考えております。

 第1は建築・設備システムの実働効率に関する調査及び実験ということで、これは実態把握をきちんとやろうということでございます。この中としましては、実際の建物に設置されております空調システムの実働効率の測定、それからこれはなかなかシステムとしての効率を全体で把握するというのは難しいわけでございますけれども、それを分解しまして、建築・設備の構成要素ごとのエネルギー効率の特性、これは熱源でありますとか、送風機でありますとか、ポンプでありますとか、そういった個別の構成要素の実験的評価を行う。それから、3番目といたしましては、事務所及び店舗を対象といたしまして、内部発熱の発生の状態に関する実態把握のようなことを行うべきではないかと考えております。

 2番目の項目といたしましては、実働性能に基づくエネルギー消費量の推計方法を、既存の効率の推計方法等もろもろのものを活用・参照させていただきながら、そういったものを改良する形で外皮側の負荷の予測モデルの検証、それから建築・設備のエネルギー消費量予測モデルの開発ということを行いたいと考えております。

 この第1項目と第2項目というのは、どちらかといいますと評価方法の開発に関係するものでございますけれども、今回のプロジェクトは3年間かけて評価方法の開発と並行して、この設計方法の整備ということをさせていただきたいというふうに考えておりまして、これのもとになる知見というのは1番、2番から出てくるものと同じものが活用できるわけでございますけれども、実証的裏づけのある省エネ設計のためのノウハウ集のようなものをつくっていきたいと考えております。その中でどうやって評価するかということに基礎を置きますけれども、具体的な仕様を書き込めるようなガイドラインをつくっていきたいと考えております。

 以上でございます。

〈課題説明終了〉

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【主査代理】  どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対しまして、これからの研究の方向性等々を含めてご意見ございましたら、よろしくお願いします。

【委員】  主として、これは設計技術の開発に資する基礎データを収集するということだと思うのですが、設計ガイドラインに加えて、かなり近々にやらなきゃいけないのは、ある種の規制みたいなものだと思うんです。多分、こういった分析をすると、例えば店舗なんかだとよく開口部をあけたままずっと冷房しているとか、いかにもむだのような使い方があるんですけれども、もう少し利用者というか、使い手のほうに対して何らか省エネを促すようなこともほんとうは含めなきゃいけないのかなと。例えばこのぐらいのエアカーテンをやるとこれだけ減るんだとか、このぐらいのことをやればこのぐらいは大丈夫なので、そのぐらいの設備投資ぐらいしてくださいよみたいなこともほんとうは必要だと思うんです。多分、この研究のフレームワークだと、最終年度ぐらいだったらそのぐらいのことまで言えるんじゃないかと思うので、もし可能であればお願いしたいと思うわけです。

【国総研】  おっしゃられるように、なるべくコストパフォーマンスの高い、なるべく単純な技術から優先的にガイドラインの中に盛り込んで、いろんな方に使い勝手のいいものにしていきたいというふうに考えております。

 それから、緊急を要する課題であるというふうに最初ご指摘をいただいたわけでございますけれども、まさにそのとおりでございまして、おそらく今後、今年度、来年度にかけていろんな施策が打たれていくと思いますので、それにもなるべく早めに成果を出して、それはどちらかというと規制でございますので、評価方法が必要とされてくると思うんですけれども、その辺での行政支援ということを考えていきたいと思っております。

【委員】  ちょっと僕もわからなくなってきたので、基本的な質問をしたいんですが、省エネをすればお金は少し楽になるというか、運営側からいえば得をすると。だけど、案外だれもやらないというのが一面にあって、この現況の中でそれはなぜなのか、それをどういうふうにとらえるのかというのが1つ。

 それから、省エネと言いながら、多分、環境をよくしなきゃいけないので、排出CO2あたりから今度は規制を、先ほどのご説明のようにこんなに出していいのか、おまえはこれ以上ぜいたくしちゃいかんぞという規制がかかってくるのと、最初に申し上げたほうはほっておいたって損するやつが悪いので、得するように自分で考えろというふうに持っていくのと、それから地球環境のためにどうしても無理やり抑え込まなきゃいけない中で、この研究はどういうところに位置づけられるのかなというのをちょっと。

 もともと僕の言っていること自身が間違っているかもしれないので、そのことも含めて何かコメントをいただければと思います。

【国総研】  省エネ技術の促進のためには、コストということが非常に重要だと思うんです。それはご指摘のように、省エネということは運用コストの削減につながるわけでございますけれども、ある種の省エネ技術はイニシャルコストを大変に必要とするわけでして、ライフサイクルコストでどの程度得かという情報が本来は非常に行き渡ってないといけないんですけれども、残念ながらそれは決してそういう状況にはなってない状況だと思います。

 その1つの大きな理由は、エネルギー消費量の総量自体の予測ができるに至ってない。といいますのは、今の省エネルギー基準もそうなんですけれども、効率の評価が主でございまして、効率の評価のためにはある前提条件があって、その中で効率を計算して、どっちがいい悪いということをするんです。ただ、ライフサイクルコストを計算するためには、効率だけではだめで、その技術を適用して、どういう用途の建物で、どういう使い方をされていれば、エネルギーの消費量はこうなるということがわかって初めてライフサイクルコストの計算ができて、どういう技術を適用するかという意思決定ができるようになってきますので、いろいろご指摘の問題には課題があると思うんですけれども、一番大きい問題は、エネルギー消費量の総量が省エネ技術の適用によってどう変わるかというあたりの知識がなかなかないというところかなというふうに考えております。

【委員】  まず最初は質問で、理解が正しいかどうかということなんですが、このスライドで1、2というような分析をして、つまり過去の事例を踏まえた解析をして、新しく建物をつくる際の知識体系をつくって、3番として提供するというふうに内容でよろしいんでしょうか。

【国総研】  はい。

【委員】  それで、私のほうで意見があるのが2点で、まず内容については基本的にそれでいいと思うんですけれども、ストック量とフローの比を考えていくと、1、2で得られる知識は、できれば既存の建物のデータの読み取り方そのものについても、貴重な知見が得られてくるように予想されますので、あまりにと思うということにならない範囲で1、2の成果を、今使っている建物のエネルギー効率の読み取り方のような形でのガイドラインも一緒に出していただけると役に立つんじゃないかなという意見が1点です。

 それとあともう1つは、○○先生の話にもありましたけれども、このテーマはとても緊急性が高くて、緊急性が高過ぎて私が恐れているのは埋没しちゃわないか。つまり、例えば今でもどんどん来年のサミットのためにどうだこうだで、いろいろと政府が予算を用意して、いろんな省庁が予算をむしり合うという形のほうがいいかもしれませんけれども、あったりとかあり、東京都のほうでもCO2排出削減のためのカーボントレーディングみたいなものを始めるとかいうことがあって、世の中では技術的な裏づけがあるもの、ないものを含めて、すごい情報が出てくると思うんです。

