各種資料

平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会議事要旨





平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会議事要旨

1.日   時: 平成15年12月17日(水)9:00〜12:05
   
2.場   所: 虎ノ門パストラル 新館5階 マグノリアの間
  (東京都港区)
   
3.出席委員: 森杉主査、井口委員、日下部委員、辻委員、屋井委員(以上、第3部会)、浅見委員(第2部会)、高田委員(第2部会)
   
4.配付資料:  
資料1 平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第3部会担当)委員名簿
資料2 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会設置規則(平成15年度改正)
資料3 評価の方法等について
資料4 国土技術政策総合研究所プロジェクト研究一覧
資料5 新規プロジェクト研究候補等の資料
資料6 本分科会の評価対象研究に対する部会委員からのご意見
資料7 その他新規プロジェクト研究候補等(第1、2部会評価担当)の資料
参考資料1 行政機関が行う政策の評価に関する法律(行政評価法・抜粋)
参考資料2 行政評価法に基づく評価票(様式)
参考資料3 国土技術政策総合研究所パンフレット
参考資料4 平成15年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会報告書
5.議事次第:  
1. 開会
2. 所長挨拶
3. 委員紹介
4. 主査挨拶
5. 議事
(1) 評価の方法等について
(2) 新規プロジェクト研究候補等の評価
6. 報告
(1) その他新規プロジェクト研究候補等(第1、2部会評価担当)の説明
7. その他
8. 閉会
6.議事内容:  
(1) 評価の方法等について
   国総研の研究開発活動の評価の方法について、分科会の運営等の変更を含め、事務局より説明した後、委員の了解を得た。
(2) 議事「新規プロジェクト研究候補等の評価」についての評価委員の評価、意見及びそれらに対する国総研の回答
評価、意見等は、分けたり、重復のものをまとめて、話題ごとに整理した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
  @地域資源・交通拠点等のネットワーク化による国際観光振興方策に関する研究
アウトプットとしての地域マネジメントシステムとガイドラインは、誰に利用していただくのか。また、それはどういうところを目指しているのか。
観光にかかる、色々な主体がうまく参加できるような、あるいは、そういう人たちが地域全体をマネジメントできるようなガイドラインを考えている。地方自治体が主体ではあるが、観光振興分野では、もう少し広域的な連携を考えていかないと、本当の地域振興、観光振興にならないのではないかと言われており、そういう意味でも広く使えるような普遍性を持ったマネジメント手法を研究していきたい。
地域といっても、名所、名跡を特徴とする部分とか、あるいは、ディズニーランドのような部分とか、いろいろ個別の中で少しメニューをそろえて、例えば何々県はこの部分を中心にやってくださいとか、そういう形のマネジメントシステムとかマニュアル、そういうものがアウトカムとして出てくる方向でよいか。
そういった各地域の資源性の評価を含めて、トータルなものとして考えている。
タイトルが国土交通省的、国総研的であるが、これに対応する内容がない。
国土交通省として国際観光振興をしていこうという大きな方向付けがなされおり、観光振興を行っていく上で全体を俯観して地域整備の方向性を導き出す、また、交通拠点の広域ネットワーク化もその整備方向性の中で検討するというのが本研究のねらいである。
