各種資料

平成15年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会議事要旨





平成15年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会議事要旨

1.日   時: 平成15年12月1日(月)14:30〜18:50
   
2.場   所: 虎ノ門パストラル 新館6階 ペーシュの間
  (東京都港区)
   
3.出席委員: 石田主査、小澤委員、佐伯委員、根本委員、藤田委員(以上、第1部会)、辻本委員(第2部会)、三村委員(第3部会)
   
4.配付資料:  
資料1 平成15年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会(第1部会担当)委員名簿
資料2 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会設置規則(平成15年度改正)
資料3 評価の方法等について
資料4 国土技術政策総合研究所プロジェクト研究一覧
資料5 新規プロジェクト研究候補等の資料
資料6 本分科会の評価対象研究に対する第2・3部会委員等からのご意見
資料7 その他新規プロジェクト研究候補等(第2、3部会評価担当)の資料
参考資料1 行政機関が行う政策の評価に関する法律(行政評価法・抜粋)
参考資料2 行政評価法に基づく評価票(様式)
参考資料3 国土技術政策総合研究所パンフレット
参考資料4 平成15年度第1回国土技術政策総合研究所研究評価委員会報告書
5.議事次第:  
1. 開会
2. 所長挨拶
3. 委員紹介
4. 主査挨拶
5. 議事
(1) 評価の方法等について
(2) 新規プロジェクト研究候補等の評価
6. 報告
(1) その他新規プロジェクト研究候補等(第2、3部会評価担当)の説明
7. その他
8. 閉会
6.議事内容:  
(1) 評価の方法等について
   国総研の研究開発活動の評価の方法について、分科会の運営等の変更を含め、事務局より説明した後、委員の了解を得た。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
評価の視点を一部追加とのことだが、具体的に言うとどの部分が付け加わったのか。
書き出しの行の「国総研で実施することが妥当な研究課題であるとともに」というところである。
「国総研で実施することが妥当」の意味について、他で実施されていてもいいが、国総研で実施すべきだという意味か。それとも、国総研でこそ実施すべきだという意味か。多少ニュアンスが違うと思うが、どちらに近いか。
国総研で実施することについての妥当性の判断をお願いしたい。
強いて言うならば、このようなことを国総研で実施すべきではないというのがあれば指摘していただきたい。他で実施されているが国総研なりの視点もあるからその視点を中心に実施すべきという場合は国総研が実施するのが妥当と判断いただきたい。
(2) 議事「新規プロジェクト研究候補等の評価」についての評価委員の評価、意見及びそれらに対する国総研の回答
評価、意見等は、分けたり、重復のものをまとめて、話題ごとに整理した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
  @土壌・地下水汚染が水域に及ぼす影響に関する研究
「土壌汚染対策法」と「水質汚濁防止法」の境目をやろうとしている研究なのか。何を目的としているかが見えにくい。
河川管理への活用が最終的な目標である。平常時の河川管理と水質事故等の非常時の河川管理のどちらにも資するものを作成するのが基本的な問題である。ただし、さまざまな形で活用できるものを考えていきたい。
環境汚染という言葉があるが、生態系に及ぼす汚染を防止するのか、人間に及ぼす汚染を防止するのかの対象がはっきりしていないように思う。
人間に対する影響(人体に対する安全性)を当面の対象としている。
最近、ヒ素の汚染が話題となっていることもあり、重金属による汚染、窒素化合物、微生物によるものと土壌・地下水汚染は多岐にわたると思うが、汚染物質として何を対象としているのか。
PRTR物質及び従来から問題となっている物質を対象としている。物質毎の特性の整理が必要であり、幅広く捉えていきたい。
「管理措置」「予防措置」という言葉があるが、どういうことを考えているか具体的に説明していただきたい。
情報の蓄積・提供・開示や、自治体との協力による規制などを想定している。権限が及ばないところもあり難しい面もあるが、河川管理者としては、まずは平常時の情報収集と非常時の対応が重要と考えている。
研究のターゲットが見えにくい。河川管理者の視点から考えるのでは限界があるのではないか。研究の視点に、土壌・地下水の汚染そのものをどのように把握して、どう対応するかという点を入れると、研究そのものの構造も、研究のターゲットも明確になるのではないか。
河川管理の観点から地下水の流れを把握することとなるが、広域的な地下水汚染の把握など手を広げてしまうと3年間という限られた時間では実施が困難である。最終的なターゲットは河川管理の観点が限界なのではないかと考えている。良い成果が得られれば、指摘を踏まえ次のステップを考えていきたい。
汚濁源の把握や境界条件をどう設定するかが非常に重要である。研究を進める上で、どのように設定するのか。
