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平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会議事要旨





平成15年度第2回国土技術政策総合研究所研究評価委員会議事要旨

1.日   時: 平成16年3月5日(金)15:00〜17:00
   
2.場   所: 砂防会館 別館3階 六甲の間
  (東京都千代田区)
   
3.出席委員: 虫明委員長、石田委員、磯部委員、小谷委員、見城委員、平島委員、堀委員、村上委員、森杉委員
   
4.配付資料:  
資料1 国土技術政策総合研究所研究評価委員会委員名簿
資料2 本日の評価の方法等について
資料3 国土技術政策総合研究所 研究方針 改訂に当たっての考え方
資料4 国土技術政策総合研究所 研究方針 平成15年度改訂(案)(見え消し版)
資料5 国土技術政策総合研究所 研究方針 平成15年度改訂(案)(反映版)
資料6 国土技術政策総合研究所研究評価委員会 平成15年度 分科会報告書(案)
     
     
  参考資料1 国土技術政策総合研究所研究方針(平成13年度策定)
  参考資料2 国土交通省技術基本計画(平成15年11月策定)
  参考資料3 国土技術政策総合研究所研究評価委員会設置規則
  参考資料4 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会設置規則
  参考資料5 国土技術政策総合研究所研究評価委員会分科会委員名簿
  参考資料6 研究評価委員会(6月)と研究評価委員会分科会(12月)における課題評価
5.議事次第:  
1. 開会
2. 国総研所長挨拶
3. 委員長挨拶
4. 議事
(1) 国総研研究方針の改訂に関する評価
5. 報告
(1) 平成16年度新規プロジェクト研究等と評価結果について
(2) 平成16年度の研究評価について
6. その他
7. 閉会
6.議事内容:  
(1) 議事「国総研研究方針の改訂に関する評価」についての評価委員の評価、意見及びそれらに対する国総研の回答
   国総研研究方針(以下、「研究方針」という)の改訂に関する評価の方法について、事務局より説明した後、委員の了解を得た。
   続いて、研究方針の改訂に当たっての考え方及び改訂案の内容について、事務局より説明した。
評価、意見等は、適宜、分割統合を行い、整理した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価、→:国総研の回答
改訂案の内容で、これまで研究が進んだことによって追加した課題等があれば、いくつか具体的に紹介してほしい。
資料4のP.6の(7)にある、ヒートアイランド対策の研究、市街地環境の規制・誘導制度等の法制度に関する提案等が該当する。
研究が進んできたので具体の表現が増えたという理解でよいか。
その通り。
国土交通省技術基本計画(以下、「技術基本計画」という)の策定には、国総研はどう関わっているのか。
技術基本計画の冊子のP.65に掲載されているように、国総研所長が国土交通省技術研究開発戦略会議メンバーになっている。
国総研内の一般の研究者も関わっているのか。
技術基本計画の案の段階で、国総研にも意見照会がきており、そのときに各担当研究部に見てもらって意見を出している。
資料4改訂案のP.2の赤字部分(3つの基本課題)はどういうことを示しているのか。
策定当初にはなかったが、これまでも継続的な検討を行うべき基本課題ということで3つのプロジェクトチームを組んで検討を行ってきていたので、それを研究方針にも掲載し、整合をとろうというものである。
その中に生活環境、都市環境という言葉が入っているが、これに絞っているのはどういう意図か。
今の委員の質問とも関連するが、本省の技術基本計画には5つの目標があった。もともと国総研の研究方針のP.1には4つの目標が設定されており、次に3つの基本課題が出てきた。これは目標・課題について国総研で価値判断をして絞り込んでいるように見える。これらの間を埋める説明が全くないのでわかりにくい。この件に関して何か議論があったのならばそれを教えて欲しい。
研究方針の改訂案は基本的に根本を変えず、部分修正という位置づけで考えているため、4つの使命には手を加えなかった。
