令和3年(2021年)・第28回

令和3年度最優秀賞は、以下の3作品です。各作品について、蓮見審査員長より講評を頂きました。

T-REXの頭骨

つくば市立沼崎小学校 正木 柊帆 さん
<製作者の作品アピール>
この橋は、私が好きなT-REXを題材にしてつくりました。 まず、頭骨の下あごのかたちにするために、橋はV字型にしました。 そして、1kgの重さにも耐えられるように、トラス構造で丈夫にしました。 上あごは、ねぶたの山車を参考に、細く切ったボール紙を枠組みにして、そこに半紙をはりました。大変だったのは、目、鼻、脳などの空どうになるところです。 ここは半紙でこよりをつくって、形を整えました。 最後に大きく開けた口は、博物館の標本を思い出して、棒で支えることにしました。 上あごと下あごを動くように接続して、理想の形に仕上げることができました。
        
<審査員長の講評>
直線的な橋の作品が多い中で、この作品は恐竜(きょうりゅう)の頭骨の形をしていて、パクパクと動く口の中に入ると、和紙のやわらかい光に満ちた不思議な空間が広がります。全体は、軽量でガッチリした三角形のトラス構造でまとめられ、ゆかや歯までが三角形。同じかたちのくり返しが印象的です。


ウェルかめ橋!

つくば市立島名小学校 荻野 花乃香 さん
<製作者の作品アピール>
橋には人や車が行き来する通路としての役割の他に、橋がかかっている地いきや町にとっての、シンボルという役割があると思いました。 シンボルとしての橋に、私は大好きな亀を選びました。 理由は二つあります。 一つは、がんじょう な亀の甲らの構造を橋に活かすことで、亀は万年と言われるように、長く地域の人たちに愛されるような安全な橋になってほしいという想いをこめました。 二つ目は学校で習ったSDGsの13の気候変動への対さく、14の海の豊かさを守ろうといったメッセージを身近に感じてもらえるように、海の生き物のかめに決めました。 私はこんな橋がかかった街に、将来は住んでみたいです。
        
<審査員長の講評>
楽しげなかざりにいろどられたドームは、固い甲羅(こうら)を持ったカメの形になっています。光に満ちたドームの中で公園のような景色を見ていると、竜宮城(りゅうぐうじょう)にいるような気分になりそうです。通るだけの殺風景な橋が多い中で、これはゆっくり過ごすことが目的になるような未来の橋の提案です。


みんなの橋

つくば市立松代小学校 中村 友俊 さん
<製作者の作品アピール>
この橋を考えた理由は、丈夫でじゅうたいが無いみんなが安心して集まれる公園のような橋にしようと思ったからです。 みなさんに見てもらいたいところは、木を植えて自然を取りいれたところと、電車やバス、モノレールといった、公共の乗り物だけ通れるようにしたところです。 橋はある場所からある場所に移動するためのものなので、たくさんの橋が川の上や高い場所など、見晴らしのいい場所につくられてると思います。 ぼくが去年まで住んでいた宮城県の仙台市は、七夕祭りのときに広瀬川の花火大会があって橋の上が一番の特等席でした。 だからこれからみんなが集まれるような、みんなの橋がいっぱい出来るとうれしいです。
        
<審査員長の講評>
細部までていねいに作られ、色や構造もふくめてとても高い完成度です。じゅうたいの原因となる自動車を通行禁止にし、モノレールや鉄道などの公共交通に限定した橋になっています。このような橋は、自由にわたる楽しみがなくなりそうですが、この作品では木々が植えられた美しい遊歩道を設けることで、世界的にもめずらしいステキな橋になりました。





令和3年度構造デザイン賞は、以下の5作品です。作品について、福田審査員、星隈審査員より講評を頂きました。

茨城れんこん橋

つくば市立沼崎小学校 飯田 百華 さん
<製作者の作品アピール>
橋の構造で一番上の台形のわたるところを箱状にして強くしました。茨城県の特産のれんこんをテーマに橋全体をれんこんらしく作りました。台形の箱のてん開図を作る時に紙が足りなくならないか何度もやり直して大変でした。
        
<審査員の講評>
このタイプの橋を強く作るには、アーチを形作る部分が重要です。この作品では、アーチ構造の台形と三角形の部品の接続がとてもしっかりとした構造になっています。また、上から力が加わったときにアーチ構造が広がらないように、両はじの部品をベルトでつなぐことで、橋全体を力強く支えています。アーチの形を茨城県が生産量日本一であるレンコンに見立てたアイディアもユニークです。