 そういう意味では研究課題というのは、これは既に概算要求とか何か入っていくもので、統合されるとはと思うんですが、世の中の方々の中でこれはこれだけきちっとしたエンジニアリングのバックグラウンドがある手堅いことをやっているという意味ては、少しタイトルが大き過ぎるように思うので、あるコミュニティのこの中でここがキーだとわかる副題みたいなものが、きょうご説明いただいた内容がよりクリアにわかるようなタイトルがついていくと、財務省はともかく、玉石混淆の中でこれはちゃんとそういう内容のある地道なことだということがはっきりわかってくるように思いますので、きょうのタイトルだけですと、そういった取ってつけたようなプロジェクトの中で名前だけ見て、埋没してしまうような心配がちょっとありますので、少しそこら辺は工夫が必要なんじゃないかということがあります。

 そういう意味では、省庁間の動きというのは霞が関の論理かもしれませんけれども、つくばのコミュニティの中で国環研とか、産総研など等がいろいろとコミュニケーションをとっていかれたほうが、それぞれのポジションをお互いにすみ分けながら、連携するところは連携し、すみ分けるところはすみ分けるのがはっきりしていくようにも思いますので、埋没しないためのそういった、ややポリティカルな仕込みが必要なんじゃないかなということをあえて申し上げさせていただきます。

【国総研】  ありがとうございます。幾つかご指摘いただいたんですけれども、最初のご指摘で新築と既築とありまして、ご指摘のように新築だけを相手にしていてはなかなからちがあかないということがございますので、得られる成果はおそらく両方に適用可能だと思いますので、いかに既築の更新のときに役に立てる情報に加工できるかということは少し考えていきたいと思います。

 それから、このタイトルのつけ方等も含めてでございますけれども、おっしゃられるようにどこがかぎなのかということを、本来であればタイトルに示すことができればいいんですけれども、残念ながらそうなってなくて、ご期待に沿えなくて申しわけないんですけれども、それはタイトルの中でなかなか現状の課題が説明できにくいというのが1つありまして、非常に近代的な超高層ビルが幾らでも建てられるような時代でございますし、機械技術としては比較的いかにも単純そうな空調設備等の省エネルギー技術ですから、そこにどういう工学的問題があるかということをどう表現したらいいかというのは、我々も実は悩んでいるところでございまして、あまりそう具体的なタイトルをつけても説明に非常に時間がかかってしまうところがありまして、安易なタイトルをつけた次第でございまして、少し今後とも考えさせていただければありがたいなというふうに思います。

【委員】  私の把握した範囲では、1番の研究は個別の要素の実働効率を実験で把握し、予測指針を開発する。2番の研究は個別要素を組み合わせたときの現実の状態での省エネ性を予測するということだと思います。2番の研究の実験的な把握、予測は正しいのかという検証実験はこの研究の中には入ってこないんでしょうか。

【国総研】  2番というのは大きな2番。

【委員】  大きな2番といいますか、この前の図にも、実際の建築物中に構成された状況で、なかなか実態情報が出てきにくいというのがありましたが、個別の要素が組み合わされた建築物としての省エネが評価されていますけれど、最後に、建築物ができ上がった後に検査をするとか、評価をした手法の妥当性に対する検証をするとか、そういうのが必要だと思いますが。

【国総研】  すみません。説明が悪かったのかもしれないんですけれども、アウトプットとしては評価方法2番と、設計ノウハウの3番というのがあるんですけれども、いずれも実態を反映したものしか出さない。要するに実証されたもの以外はなるべく出さないというスタンスでいきたいと思っていまして、したがいまして2番の推計方法の開発ではなるべく1番で、例えばシステムとしてのモデル化の正しさは@で評価いたしますし、あるいはパーツの例えば冷凍機のCOPの評価方法が現行のそのものでいいのかということは、1番のAでなるべくやっていきたいと思います。

 ただし、いろいろな空調システムがありますし、いろいろなパーツもありますので、なかなか3年では限界があるとは思いますけれども、極力実証による裏づけをとっていくということを優先して考えていきたいと思っております。

【委員】  それは結局、建築物になった状況で、1番の研究で把握されているものについては実際の建築物でも実証されているということなんですね。

【国総研】  はい。これはなかなかわかりませんけれども、実証データのないものは推計できないということにする、あるいは設計ノウハウとしては整理しないというやり方もあるんですけれども、そうしますと2番と3番の成果の適用範囲が限られてきますので、そういうようにはできないと思うんですけれども、なるべく適用事例の多い一般的なシステムなり、設備危機に絞って実証データをとることによって、なるべく評価方法、設計方法としても適用範囲の広いものにしていきたいと思っております。

 研究費の範囲内でできることは限られると思いますけれども、民間とか大学の先生方と協力して、先ほど産総研、環境研というお話もありましたけれども、そういう研究機関と協力しつつ、重複を避けてやっていきたいと思っております。

【委員】  今後の研究ということなので、私の期待というか、希望みたいなものを申し上げます。

 まず、必要性は非常に大きいというのは十分わかりますし、それからおやりになりたいことも大体理解したつもりなんですが、おそらくケーススタディは団体の建築家、もしくは再開発等による複合建築物かなという気がするんですけれども、実は私は都市計画学会の評議員をやっていまして、5月に総会があったときに、持続可能な都市ということをよく言っているけれども、都市自体がこういう省エネとか環境化の観点から、評価できるような仕組みを持っているかどうかというのが非常に議論になりまして、そのためには積み上げていくしかない。

 その基本となるのは、個々の建築がどういう性能を持っているかということがきちんと把握できないと、市街地なり都市計画区域の、あるいは用途地区ごとの評価はできないということなので、まずその基本をつくるというのが非常に重要な研究なんですが、逆の観点からいうと、そういう面的な広がりから個々の建築を評価したものを面として、ある範囲として評価していくことに使えるような指標化ということを考えないと。少し粗っぽいかもしれませんが、例えば原単位当たりの人だとか、建築面積とか、土地の面積という形でこれぐらいの省エネ効率が上がるんだということが、使用する設備機器なり、システムのタイプごとにある程度見えてくると、ある方向づけを持った計画への取り組みができるかなという気がするんですけれども、その辺に関して何かお考えがありましたらお聞きしたいと思います。

【国総研】  今のご指摘は建物、市街地のエネルギー消費の総量というのは、結局個々の建物エネルギー消費量の総和なんですけれども、それが面的な要因とどう関係しているかというところとも関係しているんですけれども、こういう業務用建物はつくばに建っているようなオフィスであれば別なんですけれども、市街地の業務用建物というのはなかなか自然エネルギーを活用するということはできないんです。