P.4以降に載せてある技術政策課題は期限付きで解決を目指す課題であり、P.2にある3つの基本課題はある意味で永遠の課題と捉えている。生活環境・都市環境については、国民が生活していく環境が快適である必要があるし、豊かさやゆとりの感じられる環境の実現が国土交通省に課せられた永遠の課題ともいえるということで基本課題の1項目として掲げてある。
研究方針の改訂案に「生活コスト」という言葉が入っているのが目立っているが、これは、技術基本計画の策定によるものか、研究が進んだことによるものか。
技術基本計画の5つの目標の3つ目「快適で生活コストの安い暮らしを実現します」を受けたものである。これまでにも生産者・供給者の視点からのコスト縮減というものはあったが、技術基本計画では180°視点を変えて、従来にはなかった施設等の受け手や使い手の視点からの生活コストを取り上げている。
資料4のP.16(9)22がそれに該当するものと考えて良いか。
はい。
P.15からの表現ではプロジェクト研究課題名だけが赤で書いてあるけれども、見出しの方も変わっているのでこちらも赤だと思うが。
P.15以降で修正点を全て赤字にするとほとんどが赤になってしまうので、@、A、Bといった個別のサブテーマの表題だけを赤字で表現している。例えば、P.19以降の追加研究の目標・内容も赤にすべきであるが、かえって見難くなるので表題だけ赤字にしてある。
P.15(5)H等は既に研究期間が終わっている研究も赤字で追加して書いてあるがどういうことか。
策定当初を基準にすると変わっているという位置づけなので赤字で書いてある。
これは現時点では終了しているので平成15年度改訂として明記して良いものか。
技術政策課題の部分は、本来ならば毎年見直しても良かったかと思う。3年分の改訂を一度にしたということである。
委員の質問は、終わったものを入れて良いかという趣旨だったと思うが。
研究方針の初めにあるように、平成13年度〜17年度を展望したものと捉えて、今回の改訂をしてもその期間は変わらないものと考えて良いか。また、サブテーマ毎の研究概要が書いてあるが、その2.研究の内容・成果の「成果」というのはこれから期待する成果であると考えて良いか。この場合、実は約3年間経過しているから終わったプロジェクト研究等の成果は出ているはずだが、それはこの研究方針とは関係なく、別途毎年作っている研究成果という中に盛り込んであるという理解でよいか。
資料3にあるように、改訂後の研究方針の対象期間は、従来の期間を継承するという整理をしている。また、既に終了した課題については得られた成果も書いているが、大部分の研究課題については今進んでいる課題なので、期待される効果を記述している。
資料4のP.2のキーワードでいうと、「美しい」「安全」「豊かさとゆとり」というのは入っているが、「活力」が入っていない。それは国民ニーズを真に考えるともうこれからは活力は基本的課題と考えないということを宣言しているように見えるが、これでよいのか。これに関連して、なぜ3つの基本課題に絞ってプロジェクトチームが始まったのかの経緯を教えていただきたい。
3つの基本課題について、その設定当初の状況からお話しすると、国総研としての使命は4つあり、その上に、長期にわたって考えるべきこととして基本課題が3つあるという位置づけになっている。その3つの基本課題を考えていく中で、次の使命も出てくるし、その使命の下で何をすればよいか、という方向性が出てくれば良いという考え方だった。プロジェクトチームでは、意見交換会や勉強会を行い、例えば日本の公共投資の比率が高いという具体の原因は何か、今後の社会資本整備を考える時にどういうことを視点に考えるべきか等を議論してきた。
その成果が具体的に研究プロジェクトの提案につながっているものはあるか。
例えば、先程挙げた社会資本の課題であるとか、エネルギー問題と社会資本整備のあり方をどうするかという課題として研究につながっている。
基本課題には「活力」、「国際競争力」というものが入っていないが、国土計画が大きく変わろうとしている中で、キーワードを抜いてしまっても良いのか。
課題名そのものには載っていないが、先程挙げた社会資本整備の今後のあり方を議論していく中で活力の問題は出てくるし、国土計画の話も出てきている。そういう課程で議論はしている。
