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4) 「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」の策定
下水処理水の安全性への要求が高まってきていること、建築物衛生法関連政省令が改正されたこと等を踏まえ、国総研では本省下水道部と連携して、下水処理水の衛生学的安全性に関する実態調査を行い、糞便性汚染を示す指標としての大腸菌の適用可能性の検討及び残留塩素の保持による安全性の維持効果について検討を行うとともに、下水処理水再利用に関する利用者意識調査を行い、下水処理水の色、濁り、臭いが利用者の嗜好に与える影響について検討を行いました。この成果を踏まえ、下水処理水再利用に関する技術上の基準及び下水処理水再利用の実施に当たり必要となる考慮事項等をとりまとめ、学識経験者や地方公共団体からなる委員会に諮り、「下水処理水の再利用水質基準等マニュアル」を策定しました。本マニュアルは、平成17年4月に下水道部より地方公共団体に通知されました。 |
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5) 「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」の策定
近年相次ぐ地震災害の発生やそれに伴う大規模地震に対する土木構造物の耐震性への社会的関心の高まりを受け、既往の耐震基準で設計されたダムの大規模地震時における耐震性能を合理的に照査する必要から、国総研では、@照査用地震動(レベル2地震動)の定義、A確保すべきダムの耐震性能の定義、B地震応答解析による照査手法とその結果の判断基準、について研究検討を行い、その成果を用いて大地震に対するダムの耐震性能の照査方法を体系的に整理した技術指針案を策定しました。この技術指針案は、平成17年3月、「大規模地震に対するダム耐震性能照査指針(案)」として河川局治水課長より各地方整備局等に通知され、今後その試行が行われる予定です。 |
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6) 「交通事故対策・評価マニュアル」及び「交通事故対策事例集」の作成
事故抑止対策については、より効果的な立案、効率的推進、適切な対策効果の評価が求められています。このため国総研で、対策検討の一連の手順を体系化した「交通事故対策・評価マニュアル」案の作成等を行うとともに、道路局及び警察庁交通局の取りまとめを支援し、また、事故要因の分析から対策立案までの具体的な検討の際に参考となる「交通事故対策事例集」及び対策検討の知見を蓄積するための「事故対策データベース」を作成、構築しました。作成したマニュアル及び事例集は各道路管理者に配布され、平成15年度に指定された事故危険箇所の対策検討に活用する旨の事務連絡が、平成16年9月に道路局及び警察庁交通局より発出されました。 |
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7) 「道路行政マネジメントガイダンス」の策定
道路行政においては、平成15年度より成果志向の道路行政マネジメントを推進しており、今後は成果を意識した現場レベルでの実践が重要となってきます。これを支援するために、国総研では、業務プロセスに関する自治体や民間のマネジメント手法の先進的な取り組みを調査・分析するとともに、道路行政への適用について検討しました。その成果を踏まえ、道路局と共同して全国各地の事業展開・管理の実情を把握し、成果目標を達成するためにどのような施策・事業をとればよいかなどの行政判断等を支援する具体的な仕組みを企画した「道路行政マネジメントガイダンス」を作成し、平成16年11月に道路局から地方整備局等に通知されました。 |
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8)「鋼道路橋PC床版の施工マニュアル(案)・施工管理要領(案)」の策定
国総研では、鋼道路橋のPC床版(プレキャストPC床版及び場所打ちPC床版)に関して、良好な施工品質を、より確実に実現するための施工上の留意点や手続きと、それらが確実に実施されていることを保証するための施工管理手法のあり方について研究をしました。その成果を活用し、品質確保に関する要求事項について、その理由や位置付けを体系化した、「施工マニュアル(案)」と「施工管理要領(案)」を策定しました。これらは、現場でのPC床版の施工計画作成時の資料として活用されています。 |
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9)「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」の作成・公表
高経年マンション(2〜3回目の大規模修繕工事を迎える、建築後30年程度以上を経過したマンション)が増加している中で、改修により建物を有効活用しつつ長持ちさせていくことが社会的に重要となっています。このため、国総研では、高経年マンションに必要とされる改修手法を新たに提案し、改修に必要な技術の収集・整理を行うとともに、改修に係る法律上の手続き等を検討し、明確化しました。この成果を「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」として取りまとめ、住宅局市街地建築課と共同で平成16年6月に公表しました。 |
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10) 海洋環境データベースの標準化と利用システムの構築
関東地方整備局の設立した東京湾環境情報センターに登録される東京湾の水環境の情報について、国総研では、観測情報を提供するとともに、港湾環境のデータベース作成に当たって、多様な海洋環境データの特性をUMLを用いて構造解析を行い、標準化を行いました。また、その成果が活用しやすいよう作成したXMLのスキーマやXMLへの変換ツールは、港湾環境データベースの利用システムの構築に反映されました。 |
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11)「港湾整備事業の費用対効果分析マニュアル」の改訂
港湾整備事業の事業評価は、運輸省港湾局により平成9年に策定された「港湾整備事業の費用対効果分析マニュアル」に基づき実施されています。国総研においては、事業の効果的効率的な実施やアカウンタビリティの向上に対する国民の要請の高まりに応えるため、事業評価手法の高度化を目的として、国際トランシップ(積替)貨物取扱に係る供給者便益の計測手法や港湾貨物の航路別時間価値の設定手法を構築しました。これらの成果は、平成16年6月に港湾局が策定した「港湾整備事業の費用対効果分析マニュアル」の改訂に活用されました。 |
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12)「空港舗装構造設計要領」の一部改定
空港コンクリート舗装の建設コスト、維持管理コストの縮減を目標として、国総研では、空港コンクリート舗装の目地間隔拡大について検討しました。検討では、コンクリート試験舗装の長期観測や有限要素法による解析を実施し、コンクリート版に発生する応力との関係から、最大目地間隔を従来の7.5mよりも長い8.5mとしても問題が無いことを確認しました。この成果は、平成16年4月、「空港舗装構造設計要領の一部改訂」に反映されました。 |
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13)「下水道土木工事施工管理基準及び規格値(案)」の策定
下水道事業の新土木工事積算大系の整備の一環として、従来、下水道の事業主体である地方自治体がそれぞれ個別に整備してきた下水道土木工事の施工管理基準及び規格値について、各自治体間の統一とすべての工種が整理さてれていない自治体の作成業務の負担軽減及び工事調達の透明性・客観性の向上を図るため、国総研が中心となり、全国的に統一した基準案を策定しました。その成果は、「下水道土木工事施工管理基準及び規格値(案)」として、下水道部から平成17年3月に地方公共団体等に通知されました。 |
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14)「新土木工事積算体系に基づく工事工種体系」・「用語定義集」の改訂
国土交通省では、平成3年度から、契約内容の明確化とともに、積算・契約業務の合理化・効率化のため、工事工種の体系化、共通仕様書・積算基準書等の契約・積算図書類等を体系的に整備する「新土木工事積算大系」の構築に取り組んでおり、現在までに一通りの整備を行ってきました。平成16年度には、国総研が中心となり、近年の施工実態等を踏まえたわかりやすい工種体系及び用語定義集への見直しや、工種体系・用語定義の名称の見直しを行い、全体で43工事区分の体系構築と約920の用語定義がなされ、「平成16年度改訂版 新土木工事積算体系の工事工種体系ツリー」及び「平成16年度改訂版 新土木工事積算体系用語定義集」を改訂整備しました。これらは、各地方整備局の積算・契約において使用されています。 |