 むしろ負荷というのは、エネルギー消費量というのは例えばここにありますように、外気温がどうだとか、ヒートアイランドがどうだとかということも多少あるんですけれども、使われ方であるとか、特に内部発熱によって決まってくるところが多いものですから、そういう意味で今のところ、面的なパラメータが個々の建物のエネルギー消費にどう関係してくるかというところの知見を掘り下げるということに関しては、ちょっと優先順位は低いかなと個人的には考えております。

 ただ一方で、面的な例えばエネルギーシステム、地域冷暖房でありますとか、いろいろな面的な供給システムの効率を評価するということは、この研究の延長線上にある大きな課題ですので、その面的な供給システムの評価をする際にも、比較対象はいずれにしてもこういう個々のシステムの省エネルギー性能はどうなのかということが、その評価の基盤になるものですから、念頭には置いているんですけれども、3年間の中で面的な形態でありますとか、密度でありますとか、そういう面的な要因の個々の建物へのエネルギー消費量の影響については、全く考えないということではないんですけれども、少し優先順位を下げさせていただいております。申しわけございません。

【委員】  お答えの内容は、私の質問と方向がちょっと違っていたと思うんです。お答えはよくわかりました。

 都市計画の観点からすると、個々のこういう経験の積み重ねをして、全体として評価をするときの指標というのはどういう方向になるのかなということで、単純に単に総量でいくという方法もあれば、原単位で割ってしまうという方法もある。そういうことにつながるようなやり方なのかなということを伺いたかっただけです。

【国総研】  総量が一番重要ではないかなというふうに考えております。ちょっと不十分な答えで申しわけございません。

【主査代理】  ほかにご意見ございますでしょうか。これと最終的に評価をするときに、各委員のコメントは事前に出していただく、それとも。

【事務局】  評価を今ご記入いただいて、それをお手元にお持ちいたしますので、それと今のご意見をあわせてご総括いただければと思います。

【主査代理】  はい、わかりました。それでは、ほかに何かご意見がなければ、お手元にコメントシートがいっております。これは評価自体はこれになくて、それぞれの要するにコメントをすればいいということで、ちょっとコメントを書いていただいて、またそれを集めさせていただいて、このプロジェクトを実施すべきかどうかとかいうような評価の取りまとめをしたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。

(評価シート記入)

【主査代理】  それでは、今、各委員の先生方からコメントのシートがまいりましたが、何人かの先生は異口同音に非常に緊急性があって、重要な研究だというコメントがございまして、全体の評価として事務局のほうからは「実施すべき」「一部修正して実施すべき」「再検討すべき」という3つの評価ということでございますが、いろいろとご意見はあるかと思いますが、結論としては「実施すべきである」という結論でよろしゅうございますでしょうか。「実施すべき」であるということに対して幾つかコメントがございまして、1つはタイトルの話で、私自身も自分自身でいろんな概算要求なんかをやっていて、常にタイトルが大きくなってしまう、何でもやるぞというスタイルになってしまうんですけれども、なるべくやれる範囲とか、やるべき範囲を明確にされたほうがいいのかなと。今の段階でサブタイトルがつけられるかどうかというのはまたあるかと思いますが、そういう点ですとか。

 あと、非常に広いテーマでございますので、他の機関との連携をうまくとりながら、国土技術政策総合研究所がやるべき範囲と、それからほかの研究所等々での成果を期待する部分と仕分けをしながら研究を進めていただければと思います。

 以上のようなコメントに何かつけ加えるべき点ございますでしょうか。はい、わかりました。どうもありがとうございました。

 それでは、あと2題ございますが、ご説明に入る前に次の2課題は1枚の紙に2つコメント欄があるんですけれども、これはどういうふうにしたらよろしいですか。コメントを回収して評価をするというときに、1枚の紙に4番と5番の課題が両方ついている。

【事務局】  すみません。一たん回収させていただいて、あとでお返しします。

【主査代理】  じゃ、個別にやるんですね。

【事務局】  はい、お願いいたします。

【主査代理】  2つ課題まとめてではなくて個別です。はい、わかりました。

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〈その他C「人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究」〉

 それでは、事前評価で、今ご説明いただいたのはプロジェクト研究でございますが、プロジェクト研究には該当しない2課題の1つ目でございますが、「人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究」ということでよろしくお願いをしたいと思います。

【国総研】  タイトルは人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究ということで、説明は私、都市研究部の○○が説明させていただきます。

 担当の研究部は都市研究部と総合技術政策研究センターであります。研究期間は20年から22年度までであります。

 この研究の説明に入る前に、ちょっと私事になってしまいますが、申し上げます。私は以前、ある市の助役をやっておりまして、毎日が選択と集中の問題でございました。そのときにいろいろな判断をさせてもらいましたが、そのときにこういう研究があったらいいなというのが私の思いでございました。これはまさに必要性の説明をこれで済ませていったらと思います。もちろん後で詳しく説明いたします。

 今から思いますと失敗したなと思う政策があります。市長さんとうまく渡り合えなかったんですけれども、どうして意見が市長さんと違うかというのがわかりました。市長さんは要するに4年ごとに物事を見ます。4年ごとの選挙のことです。それまでに何か成果を出さなきゃいけないという意識が非常にあります。私のほうは役人ですので、その点、非常に気楽であります。選挙という経験もしなくて済みますので、かなり長期的にいろんなことが言える。つまり私たち研究者なり実務家の強みは長期的にものを考える、これが強みだろうなと思います。

 そう考えると、このアセスメントというのはまさに長期的に物を見ていくということになりますので、そういう研究をぜひともやってみたいということで今回企画させていただきました。それじゃ、ご説明いたします。

 1枚目のスライドは研究の背景と目的であります。このスライドを通じながら、この研究の必要性を主張させていただきます。

 まずは我が国のとりわけ地方都市では、少子・高齢化、人口流出に伴い、人口減少が続いています。しかも都市自身が市街地が郊外に向かって拡散していって、薄く広がってしまっている。人口は増えないのにまちが広がっていってしまう。そういう状況があります。一方の既成市街地、もともとのあった市街地は空洞化、中心市街地、あるいはその周りの空洞化という問題があります。

 こういう都市の現在の構造といいますか、都市の形、薄く広がり、中心が空洞化しているという構造、これは持続可能性という点から見ますと、非常に大きな不安があります。この場合の持続可能性という不安は、もちろん環境というCO2排出量とか、エネルギーといった環境の面からの持続可能性という物差しもあるでしょうし、それから市民満足度ですね、市民がこの自治体なり都市に住むことに満足してもらえるか、来年も住んでもらえるか、いつか機会を見て転出してしまうのではないかという持続可能性からも不安である。