特にインバウンドに着目してこれからの日本の観光をどうするかは重要な課題であり、問題の設定自体は良いが、アプローチとして従来の研究と比べて新しさがない。例えば、訪日外国人に対する調査とか、今抱えている観光地の問題の調査とかは、従来から行われており、随分経験、蓄積もある。そういう研究をレビューすることで、たぶんゲームセットではないか。これからは、非常に大きな国際競争の中で、日本にどうやって来てもらうかということだから、今日本に来ていない人とか、将来日本に来る可能性がある人を対象にすることが最低限必要だ。
海外調査もする予定で、主要マーケット国における旅行動向、志向等、あるいは日本のイメージやなぜそう持たれているかについても併せて研究をしていきたいと考えている。
マネジメント手法については、従来から、いろいろな分野の人がそれなりに工夫してきている。それを国の立場から、研究機関として出そうとしているのだから、従来の研究成果を受けて、提示されたアプローチで分析していくと、なぜ、マネジメント手法がつくられてくるのかというところが説明不足ではないか。
観光資源を最も有効に活用するために計画し、実施し、それを見直し、継続的な改善をして、各地域が持っている観光資源をどうやって評価し、いかに連携させるかという視点から、地域全体の資源を最も有効に活用するようなシステムをつくっていこうというのが、このマネジメントシステムです。
ネットワークによって観光振興に貢献するというタイトルになっているが、そこが観光振興にどのようにつながっていくかという一番重要なところが記述されていない。もちろん、タイトルを変更するという方法もあるが、少なくとも従来からやられているような観光の研究なり何なりをレビューというのは、もう大体できており、その先をどのように具体的にやるかというところの説明がもう少しほしい。
ネットワークの整備により観光振興を行っていくということではなく、マネジメント手法の開発の中で、交通拠点の広域的なネットワーク化も視野に入れ、社会資本整備と連携させていきたいと考えている。
この研究の一番のターゲットは、インバウンド観光を増やすということだが、インバウンドが少ない主要な要因を挙げ、研究との位置付けをしてほしい。
これから研究していこうという段階でなので、はっきりお答えできないが、もう少し本質的に、日本の文化とか歴史をきちんと打ち出し、うまく発信し、また、発信の仕方でも、今までは、面、線、点情報が多かったが、それをもう少し大きな空間情報として出していくというようなことを考えている。
日本は、アジアの一番端にあって、ヨーロッパと比べ比較的裕福な国が周辺にあまりないという地理的な状況と、価格が高いので、そう簡単に来れないという2つの若干厳しい状況があるのではないか。それから、ヨーロッパの方からすると、中国を日本の景色として間違えて映すくらい、アジアという比較的大くくりな感じで認識する場合があり、そのときに、特に日本に行きたいという文化的な特徴、そういった点はかなり重要だ。例えば、価格が高いとなると、ある程度お金を出せる人がターゲットになり、海外調査の対象となる国とか層はある程度限られてくるのではないか。そういうところに最もアピールするという観点とか、少なくともそういった幾つかの要因の中で分析をすると、少し研究の戦略性が見えてきたり、わかりやすくなるのではないか。
例えば、ビザや言語の問題など社会構造としてダメなところがたくさんある。社会構造の中でどうだということをまず議論して、観光政策をどうすべきかという話が出てくるのではないか。それから、世界遺産があれば観光客が来るわけではなく、持続性と多様性が必要だ。そういう視点の議論はなかったが、こういう長期の研究課題には重要ではないか。
観光振興政策は国土交通省だけではなく、各省庁の行政が何らかの形で結びついている。観光立国懇談会のレポートも同様に各省庁が行うことになっており、既に動けるものは動かすということで対応している部分がかなりあり、その中で国総研がどのように支援していくかということで、この研究を立ち上げたものです。