少なくともキーワードを表に出しての議論はしていなかったが、この機会に国総研の中で議論してきたことを打ち出していこうということだと思う。今の委員の意見を踏まえ、重要なキーワードを出し切るべきだと思うが、今後の検討をお願いしたい。
基本課題に「安全で美しい国土の創造」とあるが、前には「美(うま)し国づくり」だったと思う。使う言葉が頻繁に変わっているが、その経緯を教えて欲しい。
美しい国土づくりはどうあるべきかということについて、国土交通省の中で事務次官以下のプロジェクトチームをつくり検討し、当初は「美し国づくり」としていた。「美し国」とは単に美しいだけではなく、文化や活力を含んだ総合的な我々の理想とする国を表現したものである。「美し国」をテーマにすると全てを包括したものになってしまうため、その中で美しさの部分に関連する施策を具体的に展開していくという判断で「美しい国」とした。
「美し国」という言葉は、理科系の科学と社会科学との融合という意味で、気に入っていたのだが。
理念としては残っているということで良いのか。
その通りである。理念としては「美し国」がある。しかし、国土交通省の具体の施策としていく段階では、範囲を限定した方が効果的であろうということになった。
国土交通省として国民のニーズに応えるという大前提が感じられ、また社会的な要請に具体に応えていくフットワークの良さを感じ評価できる。ただ、「生活コスト」という言葉からは、省エネ技術が発達してその技術により電気代やガス代が安くなるようなイメージを持ってしまう。国民のニーズに直結していない部分にも「生活コスト」という言葉を使っているのではないか。(9)生活コストの安い暮らしと(13)(14)の契約方式や公共事業評価の高度化に書かれている研究はどちらも社会コストに関する研究であるように見える。
技術基本計画のP.14にあるが、道路や鉄道の建設コスト・管理コストが下がると料金に反映されるという意味で「生活コストの安い暮らし」というとらえ方をしている。
技術基本計画はわかりやすく目標を掲げるという趣旨で全体が書かれている。特に3番目の「快適で生活コストの安い暮らし」についてはわかりやすく説明をしてあるが、直接的でなく間接的なことが多い。国総研の研究方針では、研究を当てはめようとしているため、多少無理があるように見える。
生活コストは省全体としても新しい言葉・見方であり、確かに回りくどく分かりづらいが、物流コストなり水道料金なりが、ほとんどの社会資本整備の進め方や事業費と密接に関係していることも確かである。生活コストを十分に意識して研究を進めようという趣旨で書いている。
生活コストという言葉を使うことには賛成するが、公共投資に関わる表現に違和感を持ちやすいのではないか。他にも資料4のP.21には建築性能評価、対策技術、P.22には住宅の管理運営がある。こういう技術開発を通して日々の生活のコストを下げると言えばわかりやすいように思う。
国民が感じる生活コストにどの研究のどの成果が関係するのかをわかりやすく書いて欲しい。ここは国民のニーズが一番高い部分でもあるので、受け入れやすくなると思う。また、生活コストの部分と社会コストの部分をもう少し明快に整理するとわかりやすくなる。
直接生活コストに関わる研究を前面に出しても良いのではないか。土木系よりも建築系の研究の方がコストを前面に出していなくても生活コストにつながることがわかりやすいと思う。
コストに関係する研究は他にもたくさんあるが、これらはコスト自体をターゲットにしている研究ではない。コストを中心に据えた研究が(9)の生活コストのところに整理された結果、ご指摘の通りわかりにくくなっているものと思われる。整理の仕方については議論する必要があると思う。
切り口が違えば、一つの研究について複数の目標があることは自然であるし、再掲する形になっても良いと思うので、再整理をお願いしたい。
技術基本計画には東海、東南海、南海地震が、緊急に対応すべき事態として表現してあるが、国総研の研究方針では、10、20年後でもそのまま適用できるような一般的な文章となっており、国総研として危機意識が足りないように思える。
資料4のP.27の記述はご指摘のとおりそういった記述になっている。実際の研究では、東海から南海地震への対応の研究について、大きいプロジェクト研究に含まれているが、平成16年度から3カ年の計画で重点的に取り組むことにしている。