 それから、3点目はやっぱり財政であります。財政運営がよくできるか。特に最近の夕張とか、ああいうのを皆さん実際見ていますので、財政面の持続可能性が確保できるかという問題があります。この危惧は、ここに書きましたように青森も富山も最近コンパクトシティを掲げるところはみんなここの同じ危機感、このまちはこのまま持続可能なんだろうかということであります。

 多くの自治体はコンパクトシティということで、先ほど言いましたようにまちを広げないという作戦と両面作戦であります。まちをこれ以上広げない、それから中に既にできている市街地にあるストック、道路や学校とかいろんな施設、下水道とか、そういうものを生かしながら密度を高めていくという両面作戦、郊外部とインナー、フリンジとインナーそれぞれに対応をとっていくというのがあります。

 以上から研究の必要性についてまとめますと、これは都市の経営、マネジメントの技術の開発であります。マネジメントを対象とするのは、人と物と金というふうにとりあえず整理しますと、人に関しては少子・高齢化、人口減少という人の状況があります。これをどうマネジメントするか。それから、物につきましては、かつて高度成長期につくりましたストックがあります。都市には学校とか、いろんなストックがありますが、これを更新すること、あるいは場合によっては用途変更しなければいけない。学校をつくったんだけれども、子供がいなくなったので、福祉施設に転換するという用途変更などをしなきゃいけない。それから、金に関していえば、市役所にとれば財政の収入が減ります。人口が減ります。それから、担税力のある方が減ってまいります。そういう状況の中でどう人、物、金をマネージするか、そのときの技術になります。

 それで一方で、まちの目標は持続可能性です。持続可能性につきましては環境志向の持続可能性、財政健全化という目標志向、それから最終的な目標は市民満足度という目標、これをどうやって高めるかということになるかと思います。

 次のスライドでこの研究の概要をご紹介しながら、有効性について主張させていただきます。

 まず、自治体にやっていただこうと思っているのはこの4つの流れで、この4つをやっていく上で必要な技術を私たち国総研が用意していこうということになります。

 まず、1番目に自治体にやっていただく仕事はデータの収集と加工です。自治体は多くのデータを持っています。これがある自治体としますと、その中の各地区別に人口はどうなっている、地価はどうなっている、この産業交通面はどうなっている、この地区とこの地区の間にはどういう交通があるのか、どういうものの流れがあるのか、どこにどういう施設があるのか、そういうデータをまず把握する。これはつまり現在の都市の構造を把握していただくことになります。都市の形、今どこにどういう人たちが住んでいるのか。つまりフィジカルな空間の話と、そしてどこにどういう人が住んでいる、それからお金の流れ、人の流れ、物の流れ、そういうものを把握するというものであります。

 次にやっていくことは施策を打つということであります。これについてどういう施策をこの都市について打っていくか。先ほどの環境志向、あるいは財政健全化、そういう目標を掲げた上で何か施策を打つわけであります。まちなかに居住を推進する。コンパクトシティがよくやっている福井とか青森、富山がやっているのでいうと、まちなか居住の推進という例えば施策があります。あるいはこれ以上市街化区域を拡大しないとか、そういう施策があります。こういう施策オプションを用意することになります。

 施策オプションを講じることによって、例えばまちなか居住推進策をうつことは中心部に人口が増えることを期待しています。そこで例えば中心部分にマンションを建てることについて財政面から応援をする、補助金を出すという形で応援をする。その結果は、ここに若年世帯が入ってくるであろうという期待をするわけです。もちろんこの人口は、同じ町からかもしれませんし、隣の町から来るかもしれませんが、増えることが予想されます。このように、ある施策を打つことによって将来のまちの形や人口の分布が変わることが想定されます。それから、ここに若年世帯、ファミリー世帯が入居すると、多分保育所とか、子育て系の支援施設を用意する必要が出てくるかと思います。それらへも行政が税収を得て支出をしていく形になります。

 そして、こういう将来の形を想定して、その将来の都市の形に対して性能を評価します。この場合の都市の形はどういう性能を持っているか。この性能を測る軸としては行政コスト、環境負荷、QOL、その他、防災とか、性能評価する物差しはいろいろあるかと思います。ここに例示した3つのものはいずれも大事ですし、いずれも実は政策目標として実施しなければいけないものであります。 中には既に例えば環境負荷ですと、CO2の発生が少ない都市構造とはどういう都市構造かというのまである程度知見があります。そういう知見を生かしながらやる。それから、財政コストについてはなかなか今知見がありません。どういうまちが財政構造上いいんだろうかと。それから、そもそも財政構造をよくするために都市計画とか、都市政策をやっていいのかという議論から先にやらなければいけませんが、そういう議論をしながらまちの形を評価する、性能面を評価するという技術を考えています。

 以上のデータ活用、施策オプション群、構造予測及び構造評価の4つのツールについて、私どものほうで用意していこうというものであります。

 最後に、この研究の効率性についてこのスライドを使ってご紹介いたします。

 この研究をやるためには、私どものこの4つのツールを開発するわけですけれども、私どものみではとても手に負えません。私どもでリードしてできそうなのがデータ活用手法と施策オプション群の体系化、これはできそうだと思います。自治体がどのようなデータを持っていて、それをどう加工するのか、活用するのか、データベースにするのか、あるいは都市計画基礎調査とかを自治体はやっていますので、そういうもののデータの活用については、この研究はできるだろう。それから、どういう施策を自治体が打っているか、これについては収集して、整理することはできるだろうということであります。

 そして、私たちがどうしても大学なり、地方自治体なり、手をかりたいのがこの2つの手法です。将来構造予測手法でして、ある施策を打ったときの切れ味、施策を打ったときに人口がどう動くのか、人の流れ、交通はどう動くのかというものを予測する手法であります。これは多分、都市経済モデルとか、いろんなモデルがあるかと思います。これについては施策の切れ味という観点からぜひとも考えようと。

 例えば土地利用規制ですと、市街化区域、調整区域、あるいは開発許可、調整区域で開発が起きているよというので、いろんな論文はたくさんあります。規制の効果といいますか、こういう用途地域を緩めると、こういう建築活動が盛んになるとかあるんですが、それが例えば財政構造にどうかかわるのかについての論文は今のところありません。そういう意味ではこういう論文を絡めながら、都市構造の予測手法についてぜひとも皆さん方とやっていきたいと思っています。

 それから、その将来都市構造の性能を評価するわけですね。これについてもどうしても性能、環境面、財政面についてどうやって評価するか。都市の地区ごとにメッシュのデータを使いながら、どう予測していくかということになるかと思います。こういう研究成果を使いながら、自治体にこの4つの流れをやっていただいて、そしてそれをまた私どもとしてはモニタリングしていきたいと思っています。いろんな予測手法をやっておりますけれども、多分なかなか正確な予測はできないかと思います。それから、施策自身もどんどん開発されるでしょうし、新しい施策をやっていかれると思いますので、そういう意味ではモニタリングをしながらやっていきたいと思います。この研究としては3年で終わりますが、その後引き続きモニタリングを進めていきたいというもくろみでございます。