管理のあり方に研究のターゲットを置いているので、この研究の中では具体的な汚染の事例を詳細に追うことはメインにならないと思っている。汚染事例については、いろいろな方々が提供されておりそれなりのモデルで追跡されているので、それを勉強していきたい。いくつかの典型的なモデルを設定したときに、汚染物質が突発的な原因で漏れたときに、どう出て行くのか、その事象をどこで食い止めるべきか、予防措置がどういった場合に有効か、どういった情報があれば各機関が動けるか、といったものを提供していきたいと思っている。このときに既存のモデルやモデルの検証や化学物質の情報がどう統合できるのかを考えたい。境界条件については、計算上ではしっかり設定するが、必ずしも汚濁源を厳密に考える必要はないと考えている。
基礎的な研究の占める割合が高いように見えるので、基礎的な部分は大学にやってもらうなど、3年間という短い期間で成果を上げるためにも、うまく連携をとって進めてもらいたい。
この分野についてはさまざまな機関がさまざまなアプローチで実施しているので、その状況を十分汲み取って研究計画の中に組み込んでいきたい。そうしなければ最重要視している「管理」につながる部分の手法の開発について十分な力が割けなくなると思われる。
シナリオをいくつか設定して研究するということか。
そういう方向で進めていこうと思っている。
どういう場合にどういうことが考えられるかのシナリオのパターン化が必要なのではないか。
シナリオのパターン化はしっかり考えていきたい。おそらくまだ水域への影響が明瞭な形で出てきた事例があまりないかもしれない。そうすると、今後起こるであろう事象への研究という側面もあるので、基礎、既往の事例を踏まえて、更にどういうことを想定すべきかというところをしっかり研究していきたい。
リスクコントロール手法の選択という言葉がイメージ図の中にあるが、情報開示でいえば関係者に対してどういうコミュニケーションをとるかということになる。このようなリスクコミュニケーションといった概念、方法論についても議論すると良いと思われる。
リスクコントロールそのものについてはコミュニケーションが大事だと考えている。資料5−1−6の研究マップの中でA河川環境中における化学物質リスクの評価に関する研究というのがある。この中でリスクコミュニケーションの研究を取り上げているので、この成果を反映させて地下水の場合はどうするべきかを考えていきたい。
資料5−1−2に「河川・湖沼付近の諸施設が地下水を介して水環境を汚染する可能性」とあるが、具体的にどういったことか。
例えば、ある工場施設について壁が壊れると汚染物質が地下水系にすぐ漏れるようになっているといった状況を考えている。貯蔵されている管理状態と、それが地下水系に漏れ出すリスクとの関係みたいなものを整理し、ハイリスクな状況にある場合には、貯蔵の管理レベルを上げるように指示するとか、更にリスクが高い場合はそういった施設を設置しないよう指示するとか、そういうところまで考えていきたい。
「水域における化学物質リスクの総合管理に関する研究」のプロジェクト研究との関係は?
化学物質リスクプロ研は表流水に関する研究で、今回の研究は地下水から表流水に出るところを研究する。この二つが組み合わさることにより、水に乗って化学物質が運ばれることに伴う種々の化学物質リスクのコントロールについてトータルで見ることができるのではないかと思っている。
この研究の中で"ここ"をブレイクスルーするとうまくいきそうだと思う点を確認したい。
一つ目は、地下水の流れに乗ってくる化学物質を、リスクを含めてどう管理するか、管理するためにどんな情報が必要か、その方法をいかにうまく導き出せるかという点。二つ目は、それを導き出すために、既存の種々のデータから管理に使える情報のみをうまく汲み取って、予防策等の検討に資するマップのひな形のようなものをうまく作ることができるかという点。この二点が難しい点であり、これがどこまでできるかというところが重要だと思っている。
それが良いというのを示すためには、どうすればそれが言えるのか。
エリアごとのリスクコントロールの方向性が見えることだと思う。エリアごとの経験や特徴をとらえて、どういう方策をとればいいかといった選択肢が見えるようになれば良いと思っている。
技術的問題をベースにはしているが、研究としての主眼はリスク管理のマネジメントの問題であると考えて良いか。
マップのひな形をどれだけマネジメントレベルまで行き着かせるかどうかがポイントかと思う。
効率性の観点で、3年間で総研究費が1億6千万だが、使途をご説明願いたい。
3つぐらい現場のサイトにおけるデータ収集や、場合によっては地下水の流れの観測を行う。また、化学物質の分類をしたときに、ある種の化学物質についてその挙動を調べる必要があれば基礎的な分析を行いたい。マップを書く土台となる流動と物質の拡散についてのところで相当なお金がかかるかと思っている。
国総研内での環境研究部、下水道研究部の連携についてご説明願いたい。
下水道研究部では化学物質の分類を、環境研究部ではそれを踏まえた地下水流動の研究、マップの検討、管理手法等を分担することとなっている。リスクコミュニケーションの情報についても共有したいと思っている。
「水域における化学物質リスクの総合管理に関する研究」が資料5−1−6のマップの中に入っていないので入れていただきたい。
地域にとって流れている水というのはとても重要で貴重なものであるので、それに総合的に取り組んでいくということは重要である。河川管理者の立場から取り組むのは分かるが、もう少しそれにとらわれずに研究してほしい。そうすることが国民に対してのアピール力につながると思う。
他部会の委員や欠席委員の意見を紹介してほしい。