観光資源の地球規模での偏在状況からすると、我が国のインバウンド世界三十何位というのは非常に健闘している部類だ。インバウンドが少ないのではなく、アウトバウンドが多すぎるだけだ。アウトバウンドは当該国の経済事情(所得等)や国民性(教養、外国への関心度等)に大きく左右されるものなので、たまたまわが国の数字が大きいものとなっている。決して今までの観光政策が間違っていたわけではない。ただし、その理解の上で、もっとインバウンドを意識的に増やそうというスタンスで、このテーマを捉えるのならば、それなりに意味のある研究と言えよう。各地の土木工学科の先生とかが観光行動の分析や、それに合わせた社会資本整備手法の開発をかなりやってきているので、ただこれを包括的にやっただけでは大きな効果は得られないであろう。むしろ「観光政策の変遷の分析」や「マネジメント手法の開発」あたりで工夫してほしい。そのためには、新しい動きを素早く正確にキャッチすることが必要だ。例えば、東京・青山の1軒の家具屋が思いつきで始めたTDBというイベントがある。新しい世代の日本的文化や独自のデザイン・スタイル、いわゆるジャパニーズ・クールをどんどん生み出し、ネットを通して世界に発信することで、3日間で海外からも含めて約70万人の観光客を集めた。こういう動きは国内にかなりあるはずなので、海外調査もさることながら、国内調査も是非地道にやっていただきたい。
観光のあり方も、変わってきていますので、新しい方向に向けて国内の調査も研究していきたいと思っています。
従来から、いろいろなことがやられている中で、今、国総研空港研究部で取り扱う「観光」というテーマとして、その全体が本当にできるのか。逆に、もっと先鋭的に、この問題がどうしても解けていないというところを、特に、国総研でなければできないといったところを、役割分担を明確にしてアプローチすべきではないか。ネットワークをつなげていって本当に外客が増えるのか、魅力が増すのか。今、インフラ整備による観光云々について効果自体が問われている。そこを切り込もうとしているわけだから、それに対応する内容が欲しい。
どのようなネットワークを組むことで、来訪者が満足するのか、外客が増えるのかに関しては、今後の研究課題ですが、日本に対するイメージを美現化するために、どういうネットワークをつくっていかなければいけないかということを考えていくことが必要だと思います。
より広い範囲を研究するという方向で既往研究の整理をされるようだが、既にこれだけの研究がされているので、得られる知見は、もう既に整理されているのではないか。そうではなく、例えば滞在型のインバウンドを増やしていく戦略とか、地域的に強化すべき戦略的拠点が導けないか。そういう発想で既往研究を整理し、そこから、全国や全ての観光客を網羅するような研究ではなく、ターゲットを絞り込んでいく研究内容にできないか。
観光振興に目的を据えた場合、観光客が回るであろう地域のすべての要素が、すべからく振興するために必要な要素になってきます。それぞれ1個ずつを研究しているのがこれまでの研究で、それで本当に振興の方向につながるのだろうかという疑問が観光に関しては常にあると思います。地域づくりということで、すべての面を検討した上で、その課題の中で、例えば、国総研が所掌する空港・港湾(ゲートウェイ空間)をどのような形で構築していかなければいけないかということを、背景からきちんと押さえ直し、これまでの研究をさらにまたもう一歩進めなければいけないのではないかと考えています。最終的には、御指摘のとおり、先鋭的にすべきポイントをきちんと洗い出していくことが研究の目的になっています。
国と地方の政策、民間事業者の様々な活動との関係(連携、インターフェース、情報の受け渡し)というところに工夫がないと、この研究自体の効果はあまり出ないし、研究の最終目標であるアウトカムに至らないことになるのではないか。
地方あるいは関係主体との連携を深めながら、トータルとして観光資源等々を最も効果的に活用するために、どのようにシステムづくりをしていくかについて連携し、いいものをつくり上げていきたいと考えている。
インバウンドの変遷把握として、志向性を調べるとのことですが、こういったものはいろいろな観光業界が一生懸命に考えて、次のターゲットは何かと考えている。その傾向をたどっても、かなり短期的なものだ。特に政策研究ならば、少し長期的な政策につながるようなものを対象とした方がよく、比較的短期的な傾向を追うような研究は別のところに任せてはどうか。
