第2章 評価の結果




 本評価結果は、平成17年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会における審議に基づきとりまとめたものである。
平成17年10月4日
国土技術政策総合研究所研究評価委員会
委員長 森杉 壽芳
 研究開発活動については、22のプロジェクト研究を始めとした研究から生み出された研究成果が多くの施策へ反映されることで有効に活用されているなど、成果は出ているものと評価することができる。
 ただし、評価にあたっての情報が十分ではない点も見受けられた。このため、研究方針のそれぞれの技術政策課題に対する国総研の研究の実施状況を分かりやすく整理するとともに、どれだけ政策に関与したかについて定量的な評価を行うなど、国総研の持つ社会的ミッションに対応した評価方法について改善を図られたい。
 以下に列挙する各委員からの指摘事項も参考に、国総研の使命を今後とも果たしていくことを期待したい。

【委員からの指摘事項】

<技術政策課題に対する研究の実施状況について>
それぞれの技術政策課題の中で国総研の研究課題がどの程度カバーしているのかを自己点検で評価すべきである。
国交省の方針を受け、国総研がどのようなことを研究として行い、目指すゴールに対して、現在どの辺りを研究しているのか、どういう方向に向いているのか分かりやすく整理して欲しい。
<国総研のミッションに対応した評価方法について>
研究者のキャリアにおいても、論文だけでなく、どれだけ政策に関与したかということを評価すべきではないか。マニュアルや指針を書くと言うことも立派な仕事であり、きちんと評価し、あるいは、そのような能力をもっと育てていくというポリシーも必要である。
政策が研究を誘導しているのか、国総研の研究が政策を誘導していくのか。政策オリエンテッドだけでなく、研究が政策を引っ張るというところを目指していただきたい。
長期の研究をきちんと展開していき、政策を引っ張っていくことが主眼である。特にプロジェクト研究からの施策への反映を重視していくべきである。
若手研究者の育成による人的資源の充実は、研究機関としてもっと声を大にしていっていい成果である。
サイエンスの目から見てもしっかりした技術指針等を打ち立てていることを明らかにするためにも、論文のレビューを受けることも必要ではないか。
資源の過不足や研究の道筋等の効率性についての自己評価をテーブルの上に出していただきたい。また、有効性については、かなり長いスパンで評価していく必要がある。
<研究成果の発信について>
研究成果の発信の面では、読者をきちんとターゲティングするという戦略が重要である。また、人が出てこないのが物足りない。一般の人が研究の成果に関心を持つには、驚きが必要であり、それは事実のおもしろさと担当している人の意外性である。
国総研の結果を世の中の役に立てるには、学術論文以外にも雑誌等にもう少し広く結果を発表していただき、政策を考える時に国や地方自治体の人にも活用してもらうことが大事である。