大学との連携も含めて国総研が基礎的な研究に終始することのないようにとの指摘や、試験フィールド等について一般化が図れるように十分注意するように、また、境界条件や方法論について不明確なのでもう少し明確化するようにとの指摘があるので、今後しっかり見据えて研究計画に取り組んでいきたい。
社会に還元する道筋が考えられていて有効性が高いが、土壌・地下水汚染問題は開発行為や建築行為とも関連が深く、開発指導行政や建築指導行政へのフィードバックが考慮されることが望ましいとの意見について、法的・制度的に難しいが、マップ等の使い方にも関連が深く、指摘のところまでしっかり議論できるベースを作る研究計画を練っていきたい。
必要性については理解できるが、効率性・有効性については、具体的にどのような管理・予防措置の提案をするのか不明確である、さらには社会への貢献にどう結びついていくか十分読み取れないとの指摘があるが、これと同様の指摘が本日あったので、その回答に加えこれから十分練っていきたい。
茨城県のヒ素の問題など、国民の注目を浴びている問題があるが、例えばケーススタディとして取り上げる等、そういった問題に応えることができるよう配慮していただきたい。
国民の不安がこの研究の原点なのでそういうことを理解しながら研究を進めていきたい。研究のアウトプットを出すときに、国民の関心のある事象も踏まえ反映できるものは反映できればと思っている。
  <評価のとりまとめ>
非常に重要であり、是非実施すべき課題である。実施に際しては、関係研究機関との連携を適切に図ること、研究の方法論を明確にすること、予防策や政策への展開に関してリスクコミュニケーション、マップの使い方を練り上げることをお願いしたい。さらに、それらを踏まえた上で、研究成果を社会制度にどう還元していくかが重要である。また、河川管理という枠組みにとらわれずに広く土壌・地下水汚染の視点に立って進めることは、パブリックアクセプタンス、アピール力という点から重要である。対象が非常に大きい研究であることから、目的・目標をより明確にアピール力のある形で設定して、積極的に進めていただきたい。
  A社会資本整備における合意形成手法の高度化に関する研究
ケーススタディをとりまとめる中で、うまくいったプロセスやコミュニケーション手法をまとめていきたいということだが、現場での指針となるような事例集となると、文書として残せる限界に近いものまで書かないといけないのではないか。また、ケーススタディと並行して合意形成、コミュニケーションの理論面の整理もしてほしい。さらに、社会的問題ともいうべき大規模事業における合意形成はどのような手法を用いても難しく時間がかかるが、一方で生活に密着した細かい事業が進まないことの弊害も多く、そちらを解決していくことが国総研らしい研究なのではないか。
失敗学という観点も踏まえ、生活に密着した事例を含めて収集し、現場で役に立つものを作っていきたい。
吉野川河口堰のような政治的判断が必要な大規模事業からローカルな事業まであるが、この研究がターゲットとする事業はどの程度のものか。国民の公共事業に対する身近な不満は非常に幅が広いと思うが、この研究では、その全部をカバーするのか、どこをどういうふうにカバーするのか、研究の対象を明らかにしてほしい。
事業規模については、特に絞ってはいない。むしろ、事業規模を切り口の一つとして整理することになると考えている。
プロセスの提案や、コミュニケーション技術を整理するとか、データベースを構築するという作業をすることでの貢献度は高いと思う。しかし、その提案されたプロセス自体が妥当なのかを評価するような指標はないか。本当に有効なプロセスであるかの判断はどのようにするのか。
共通的なパターンというのを参考として足りないところを補うとか、よりよいシステムにするということに役立てばいいと思っている。実際の現場では共通的なプロセスを参考にしながら、それぞれの条件に応じた判断をせざるを得ない。プロセスが正しいかどうかの一律の評価の仕方は難しいと思っている。
従来の合意形成の仕方の問題点についてはどう考えているか。
成功例よりも、失敗から学ぶノウハウが重要だと考えるので、活動報告書のような表面的なものでなく、その下に隠れているノウハウ、つまりどのような苦労をしてどのように解決していたのか、ということが大切と考えている。それを引き出すためにどのような形式、様式が効率的なのか、局・事務所と意見を交わしながら、意識改革をしながら進めていくところもあると考えている。研究の性質とは違うかもしれないがブレイクスルーしながら進めていきたい。
多くのPI事例や理論モデルを基にしたプロセスの評価の事例があるので、レビューしてはどうか。
合意形成という言葉が前面に出ると最初に合意形成ありきと受け取られかねないのではないか。
いかに地域のために貢献できるかというのが合意形成につながると思うので心がけていきたい。
政策のフィードバックの方法として、今考えているのは事業を実施する担当者へ過去の経験をどうフィードバックするためのデータベースなり仕組みだと思うが、せっかく全体をとらえている研究なので事業プロセスへのフィードバックも考えて欲しい。例えば、各段階で何を決め、何を決めないか、何を情報提供するのかといった提言につなげることを期待したい。
是非そういう点を目標にして進めていきたい。
資料5−2−7のマップで、政策の意思決定から工事まで非常に幅が広いので、階層ごとに何が必要なのかを整理することが必要である。また、自治体で行っている事業の実際にうまくいっていない例、失敗例も収集してはどうか。