西岡の橋

つくば市立柳橋小学校 小久保 隼人 さん
<製作者の作品アピール>
耐久性と糸を交差させている所です。
        
<審査員の講評>
ななめのケーブルの張り方をあえて左右で変えており、とても目をひく橋です。構造としては、橋をわたる方向のけたによって橋全体を支えていますが、路面の部品と路面を支える柱がとてもていねいに作られていています。それぞれの部品は四角形のつつ状になっており、そのつつが変形しないようにななめの補強をつつの中に入っているなど、強くするための細かいところがよく制作できています。


ゴールデンゲートブリッヂ

つくば市立前野小学校 間中 大地 さん
<製作者の作品アピール>
①はしの糸がかっこいいところ
②さくもつけてあるところ。
③重さにたえられるかテストをしました。
        
<審査員の講評>
均一の太さにていねいに作られた、長さが異なる四角形の棒状の部品の組み合わせで、橋が形作られています。橋全体の構造としては、橋をわたる方向のけたで支えられており、けたが二段重ねになっていることで、とてもがんじょうな構造になっています。しゃ張橋をイメージした、門形のゲートとななめのケーブルが力強さを演出しています。


東京アラート~コロナの先へ~

つくば市立竹園西小学校 立川 瑛大 さん
<製作者の作品アピール>
僕は吊り橋に興味を持ちました。桁を三枚の紙にするために、何度も試作を作り完成させました。また、コロナの終息を願い東京アラートをイメージしました。
        
<審査員の講評>
けたに加わった力をけた自身で支えるのではなく、つりケーブルを通じて柱に伝えていくという本物のつり橋の原理が忠実に表現された作品に仕上がっています。これまでの長い橋コンテストの歴史の中で本物のつり橋と同じ原理が再現できている完全なつり構造は、この作品が初めてとなります。柱もがんじょうに作られていて、橋の安定性をしっかりと保つことに役立っています。


平和の橋

つくば市立並木小学校 遠藤 知海 さん
<製作者の作品アピール>
柱をたくさん作ってオリンピックの五輪の色にぬりました。柱一本では弱いけれど、みんなで力を合わせることによって、強い物になるという意味をこめて作りました。
        
<審査員の講評>
橋全体が、棒の組み合わせのみで形作られています。このような構造は、「ダ・ヴィンチの橋」として500年以上前にレオナルド・ダ・ヴィンチが考案したとされますが、この作品は、「ダ・ヴィンチの橋」よりも多くの棒状の部品や柱が配置することで、さらに強い構造となっています。オリンピックをイメージした五色の色ぬりもていねいです。





令和3年度美術デザイン賞は、以下の5作品です。各作品について、佐山審査員より講評を頂きました。

世界の架橋

つくば市立みどりの学園義務教育学校 渡邉 颯太 さん
<製作者の作品アピール>
今年かいさいされた、東京オリンピックを盛り上げるために、華やかな橋を作ろうと思いこの橋を作りました。
五輪の五色で色をぬりましたが、線の色がかぶらないようにバランスを取るのが大変でした。         
<審査員の講評>
オリンピックをテーマにした作品はたくさんありますが、この作品は、感動的な想いになりました。オリンピックカラーの編み目の部分とむらさき色のトンネル部分は、はり付けて連結しているように見えますが、一枚の紙を切りぬき、色ぬりされていて、高い技術で作られています。全体は左右対しょうの羽根を空に広げたようになっています。


三角のアーチ橋

つくば市立吉沼小学校 草深 歩由奈 さん
<製作者の作品アピール>
スプレーできれいに色をぬりました。
        
<審査員の講評>
何とも不思議な様子の作品です。たわんだロープのさくは、未完成なのかと思ってしまいますが、全体をながめるときちんと両側と合わせた形になっています。橋を支える三角形は、不安定なようで、のび縮みするアコーディオンのような構造になっています。赤と茶色の2色で仕上げられた全体像は、個性が印象に残ります。


かに橋

つくば市立竹園東小学校 新名主 湊太 さん
<製作者の作品アピール>
左右前後に付いている、はさみと目をよくみてほしいです。
        
<審査員の講評>
とてもダイナミックで、ちょっとユーモラスなカニが橋になってます。しっかりと設計された構造と優しい表情の組み合わせが見事です。質素でナチュラルなアースカラーで仕上げられているので、山間部の景観の中にこの橋がかかっていても自然にマッチしますね。