 以上、ちょっと長くなりましたが、私の説明でございます。

〈課題説明終了〉

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【主査代理】  どうもありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問等々よろしくお願いします。どうぞ。

【委員】  東大で都市再生COEをやっていますけれども、都市の将来像を予測してどういうふうに都市を再生しましょうかというあたり、結構似ています。建設的にコメントをいたしますと、収集・加工されたデータについてはだれでも使えるようにGISなんかにのせていただくと、後々使いやすくなると思います。予測に関しては、COEではシムシティなんかを念頭に置いてやってみようと思ったのですけれど、なかなかこれが厄介で、今のところまだできておりませんので、ぜひとも競争的に協力をさせていただくというのが適当かなと思っております。

 以上です。

【国総研】  まずは1点目のデータの収集・加工ですけれども、これはGISがいいと思います。要するにデータは絶えず変わっていくのと、メンテナンスしていかないといけませんので、それにまさる手法はGISしかなかろうというので、その点については全く同感であります。

 2点目の予測手法は、とりあえずは式をつくってみます。つまり式をつくってみないと、まちなか居住推進政策をやるかやらないかを決断するときにどうしても、うそでもいいという言い方は変ですけれども、予測が要るんです。ですから、その程度の予測で、どうしても式はつくらなきゃいけない、多少決めであっても。ただし、それは必ず決めである、ひとり歩きさせるなという注意書きを必ずつけた上で、あるいはモニタリングしてくださいと。その施策をやってほんとうに3年後効果が、ほんとうに都心に人が集まりましたかとかいうモニタリングをしてくださいという形で補うことで、予測技術の未熟の部分といいますか、それは補うことができるのではないかと考えています。そういう意味では競争的によろしくお願いいたします。

【委員】  私もそういう意味ではCOEに入っているので、競争相手なのかもしれないんですが、確かに今ちょっとたまたまおっしゃいましたけれども、シムシティに非常に似ているなと思いました。こういう研究が非常に難しいところというのは、単に都市がどう変わるかというのを推計しようとしても、実際には市場環境ですとか、社会環境というのはかなり変わるわけですね。例えばエネルギーのコストが今後どうなるかだとか、あるいは場合によっては食物だとか、水だとか、そういったものが世界中で取り合いになるかもしれないわけですが、そこまで考えると、全然違う都市構造のほうがいいとかいうことになりかねないわけです。

 どれだけそこでリアリティを持たせるかというところで、大分ここの研究の難しさというのは決まってくるような気がするんです。最も簡単なのは今とはあまり変わらないという状況で、今のビヘイビアなんかは場合によってはマルチエージェントにするとか、あるいは単純なSDみたいな話とかにすれば、若干予想できるような気はするんですけれども、多分、今後のことを少し考えると、少し将来の社会像とか、経済状況、市場状況を想定しないといけないかなと。そこの部分が今回はあまり語られていなかったので、下手すると若干シムシティ的なものに終わってしまうといけないんだろうと思うんです。そのあたりを少しお考えになったらいいかなというふうに思いました。

【国総研】  ます、予測の難しさで2つおっしゃいました。1つは市場メカニズム、この部分をどう織り込むか。先ほど私は施策の切れ味と言いましたけれども、施策の切れ味だけで物事は動かなくて、例えば同じ企業を誘致したいというときも、三重県とか宮崎県は誘致できるけれども、ほかの都市はせっかく道路整備をよくしても、例えば三重県では何とか知事、あるいは宮崎県では何とか知事というキャラクターのものがあったり、そういうふうに施策の切れ味だけじゃない部分がかなりあります。市場メカニズム的なもの、もともと三重県が持っている工業団地はシャープが来てくれるような地勢のよさといいますか、そういう動きがあると思いまして、これをどこまで織り込むか。これを織り込めないと、おっしゃるとおりシムシティになってしまうだけになります。市場メカニズムをどう読んでいくかだと思います。

 それから、エネルギーの費用の話がございましたけれども、これは財政でも同じでして、財政で改革されてしまうとがらっと財政の予測は変わってしまいます。国税がとるか、地方税がとるか、それによって仮定が変わってしまいますので、これに対してはこういう仮定を置きましたということを言うしかないと思うんです。その仮定が変わることを予測するというのは私どもの人知を超えますので、こういう仮定を置きましたということをすべてのデータに必ずノートでつけていくというしかないかなというふうに思っています。また、いろいろとご指導いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【委員】  10年弱前に○○所長と建設リサイクルで一緒にやらせていただいたから、流れ流れて、私は今、文部科学省のバイオマスのプロジェクトをお手伝いしておりまして、そこできょうご発表のような地域の中でどうバイオマス資源を使うかという、今、お話になったようなシムシティもどきも試作したりしています。

 その経験に基づくと、きょうご提示の研究計画はよくわかりますが、明らかに予算額が小さくて、これをやるとすれば国総研でどこまでやって、他の機関を巻き込んでマッチングファンドふうにやるかという作戦がないと、軍資金としてはほんとうに少な過ぎるぐらいだろうということが1点です。

 それともう1つは、○○先生がおっしゃったことと重なりますので、それは省きますけれども、自治体の人たちのリテラシーというのはとても大事だと思いまして、私どもはこれもどきをバイオマスの資源だけに関して、要は地域の中にどういうバイオマスの未利用のものがあるか。あるところに精巣をつくったら、どういう変化が起きるかなんていうことをやっているんですけれども、その際に自治体の人たちに試しに使ってもらうと、意外なことが見えてきます。

 それは例えばGISといってもあまり高級なものよりは、自分たちがスプレートシートに入れたデータがそのままGISに表示できるといいと。逆に言うと、非常に高級で精度があっても全く操作できないものは、今おっしゃっているようなことを自分たちとしてできない。下手をすると、入出力をまたアウトソーシングしなきゃならないことになりかねないところがありますので、手間のよさという意味では、どなたかこのプロジェクトの中で自治体の方の助言を常に入れていかれるといいのではないかというふうに思います。

 恥ずかしながら文科省のプロジェクトは今年が最終年度で、メグベースでの地域、バイオマス利用マニュアルというのをURLで公開しつつありますので、まだ試作途中で恥ずかしいですが、飯田さんのほうにアドレスをお送りしますので、ごらんいただければと思います。

【国総研】  ありがとうございました。2点ご質問をいただきました。

 まず、資金の話なんですけれども、おっしゃるとおりでして、先ほど持続可能性を財政云々と4つも挙げてしまいましたけれども、このうちどの指標を私たちが独力でつくれるかというのは、今のところ最短距離にいるのは財政かなと思っているんですけれども、ほかの部分のCO2とか何かについては、皆さん方の知見をふまえたほうが、日本国全体の資源の使い方としては適切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、データベースについては、先ほどちょっとメンテナンスのよさだけを言いましたけれども、先生がおっしゃるとおり、使いやすさとか、わかりやすさという、もう1つ要求条件があると思いますので、それについて忘れないようにしていきたいと思います。ありがとうございます。