さらに防災投資に関する合意形成は重要である。平時に対して異常時、すなわち、リスクの問題も考慮に入れてほしい。特に、アメリカ西海岸の大地震後のロサンゼルス、サンフランシスコあたりの地震防災投資についてはインターネットを活用して具体のシナリオ、その対策、対策の水準の意見を求めた例がある。
自治体の事例も把握できる範囲で把握したい。また、事業特性の中の利用頻度のところをもう少し掘り下げて、地震の際等、異常時の合意形成のあり方も考えていきたい。
合意形成プロセスは単独であるのではなく、事業の計画プロセスに大きく依存している。合意形成プロセスと計画プロセスが両輪で進んでいることを念頭に置いて検討してほしい。事業特性を考慮することが重要であり、共有化された技術・知識を活用すべき場面と固有の技術を重視すべき場面があるので、それらのインターフェースをよく検討してほしい。
また、研究対象について、事業の再評価時、中止するとき、また供用時のマネジメントの合意形成はどうするか、といったことも考えられる。
最後に、事業プロセスへのフィードバックも是非考えていただきたい。段階的な合意形成や意思決定の視点、国土管理という大きな視点等の横への広がりに配慮して、先につながるような研究をしてほしい。
予算に関してセンターと各研究部の比率が2:8という説明があったが、各研究部での予算の具体的な使途について教えてほしい。
研究マップの青い○で示してある研究が関連研究部で実施する研究でこれらをまとめると全体予算額の8割くらいに達する。
他部会の委員や欠席委員の意見を紹介してほしい。
都市住民向きのPIツールを開発中なので、国総研と連携が図れるのではないかという非常にありがたい意見をいただいているので、是非ともご指導いただきたい。
年度計画に平成15年度が入っているとの指摘について、平成15年度は基盤研究としてプロジェクト研究の予備軍として基礎的に研究を進めているものなのでご理解願いたい。
どのような大学とどのような連携を図るのかについては、原案では大学の名前をいくつか並べて失礼なことをしたが、どこの大学と限定せずに幅広にいろいろな意見・指導を賜りながら進めていきたい。
コモンズ論、公共性をめぐる議論などを十分視野に入れるようにとあるが、これについて建築関係は公共性の幅があるのでそういう公共性の視軸を取り入れていきたい。
地方自治体等の情報も検討するようにとの指摘については、できるだけ取り上げるようにはしたいが、第一義的には国交省の中での情報を吸い上げて共有システムを組み上げたいと思っている。自治体の経験事例は集まりにくいと思うが取り組んでいきたい。
プロジェクト開始前までに「知」の分類のためのキーワード・コンセプトや共有・活用のための方法論・ソフト等をつめておく必要があるという意見のとおり、残された時間の中でできるかぎりつめておきたいと考えている。
  <評価のとりまとめ>
全体としては国総研で積極的に推進すべき研究であるという結論である。ただし、合意形成ありきでなく、地域のニーズを重要視するというスタンスを念頭に置いて研究を行うことが重要である。対象については全国イシューになるような大規模なものだけでなく、細かい事業をも対象とできることが望ましく、その点に関しては各自治体との連携も考慮してほしい。さらに、可能であれば、各研究者が多くプロセスの評価方法を検討しているのでそれらの峻別を踏まえ、新しい評価方法の提案を期待したい。また、将来の発展型として段階的な意思決定や国土計画における社会資本の総合的マネジメントを視野に入れた事業プロセスへの展開を期待したい。また、平時と災害時の合意形成のあり方についても極めて難しいが、これらの問題にも是非インターフェースを付けていただきたい。
  B公共事業のコスト縮減効果評価・管理手法の開発
国総研らしい研究だと思われ是非進めていただきたい。事業評価の方でも貨幣価値換算をしているし、公共事業の中で評価しなくてはいけないことが多いのでそちらとリンクできると良い。ある事業の事業評価委員会に参画しているが、費用に換算できない項目が多く、それらを個々の事業毎に事業者が考えていくのはとても無理があるので、ある原単位が成果として出れば全国的に使われていくのではないかと思う。
総合技術政策研究センターの中で事業評価や総合評価落札方式も研究しているので、連携をとりながら、どういう場面でどういうものを使うのか考えていきたい。今回はコスト縮減効果というところに焦点を当てているが、事業評価等にも援用できるような形も視野に入れながら進めていきたい。
費用便益分析との関係が気になった。費用便益分析のマニュアルを作る仕事を本省でも国総研でも取り組んできてその中で課題も明らかになっていると思う。その研究の一部として定量分析をやるのならわかるが、ここであえてコスト縮減というタイトルにして違ったアプローチをする意味を教えてほしい。この研究の新たな要素として管理手法との関係では何が挙げられるのか。
コスト縮減効果と挙げたのは、「コスト構造改革プログラム」「コスト縮減新行動指針」の中で、総合的なコスト縮減という概念が出てきて、さまざまなコスト縮減の取り組みをする中でトータルのコスト縮減効果の説明が求められているためである。管理手法との関係では、現場の人がコスト縮減に努力したことの効果をしっかり示すことが一つの使い方の場面であると思う。いろんな計測手法があると思うが、コスト縮減効果としてどのように示せるかということと、プロジェクトの建設段階での時間とコストを逐次管理する手法を開発するということがポイントである。
プロジェクト評価をコスト縮減効果で行うということか。B/Cによるプロジェクト評価との関係が不明である。