エネルギーの項目で出てくる研究課題が1課題しかない。国土交通省は日本のエネルギー消費の半分を超える分野を所管する官庁でもあるので、省エネルギーより一歩進めて総合エネルギー対策を研究して欲しい。これは次回の課題としていただきたい。
資料4P.1の4つの使命に「満足度を高める」とあるが、ある意味わがままな要望にも応えるようにも感じられる。もっと他に良い表現はないか。例えば、国民の要請の充足度という言葉が考えられる。
「満足」という言葉は、国が国民にへつらっているように感じられる。不況が続く中、社会的な生活の質の向上につながるようなことを考慮してほしい。
本質的な部分は「誰が判断するか」という点である。従来は、質や充足度といったものを専門家が判断していたが、これだけでは不十分であるという反省や発想転換を踏まえ、国民の視点から判断するという発想が、「満足度」という言葉に含まれている。言葉にとらわれることなく、その背景も考慮すべきだと思う。
  <評価のとりまとめ>
今回は3年が終わったところであり、国の目標が変わったことを踏まえて修正した点を評価することになっている。行政の方で掲げた目標に対して、研究方針の整理を行ったものであり、過渡期ということで研究方針の改訂案にも多少無理な整理も見受けられるものの、目標が変わってもそれなりに目標に合致した研究ができているという意味で国総研のこれまでの研究を評価できる。委員会としては、これまでに出た意見を踏まえ、いくつか修正をすることを前提に研究方針の改訂案を承認する。上述の点は「時代の潮流を踏まえて社会的要請に応え得るか」という点であるが、「重点的に取り組む研究課題の設定が適切に整理されているか」という点については、本日は議論になっていないが、研究課題として分科会で議論していることもあり、十分評価できるものと判断する。もう一つの「研究の進め方に関する方針が国の研究機関として適切であるか」についても、なぜ国が研究をするかということの整理がよく進んでおり、適切であると評価できる。
(2) 報告「平成16年度新規プロジェクト研究等と評価結果について」の意見及びそれらに対する国総研の回答
   平成15年12月に開催された第1〜3回分科会にて平成16年度新規プロジェクト研究候補等の事前評価が実施されたこと及びそれらの研究の概略、その評価結果を受けて国総研として新規プロジェクト研究を決定したことについて、事務局より説明した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価
研究マップで大体の様子がわかるようになり、非常に大きな進歩だと思う。平成16年度からの課題の評価は各分科会で行っているので、それぞれの主査から感想・ご意見をお願いしたい。
研究マップを作っていただいたり、分科会に他分野の委員も参加されたりと、昨年度に比べよくなってきていると思うが、まだピアレビューとしては評価の時間不足の感があり、システムの信頼性を獲得するためにはある程度時間をとる必要があると思う。また、中間評価・事後評価はもっとシビアな評価になると思うので、その辺りを検討して欲しい。
個別の課題の研究マップに加え、所全体の研究マップがあるとなお良いのではないか。また、研究マップの表現を統一したらより分かりやすい。
新規に立ち上げる研究について、かなり厳しい意見が相次いでいた。具体的にどういう研究をするか詳しい資料・説明が不足していたことも原因であるので、資料のページ数等には制限を設けずに、説明すべきところはより詳細な説明をお願いしたい。
(3) 報告「平成16年度の研究評価について」の意見及びそれらに対する国総研の回答
   平成16年度より中間評価・事後評価が新たに加わること、個別研究課題の評価は分科会にてお願いしたいこと、例年通り、前年度の国総研の活動の評価を本委員会にて6月を目途にお願いしたいことについて、事務局より説明した。
  凡例 ○:委員からの意見及び評価
中間評価・事後評価については、次回の本委員会にて分科会でどう評価をしたらよいかについて議論をしたい。
(4) 評価結果のとりまとめについて
   国総研研究方針改訂に関する評価については、本日の議論を事務局において整理し、委員長の責任において評価結果をとりまとめることとなった。
(5) その他
   事務局より、本日の審議内容については、議事要旨としてとりまとめ、各委員に確認をしていただいた上で確定するとの連絡があった。また、評価結果、議事要旨は国総研ホームページ等で公表するとの連絡があった。