【主査代理】  ほかに何かご意見ございますでしょうか。なければコメントシートを1度お渡ししてまた返していただくんですが、コメントシートにご記入いただいて、回収をしていただければと思います。

(評価シート記入)

【主査代理】  それでは、今、委員の先生方からコメントをいただきましたが、この課題、人口減少期における都市・地域の将来像アセスメントの研究ということでございますが、何人かの委員の先生方から、ある意味では先行的な研究があるということがございまして、今の段階で先行的な研究のどこが抜けていて、どこをやるべきかというのを精査するのは大変だと思いますので、むしろその辺のところは走り出してから少し考えていただくという面も含めて、全体的な評価としては実施すべきという評価にさせていただいてよろしいでしょうか。では、私自身も聞いて、今、発言はしなかったんですけれども、評価の手法、最後の段階でどれにしようか、行政コストが一番簡便かなという発言がありました。私は初め、全部これをやるのかなと思っていて、大変だなと思っていたんですが、もしそうでしたら初めの課題と同じように、副題的なものをこういう側面からやるよとかいうことをしていただいたほうがいいのかなと私自身は思いました。

 アウトプットの話が最後のほうにありましたけれども、非常な高級な方法論を出してもなかなか使ってもらえないということで、学生とは言いませんけれども、学生が使えるような手法とか、プロの目からいろんな手法をつくってしまうと、なかなか使えなくなるということもありますので、その辺も注意をしながら研究を進めていただければというふうに思います。

 今のコメントに対して何かつけ加えるべき点ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。


〈その他D「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」〉

 それでは、きょうの事前評価の3番目、全体評価の最後でございますが、「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」ということで、初めにご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【国総研】  「地域特性に応じた住宅施策の効果計測手法の開発」につきまして、住宅研究部からご説明させていただきます。私、住宅研究室の○○がご説明をさせていただきます。

 まず、簡単に研究の目的についてご説明申し上げます。

 地方公共団体の主体性や創意工夫を生かした住宅施策の展開がますます重要になっている中で、本研究は地方公共団体がその特性や要請に応じて実施する多様な住宅施策を対象として、施策のタイプごとにプロトタイプとなる合理的な施策効果の計測手法を開発しようとするものでございます。

 対象とする住宅施策としては、その下に掲げておりますような施策をイメージしております。

 本研究の位置づけですが、お手元のA3折り込み資料に示していますように、住宅研究部のコア研究及び国総研の研究「大枠」にそれぞれ位置づけられております。

 研究の背景ですが、住宅政策を取り巻く社会経済情勢の変化に応じて、国民の住宅や居住に対するニーズが各地域において、非常に多様化・高度化している。また、住宅政策の枠組みの変化や地方分権の推進の中で、地域の実情を最も的確に把握できる地方公共団体が主体となって、自主性・創意工夫を生かした住宅施策の展開を行っていくことがますます重要になっていることが挙げられます。

 こうした中で、地域において質の高い住宅施策を今後展開していくに当たっては、施策の効果を適切に計測し、その結果を次の施策展開に結びつけていくという仕組みを普及させていくことが重要であると認識しております。

 しかし、地域における住宅施策の効果計測の実施に当たっては、次のような課題が指摘できます。一つ目は、地方公共団体レベルにおいては、合理的な施策効果についてのノウハウがまだ十分に蓄積されておらず、その手法が未整備であるということです。二つ目は、住宅政策自体が、地域のさまざまな要請に応じた多様な目的の施策を扱い、しかも、その中には、民間市場を幅広く対象とし、広域的に展開する施策が多いため、施策効果を一律の手法で計測することが難しいという状況が挙げられます。

 そのため、地域において重点施策に位置づけられている施策であっても、定量化指標の設定が難しい場合には、施策効果の計測が実施されにくい状況にあるといえます。また、施策効果を計測する指標が設定されているケースであっても、アウトプット的な指標で効果計測をする仕組みになっており、施策が地域に及ぼすアウトカム効果を計測する仕組みになっていない場合や、そもそも達成しようとしている目標値の設定根拠自体があいまいな場合があるなどの課題が指摘できます。

 こうした課題を踏まえまして、本研究では大きく2本の柱を設定して研究を実施しようと考えております第一の柱は、施策の目的や施策の実現ツールの組み合わせによる施策タイプごとに、合理的なモデルとなる施策効果や施策の効率性の計測手法を開発しようというものです。第二の柱は、開発した論理モデルに地方公共団体の実際の施策情報を当てはめて、施策効果の発現状況を分析・整理・蓄積することにより、施策タイプごとの施策効果の期待値を設定しようとするものです。

 研究内容についてご説明します。第一の柱について、1点目の論理モデルの開発についてですが、施策タイプごとに施策のインプット、アウトプット、アウトカム、最終的な施策目標につながる流れ図のようなロジックモデルを組み立てます。こうしたモデルに基づき、アウトカムを定量的に把握する指標の設定方法をモデル的に開発するとともに、アウトカム指標についてどのようなデータを用いてどのような解析手法により定量的に計測すればよいのか、その計測手法をセットで開発することを目的としています。なお、施策ごとに設定されるアウトカムは一つではなく、様々なレベルの複数のアウトカムが設定されることになると想定しております。

 2点目のアウトカムの達成に対する施策の効果・効率性の計測手法についてですが、アウトカムを計測する際には、できる限り施策目標に近い、つまり地域への波及効果をより直接的に表すアウトカムを用いて施策効果を計測することが、重要になってきますが、施策目標に近い最終アウトカムになるほど、施策効果以外の外的要因が働いてくる可能性が大きくなります。このフロー図でいえば、右側になるほど、外的要因の影響が強くなります。こうした場合、外的要因を取り除いた施策の直接的効果を計測するためには、施策を実施しなかった場合の効果と施策を実施した場合の効果をそれぞれ推定し両者を比較する手法が必要となります。このため、施策の直接効果の計測手法を開発することを考えております。

 一方、施策の効果とともに、施策の効率性の計測が重要になりますが、従来、アウトカムを用いた効率性の計測は一般に実施されてきませんでした。すなわち、従来は、アウトプットとインプットの関係に基づいた効率性の計測が一般でありました。しかし、本当に重要なのはアウトカム達成の効率性ですので、施策のアウトカムとインプットの関係に基づいた効率性の計測手法を開発することを考えております。