公共工事を行うときに環境への影響を減らす工夫をするなどのコスト縮減の取り組みを行った場合、従来の標準的なやり方に比べて、どれだけのコスト縮減効果として評価されるか、こういった場面で、社会的コストを貨幣価値換算して使っていくことが有効である。
費用便益分析はいろいろなところで検討されているが、残念ながら事業評価に使えるのは極めて限られた項目だけである。マイナスの便益を仮に貨幣価値で評価できれば、マイナス便益が小さいものが分かり結果的に社会的コストの少ないものを目指すことになる。コスト縮減と費用便益分析の根底の理念は共通である。コスト縮減というタイトルは、コスト構造改革に資するというアピールでもある。
本研究では表題そのものに表される研究(効果評価・管理手法の開発)はどの程度行われるのか。
時間的コストやライフサイクルコストについては、これまでの研究でコスト縮減効果の評価手法がある程度できており、今回の研究のメインは社会的コストの検討においている。その他、総合コスト縮減率で扱う対象の拡大など総合的指標の検討といったことを考えている。
工事のコストはある程度把握できていると思うが、(企画・計画段階からの)事業としてのコスト把握は十分検討されておらず、その観点も重要だと思われる。また、コスト縮減といっても計測する場合、基準をどこにどうおくかによって、縮減幅は大きく変わってくるので、その辺りも注意してほしい。
これまでコスト縮減新行動指針の中で工事コストは工事段階だけをターゲットにしてきたが、コスト構造改革プログラムにおいてはもう少し前の段階まで範囲に入れている。また、コスト縮減効果の評価では、そのコスト縮減のアクション、工夫に伴ってコストがどう変わるかという縮減幅を計測することが目的である。
管理の際のコスト縮減ということだが、工事中の対応だけでは縮減の効果は見込みにくい。そのコストを決定した要因は事業のプロセスの前になるので、その前でコスト縮減の手を打たない限り不可能である。どこでどうコストを計測してどこにフィードバックさせたらよいかという点が重要である。
コスト構造改革では、発注段階で工夫したことだけではなく、概略設計段階、予備設計段階など計画段階での工夫も対象にし、これらも含めて工事コストの縮減効果として評価していこうとしている。
総コスト最小化を目的とすると、工事コストを大きくして社会的コストを下げることはできる。しかし、そのようなトレードオフを取り込んでいくと際限のない議論になってしまうので、工事コストの上限等ある程度の制約のある条件下でコスト縮減を考えることが研究ではないか。
コスト縮減の取り組みというアクションがどれだけの効果を生み出しているのかというところに焦点を当てている。
計画段階でどの技術を工事に使うかという判断をする場合にフィードバックできるようなものをイメージしているがそれでよいか。
このプロジェクト研究の中では、事業をやるやらないの判断ではなく、やる場合にどういう工夫をするとより安くて質の高いものが得られるかというところについて検討したい。
この研究の対象は新規事業だけか。今まさにストックの時代に入るところであり、現在ある施設をいかにうまく使っていくかということも重要であるが、その方向には適用されないのか。
新設が中心になるかとは思うが、維持工事を行う場合の工夫・アクションによるコスト縮減効果も対象となる。ストックのマネジメントについては、別のプロジェクト研究で行っている。
資産価値といった概念は入らないと考えて良いか。
資産価値は対象外としている。資産価値の評価は、別途取り組むべき重要なテーマと認識している。
コスト縮減という点でこれまでどういったことが問題であったのか。また、この研究ではどう解決していきたいのか。
工事コスト、時間的コスト、ライフサイクルコストは評価が進んでいる。社会的コストは、二酸化炭素などは比較的研究が進んでいるが、工事中の騒音振動や景観などの項目は研究が進んでいない。また、著名な環境資源の計測事例はあるが、一般的な事業の事例が少ない。研究が進んでいない項目や一般的な事業を対象に貨幣価値換算できる原単位を作っていきたい。
二酸化炭素の排出のコストを換算するための原単位はこれまで多く研究されてきているが、ここ何年かで1桁ほど変わってきている。研究手法も90年代はCVMが使われてきたが、WTPは事象として判断しにくいものには適用しにくいという面があり、代替法等に変わってきている。またCVMやAHPは経済分野からの批判が強いことも事実である。
資料の研究マップについて、管理手法の部分で上の2分野だけが本研究の範囲とされているのはなぜか。となりに示されているプロジェクト研究では全体が研究の範囲となっているが。
管理手法の研究は、建設が始まっている段階で、コストが増加したり時間が延びたりするのをどのように管理していくかをターゲットとしている。ライフサイクルコストや社会的コストは、工事が始まってからではなく、工事を着手する前に検討するものなので、管理手法の部分では対象外として斜線を引いた。
資料中の建設段階というのは工事中という意味か。
管理手法の研究で対象としている建設段階については、工事中と読み替えていただきたい。表現を改めたい。
計画段階は資料でいう建設段階には入らないということか。
そのとおりだが、コスト縮減新行動指針には「企画の見直し」という項目があり、具体的には工事中の見直しだが、それは工事コストの中に含まれると解釈していただきたい。計画段階の研究が不足しているというご指摘があると思うが、そちらも考慮して進めていきたい。