基本的には、既存のデータをまず活用し、足りない部分について補足調査をかけます。今、JNTO(国際観光振興機構)等でも、各国のマーケティング調査みたいなものを始めていますし、これまでも随分蓄積としてデータを出しているので、それを洗い直していくことが基本スタンスです。というのは、インバウンド調査を全国レベルで行うには、ものすごく難しい面があり、その調査でどのくらいのトレンドがわかるかということを第一に考えています。観光の2つの面として、短期的なブームにどうやって対応するか、もう一つは、長期レンジとして見た場合に、「観光立国」ですから、日本国あるいは各地域どのような形で持続的な観光を呼び込める地域づくりをしていくのかということは、ある意味で視点が異なってきます。ただ、後者だけをやろうとしても、現在の動きを把握しなくてもいいということにはなりませんので、それを踏まえた上で、最終的には長期的な視野に立った上でどのような視点が導き出せるかを考えていこうと考えています。
他部会委員や欠席委員の意見を紹介してください。
今、いただいた御意見と重複するものもあるので、それ以外の主要なものを紹介します。
「空港等のゲート自体が重要なのかどうか疑問。」という意見ですが、交通分野あるいはネットワークのような分野は、それだけを対応していて本当に有効性があるのかという指摘だと考えています。地域づくりのマネジメントということは、そういうことも含めた上で、一体どのようなことが有効であるのかということを考えていきたい。
「現時点の観光資源をベースに組み立てられているように見受けられるが、未来の観光資源がどのようなものであるのかを見極めることが必要ではないか。」という意見ですが、将来的に何が観光資源足りえるかということを現時点で予測するのは非常に難しいと思います。ただ、各地で今どのようなものが潜在的に観光資源なのかということについての調査はやられているので、そういった動きについて、細かく、なるべく広く拾っていきたいと思います。全国的に行うのは困難ですので、本研究では、ケーススタディという形で幾つかの地域を選び出し、行うことにしています。
「大きな課題認識の中で技術的課題がどこに位置するのかをきちんと見極めることが必要である。」、「空港や鉄道をはじめゲートウェイを整備することで観光立国が成立するのか。」および「提案の中には、観光施設や宿泊施設等々の直接対応するものが見えない。これらを除いて観光振興のマネジメントが成り立つのか。」という3つの意見については、事前配布した資料の中に「技術課題」という文言が入っていたことによるもので、観光地域振興ということに対して、こういったすべての要素がかかわってくるということが伝わりにくかったためであろうと思い、これを踏まえて、本日の説明を行いました。
  <評価のとりまとめ>
我が国の国際観光振興という政策の実施のため、研究を実施しなければならないという必要性は評価する。ただし、効率性、有効性、アプローチの観点から、現状把握からアウトプットに至る各段階で、具体的な研究課題の方向並びに成果の展望を整理した上で研究を進めていただきたい。
  A快適に憩える美しい東京湾の形成に関する研究
    (リアルタイム流況モニタリングシステムの構築に関する研究)
リアルタイムのモニタリングシステムの構築において、どこまでデータをオープンにするのか。オープンにしたからには、それに対しての貢献度も期待するのか。
例えば、今年5月に、東京湾で今まであまり発生したことがないところで季節外れの小さな青潮が発生し話題になった。この現象をテーマにして、国、大学の先生、自治体の研究者、コンサルタント、NGOが集まり、この秋、国総研が主体になって東京湾のワークショップを開いた。そこでは、一つのベースとなるデータとして、まず、国総研側が流れを提供し、付加的なデータとしてそれぞれの主体が測ったデータなり、得られた情報なりを提供するという形でのディスカッションをした。結論はうまく出なかったが、集約する方向でのディカッションはできた。こういうことを少しずつやっていくことで、どういう人まで、どういうオープンの仕方をして、どのように利用してもらうのがいいのかを考えるきっかけとか練習にしたいと思っている。
合意形成手法の手法とは、情報シェアリングのシステムみたいなことか、それとも、何らかの問題があったときに、それをまとめ上げていくような手法なのか。
