評価の結果



 本評価結果は、平成19年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会における審議に基づきとりまとめたものである。
平成19年10月4日
国土技術政策総合研究所研究評価委員会
委員長 森杉 壽芳

【総合評価】

「国土技術政策総合研究所(以下「国総研」という。)の研究活動(平成18 年度)」については、施策への反映、研究活動を通じての知見を活かした技術支援等についても十分な活動があり、おおむね順調であったと評価する。今後は、国民との信頼関係づくりを行う上でも、情報発信及びコミュニケーションに関して、積極的に行うべきである。

「研究活動のマネジメント」については、「コア」「大枠」というマネジメント手法の内容が作成・精査されつつあり、具体的な進捗がみられるという観点から、おおむね順調であったと評価する。今後は、社会情勢の変化や社会的なニーズに対応する必要性から、適宜適切に見直しを行うこと、全体の進捗管理を行い全体のマネジメントという観点を強化すること、関係機関との連携に努めること等に留意し、引き続き研究マネジメントについての取組みを進められたい。

「人材育成」の取組み状況については、人材育成管理表の作成・活用事例など、一歩踏み込んだ検討がなされており、望ましい方向であると評価する。引き続き、検討を深めていくべきである。

 以下に列挙する各委員からの指摘事項も参考に、国総研の使命を今後とも果たしていくことを期待したい。

【委員からの指摘事項】
国総研の研究活動について(平成18年度)
国総研の研究活動については、ニーズに基づき自分たちで必要な研究を進めるほかに、技術や政策動向の全体を見通して、海外を含めた各種関係機関との連携が必要であり、今後一層連携を深められたい。
研究活動の評価について、国総研の使命といった大きな方向性の整理がされ、それに基づき具体的な政策支援の例が示されているので、全体の見通しが良くなり、成果も分かりやすくなった。この方向での取組みを進められたい。
国総研の使命として、技術政策の企画立案に役立つ研究を実施し、実際役立っていると思うが、役立つことに重きを置くあまりに少し視野が狭いきらいがある。第三次科学技術基本計画にも記載されているように、重点領域の研究とともに、基礎的な研究の実施(国総研としてはコアの考え方)や研究者の自由な研究環境づくりも必要と思われる。
第3次科学技術基本計画に、つくばを今後どのようにしていくかが課題として示されている。国総研は、研究学園都市つくばの主要な研究機関であり、地域の活性化の視点から、貢献のあり方を検討することも重要な課題ではないか。
地球温暖化のように長期的な取組が必要な研究と短期間に成果が必要な研究とを分けて考えることも必要ではないか。
国土交通省として政策をより効果的にするために、国民との信頼関係づくりの一層の向上へ向けて情報発信の工夫が必要と思われる。
研究マネジメントについて
ソーシャルキャピタルは重要な概念であるが、政治的な概念でもある点に留意が必要。今後どのように育成していくのか、どのように計測し効果検証すればいいのか等、より広い立場での検討が必要である。
これからの国土整備のあり方、社会資本の維持管理のあり方を考えるときに、建設工事そのもののCO2削減については重要なテーマであり、検討すべき事項であるが、従来は、縦割りの中で議論がしにくかった。大枠の中で、一体的に考えることが可能ではないか。
個別テーマについてだが、景観を考える上で、直接施設整備ができる部分とそれ以外の部分とを同時に検討することが必要であり、農水省等他省庁との連携による総合的な取組が必要である。
次のステップとしてマイルストーンを示していくことも必要ではないか。また、年報、研究報告等の情報発信においても、全体の研究マネジメントの視点を強化していくことが重要ではないか。
地球温暖化のテーマとは別に、温暖化による災害については災害対策に入っている。それはそれで一つの整理のあり方だが、これらの事柄を一括して見せることも必要ではないか。それにより、年後の将来展望や戦略も見えてくるのではないか。
大枠の表は、右側になればなるほど空欄が出てくる。即ち、必要性は認識していても、具体的な研究としては、国総研が現在着手していないものや、関係機関が実施すべきもの等がある。このため、大枠のフィードバックを行っていくことが重要と思われる。
長期的な視点が必要な課題や連携が必要な課題については、国総研の枠の中でできることの他に、他機関との連携を行うこと、文科省の科研費等の政府全体の枠組みを使うことも検討が必要と思われる。
人材育成について
良い研究者を育てるということと、国総研に必要な研究者を育てるということには相反する部分もあるかもしれない。研究者の育成の観点からは、双方が求められると思うので、そうした点にも配慮した人材育成策が必要。
人材育成に当たり、元々ある根幹的な技術と新たなトピック的な技術との関係をどのようにしていくかについて、配慮する必要があるのではないか。また、研究者のキャリアパスとの関係も考慮する必要があり、国総研の研究者では足りない部分についてアウトソーシングも含めて考える必要があるのではないか。