公共事業評価に社会的コストを含めていくことは重要であるので、是非、費用便益分析に資するような研究をお願いしたい。まず原単位等を示してその後にそれらを使いながら精度を徐々に上げていくという手法でよい。
他部会の委員や欠席委員の意見を紹介してほしい。
社会的コストについてはほとんどオーダー的なものしか分からないのではないか、少なくともWTAの方で評価すべきではないという意見について、最初は多少粗くでもいいから徐々に精度を上げていくような工夫をしていきたいと思う。手法についても項目ごとに評価手法が必要だと思うので整理したい。
既存施設についても検討いただきたいとの指摘については、他のプロジェクト研究の中で管理運営技術の検討があり、そこで進められている。
政策評価と施策評価を区別して、前者の視点からも総合的にコストを評価する筋道を検討してほしいとの意見については、ある政策を行った場合のコストの評価を行う際にこの研究の成果を使っていくことは可能と思っている。
社会的コストの評価という大きなテーマに挑戦することを評価したいという有り難い意見をいただいている。
長期的コストについてどのように研究をするのか不明であるとの意見については、今回のプロジェクト研究は社会的コストに重点をおいており、次の段階として長期的コストになると思う。
地域の特性に配慮した検討が特に重要との意見について、指摘のとおり例えば郊外部に住む方、都市部に住む方というのは大きな違いがあると思われるので、考えながら進めていきたい。
  <評価のとりまとめ>
国総研らしい研究であり積極的に推進すべき研究である。ただし、費用便益分析との関係については、費用便益分析もまだまだ研究が十分でないので積極的に関連していくように進めてほしい。特に、事業評価や費用便益分析でまだまだ貨幣価値換算が十分でない項目があると思うので、それらの対象もコスト評価が可能となるよう期待する。またコスト縮減をどこでどうカウントするかが多少わかりにくく、混乱していたように思えたので、フレームワークをわかりやすく工夫することが必要である。最後に、原単位を作ってそれを使いながら精度を上げていく手法でよいと思うが、現実に世の中にある批判にも念頭においていただき、その批判に耐えうるように努力してほしい。
  C都市地域の社会基盤・施設の防災性能評価・災害軽減技術の開発
    (津波に対する被害想定と総合的対策に関する研究)
    (防災上の配慮を要する者の行動・認識特性に関する研究)
    (街区レベルにおける防災性能簡易評価手法の開発)
「防災上の配慮〜」の研究について、リスク評価の観点から、資料5−4−5の図はどういうときに青線(将来のライン)でどういうときに緑線(現在のライン)になるかを分析した方がよい。とてもわかりやすい図であるが、必ずしも全ての災害についてこのように波形が移動するとは限らないと思われる。元々、青線のような状態になる場合もあり得るし、建物を強化するだけで緑線側に動く場合もあり得る。どのような状況の時に青線のようになり、どのような時に緑線のようになるかの仕分けをしておいてほしい。
また、「街区レベル〜」の研究について、この研究の元となる防災性能指標は都市計画の専門家と火災の専門家が初めて手を組んで作り上げたシミュレーションであり有意義であると思う。どのようにまちづくりに使っていくかについて踏み込んだ計画を立てた上での研究を期待したい。
一点目の指摘については、この研究での情報提供による支援は突発性の災害には対応しづらいが、水害とか土砂災害など多少なりとも事前に情報が流せる災害について有効だと考えている。具体的には、提供した情報に基づいて近隣住民等が避難の支援をするといった効果が大きいのではないかと思う。また、二点目のまちづくり施策への展開は例えば防災性能指標等の規制緩和の可能性を示せるようにしていき、規制緩和を受けるためには具体的にどのような対策が必要かが示せるようにしたい。
今回提示された3つの課題とこれまで提示されていた元の課題ともにとても重要な研究課題であるので是非研究を進めていただきたい。なお、このプロジェクト研究は各分野の研究を多岐にわたって行っていることから、各研究の総合化の部分が重要であり、例えば地震が起きた後に起きる複合化した災害がまちにどのように影響を与え、どのように対策をするのかということもポイントになる。各研究が個々の成果で終わらないように努力してほしい。
研究マップのバランスの部分に示しているが、各分野を集約するという意味では、リスクバランスの研究を「自然災害に対する安全性確保水準の適用に関する研究」と題して各分野の研究者を集めて連携・調整しながら研究を行っている。
土木学会では阪神淡路大震災以降、災害対策への提言を「土木構造物の耐震基準等に関する提言」として3度にわたり行っている。その第二次提言の中で「地震災害アセスメント制度の導入」として謳われているが、災害対策には国もしくは各自治体における戦略的アプローチが必要である。個別の研究でいうと「津波〜」の研究では、地震の揺れの後に津波が来ることから、防潮堤、河川堤防等が地震に対してどの程度耐力があるかという点がきわめて重要である。道路についてはレベル2の振動に備えた対策が進んでいると思うが、海岸や河川の構造物については進んでいないと認識している。そういった意味で、地震による土木施設への影響をどう捉えその後に来る津波による影響がどう捉えるか、どういったシナリオを想定するか明確にする必要がある。
また、各地の地震の起きる確率が公表されているが、それらを考慮すると、特定の地震を考慮して、単なるリスク、ハザードではなく必ず起きるものと考えて検討した方がよいのではないか。