 以上が論理的な効果計測のモデル手法の開発の概要でありますが、次に第二の柱である施策の効果計測による基準値の開発の内容について簡潔にご説明します。全国の地方公共団体で実施されている様々な施策技術情報を収集し、それを上記で開発したモデル手法を適用して、施策タイプごとの効果発現状況を分析・蓄積していきます。施策の目標・タイプ・内容などに応じてどのような施策効果が得られているのかをできる限り客観的に蓄積していくことによって、例えば地方公共団体が施策効果の計測のために、達成の目標値を設定する際の参考情報を提供することが可能になります。これにより、地方公共団体において、施策の達成目標値を適切に設定し、合理的に施策効果の計測を行う仕組みを普及させることをねらいしております。

 、本研究の成果と活用についてですが、本研究の実施により、住宅施策の合理的なプロトタイプとなる効果計測手法が確立されることになります。また、施策タイプごとの施策技術情報、施策効果の計測手法、効果の計測結果や効果発現状況等をアーカイブとして整理して、地方公共団体に公表していきます。こうした本研究の成果は、地方公共団体の多様な住宅施策の効果計測に直接的に活用されるとともに、地方整備局や本省を通じた地域の施策展開への助言・指導、さらには国の支援制度の効果的な運用にも反映されることにつながります。

 最後に、本研究の実施体制ですが、本省及び各地方整備局と連携するとともに、大学や学会等の学術的な知見等も得ながら、実施していくことを想定しております。

 以上で説明を終わらせていただきます。

〈課題説明終了〉

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【主査代理】  どうもありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問ございましたら、よろしくお願いします。

【委員】  全体としては、大変重要な課題を取り扱っていただいていると思います。今回の住生活基本計画の策定時に各自治体で取り組まれた数値目標設定では、必ずしも施策をきちっと評価するという仕組み自体が十分理解されないまま、量的な目標設定をするということがあちこちで見られました。また、そのことに対する議論も随分行われて、政策評価の枠組みと数値目標設定のガイドラインの必要性が指摘されています。この研究がそうした役割を担うのではないかと期待しています。

 ただ、一連の議論を通じて私自身非常に強く感じることがあります。それは、あまりにも定量的な手法にこだわり過ぎることにも問題があるということです。本研究は、従来、政策立案において定量的なアプローチが不十分であったという反省に基づき、そこを強化しよう内容であると理解できます。それはそれでいいのですが、量的指標だけで施策の効果は必ずしも評価できない。実際の施策評価では、量的な指標になるものと、そうならないものがあって、いずれも評価は可能だと考えるべきだと思います。定性的なアプローチも含めて検討するというスタンスをとらないと、研究の成果がゆがんだものになる可能性もある。そういう観点からすると、要するに評価というものをどう考えるかという、最初の理論的なモデルのところの議論が決定的に重要になります。定量化できるものとできないもの、定量的な評価に乗りやすいものと乗りにくいものがあることを十分配慮した立論を期待いたします。以上でございます。

【国総研】  貴重なご指摘どうもありがとうございました。

 施策効果の計測の考え方には、大きくは事業評価方式、実績評価方式、総合評価方式という3つの方式があろうかと思いますが、住宅施策の効果計測に現在一般的に用いられているのは実績評価方式であります。このため、本研究では、まずは実績評価方式による効果計測をより合理的に行う手法開発を中心テーマと考えております。すなわち、ある目標を実現するためにある施策を実施した場合に、その施策はどのような状況を達成し、それが地域社会にどのような波及効果をもたらすのかという、ロジックモデルを明示的に描いた上で、適切なアウトカム指標を設定し、実績評価方式に基づく合理的な効果計測を行うことが非常に重要であると考えております。

 その一方で、ご指摘いただいたように、施策タイプによっては、定量化指標の設定がなかなかしにくいものもあろうかと思います。指標の設定の難しい施策については、本研究においても別の効果計測の方法を検討し、きちんと対応していきたいと考えております。

 その一つの方法として、施策のアウトプット、アウトカム、施策目標の関係をロジックモデルとして設定してアウトカム指標を計測するだけでなく、施策がどのような状況でアウトカムの達成につながるのかを施策効果以外の外的要因との関係で整理することによって、実は先ほど申しました3つの評価方式のうちの政策効果の発現状況を総合的な視点から分析するという、総合評価方式による効果計測にかなり近づけていけるのではないかと考えております。そういう総合評価方式による効果計測という視点にも取り組んでいきたいと考えております。今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

【委員】  アウトプットからアウトカムというときに問題になるのは、多分、ここである施策をやっても、それは1つのアウトプットに対応するんですが、1つのアウトカムが1つの施策に対応しているわけじゃないわけです。例えば木造の地産地消だとか、そういうのは地域における市場インフラができてないと、いくら需要だけあってもだめだとか、そういうのがあります。

 そういう意味で考えますと、まずアウトカムに対してアウトプットといいますか、複数の施策が関係しているので、ある種の樹系図をつくらなきゃいけないんですよね。こういう単純な一連の図になるのではなくて、もっと立体的といいますか、複数のものが入ってくる。特にアウトカム指標で重要なのは私は中間評価だと思うんですが、例えば中間評価の中で3つのものが要因でアウトカムが構成されるとして、どれがボトルネックになっているのかということをいち早く判断して、それを今度は振興するためにはどうしたらいいかということで、施策にフィードバックする。そういうサイクルが必要だと思うんです。

 ですから、単純に終わったことを評価するというよりも、むしろ中間的な状況で何がボトルネックになっていて、それを解消するとうまくいきそうなのかどうかという、その判断ができるような定量的な評価の方法、これをぜひ目指していただければと思うんです。

 ですから、そういう意味では、これは多分、単純化のためにこうされたんだと思うんですが、もう少しアウトカムに対するいろんな要因をうまく入れるのと、それから特に中間評価で評価するときに資するような評価技術をぜひ開発していただけるといいなというふうに思います。

【国総研】  貴重なご意見ありがとうございました。

 資料では、ロジックモデルというものを簡単に説明するために単純なモデルとして示しておりますが、ご指摘のとおり、施策の効果は多岐にわたり実際のモデルはより複雑になると考えております。さらに、政策目標達成のために実際にはいくつかの施策を組み合わせて実施されている場合も多くありますので、実際のモデルは、ご指摘の通り、より複雑な樹系図のようになると考えられます。そうした中で、本研究においても、施策ごとに設定されるアウトカム・フローは様々なレベルのものが複数になると考えておりますので、地域の市場環境や地域の状況の中で、どのアウトカム・フローが達成されやすいのか、あるいはどのアウトカム・フローにボトルネックがあるのかという点について、きちんと計測できるような仕組みを構築していきたいと考えております。

 また、本研究を実施する上で、早い段階から公共団体の協力を得ながら施策技術情報を収集し、ロジックモデルを構築しながら、実際の効果計測を行っていくことを考えておりますので、研究実施期間の中で、施策の中間評価的な計測の実施も検討していきたいと考えております。今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