虹をわたる

つくば市立葛城小学校 笹尾 蒼晴 さん
<製作者の作品アピール>
たくさんの曲線
カラフルな虹色
        
<審査員の講評>
にじを歩いてわたり、雲に乗ってみたいと、小さなころに思ってました。この作品は、願いをかなえてくれそうです。切りこみで作られた大きく波打つ曲線が、強い力でむかえてくれる、大きな優しさを感じます。歩きながら、すべり台のように遊んだりできそうです。楽しく、優しい発想で作られた作品です。


竹の橋

つくば市立桜南小学校 前田 和希 さん
<製作者の作品アピール>
1つの竹の横はばは、5mmで68本と少しアーチがたです。
        
<審査員の講評>
日本にはとても多くの竹林がありますが、放置され、あれた竹やぶになっているものもたくさんあります。そんな竹を活用してこんな橋ができたら、とても良い資源の活用になります。竹の形や質感をとても忠実に表現していねいに作られています。ゆるやかなアーチ構造もしっかりと計算されています。実際にわたってみたくなる作品です。





令和3年度努力賞は、以下の5作品です。作品について、横山審査員、中島審査員より講評を頂きました。

リニアモーターブリッチ

つくば市立茎崎第三小学校 春日部 秀龍 さん
<製作者の作品アピール>
磁石で橋を浮かせたことです。
        
<審査員の講評>
とてもスタイリッシュで色合いもスマートな作品です。ゆかは、磁石を使ってういています。フワフワとして、一見、橋として危ないのではと感じますが、大きな地震(じしん)や地すべりなどの災害があった時は、ゆれや動きを受け止め、みんなの安全を守るすばらしい橋になりそうです。


日本の音を味わう橋

つくば市立島名小学校 北園 日依香 さん
<製作者の作品アピール>
竹の節としなやかさを活かした強い橋を作りました。(節も1つ1つていねいに作りました!)
橋をわたると竹の音や和傘に雨があたる音が聞こえ、日本の音を味わうことができます。         
<審査員の講評>
竹と和傘(わがさ)の組み合わせで伝統的な日本を感じさせつつ、節までていねいに再現された竹がしなやかに橋を安定させている作品です。うすい色の組み合わせによる仕上げが、日本らしさをより印象的にしています。雨がしとしとと降る日に、和服を着て、竹や和傘に当たる音を感じながらこの橋をわたってみたいですね。


かざぐるま橋

つくば市立吉沼小学校 海老原 世那 さん
<製作者の作品アピール>
大きなかざぐるまをつけたところ。
ところどころに下が見える窓をつけたところ。
明るくカラフルに色をぬったところ。
        
<審査員の講評>
全体的にやわらかな色合いで、橋の中央の大きな風車が印象的な作品です。中心から延びた糸も橋の全体に美しさを加えています。そよ風で回る風車の下をみんなで楽しく歩けるように、緑の多い公園の小川の上に設置して多くの人々にわたってほしい橋だなと感じました。


デジタルドット橋

つくば市立学園の森義務教育学校 佐藤 朱理 さん
<製作者の作品アピール>
画用紙で多数の立方体を作成し、それに2種類の色をつけ、デジタルの世界観を表現した。
        
<審査員の講評>
小さな立方体をたくさん作り、ていねいに接着して作っられた作品です。方向をそろえて並べられた立方体は、まるで岩石を組んだように見えます。多くの色をあえて使わず、2つの色で作られた立方体の仕上がりは、デジタルを感じさせており、独特の感覚が素敵です。


ビーハイブリッジ

つくば市立並木小学校 片平 早紀 さん
<製作者の作品アピール>
重さにたえられるように工夫したところは六角形のパーツをいくつも組み合わせ、二そうにしたことです。デザインをハチの巣のように色をぬり、ハチを1ぴきつけたところを工夫しました。
        
<審査員の講評>
ハニカム構造が橋の強度を高めています。橋全体がハチの巣の色に染められていて、上部のクロスするように並べられたかざりと今にも動き出しそうな一ひきのハチの配置が、デザイン性の高い作品にしています。橋をわたると、ハチの巣の中にいるような不思議な気持ちになりそうです。