よく考慮しつつ研究を進めたい。
海岸堤防等自体が想定されている地震に耐えうるかという検証を昨年辺りから各整備局で進めているところである。特定の地震への現実的な対策は順に早急に行わなければいけないという認識である。また、予測のできない地震もあるがそれは別の課題となる。
津波に関しての外力や外力評価は多く研究されているので、説明にあった通り、本研究ではそれらをうまく活用していくことでよい。逆に、日本の海岸工学等の分野ではその外力の成果を基に各地にどんな被害が出るかという想定の研究はほとんどされておらず、是非、被害の想定やどのように被害を軽減できるかについて力を入れて研究してほしい。また、大きな津波が来た場合にはハードでは防ぎきれないということもあるので、研究計画にあるようにソフト対策の方も進めてほしい。ソフト対策につなげるという意味では、案外、各自治体の災害対策の整備の割合が低いようなので、特定の想定地震の範囲にある各自治体がどんな対策をとっているかを調査・研究し、その上でどのようなソフト対策が考えられるか検討してはどうか。先程の委員の意見のように特定の地震を挙げて検討するのであれば、場合によっては自治体名も固有名詞を挙げて具体的な研究をしても良いのではないか。
説明のあった3つの課題はどれも興味深く、是非進めていただきたい。特に「防災上の配慮〜」の研究はいろいろな災害を対象とするような研究であり、良い研究であると思われる。交通におけるインターモーダルという考え方があるが、ある特定の交通手段だけで安全であっても、インターモーダル全体で安全性を向上させなければ意味がないという議論がある。同じように「インター災害」という全体として安全性を考え総合的に被害が少なくなるような、しかも同時に安上がりな施策を展開できるような研究を期待する。複数の災害を同時に考えた施策を展開できる可能性が大いにあると思う。これこそ国総研らしいテーマといえるのではないか。
それぞれの研究における予算の使途はどのように想定しているのか。
「津波〜」の研究は、予算の大きな割合を占めるのが反力の大型模型実験であり、その他全国の実態把握調査等がある。「防災上の配慮〜」の研究では、防災上の配慮を要する者や介護者、その分野を研究する研究者へのヒアリング、アンケート等がある。
「街区レベル〜」の研究ではシミュレーションの改良費用やバーチャルモデルの開発費用等が挙げられる。
リスクバランスはきわめて重要な課題であり、その点でも最も弱い立場の方に着眼することは有用である。また、その情報提供を行う際には、メディアに意識が向きがちだが、提供する情報のコンテンツが最も重要であるので、その辺りを押さえてほしい。
「街区レベル〜」の研究では、阪神淡路大震災の後にもいわゆる「アンコ」と「ガワ」の議論(建物の火災対策と道路の幅を利用した延焼防止対策の関係について)があったが、この研究でいう中間レベルの範囲というのはその辺りも仕分けできる程度のものという認識でよいか。
この研究でいう街区レベルはある程度の大きさのコミュニティであり、多少の広さを持った道路で囲われている範囲を想定している。
阪神淡路大震災の時には資料の図で赤に塗られている道路とそれ以外の道路の関係、道路の大小による影響が大きいという議論があったので、研究に余裕があれば検討してほしい。
この研究ではどちらかといえば「アンコ」(周囲を幹線道路等で囲まれ建物が密集した市街地)に重点をおいたものとなっており、「ガワ」の方は別に研究するのではないかと考えている。
「津波〜」について、地震災害の後に津波等から避難する際には沿道の火災の影響で避難できないということも考えられるので、この研究においても火災を考慮しつつ進めてほしい。
「街区レベル〜」の研究については、老朽密集住宅地が念頭にあると思うが、当然ながら、地震が来て住宅が壊れることで火災が起きやすくなるので、まち全体の耐災性を向上させることを考慮してほしい。さらに、まちづくりの規制緩和という話があったが、困難かもしれないが、これまでのフレームを変えて、不燃化した丈夫な建物を作ればそれに対する税金を低くするようなインセンティヴを与える施策も考えられるのではないか。
津波、地震関係の関連研究部とはこれまでの研究でも連携していたこともあり、それらのネットワークを活用して、災害が複合した場合の検討をしていきたい。
他部会の委員や欠席委員の意見を紹介してほしい。
論点がわかりにくくなるので追加研究毎にまとめて紹介する。
「津波〜」については、研究体制が国総研のみとなっているが、関連する研究機関との連携が必要ではないかという意見があった。これについては、国土交通省内の河川局、住宅局、海上保安庁等との調整を進めている。また、土木学会に発足した津波に関する小委員会に参画していく予定であり、さらに、津波に関する研究が進んでいる大学等との連携を考えたい。
研究の重点分野を明確にしてほしいという意見があった。先にも説明しているが、被害予測と総合的な津波対策に重点をおいて研究したい。
最後に、年次計画の明確化を指摘されているが、資料5−4−7に年次計画を追加した。
「防災上の配慮〜」についても年次計画に具体性が乏しいという意見があったので、年次計画の資料を追加し、具体的に行う研究を記載した。
また、高齢者や身体障害者の物理的・心理的側面が重要であり関連分野との共同研究体制が必要との意見があったが、初年度に学識経験者や行政担当者等を集めた委員会を設置してそこで検討をする予定である。さらに国総研内でも危機管理技術研究センターが中心となって共同体制を組むつもりである。
