各種資料

第2章 評価結果




評価の結果
 
 本評価結果は、平成16年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会における審議に基づき、とりまとめたものである。
 
  平成16年7月30日
  国土技術政策総合研究所研究評価委員会
  委員長 虫明 功臣
   
【総合評価】
 国総研の研究開発活動では、必要性、効率性、有効性の評価の視点から、必要な研究が効率的に行われ、生み出された研究成果が多くの施策へ反映されることで有効に活用されており、全体として評価することができる。
 社会情勢を踏まえ、社会の要請に応えていくという視点では、多くの施策に反映できる研究成果が生み出されており、施策の取りまとめに当たって国総研の研究者が重要な役割を果たす実績も認められることから、評価することができる。
 説明責任という視点からは、年報に多くの情報を整理する等、種々の努力がなされており、説明責任を果たすことが良く行われていると評価できる。ただし、個々の研究者の研究範囲・成果等をホームページに掲載することによって国総研の研究者や研究の構成等を分かりやすく示していくことについて検討されたい。また、教育向けのパンフレット作成や他機関と連携した出前講座等、教育への関与のあり方についても今後検討していく必要がある。
 
 以下に列挙する各委員からの指摘事項も参考に、国総研の使命を今後とも果たしていくことを期待したい。
 
 
【委員からの指摘事項】
 
<施策への反映について>
国総研が中心となって技術的検討を行った事項でなくても、他機関と連携して研究等を行うことによって、総合化され良い成果が得られたという視点で自己点検が可能と考えられる。
他機関と連携したり、本省が中心となって施策へまとめる際に、国総研が研究面でリードする形で取りまとめることは良いことであり、非常に重要である。また、そのような活動を積極的に評価していくべきである。
委員委嘱の数が非常に多いが、単に委員として出席するだけでなく、事務局の役割を担っている場合も多いと思われる。そのような場合には、研究成果がすぐさま施策へ反映されることが多いものであり、明示してはどうか。
 
<研究成果の発信及び広報について>
分野間での競争が激しくなっており、日本の学会に日本語で投稿するだけでなく、サイテーションインデックスへ登録されるような論文でないと、今後は他分野からは認められない。人員と予算に見合った成果が出ていることが見える研究業績の示し方が必要である。
自己点検書は、施策への反映実績に焦点を当てて整理されており、大変分かりやすい。加えて、どんな人がどんな形で貢献しているかを示すと、なお一層PRできるのではないか。
国民に対する説明責任という観点からすれば、国総研における個別の研究の予算について、支障がなければできるだけ公開した方がよいのではないか。
全体的に着々と活動していると評価でき、特に子供向けパンフレットを作ったことは大変評価できる。今後は、環境教育や理科教育に役立つよう、アニュアルレポートの内容から取り出して、子供向けパンフレットに盛り込み、詳しいものにするという方向で、強化されたい。
土木学会では、生涯教育の一環として、例えば小学校の総合学習の時間に専門家を派遣しての講義や、学校の先生に使ってもらえるようなプログラムの作成・提供を行っている。また、他機関の取り組み状況を参考にしつつ、どのように進めるか検討されたい。ただし、このような活動には手間暇がかかるので、そのようなことにも十分配慮しつつ進める必要がある。
国総研では非常に多様な研究が実施されているが、国総研がどこまでカバーしているかが明確になるよう、それぞれの研究者がどんな守備範囲を持っていて、研究成果を出しているかといった、個人の研究者という視点からアプローチし、研究を整理することについて検討して欲しい。例えば、ホームページに個々の研究者がどのような研究を行い、どのような成果を出しているかを掲載してはどうか。
 
<他機関との連携について>
本省の建設技術研究開発助成制度等で行われる研究について、関連分野の研究者による情報交換や共同研究の実施等、成果の活用を検討されたい。
 
<研究者の育成について>
研究者へチャンスを与え、そのチャンスを生かした研究者を評価し、報いていくことが原則である。
国総研は政策課題を担うという点で本省とのつながりが強く、人事も本省との関係で異動するケースが多いが、行政分野と同じく短期間での人事異動では、研究の継続性の面で支障が出る。研究をリードしていた人が突然変わることがあり、そのような場合には、研究所としての信用を失うことにもつながりかねない。難しい問題であるが、大変重要なことであるので、研究所として、人事のあり方に留意されたい。
大学や独立行政法人と異なり、国総研では若い頃から徹底したジェネラリストとしての研究者を養成することが、所のミッションにかなうのではないか。日本では若いうちからジェネラリストとしての研究者のトレーニングを積んだ人が少なく、そうしたことが求められている。
 
<国際的活動について>
受け入れた外国人の研究者が日本に滞在している間の大学との連携が大切である。
国の方針として、観光で来日する外国人だけでなく、外国人研究者等の親日度向上を視野に入れている。国総研で国際貢献を掲げるならば、研究者受け入れに関する予算措置等を考える必要がある。
独立行政法人土木研究所における国際センター立ち上げの動きに国総研の国際的活動を連動させるような工夫も検討されたい。