ここでは、合意形成に資するデータ提供、どちらかというとデータのシェアリングのツールとして、ホームページの利用などにどうやってリンクさせるのかといったことを考えている。情報をオープンにしてシェアリングすることが信頼関係構築の第一歩と思っており、データシェアリングを狙ったものだが、それがお互いの信頼関係を築くとても大事な要素ではないかと思っている。
東京湾プロジェクトの年度計画の中で、「沿岸管理のための住民意識の把握に関する研究」と書いてあるので、そこと何かリンクがあるのかと思ったが、むしろ、まずデータを示すということに重きを置かれるということか。
合意形成自体の研究は非常に奥が深く、東京湾の勉強をしながら片手間にということではできない部分が広くある。特に東京湾のプロジェクト研究の中では、合意形成に関する他のプロジェクト研究の成果を活用しながらも、データシェアリングというところをメインにと考えている。
合意形成については、大変難しい課題と捉えていることを理解した。ただし、外国では非常に多くのNPOなり環境団体が開発の問題に対してみんなウォッチングしているという状況はどんどん進んでいる。東京湾もそうなってきており、そういうところを国としてどう捉えていくかが非常に重要なテーマだ。その中で、何の合意形成のために、今、リアルタイムの情報を出さなければいけないのか。出すのは当然な時代ですという立場かもしれないが、どういう場面を想定しているかについてはクリアにしておかなければいけない。つまり、全体の研究がどういう状況にあり、この中でこういうものを追加する必要があるという説明をクリアにしてほしい。
沿岸、港湾の事業は、人の目から離れたところで整備される社会資本ということで、合意形成手法に非常に不慣れといったことがある。そういう意味で、データシェアリングといったところから、少しずつ相手の顔が見える格好でのお付き合いを始めるといったところが第一歩かと思う。研究所の人間がまず友達になるようなところから少しずつ始めているというところです。
東京湾を利用するときには港湾なり空港なりの施設によってというところがあり、どこかに使い方の変容に伴う合意形成という問題が出てくるはずだ。そういう研究をやっていく上で、港湾、空港研究部入っていないというのは、その問題を本気でやろうするならば、問題が出てくるのではないか。
いろいろなプロジェクトに対して、この研究の途中段階の成果についても、行政側にフィードバックする努力はしている。ここには、明示的に研究テーマ分担として港湾研究部、空港研究部の名前がないが、行政としての港湾局とか空港局へのフィードバックはしているし、港湾研究部、空港研究部との議論もしている。
合意形成については、今、あらゆる事業で求められており、国総研ではプロジェクト研究「社会資本整備における合意形成手法の高度化に関する研究」を新規に計画している。この研究では、ほとんどの部が関係しており、各々の事業について相互の連関を見たり共通のエッセンスを得るため束ねた研究を行う。また、情報提供しながら、どうやってそのプロセスを追い合意形成を進めていくかについて研究を進めたいと考えている。両研究をタイアップしてやっていきたいと考えている。
提案システムの要求精度は、今、社会が要求しているレベルになっているのか。海洋レーダーの技術がアップグレードすると要求精度もまた上がり、投資をするという繰り返しになりはしないか。
現在、リアルタイムで流況モニタリングのデータを、概ね2時間に1回、1キロメッシュぐらいで東京湾の10×10キロくらいの海域について提供できるレベルになっている。この程度の精度でも干潟で誕生したアサリの浮遊幼生がどのように動くかということがわかるようになった。しかし、例えばタンカーからの流出油を一番効果的に回収するための流況予測をするには更に精度を高める必要があり、要求も出てくるかと思う。それよりも東京湾における電波状況(多くの船舶無線、水際の高層ビルの林立、携帯電話の電波帯と近接等)によるノイズとか誤差の影響といった技術的な課題をまず解決しなければいけないと思っている。
他部会委員や欠席委員の意見の紹介については、研究内容の説明、質疑応答に含め行われた。
  <評価のとりまとめ>
必要性、効率性、有効性の観点から本部会として実施するに値すると評価する。