次に、この研究では何をブレイクスルーし、そのための達成方法はどんなものかを明確に、という意見があった。この研究では情報提供をすることで助けられるのであればその技術・制度を作り上げていくということがポイントになる。達成方法はまだ見えない部分も多いが、先に挙げた委員会などで幅広く検討したい。
最後に、この課題は国として対応すべき大きな問題であり、国総研だけでは全体は難しいので国総研で行う研究範囲を明確にすべしとの意見があった。これについても、先の委員会には学識経験者や他省庁の職員も参加してもらう予定であるので、そこで支援施策を検討しつつ、その基礎になる技術開発を国総研で行いたい。
「街区レベル〜」について、研究対象とする災害、防災性能の内容等を明らかにしてほしいとの意見があったが、主に対象とする災害は火災であるが、先程の委員の意見にもあったように地震などの災害を受けた後の火災も考慮したい。また、防災性能の評価については、今のところ一定時間後の焼失率を主に考えているが、合わせて、火災焼失等によって道路が閉塞し緊急活動への影響が出るということも考えられるので緊急活動への影響も指標にしていきたい。
次に研究計画に具体性が乏しいという意見があった。この研究では町丁目レベルでのマクロ評価手法を街区レベルに拡張することがポイントであり、拡張した段階ではその防災性能をどう評価するかという指標や簡単な評価手法を作りたい。
さらに、防災性能の評価手法を作り上げそれを活用する段階について、多様な地域に対する適用性として配慮すべき事項を整理しておく必要があるという指摘があった。現段階では物理的指標に基づいて評価することを考えていたが、市街地発達に関する歴史的特性やコミュニティ関係を考慮した評価方法を検討したい。また、評価する街区の大きさやコミュニティによる防災力の評価を検討し、改善案へ反映できればと考えている。
最後に、防災性能上危険な街区の解消のための具体的な施策や方法まで研究で踏み込んではどうかという意見があった。これについては、防災性能を確保することで規制緩和等が可能ではないかと考えている。ただし、先程指摘のあった税金までは考慮していなかった。
  <評価のとりまとめ>
非常に重要な研究であり、国総研の総合力を生かして実施してほしい。
なお、その際、大変大きな研究であるので総合化を念頭に置いて、個々の研究に終始しないよう注意して研究を進めてほしい。そのための一つのキーワードがリスクバランスである。また、政策となる部分で国民的に関心の高い研究課題であり、災害アセスメント制度や税金の話もあったが、そのような具体的な提言・提案・制度設計が成果として出てくるとよい。また、それら提言等にも含まれるがソフト対策との連携が非常に重要であるので、そこに力を入れてほしい。
  D全体を通じた意見等
研究期間について、基本的な重要性を持っている研究をしようとしているのに対し、期間が短く感じる。4〜5年かけてじっくり研究するようにしてもよいのではないか。
また、研究費は大学等に比べるとかなり大きくなっている。当然ながら外注をして研究に生かすために使う部分もあると思うが、その際に国総研内に継続的な研究力量が持続されるのかが多少疑問である。研究力を国総研内に持続させるのか、周辺のコンサル等も含めて研究力を保持するのか、どちらの考え方もあると思うが、社会資本整備の中心である国総研の研究力量の養成は重要である。
本委員会では虫明委員長を初めとして、国総研も大学もその他の機関も併せて力を付けていけるようにという方向を示唆している。
研究を行っていく上で外注をすることは確かにある。国総研としては、まず、いかに役に立つ研究をしていくか、研究のコーディネート力を養うこともポイントであり、さらに自らの研究力をどう付けていくかが重要であると考えている。
研究評価では原則として研究者が目標を掲げてそれに向かって研究することを宣言してもらうものである。全ての研究が計画通りの成果を上げるものではないと考えているが、目標を達成できるよう所長をはじめとして所としての予算面及び体制面での研究者のサポートをよろしくお願いしたい。また、来年度以降、終了した研究の評価を行うことになると思うが、最初の宣言、目標設定と実際の成果の違いを明らかにして、良い成果が上がった場合には表彰をする等、良い研究をするインセンティヴを与えてはどうか。
(3) 新規プロジェクト研究候補等(第1部会評価担当)の評価書の作成
   評価書の作成については、主査に一任されることとなった。
(4) その他新規プロジェクト研究候補等(第2、3部会評価担当)の説明
   事務局より、新規プロジェクト研究候補等(第2、3部会評価担当)5課題についての説明があった。評価を担当する部会の委員以外からも事前に意見を伺い、それらを分科会の場で紹介することで審議・評価結果へ反映させることについても説明があった。
(5) その他
   事務局より、本日の審議内容については、議事要旨としてとりまとめ、各委員に確認をしていただいた上で確定するとの連絡があった。また、評価書の作成については主査に一任されることとなったことと、他の分科会の審議に基づき作成された評価書とともに、最終的には本委員会委員長の同意を経て決定されるとの連絡があった。
   さらに、評価書や議事要旨等をとりまとめた報告書を作成し、公表されるとの連絡があった。
   最後に、各課題の資料につけてある政策評価個票について、行政評価法に基づいて国総研が作成し、国土交通省本省に提出するものであり、外部評価欄は本日の審議に基づき、主査の了解を得つつ作成する旨の連絡があった。