【委員】  先ほど1つ前のご発表で、人口減少期における都市とか地域とか、地方都市のお話が出ていたわけですけれども、その中で3つのお話があって、環境と財政と市民満足度というお話があったんですが、こういう住宅施策をした場合の受け手の側、つまりお住まいになる方と、それから単品だけじゃなくて、実はこういう施策を推進するというのは街並みをつくることなので、そういうできた市街地がどう評価されるかという、言ってみれば内部の自己評価に当たる地域住民の方の満足度と、それからもう1つは来外者、ほかの地域から来られた方がいいまちができているという、それもこういう住宅施策の評価項目じゃないかという気がするんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

【国総研】  施策の目標に応じて、様々な指標が効果測定の指標になると考えております。例えば、ご指摘のあった「街並み」でありますと、ある一定のエリアの住環境整備を行う施策や、景観整備を行う施策のような場合は、地域住民や周辺市民による街なみの評価というのが重要な効果計測の指標になると考えられます。

 また、「中心市街地の活性化」については、中心市街地の活性化を目標とする施策の効果計測にあたっては、中心市街地に魅力を感じて入ってこられる方の数や、その満足度などが重要なアウトカム指標になると考えられます。このように、施策のさまざまな目的ごとに計測すべきアウトカムは多様に変化してくるものと考えております。

 そうした中で、ご指摘のあった街並みだとか、地域の居住者や来街者の評価というものも、施策目標に応じて、重要なアウトカム指標になるものと考えております。今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

【主査代理】  ほかに何かご意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは、先ほど使っていただいたコメントシートにまた書き込んでいただいて、事務局に集めていただければというふうに思います。

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(評価シート記入)

【主査代理】  今、委員の先生方からコメントをいただきましたが、今、実際にいろいろとやられている施策、住生活基本法への関連ということで、研究の意義が非常に重要だというご意見がございまして、全体的な評価としては「実施すべき」ということでよろしいでしょうか。委員の先生方の議論というか、コメントはある意味で評価というところに集中をしていました。

 ただ、このタイトルは評価という言葉は使ってなくて、効果計測手法の開発というふうに、一体どっちが先なのか。継続をしたあと評価するのか、評価というのは数字で定量化できないものも含めてやるのか、いろんな考え方があるかと思いますが、1つは定量化できるものと定量化できないものもあるだろうと。そういうものをいかに組み込んでいただくか。組み込めないにしても、どこまで配慮をするかということが1つ重要な点ではないかということと、住宅施策の効果計測ということですので、どういう視点から効果の計測をするかということも視野に入れながら、研究を開始していただければというふうに思います。

 何かつけ加えるべき点ございますでしょうか。どうもありがとうございました。

 そうしますと、以上できょうの事後評価2件、事前評価3件すべて終わったんですが、全体を通じて何かご意見。どうぞ。

【委員】  私どもが例えば科研費ですとか、国のいろんな研究費をいただくときに、研究評価というのがあるんですね。そのときに我々が評価いただくとき、大体小数点以下1けたぐらいまで結果がでるのです。ですから、例えば前半のほうで、同じ評価の数字になっていましたけれども、整数で切るのではなくて、何点幾つぐらいで評価するほうがいいのかなという感じもするので、少しご検討いただければと思います。

【主査代理】  我々の全体の評価の方法について再考してほしいと。ほかでも採点評価ばかりやっていると研究が進まないというあれもありますが、評価は今は避けて通れないところでございますので、なるべくほかでもやられている評価の方法に似せなきゃいけないということはないんですけれども、ある意味では共通的な面もあるべきだと思いますので、ご検討いただければと思います。

 ほかに何かご意見ございますでしょうか。なければ、これから評価書の作成をしなきゃいけないんですけれども、きょう評価いただいた5つの課題の評価書でございますが、きょうの議事録等々を確認しながら、私ときょうご欠席の○○主査で作成するということで、○○主査と私にご一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございます。

 ちょっと当初の予定をオーバーしてしまいましたけれども、これ以降の進行につきましては事務局のほうにお返しいたしますので、よろしくお願いします。

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5.今後の予定について

【事務局】  長時間のご審議ありがとうございました。それでは、今後の予定等について簡単にご説明させていただきます。

 今後、先ほど主査代理のほうからご発言がございましたように、評価内容につきましては主査代理にご一任、実質、主査とご相談しながら最終決定していただく予定でございます。また、議事録のほうは、委員の皆様方にメールでお送りをさせていただく予定でございます。必要に応じまして修正いたしまして、最終取りまとめてまいります。また、資料全般につきまして、議事録も含めまして公表予定でございます報告書及びウェブでも公表予定でございますので、その点ご留意をいただければと思います。当然、無記名とさせていただきます。

 以上をもちまして、最後に所長から一言ごあいさつをお願いいたします。

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6.国総研所長挨拶

【国総研所長】  非常に長時間にわたりまして熱心にご審議を賜りまして、大変ありがとうございました。全般に通じて言えることですけれども、どうしても問題意識を持って研究を始めますので、それが3年間で解決するかとか、5年間で解決するかというとなかなか難しくて、表題と中身とに差があるようなケースが多々ございます。どうするかということについては、先程いろいろご指摘をいただきましたので、また工夫をしてみます。ただ、一方で、仮に課題が難しくても問題意識はぶつけていかないといけないというところもありますし、研究の過程で何か思いもよらない成果が出てくるかもしれない。こうしたことも大いに期待をしなければいけないなのかなというふうに思っているところでございます。

 それから、特に先ほど来幾つかお話がありましたが、地球環境に絡んだ課題は、今年、来年あたり時間との勝負になってくるのではないかということと、それからどうも日本の国内だけでいろいろ話をしていても話にならなくて、ウカッとしていると欧米に席巻されるというような状況も想定されますので、どういう体制を整えて上手に機動的な対応をとっていくかということも考えていかなければならないというふうに思います。

 たしかクリントン前大統領だったと思うのですけれども、ニューヨークかどこかで開催された世界の大都市会議で石原都知事などが出席されたときに、省エネのビルをつくることに関係してセールスを始めました。セールスがその後うまくいっているのかどうかわかりませんけれども、そんないろんな動きがどんどん出てくる可能性があるので、それらも頭に置いて、手を打っていかなければいけないというふうに思います。また、いろいろな場面で先生方にはご支援を賜りたいと思います。

 きょうはほんとうに長時間にわたりましてありがとうございました。

7.閉会

【事務局】  それでは、第2回国総研研究評価委員会分科会を終了させていただきます。長時間どうもありがとうございました。

 なお、資料につきましては、封筒に入れてお名前をお書きいただきまして、机の上にお残しください。後ほどお送りさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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