  B東アジアの航空ネットワークの将来展開に対応した空港整備手法に関する研究
    (予防保全システムによる空港のコスト縮減・安全性確保技術の開発に関する研究)
予防保全システムについて、他の社会資本の研究で行われているものと重複がないのか。あるいは、逆に、この研究が行われることによって他の社会資本の予防保全システムにどのような貢献をし得るのか。
同じ社会基盤施設ですので、当然、他分野の研究成果も使え、また、こちらの研究成果も使えるかと思う。しかし、道路も同じ舗装ですが、対象荷重がかなり違うこと、空港は特に代替性がないこと、日中はなかなか入れないという、非常に限られた条件下でそういうシステムをつくらなければならないということから、空港舗装という研究分野に特化して計画している。
今回追加する研究テーマは、これまでに結構、基礎研究を行っているはずだが、今回、追加して行うというのは、今後、超大型の機種とか、そんなに荷重は大きくないけれども頻繁に来るとか、そういう両方の面に対して一つの舗装で対応しなければいけないという背景があるといういう理解でよいか。
そのとおりです。
限られた補修費でどの空港から優先的に行っていくかというアセットマネジメントシステムにかかる説明はなかったが、それは当たり前だということか。
まずは舗装の状態を評価し、それでどのような補修でいくかというシステムづくりをやり、それと併行して、ある限られた予算をいかに効率的に使うかというソフト部分の研究もやっていきたいと思っている。
飛行機は、日本だけではなく飛んでくる先もある。たぶん世界的に同じような問題を持っているのではないかと思うが、海外における認識はどうか。
海外では複数化が常識というところがあり、補修時には1本の滑走路を閉鎖する。ICAOの基準などでも、空港舗装の強さに関する基準や、維持に関しても舗装面の滑りに関する補修限界というものがあるが、破損がこれくらい起きたら直すとかいう基準は全くなく、その辺は各国、各空港の管理者に任されている。
研究内容の「A.・・・舗装内部の欠陥の進行状況の解明」に関しては、従来の実験では、超大型の重い荷重に対してはやっていなかったので、今回は改めて実験をやると理解したが、B、C、Dについては、いわゆるメンテナンスの仕方、システムづくりだから、超大型機に関係なく従来からも研究していると思うのだが、その辺の位置付けはどうなっているのか。
今までは、ハード面で建設とか設計をどうするかということが主で、どのように維持管理していこうかという視点がなかった。それを今回、これに組み込んでいこうと考えている。
東アジアの将来の航空ネットワークを考えるという研究になぜこれが追加的に必要かという理屈が少し弱い。なぜなら、超大型機は、この圏域の国際線では多くは飛ばないと思う。需要はあるかもしれないが、日本の航空政策を考えたときにも、超大型機を1回飛ばすよりは2回に分けて飛ばすような高頻度ネットワークのほうがニーズにも合っている。インターコンチネンタルならわかるが、このエリアの中で超大型機が大量に飛んできて舗装が傷むという姿を基に、舗装をどう強くする実験を始めますというのはどうか。むしろ、アジアの中で、将来的に多頻度で、24時間運用を含めて活用が進んでくるので、滑走路1本しか持ってない空港では、今までのメンナンスシステムで対応できないといった視点を鮮明に出して、全体テーマとの関連付けを強くしたほうがわかりやすいのではないか。
東アジアの航空ネットワークの展望は、御指摘のとおり、超大型機がどんどん飛ぶというシナリオでは必ずしもないと思っている。ただ、日本の航空会社の機材構成は世界の中でも特殊な状態でジャンボをたくさん保有していることもあり、国内は当然、国際線もかなりジャンボが飛んでいて、これが大型化するという状況が一方にあるので、将来の維持管理を考えていくときに、航空機の大型化は前提として捉えざるを得ないと考えている。この研究は、空港の配置政策等のソフトな部分と、主として舗装の構造物の設計・建設・維持管理というハードの部分から成るため、東アジアの航空需要の変動と維持管理の部分のつながりが若干悪いところもあるが、これからの東アジアの航空需要は日本を含めて伸びていくので、当然、離着陸の頻度も増えてきますし、一方で、滑走路が1本しかない状態がしばらく続くという現状があるので、そういう意味での予防保全というものを今回新たに追加した。アジアの航空ネットワークがすべて超大型化する、それへの対応をした空港整備をということで組み立てたものではない。
今でも滑走路の舗装の一番厳しいのはB-727で、実は大型機ではない。15〜16年前にアメリカへ調査しに行ったところ、B-727の接地圧と間隔が空港舗装の中では一番厳しい。それ以後大型化しているが航空機の設計により、実は全部クリア、軽減されている。未解明な点は繰り返しに対してどうなのかということだ。B-727に近い機種で繰り返し数が多くなってくると突然破壊するのか、表面の剥離が卓越するのかについても、実は全く知見がない。これは、日本以外は、数本あるうちの1本を閉鎖して補修を行っているので全然問題がないこととある意味では、調査とか診断も容易である。このような認識でよいか。
御指摘のとおり、日本の空港には滑走路が1本しかなく閉鎖できない。長期間使うので、どうしても破損が生じ、表面部分は平均で10年に1回全部直している。しかし、設計上は静止荷重が乗っているだけという設計では、それはなかなか表に出てこない。必ずしもこの研究は、荷重の大きさだけではなくて、御指摘のとおり、繰り返しで何十万回、何百万回走行するところでの破損を事前にどう把握するかということも検討項目としている。
一つの考え方として、壊れても大丈夫な舗装みたいな発想もあるのではないか。つまり、昼間に若干壊れるけれども、少なくともその日の発着については大丈夫で、夜補修すればいいという発想もあるのではないか。
数分に1回、飛行機が離発着する成田、羽田、関空といった拠点国際空港と1日に数回しか発着がないローカル空港といったふうに空港のランクに応じて、それぞれの空港が備えるべき舗装のレベル、あるいは維持補修のレベルを使い分けしていくべきだと思う。
他部会委員や欠席委員の意見を紹介については、研究内容の説明に含め行われた。
  <評価のとりまとめ>
必要性、効率性、有効性の観点から本部会として実施するに値すると評価する。
  C全体を通じた意見等
評価ポイントとして、確かに必要性・効率性・有効性は重要である。一方、隠れた評価ポイントとして、研究者のやる気、研究としての面白さなどの点も大事にしてほしい。テーマの主要部分は先の3つの評価ポイントでしっかりチェックするとしても、それに付随する部分については、可能な限り研究側のインセンティブに配慮し、安易にカットなどすべきではない。これまでも付随する部分から大きな発見がなされたりするなど、少し広めのスタンスで臨んだ方が、結果として良いアウトプットが得られているように思われるからである。
(3) 新規プロジェクト研究候補等(第3部会評価担当)の評価書の作成
   評価書の作成については、主査に一任されることとなった。ただし、「地域資源・交通拠点等のネットワーク化による国際観光振興方策に関する研究」については、評価書の作成に先立ち、研究内容の修正を行い、主査、各委員にその内容を確認していただくこととなった。
(4) その他新規プロジェクト研究候補等(第1、2部会評価担当)の説明
   事務局より、新規プロジェクト研究候補等(第1、2部会評価担当)6課題についての説明があった。評価を担当する部会の委員以外からも事前に意見を伺い、それらを分科会の場で紹介することで審議・評価結果へ反映させることについても説明があった。
(5) その他
   事務局より、本日の審議内容については、議事要旨としてとりまとめ、各委員に確認をしていただいた上で確定するとの連絡があった。また、評価書の作成については主査に一任されることとなったことと、他の分科会の審議に基づき作成された評価書とともに、最終的には本委員会委員長の同意を経て決定されるとの連絡があった。
   さらに、評価書や議事要旨等をとりまとめた報告書を作成し、公表されるとの連絡があった。
   最後に、各課題の資料につけてある政策評価個票について、行政評価法に基づいて国総研が作成し、国土交通省本省に提出するものであり、外部評価欄は本日の審議に基づき、主査の了解を得つつ作成する旨の連絡があった。